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セントラル(グローバル)とローカルの切り口で、整理して成長戦略を二つに分けて立てると上手くいくのではという主張の本。ローカル経済の方は、先進国、発展途上国関係なく地域に根ざした経済があって、その経済に向けた政治や企業活動をすべきというのは、非常に説得力がある。マスコミ含め、ついつい眼が行きがちなグローバルの視点ばかりで成長戦略や企業経営を何でもかんでも当てはめめてしまうとおかしくなるとうのはまさにその通り。著者は実際に双方を経営支援している中で生まれてきた発想である点、現実に根ざした内容になっており、なるほどそういうことか?と思える内容も多い。一読すべき本です。
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GとLの異なる実情を分けて検討することの有用性。
GとLの分断は実情としてそのとおりであるが、それを促進させることに未来があるか。
G
・規制緩和、ガバナンス強化とセットで法人税引き下げ
・現場力を活かす本社力の強化
→思い切り手を抜くところ 例 本社システムの作り込み
→意思決定の多様化(内部人材と外部人材の得手不得手)
・グローバルルールの適用
☆ 率先か後追いか
・公的けんきゅうきかん、大学の役割の増大
・国内産業への波及を考えた国際化 例 和食普及と日本食材、酒類の輸出の連関
L
・雇用の実態を正確に把握する
→経済センサス活動調査
非製造業割合 企業数88.9%、従業員数80.6%
社会福祉サービス(医療、介護、保育)、教育、公共交通
・地方の労働力不足
☆エビデンス?
・規制緩和ではなくスマートレギュレーション
例 主体規制からこういし規制
・デッドガバナンスの変更
・限界集落はいつ頃できたか?
・集約後?
→ライブ・エンターテインメント
→インバウンド
グローバルからローカルに移行すべきと主張しているように記載されている藻谷氏著書に対する分析は、ローカル経済をグローバル経済のサブシステムとして提案していることを無視している。
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世界経済は、G(グローバル)とL(ローカル)とで出来ている。一見、何の目新しさもなさそうな主張だが、その一見は大間違い。
無意識にごちゃ混ぜにしてしまっている様々な事象を、明快に分類し、解いていく鮮やかさは圧巻。
冨山さんお得意の、規模の経済・密度の経済といった話も、G/L視点で、しっかり描かれている。
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とても難しい本だった。
専門用語が、頻繁に出てくる。
GもLも両方頑張るという話であり、特にLは労働生産性を上げることが大切であるとといた本である。
そのためには、賃金を上げ、女性や高齢者の参画を上げることが大切である。
そして、難しい政策ではあるが、緩やかな退出が必要である。
労働生産性までは理解できたが、緩やかな退出を促すことで地方が輝けるかが腹落ちしなかった。
示唆深い本であると感じた。
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会社を大企業、中小企業ではなく、戦う市場の違いとして、グローバル(G)とローカル(L)で分け、それぞれが全く違った特性で、それぞれから日本は復活していくという内容。
製造業の大企業を中心としたGの話は、よく聞くが、実は、労働人口の65%が非製造業の中小企業であること、近年起きているサービス業での人手不足から、Lの重要性と可能性を語っている。
L領域での経営の戦略としては、地域との密着度・占領率と、生産性の向上だという。アメリカに比べて製造業は生産性が120%だが、非勢製造業は50%とかなりの改善の余地があるという話は初めて知った。生産性については、地域が分かれれば競合にならないため、地域横断での企業グループの場合、ナレッジの共有がもっと効くというのもうなづける。
Lの市場で、需要も低下するが、それよりも供給がさらに低下するため、ビジネスとしてのニーズは高まるという話だが、生産性を上げて、低下した需要でもコンパクトに収益を上げられるようになるかどうかがポイントと感じた。
今まで、地域でのローカル事業ということを考えたことがなかったので、非常に発見が多い1冊でした。
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興味深い記述箇所もあるのだけれども、どうもストンと腹落ちしなかった一冊。
たとえば「メガベンチャーの担い手はストリートファイターとは根本的に次元が異なる。基本的には、東京大学か京都大学くらい、片目をつぶっていてでも入れるようなレベルの人でなければならない。凡人が予測も出来ないことを考え出し、それを実現してもらうのだから、標準的な頭の出来の人ではとても無理である」とか、
「人口減と生産年齢人口の減少によって、これからの日本はマイナス成長に陥る危険がある。万が一そうなっても、生産性を高めることが出来れば、一人当たりGDPは上昇させられる。人間の幸福は一人当たりGDPが維持できるかどうかで決まる。」とか。
生産性やら効率性などといったものさしで全ての経済活動を図ろうとする考え方で、人口減と労動力減という未知の世界に適応できるのだろうか?
