紙の本
優しい革命の悲劇
2014/06/15 16:25
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やびー - この投稿者のレビュー一覧を見る
29歳の社会学者が、日本の矛盾と「大人達」が見ている現実は若者が抱える実情を捕らえていない…と、若者の視点に立ち新しい社会と未来への提言を添えた一冊。
「大人」がいつのまにか「おじさん」へ、批判対象が移るが…「おじさん」とは、既得権益に仲間入りし恩恵を疑う事無く毎日を過ごしている人が「おじさん」と定義する。
金持ちの娘、息子は生まれながらの「おじさん」なんだろう。今の、若者にお金と権力を与えれば誰でも「おじさん」になれるのに、若者は今の社会を理解し満足している。上手く生きていくのだ。と、若者を代弁している。
マキャベリは「人間は、自分の利害のからむ機会がやってくれば、たちまち断ち切ってしまう。」のが本心だと解く。だからこそ、人間関係でも「愛されるより恐れられる人になれ、愛される者は軽蔑されるが恐れられる者を裏切る事は無い」と、我らを啓蒙してくれる。
恐れられるには、既得権益も必要だろう。権力を使いこなし周りを幸せに導くなら人を傷つける事さえ厭わない。私も不惑の歳はで五年はかかるが、いつまでも若者ではいたく無い。
「大人」であるには、責任を持ち言い訳をしない。孤独に堪え、教養を磨きリスクを回避しながら自己実現に思索する。 成功に溺れる事無く、ステップを踏める勇気は他者を必要とし愛せるからこそ頑張る。私はそんな「おじさん」になりたい。
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やはり若者のデモが盛んなヨーロッパも、若年失業率がとにかく高い。2013年春の統計によれば、若年失業率(15歳〜24歳)はスペインで56.4%、ギリシャでなんと62.5%にも達する。ヨーロッパ全体でも4人に1人の若者は失業状態にあり、日本の7.9%という若年失業率は世界的に見れば低水準だ。p188
2013年に内閣府によって実施された「国民生活に関する世論調査」によれば、現在の生活に「満足している」と答えた20代の割合は78.4%にも達する。格差社会のもと、その不幸ばかりが喧伝される若者だが、その生活満足度は約8割にも及ぶのだ。これはこの数十年で見ても最高水準の数値である。p189
社会学者トォーッカ・トイボネン「静かな変革者(quiet maverick)」p201
社会学者ジュリエット・ショア「ダウンシフターズ(減速生活者)」:消費社会から距離を置きながら自分たちの生活や価値観を大切にする人々。p210
社会学用語「コンサマトリー(自己充足的。今、ここ)」:何らかの目的達成のために邁進するのではなく、仲間たちとのんびりと自分の生活を楽しむ生き方。p212
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何も残らない。何の影響力もない…中二病から卒業しようと「もがいている作者」の若者の話し。言葉は飾ることで厚みも重さも備わることを全く知らない作者。居直りや受け入れ拒否は決して「俯瞰」「個性」とは言わない。紙媒体の危ぶまれる昨今。作者のターゲット層の若者の私が、お金を払って本を購入した事を後悔させないでほしい。
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いつもの注釈がないのは寂しいですが、淡々と古市くんが持っている問題意識を整理しました、という感じ。
雑誌連載などを元に、ということで、コンパクトにまとまってるかな。新しいこと言ってるなぁって感じはあまり見受けられなかったけど、古市憲寿入門書って感じ。
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「絶望の国の幸福な若者たち」著者古市さんの著書。
29歳の社会学者が語る発言は心にグサリと刺さるような発言が多い。
「おじさん」のちょっとずれた政策、意見や「若者」のちょっとずれた理想をわかりやすく書いている様に思わず頷いてしまった。
目次を見て、少しでも気になる内容があれば買ってみるのをおすすめします。
ちなみに、一番刺さったのはあとがきの一文ですw
おじさんにならないように気をつけたいと思います。
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元は「おじさんの罪」だったそうだが出版元のおじさんに反対されたらしいw 女性向けの本なら「おばさん・ 熟女」も自虐的にむしろそれがウリになるのに
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面白かった!古市くん独特の鋭い角度のついた目線で今の日本をバッサリ。僕も若者の一人のつもりで痛快に感じながら読んでたんですが、齢49歳、そう言えばもう、立派な「おじさん」ですよね。
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コンサマトリー
Consummatory
アメリカの社会学者タルコット・パーソンズの造語であり、道具やシステムが本来の目的から解放され、地道な努力をせずに自己目的的、自己完結的(ときに刹那的)にその自由を享受する姿勢もしくはそれを積極的に促す状況のこと。対義語はインスツルメンタル(化)。非経済的な享楽的消費の概念を「消尽(consumation)」と呼び、非生産的な消費を生の直接的な充溢と歓喜をもたらすもの(蕩尽)として称揚したフランスの思想家・作家ジョルジュ・バタイユの考え方とも相通ずる現象解釈といえる。
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この国の大人たちが口にする事について、何かズレていると感じることが多々ある。
最近だと「次のApple、google、Facebookは日本から出す!ベンチャー有識者会議発足」というもの。
なんか違くね?
