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不正は費用便益分析の結果行われる。極端に言えば、強盗しても捕まらないなら、やっちゃう人は結構いるはず。しかしそれよりも、不正というのが、悪事というよりも、創造性から生まれる場合もある。
不正を増やすファクターと、不正を減らすファクターは、全然別の出来事が作用している。不正を増やす側の重みを減らすために、ある種の宗教的道徳心リセット儀式っぽいという話。しかし日本にはそういうものがさっぱりない。せいぜい初詣、ぐらいか。こうした傾向により、ますます無自覚な不正ブームが加速する、きっと。多分本書の意図はそういう読み方じゃないけどね。自分に置き換えるか客観的に見るかで、爽快感が随分違うと思う。
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ダニエル・カーネマンのファスト&スローが認知、判断など広く扱っているのに対しこの本で扱うのは「ずる」の心理学、そうは言っても重なる部分はかなり有ります。
どういうときに人はずるをするのか、アメリカのゴルファー1万2千人の調査ではライの改善について「平均的なゴルファーがボールを10センチ動かすと非常に有利になる場合動かす可能性はどのくらいか?」聞いた所、クラブを使って動かす場合23%、ボールを蹴る場合14%、手で動かす10%と言う回答だった。(日本のプライベートコンペだとそもそもリプレースOKとしている場合が多いので質問自体が成り立たないかも・・・)手を使うと心理的抵抗が大きいというわけである。また、マリガンルール(打ち直しOK、一説によるとマリガン大統領からきている)の場合平均的なゴルファーがスタートホールでのマリガンは40%、9番ホールでのマリガンは15%が打つと言う回答だった。そもそもわざわざ平均的な・・・と質問するのも意味がある、あなたはどうしますかだと自分はフェアだと信じたがる人はライの改善はしないし、マリガンもしない。平均的な他人は自分より不誠実だというのは本当だろうか?
ずるをする際に最初にすることは自分をだますことなのだ。例えばダイエット中なのに少し食べ過ぎた際どうせ今日はだめだから自分を許して食べよう。朝からがんばればいいとか。自分が受け入れやすい言い訳を作り自分を納得させるのと同じ心理が働いているのだ。例えばニセモノブランド品を身につけるだけで不正行為(ちいさなずる)に対する抵抗は大きく下がる。みんなで渡れば怖くないというのもある。心理的な抵抗のハードルを下げるとずるに抵抗する力が弱まるのでずるは感染するものらしい。
ではずるを無くすためにいい方法はあるのか?これも以外と簡単な答えで例えば宣誓をする、署名をする、見張られていると思わせるなど。いろいろな申告書で署名を取るのはエビデンスを残すためだと思ってたが、署名すること自体に抑止効果がある。ただし、できれば申告前に正直に申告しますと署名をさせる方が効果が高い(心理的な抑制効果が働く)と言うのが著者の実験結果であった。この話は保険会社に進めたがどこにも採用されなかったらしい。道徳心を定期的にリセットする仕組みは宗教などにも取り込まれている。行動心理学関係の本はお勧めできるものが多い。
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なかなか刺激的だった。
単純な実験で母数に関する記述がないため、非常に少ないようであることが気になるところ。
不正は金額が少ないとか多いとか、ばれる確率が高いとか低いとかがその量を変えるわけではない。
不正を防ぐものは直前に倫理的なものを呼び起こすこと、倫理条項への署名、誓約、意思疎通の持てない監視者がある。
不正を促すのは社会的要員の不正を目撃すること、他人が自分の不正から利益を得ること、前頭前野が消耗した状態であること、ちょっとした不道徳から道を外していくこと、創造的な思考で正当化する能力、利益相反、クライアントとの付き合いの長さ、否定的なイデオロギーなどがある。
一旦不正をすると不正に酔い、実力を過信する。
最後のまとめを見るまでは、内容が多くて思い出せないものも。
時間はかかったし、いまいち今後の役には立ちそうにないが面白かった。
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世の中には不正をなくすために考えられた仕組みがたくさんある。
多くは、罰則を厳しくするとか、ばれる確率を上げるような、
費用便益的なリスクを増やすことで、不正を抑制しようとするものである。
でも人はそんなに合理的じゃない、
いつもメリットとデメリットを天秤にかけて行動しているわけじゃない、
ということを、面白い実験を通して明らかにしていく。
本書全体を通して論証している仮説は、
人は自分で正当化しやすいほど悪いことをしやすい、
というもの。
だから、
ちょっとした不正はだんだんエスカレートし、
誰のお金か分かりにくくなるほど、金融のモラルハザードは大きくなり、
会社の金庫から1円を持って帰るのはできないけど私用コピーはでき、
世の中を良くするために、政治家は平気で賄賂をもらう。
読むとどれも、ちょっと意外だが、納得するものばかり。
そして、不正についての人の行動心理を知ることは、
不正の防止、抑制に役立つ。
従来の規制、罰則ではなく、行動心理を知らない人には
信じられないほど単純だが、本当に効果のある対策を
講じることができる。
多くの人が、こういう行動傾向を知れば、
不正が起きにくい楽しい世の中になるのに、と思う。
