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詳しい感想はこちらに書いています。
http://ur-e1log.hatenablog.jp/entry/2016/11/22/211740
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とてもおもしろかったです。現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。日本の、職業に直結しない教育の度合いというか、卒業して就職へ臨む若いひとたちの「これまでの教育が職業に役立つかどうか」の意識というかは、先進国で最下位だったそうです。義務教育を受けても、それがその後の就職にはつながらないと日本人は考えているし、実際そうなのでした。そんな日本の労働システム。本書では、メンバーシップ型と読んでいます。年功序列だとか、新卒一斉就職だとか、そしてそれらとマッチングした企業内のシステムだとか、特殊なんですね。欧米に限らず、中国を含むアジアの先進国にも、日本のようなメンバーシップ労働システムはないそうです。日本では、仕事のスキルのない新卒者をいっせいに採用して、社内で少しずつ教育して使いものになる労働者に育てていきます。一方で、欧米型では、スキルのない若者は採用されません。欠員がでたときに、その仕事ができる人を公募して、若者にしろ中年にしろそこは構わず、持っているスキルで採用の有無を判断するそうです。その結果、若者たちが就職できないという問題を生みますが、公的な職業教育制度があったりして、その問題に対処しているそうです。もともと「人」を大事にする思想ではじまったメンバーシップ型労働システムなんだそうだけれど、法律など建前としては欧米的なジョブ型労働システムをよしとしているようです。ハローワークでの職探し、職業訓練、などは「仕事」に「人」をはりつけるジョブ型の考え。日本的なのは、「人」に「仕事」をはりつけるメンバーシップ型の考え。そして、いまや学生たちは就活と職探しを別々に考えているらしい。職探しは就活より下とみていて、なんとしても新卒で就職しようと躍起になる。給料もそんなに違わなくて、長い時間かけて取り組んだとしてどこがブラックかもわからなくても、既卒で職探しはしたくないみたいなんですよね。
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とっても面白かった。
特筆すべき箇所はp87のいかにして日本の社会が年功賃金制となったかについて記載されている箇所。それは第二次世界大戦中の呉海軍の伍堂卓雄の『生活給思想』という考え方。生計費の要素のない賃金が労働者の思想悪化(=共産主義化)の原因だと批判し、家族を扶養する必要のない若年期には高給を与えても本人のためにならず、逆に家族を扶養する壮年期以降には家族を扶養するのに十分な額の賃金を払うべきだという主張。戦後になってこうした賃金制度が廃止されたが労働組合によってこの生活給思想が受け継がれて現在に至っている。
日本以外のジョブ型雇用契約に基づく職務給(一つ一つの職業について、その職上を遂行する知識・経験・能力を兼ね備えた一人前の労働力に対する職種別の賃金が決まっていること)と、日本のメンバーシップ型雇用契約に基づく職能給(実際に従事している業務とは切り離された、いかなる職務をも遂行しうる潜在能力に基づいて払われる給料)の対比
終身雇用・年功序列・企業別組合
日本の労働法はジョブ型を基準にして作られているが、判例法理によってメンバーシップ型の法律
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日本人は、所属先を失ったり、不当に扱われたりすると、
簡単に自信を喪失したり、最悪、自殺します。
所属と日本人を考える上で一番参考になるのが、
就職活動です。
ここでいう就職活動は、日本の大学生が3年時から、
行う新卒定期採用制への参加、通称就活を指します。
これがなぜ、一番参考になるかという、
就活に参加するか、しないかが、
学生が、日本で職業人生を
歩む上で極めて重要になるからです。
私は以前から、この就活は、戦前・戦中の、旧日本軍への、
徴兵制と、全く変わらないんじゃないかと思っています。
つまり、自由意志とは関係なく、強制であり、
参加しないものには、
社会からの制裁を社会的経済的に、
受けるものとなっているのではないかという疑問です。
また以前、戦況が悪化する中で、誰かれかまわず、軍へ徴兵させるやり方は、
現在の新卒をめぐる問題を考える上でも、非常に示唆に富んでいます。
つまり、戦争末期、徴兵はしたものの、軍隊教育を行う余裕がなく、
とりあえず戦場に出すというやり方は、現在の少なくない会社が、
新卒に対して求める条件を低くして、使い捨てにするやり方と、
非常に似通っています。
徴兵制が機能している時は、戦況が良い時であるよう(思わせている部分も多いにありますが)に、
新卒定期採用が機能している時は、経済が活況の時です。
しかし、残念ながら、前者は破滅的な結果を生み、
後者も、現在、ボロボロの状態にあります。
それでも、体制を変えようとしないのは、狂っているとしか、
言いようがありません。そうです、現在の日本は、明らかに狂っています。
一億総活躍社会なんて、あまりにグロテスクな社会です。
日本で賢く生きるのは、有名大学に行って、有名企業や公務員になる
ことです。この神話が未だに生きています。しかし実際は、死体です。
企業体も公務員組織も、現在、以前のような所属することへの見返りは、
ありません。有名企業さえも、破産するのは、当たり前になりました。
公務員になったとしても、実は、その実態は、あまり良いとは言えません。
これだけ不祥事が賑わしていますから、統計的に分析してみることをおススメします。
日本は、未だに、私は、これができますという社会にはなっていません。
○○に所属していますから、自分は、凄い人間なんですよとか、
〇〇に所属しているから、自分は、どうしようもない人間なんですよと、
今でも、所属先が、その人の自信と社会的地位を測る、
パロメーターとなっています。
しかし、今は、不安と隣合わせです。
それは、凄い所属先の人はみな内心思っています。
もし、今の所属先を失えば、自分には何があるのだろうかと。
それは、仕事に人が張り付いている欧米のジョブ型なのか、
人に仕事が張り付ている日本独特のメンバーシップ型なのか、