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(しばらく経ってからレビュー書いてます…)
極めて納得感のある日本経済に関する書籍です。「グローバル経済とローカル経済の課題と解決策は全然違うものだよね」という視点というか、景色を感覚としてつかんでおくことは極めて重要で、その大前提を持たないと机上の空論になってしまう危険性が高いなと思います。話としてはさくっと読めるので、皆さんも是非(2016.3月のいつか読了)
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ともすれば、すべての企業がグローバル経済で生き残るため、そして成功するための経営が求められているように感じられるものです。本書では、グローバル経済圏とローカル経済圏を、それぞれGのものとLのものとして区別し、GとLは連関の薄いものだという前提で論を進めていきます。つまり、どれだけグローバル企業ががんばって儲けても、いわゆるトリクルダウンと呼ばれる、グローバル企業からほかのサービス業の人びと、もっと言えば、格差の下のところにいる人々への潤いはほとんどもたらされないものだという見抜きがあるんです。よって、グローバル企業はグローバル企業で、ローカル企業はローカル企業で、というフィールドと性格の違いをしっかり考えていくのがこの本のねらいです。
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ゾンビ企業は延命するよりも市場から退場させたほうが地方の労働生産性はあがる。基本的にこの意見に賛成です。市場に企業が数多く存在すれば新陳代謝がすすむかもしれないけど、絶対数が少ない地方ではゾンビ企業が退場したらそれっきりということにはならないのかしらん。
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GとLの考え方捉え方の違いについて分かりやすかった。ただ、Gの住民に対してきちんと「公共にお金を払わせる」という意識が少ないように感じた。
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・雇用過剰の時代の終焉。日本の経済社会問題における巨大なパラダイムシフト。人類史上初の状況。高度経済成長期に急激に需要が増え、供給を増やそうとして人出が足りなくなった世界と、バブル崩壊で急激に需要が落ち込み、供給を調整する過程で人出が余った世界という「2つの世界観」に縛られている。課題先進国と呼ばれる日本に続いて、いずれ多くの国も人余りの状況くら劇的に人が足りなくなる状況に必ず移行する。現在は急激に成長を続ける中国でも、おそらくあと30年もすると日本のようなことが起こる。日本は、この問題にどう対峙するのか、世界からの注目が集まっている。
・人類史上初の少子高齢化起因による人手不足は地方経済から始まった。中央より地方のほうが生産労働人口の減少が先に起こっているからだ。少なくとも生産労働人口が減少しているローカル経済圏において、今後ますますサービス産業のセクターは構造的な供給力不足、つまり人手不足に陥る。このことを前提に物事を組み立て直さないと、ローカル経済圏で暮らす圧倒的多数の人々を幸せにすることはできない。
・ローカル経済圏の経済性は密度の経済性が強く効いてしまうこと。そこにいること自体が比較優位になる。地域に密着していて、地域で密度をつくっていることが優位になるので、もとものそこにいるローカルプレイヤーのほうが絶対有利になる。
・以前の典型的な家族のモデルは家族を支える年収700万を夫一人が稼ぎ妻は専業主婦で子どもが2人いるというもの。しかし今どきのローカル経済圏の現実的な家族モデルは、夫婦共働きで夫と妻2人で合わせて年収600万〜800万を稼ぎ、子どもは1人ないし2人いるというモデル。昔からの家族モデルの設定が変わってきているのである。夫婦共働き型への変化は、じつは日本人にとって斬新な家族モデルへの進化ではなく、むしろ江戸時代以前に戻っただけ。
・「県大会」上位を目指すローカル経済圏で必要なのはカリスマ経営者ではない。一定の資質の人材に経営者としてしかるべき訓練さえしていれば、優秀な経営者は十分に排出できる。
・グローバルの世界に生きる企業の最重要KPI(主要業績指標)は資本(物的・人的)効率性。ローカルの世界に生きる企業の最重要KPI(主要業績指標)は労働生産性。コンパクトシティ化により生活圏の集積度が高まることは、運行効率を大幅に高めるし、都道府県レベルにおいて地域連携型の動きが進むと、広域経営がやりやすくなる(ex.みちのりホールディングス)。ローカルの世界のキーワードは集約化。
