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『美しく、悲しく、暖かい』
椎名誠の私小説世界は一時、
黄金の輝きを見せたと思う。
センチメンタルではあるが、弱くはない。
虚構ではあるが、嘘ではない。
1枚ずつ丁寧に収められた家族のアルバムを眺めるように、
そこには切なく、愛おしい時間が流れる。
特にこの本で描かれた東北の医者宅での
夕餉はしみじみと美しく、悲しく、暖かい。
個人的には椎名誠私小説のベスト。
もうすぐ35歳を迎える今、また読み返してみたい。
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この本に出てくる女性とその女性との付き合い方が爽やかですね。
私はこの本を読んでいると、昔プラトニックなまま別れていった幾人かの女性を思い起こします。
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久々に「椎名節」を読んだ。
今から20年くらい前の日々を綴った私小説である。日々の出来事を連載小説で書き綴れる小説家の洞察力には脱帽する。
さてタイトルでもある「菜の花」は、文字通り色を添える一作。
どことなく深く入り込み、暗くなりがちな日常小説をモチーフの「菜の花」が明るく引き立てている。
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あらすじ
"春になれば…"みんなそんな想いを抱いて、吹きつけるそれぞれの人生の風の中にいた-。旅する空に、休息の夜に、喧噪の都会に、椎名誠のかたわらを通り過ぎていった女たち。遥か少年の日のおぼろ月夜に咲く、菜の花の記憶が、出会い別れた女たちとの思い出とクロスしてオトコのたしかな人生を浮き彫りにする。哀しくて、やがてアカルイ、11のしみじみ私小説。