この差は、あらためて大きいと思います。
どちらも、一長一短ありますが、
前者はいつクビになっても、次は、もちろんありますが、だって、仕事があり人がいるわけですから、
その仕事内容ができる人は、できない人は、明確に分けることができます。
後者はクビになったら、つまり、所属先がなくなったら、何者でもありません。
次の所属先を探さなくてはいけませんが、それは、なぜか、多くの不当な理由で、
個人の可能性を狭める状況に追いやられます。
なぜ、こういう個人にとって、あまり良いことがない制度が、
確立しているのか?そのヒントは、この著作にもありますが、
個人的には、組織体だけを長く存在させるためには、
もっとも合理的な制度だからです。
それは、個人というものが、軽視されていることの現れですが、
もっと言えば、個人が、あまりにこの国では、バカだからです。
また、この問題は、非常に根が深く、
おそらく、日本って、ほんとに、近代国家なのか、民主国家なのか、
ほんとに、士農工商の身分制度ってなくなったの?うんぬんまで、
考えざるを得ない問題です。
今現在で言えば、就活に参加することは、以前のように、当たり前かつ賢い方法になって
いるわけでもなく、多くのリスクを内在しています。そのリスクを考えた者が、
これから「生き残る人」になるかもしれません。
これから日本社会並びに経済は本格的に衰退していきます。
それは戦後40年で生産人口が4000万、当時のイギリスの人口ぐらい増えたとの
対称に、これから40年で3000万減ります。
このインパクトは、移民どうこうや、生産制云々という議論ではもちろん、
ありません。
こういう状況の中で、どういう職業につき、糧を得ていくかというのは、
どこに所属するかの100万倍大事な問いです。
それを考える上でも、この著書は、非常に参考になります。
よく本の知識なんて、役に立たないといわれますが、
それは、目的を持って、知識を獲得しようとしていないからです。
しかし、知っとくだけで、得することはたくさんあります。
この著作は、新書形式ですが、非常にお手軽ですが、
著者の考えは、この生きにくい日本で、どうしたら、若い人が、
より良い職業人生を歩むか、考える上で非常に大切な知識を教えてくれます。
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日本は法制面ではジョブ型、でも実態はメンバーシップ型で動いており、判例法理が二者をつなぐ。教育費に関する公的負担や、雇用政策とも関連するなど興味深い内容だった。
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日本にとって若者の労働問題は
新しい問題だったという指摘。ジョブ型とメンバーシップ型など色々勉強になる。一度、参考文献こみでしっかり読み込んでみたい。
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濱口さんのブログは民主党政権時から読んでいたが、著書は初めて。
職業教育や人材育成のあり方をずっと研究してきた者として、もっと早く読んでおけばよかった・・・
やっぱり戦後日本社会というのが極めて特殊な幸せな社会だったので、そこからの脱却・転換が難しくなっているということだと思う。
自分の住む社会について適切に理解することが一番難しいのだなぁ。
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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の対比に触れながら書かれているので理解しやすい。
また、歴史的経緯も説明しながら今の雇用問題の根本原因を知れるので非常に良い書籍でした。
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◯労働分野の勉強はほとんどしていない自分にとっては、面白いように新しい知見を得られる一冊であった。
◯特に印象的だったのは、日本の若者の就職の実態と、労働法制がずれているという点が面白い。なんのための法令だか分からなくなる。これではブラック企業や過労がなくならないのもなんとなく頷ける。(この辺りは経済界と政界の折り合いがもたらした悲劇なのかもしれないが)
◯また、日本の就活が、採用基準の意味不明な人間性を見ているのは何故かということにも、一定の納得が得られた。確かに、現在の日本の大学では就職のためのスキルを得られない文系大学や講義が多すぎる気がする。
◯この辺りはそれこそ「革命」でも起きない限りは中々変わらないのかもしれないが、知ってこそできることはあるので、ぜひ大学生にこそこの本は読まれるべきだなと思う。
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日本型と欧米型の雇用システムの比較が非常に分かりやすく論じられている。
日本型の「入社」を前提とした新卒一括採用は、欧米と比べて、若者の雇用を守るという社会的な必要性もあったのだろうが、競争が激化する中にあって、労働生産性といった観点で再考する時期が来ているのだと感じる。
「入社」や「人」に着目した日本型の雇用システムが、無制限に会社のために働かせることを暗に強制し、長時間労働やブラック企業を招いているという問題意識が非常にわかりやすく整理されていて、勉強になった。
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伝聞に頼ってゐる
メンバーシップ型とジョブ型とに大別してみると、なるほど日本と海外ではかなり異ることがわかる。
この本は日本のメンバーシップ型の矛盾点を中心に論じてゐる。読むとジョブ型のほうがまともだと思ってしまふが、ジョブ型にも若者雇用問題といふ弱点があり、著者はジョブ型正社員をいふ理念を提唱してゐる。新卒一括採用や人間力採用に由来する歪みが、刊行から10年経った2023年になっても感じられた。
しかし伝聞だけの推測と思はれる部分もあり、そこは蓋然性が低い。また、この本は2013年の刊行だから、この10年で何か変ったことも多いのではないか。
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大変勉強なる本でした。
現在の就活というイベントのスタートや日本の雇用制度の問題点。
そして、その問題点がグローバル化とともにどのように変化しているのかなどが全て分かります。