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人はなぜズルをするのか? それは、ズルをした場合と、ズルしない場合の効果の経済的合理性のみを考えて行われる事なのか? ズルをし易くする環境とは?また、ズルをし辛くするには、どんな環境を整えたらよいかなどを行動経済学分野から検証する。コンプライアンス関係、教育関係の仕事をしてる方には参考になるとおもいます。 でも、この本を読みながら、西沢和也さんの「うそ」を思い出していた事は内緒です。 http://bit.ly/11sg136
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家庭や社会において、我々はどのようなメカニズムで不正に手を染めてしまうのか―――人間の業とも言える「嘘」や「ごまかし」を行動経済学の視点から考察し、効果的な予防方法を様々な実験により検証した貴重なレポート。
罪を罪と認識させる、嘘をつかないことを宣誓させる、前例を作らない、大義名分を与えない、罰則の強化はあまり効果がないなど、興味深い実験データ満載だ。
誰かが自分に向けた不正を見極めるため、あるいは社会に対して無意識に不正を行いたくなる自分を律するため、役立つ書籍になるかもしれない。
ただこの本を読んで最も困難だと感じたのは、自分が自分に対して行う不正についてである。
例えば・・・ダイエット中なんだけど、超人気スイーツが半額で売り出してる・・・とか。
例えば・・・今日は酒飲まないと決心したが、冷蔵庫にお刺身と吟醸酒を見つけた・・・とか。
あなたは誘惑に耐えられますか? 固い決心に対するちょっとした不正を、拒み続けることができますか?
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不正がなぜおこるのかを追求した行動経済学の本
いろいろな実験が記載されてありその実験手法と
そこから導きだされる。考え方が非常に面白かった。
なぜ不正が行われるのかという部分については、
なるほどと思われる部分が多かったが、なんとなく
感覚的にわかっていた内容が多かったかと。
その分、それらが実験であらわになる部分が
逆に面白いと思った。
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ダン・アリエリー氏の本は、以前「予想どおりに不合理」を読んだことがあります。行動経済学の入門書としてはなかなか面白かったですね。
本書は「不正と意思決定」をテーマにした同じ流れのものです。とても平易な語り口で読みやすく、どういう場合に人間は不正(ごまかし)をするのか」、数々のシンプルな実験によって明らかにしていくプロセスがテンポよく進んでいきます。
「偽ブランド」の影響、「創造性」の功罪等々、興味深い結果が紹介されていて、とてもいい気づきになりました。
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○シリーズ3作目。過去のシリーズの中で一番面白い。
○過去の著作で触れられた実験について詳細に述べつつ、人間の「ずる」さについて特化しているため、内容を理解しやすい。
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へええ。2桁の数字を覚えさせられた被験者は果物を選び、7桁の数字を覚えさせられた被験者はチョコレートを選ぶ。ストレスが大きいほど高カロリーな食べ物を選ぶ傾向にあるというのは言われてみれば確かによくある話だ。
ここを読んで思ったのが、普段の生活にストレスがあるから高カロリーの食事を自分に許すというよりも、そもそもストレスの無い状況に持っていく改善こそが人間にとっては必要であるはずなのに(というようなことはこの本には書いていない)。
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誰もがごまかしをする能力を持っている。その自分が不正直でも不道徳でもない理由を説明づけるのがうまい。他人のごまかしに感染しやすく継続しやすい。
人間としての根源的なもの。みんなが、ちょっとづつの効果。
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大きな犯罪ばかりでなく、日常自分も良くやっているような小さな【ずる】がどういう行動理論から起きているのか解き明かす事で、大きな犯罪の抑制に繋がる可能性があるか。
小さなズルをしてしまう、その条件、環境や心理特性、歴史など、多くの実験例を通して解説する。
医療従事者としてはMRの作戦は見抜いているつもりだが、それでも想定以上の危険がある事を意識すべきだろう。
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人はどうして、ずるをするのか、それを防ぐにはどうしたらいいのか。
最も効果の薄い、誓約書へのサインのようなものが、意外と効果があることに驚いた。誰もが不正(ちょっとしたずる)をするのだから、不正ができない仕組み作りが大切。
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今少々流行りの行動経済学関連の本。
「ずる」は、悪意を持っただましというよりも、悪意も意図もなく自身をごまかしてしまうことを言う。
人は容易に、かつ自らも意識することなく自らを欺いてしまうことが心理学的実験から示される。これは、意識が後付けで自らの行動を正当化するものであるとする近年の認知心理学の知見にも合致する。
これらを利用して「ナッジ」するというのもひとつの方法だが、少なくとも人は弱いもので、かつ強いものであることを意識すべきだということだ。
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大きな“ずる”をする人は少ないが、殆どの人が小さな“ずる”をする。
“ずる”を抑止するためには道徳心に訴えたり、宣誓をさせるべし。との事。
人間って弱い生き物だよな。
2013.10.12読了