・女性の就労参加のリアリティは、普通の職場で子育てをしながら女性が働きやすくなることら、その上で、夫と2人でおおむね800万程度の世帯収入があり、無理なく子どもが育てられる状況をつくってあげるほうがはるかに有効。このモデルは巨大都市圏よりも地元の地方都市のほうがはるかに成立しやすいしら実質的な生活水準も高レベルになる。これからの平均的な日本の家庭モデルはローカルの世界を軸にた構想していくべき。
・グローバルとローカルの間に序列などない。サッカーと野球、テニスとゴルフの間に序列がないのと同��で単に違うメカニズム、経済ルールで動いているというだけの話。どちらかの世界で給料を稼ぐかは、究極的には個人の選択の問題。自分の資質や人生観によりフィットする世界を選択していくことのほうが、幸福な職業人生にとっては重要だ。
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全体的には、地域経済活性化、地方創生を考える上で、新しい視点を提供しており、書籍的価値は大きいと思いました。特に、市場をG(Global)の経済圏とL(Local)の経済圏に分け、やるべきことは違う点を指摘しているところは秀逸だと思いました。
タイトルは、「なぜローカル経済から日本は甦るのか」となっており、主題はローカル経済についてであったが、氏の述べる部分に少し賛同できないところもある。それは、企業の集約化による寡占的独占を目指す部分である。
氏の主張の基本的な部分は、企業の「集約化」にある。なぜかというと、日本は人口減少局面に位置しており、需要が減るとともに生産年齢人口は減っていくことによる労働力不足を解消しなければならないからである。しかし、現在のローカル経済圏では第3次産業のサービス業が大部分を占めているが、労働生産性がとても低いため、労働力不足を解決するために、労働生産性を上げるべきだと述べている。そのためにも、企業の穏やかな退出をはかり、企業の集約化を進めていくことで、全体的な労働生産性を上げていくことがポイントであると述べている。
これは一面的な発想ではないだろうか。たしかに、「地域経済」を数字のみで見ていけばそのような発想になるだろうが、大事なのは「実生活も含めた経済のあり方」だと考える。なので、逆に自営業をどれだけ増やせるかどうかがポイントだと考えている。働くこと=従業員というのは、都市部で働くことと何ら変わらない。地方の戦いは、氏の言うように、「県大会上位を目指す」ことであり、グローバルで戦うことは「オリンピッックチャンピオンを目指す」となると、どうしてもビジネスマンには都市部に行ってしまう。これから地方が魅力的な場所になりえるには、生活も豊かにその地域で価値をだせるひとを呼び込めるかどうかにかかっていると思うのである。
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グローバルシティとローカルタウンは、異なる原理で動いている別々のシステムだ。良くも悪くもリンクしていない。大富豪が増えてもトリクルダウンは起きない。金持ちを貧乏にしても、貧乏人は金持ちにならない。都会でエグゼクティブウーマンが増えても、99%の女性の働きやすさは向上しない。
「Gの世界」と「Lの世界」は交わらないパラレルワールドだ。Brexitやトランプ現象を経たいまだからこそ、改めて注目されるべき本。GとLの両極化は世界的現象なのだから。
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グローバル経済に注目しがちだが、実際はグローバル企業は例外的で、分散型のローカル企業が多く占める。
グローバル経済への対抗としては、里山資本主義は面白いがそのような条件がそろう事例は限定的だ。
ローカル企業が地域に還元することでローカル経済は循環する。
少子高齢化が進むなか、ローカル経済は人手不足状態だ。ローカル企業の労働生産性を向上させる。
ローカル企業を選別し、みこみのない企業には退出してもらう。
ローカル企業が効率化、集中することでローカル経済は活性化するとしている。
退出のめやすのひとつとして担保中心の融資から、銀行員の目利きに基づく融資に戻すという提案には非常に納得できた。
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グローバルと昨今叫ばれているが、実態経済はローカルでなりたっているということを説明した本。20170101