最終的にはどのような企業を作りたいの?
ビジョンが見えない。
クール・ジャパン戦略もそう。
そもそもクール・ジャパンって何だよ。
絆を連呼すれば原発はどうにかなるものじゃないし、
電子レンジにスマホ機能つけたところで売れるはずがない。
若者の冷めた目線でも押し通す大人たち。
そんな「大人」と「若者」の感覚のズレを若手社会学者、古市憲寿が様々な具体例を挙げる。
リーダー不要論、クール・ジャパン、就活、ノマドなどなど。
このままダラダラ何も変わらずに続けていれば、幸せのままに日本は沈没するだろう。
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90年代J-POPと憲法。
幸せな若者に革命を期待するおじさん。
違った考え方をしていたと思った自分は十分大人になってしまったのだろう。
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世の中に蔓延する議論はとことん“大雑把”なのだということをウィットに富んだ文体で教えてくれる。
就活や人材論、若者論、クールジャパンなど様々な観点からその“大雑把”ぶりを明らかにしてくれるのだが、それを1番象徴しているのが、「心のノート」だろう。
要は、「そうではない」人もあれば、事例もある。事情もある。それを世の中の「べき」論は十把一絡げでぶった切って単に満足して思考停止しているだけなのだ。
斯く言う自分もそうだった。
ただ、いざ自分が主体となったときにそれが如何にいい加減で大雑把だったのかが分かる。
まず気づくこと。
そして知ること。
ここじゃないと始まらない。
この作品はそのいいきっかけになるだろう。
ただ、古市くんのあの文体が素直に受け止めらるかというハードルがまずある(笑)頭の柔らかさと容量がまず問われるはず。
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「古市さん、やっぱり世渡り上手だなぁ」という印象。
ネタ選びも上手いし(これは編集者の力量もあるとは思いますが)、ほどほどにおちょくって、刺激的なことを書いているように見せるのが本当に上手い。
一般受けしている知識人いじりをちょいちょい入れて、「そういう人たちとの交流があるんです」というポジションもさりげなくアピール。流石です。
これからも、メディア受けする知識人として活躍されると思います。
タイトルにもあるように、日本社会を取り巻く様々な「ズレ」を取り上げている本書。
どのコラムでも繰り返される「おじさん」というキーワードの定義が、わかりやすくて面白かったです。
該当する人が読んだら、きっと顔を真っ赤にして憤慨するだろうけど、言い返せないんだろうなぁ…。
「人は、今いる場所を疑わなくなった瞬間に誰もが『おじさん』になる」という一文にはドキリとさせられました。
トピックは色々ありますが、特に、クール・ジャパンの話は凄く頷く部分がありました。
若者の労働だ就活だといったあたりは、古市さんとも仲良しな朝井リョウさんの『何者』を読んだ方がリアルに伝わるかも。
後書きで触れられていましたが、古市さんも「若者」というポジションからそろそろ外れそうな年齢に差し掛かってきたので、これからどのような場所にアプローチしていくか興味があります。
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笑いながら新書を読んだのは初めてだった。今まで読んだ新書が、自分とは違う年代を生きてきた人の言葉だからクソつまらないな、腹立たしい、と感じたのだと分かった。同じ時代にいる人の言葉を聞けるようになったのだから、年を取るのも悪くない。そして、この本を同世代はもちろん、おじさん世代の方々にも読んでもらって、クソつまらないな、腹立たしい、でもこいつらはこんなこと考えて生きてるんだって知ってほしい。
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他のレビューでも書かれていたけど、新書なのに笑える、という、『おじさん』批判の本です。
前半はただ、ただ痛快☆な感じで、『おじさん』のズレっぷりが紹介されてます。クールジャパンの謎とか、いつだったかの自民党の選挙標語「日本を、取り戻す」とか。
後半は笑ってみていた若者にも問題提起というか、考えさせられるような展開なのも古市さんっぽいな、と思いました。
サクッと読める、今の日本の問題点。
文庫だから膨大な注釈がないのが残念だけど、通勤電車の中とかで気軽に読めるのでいいですね。
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本書で取り扱われているいくつかの問題に対して、ただただ「愚痴」というか、ネチネチと嫌味を述べている言説が続くだけという本。一部の技術決定論や左派的な議論を嘲笑するものの、それらの言説の生まれた背景や歴史(例えば「心のノート」については、背景にある少年犯罪への(根拠の少ない)不安やポストモダン社会における心理主義的な傾向など、社会学の立場からいくらでも指摘されてきたはずだ)への視座もなく、ただアドホックな「苦言」を述べているだけに過ぎない。
また本書においては、現状の政策課題(特に経済政策と少子化対策)に対して「何もしない」ことが前提となっており、そういうあり方を「若者」としての著者が肯定していると読める。そのようなメッセージを「若者」として発信してしまうことは、結局のところ古市の如き「若者」を消費するだけの読者に、全く無意味な現状肯定感を与えるだけではないか。この点でも極めて罪深い論説であると言える。