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疲れた心と体に効く元気玉小説ですわ。
地下の吹き溜まり、リストラ対象者の飼い殺し部署、ひたすら時間をつぶすための単純作業…こんなところにいたらそらもう辞めることしか考えられないわね。それを狙っての部署なんだし。
そんな部屋で自分を殺し耐えるだけの4人の中に放り込まれた主人公の敏晴が見つけ出したアフター5プロジェクト。
このプロジェクトが自身を救い出すだけじゃなく、腐りきってよどんでいた4人の歯車を動かす動力にもなって、ほんと、わくわくしながら読みましたよ。しかも最後までドキドキさせるし。最後の最後まで楽しめる一冊でした。
そしてこれを読むと家族と一緒にご飯が食べたくなる。
自分が生きていくうえで家族がいるってことがどれだけ支えになるのか、ってこと、普段忘れてるけど、そういうことに気付くね、きっと。
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リストラ部屋の社史編纂室へ送られた玉木俊晴。最初は絶望していた玉木だが、手品を通じて同じ社史編纂室の同僚たちとアフターファイブマジック団を結成する。
バラバラになった家族がマジックと同僚、そして愛猫のおかげでひとつにまとまっていく様子が良かったです。
人生の半分はマジックの様に、自分の力でコントロールできるという。腐らなければ誰かが見ていてくれる。青臭い展開ですがそれが何より暖かい。
終盤に向けて、泣けるエピソードが続きます。猫の虎二も良かったけど、最後の最後で妻の恵との展開はハラハラドキドキでした。
久しぶりに車内で泣くのを堪えた小説でした。
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これはおもしろいな。久しぶりの娯楽小説。
挫折してそこから立ち直る物語って最近多いと思う。
時代背景が影響しているのか…。
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さっぱりした印象。
オチはどうせ…な感じだった。
何回も読み返したくなることはないけど、楽しかった。
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上司にうまいこと利用され、リストラ待ちの社史編纂室という部署に左遷させられた45歳の中年男性を主人公とした再生物語。主人公は仕事一筋で家庭を顧みず、妻は独りで家庭を維持する孤独と不満を子供の成長への期待に転嫁し、娘は優秀な成績をとるが実はぼっちであり、息子は悪い先輩に捕まりパー券売り捌きやかつ上げに手を出している。そんな主人公にとってのどん底の状態から、会社以外に目が向いてなかったことに気づき、社会を、家族を見るようになり、趣味のマジックを路上で行うことにより人間性を取り戻していく。
予定調和と思わせない底からの回復が気持ちよかった。端から見れば主人公は負け犬かもしれない。45歳にして慣れた会社を離れ、ベンチャー企業で給与を下げて働き始める。それでも妻や子供との絆を取り戻し、街にいる若者や年寄りと触れ合い、会社人間だった頃には気づかなかった、左遷されなければ気付けなかったものがそこにある。連続ドラマのようなきれいな収まり型が絶妙。底に落ちるとは言ってもどん底ではなく、あくまで本人にとっての底であり、気分が悪くなるほどの底ではないこともポイント。きれいにまとまっており、前向きにさせてくれる物語でした。
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安藤祐介さんのシリーズにはまって読んだ本。いつもながら本人が壁にぶつかりながら、周りの人との関係性の中で成長していくストーリーで面白かった。
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上司にはめられリストラ部屋に追いやられた中年サラリーマンの人生&家族再生物語。思っていたより面白かった。
家族も同僚もキャラがよい。息子も娘も何だかんだでまっすぐ育っており応援したくなるし、アフター5魔術団のメンバーもある意味くせ者揃い。最後の妻のドッキリも楽しめた。自分も頑張ろうと思える一冊。
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その夜、悟は来来軒で時給九百円の労働に精を出しながら思った。課せられた”ノルマ”を補填するために始めたアルバイト。お金のためだけに始めた生まれて初めての労働に、お金ではない何かを感じるようになったのはいつ頃からだろうか。注文を取り、水を出し、レジを打ち、食器を洗っているうちに時間があっという間に過ぎてゆく。仕事に没頭していると、全てを忘れることができた。レジ打ちを手早くできた時、たまった食器をタイミングよく見計らって洗えた時、入口で逡巡している客さんに声を掛けてうまく店内へ案内できた時。そんなさあいなことひとつひとつに達成感を覚えるようになった。「おつかれさまでした」の挨拶のあとで身体を包む心地よい疲れ、シャツに染み付いた汗や油の臭い。いつしか、一時間九百円の仕事に没頭しているこの時間が、とても好きになっていた。
これは自分にとって必要な日々だったのだ。そんなふうに受け入れることができた。