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全集 日本の歴史 第2巻 日本の原像 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー12件

みんなの評価4.0

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

最新の研究成果によって明らかにされた日本古代の実像!

2008/05/12 23:07

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

この度、小学館から刊行が始まった『全集・日本の歴史』は、これまでの通史シリーズにありがちであった政治・経済史中心の記述を改め、歴史の流れを最新の研究成果に基づいて多様に描き出すことに主眼が置かれている。本シリーズは、そうした観点をより強く打ち出すために、古代・中世・近世の各巻のはじめに、通史を離れて総合的に時代の諸相を描き出す巻が「新視点」と名づけられて一巻ずつ配置されている。本書は、そのトップバッターを飾る巻であり、斬新な古代の全体像が展開されている。ここには教科書で習ったのは異なる古代の姿が描かれており、歴史のいぶきがダイレクトに伝わってくる。

本書の新しい視点がよく窺える一例として、古代の天皇号を扱った章をまず挙げることができよう。通説では、「天皇」や「日本」という称号や国号が生まれたのは自国の権威を高めるために独自に編み出されたとされてきた。
著者は、最新の研究を参照したうえで、両号が創出されたのは天武天皇(八世紀後半)の頃であり、中国王朝の冊封体制から自立するという対外的な目的があったとしている。さらに、天皇という称号は、道教の世界観に基づいて中国王朝で一度使われたままになっていたものを、日本が再利用したものであり、その背景には、中国王朝の理解が得られるような名称を選ぼうとした高度な政治戦略が窺えると著者は指摘している。上述の観点は、自国史観に凝り固まっていてはできない発想であり、広く周辺地域、とりわけ東アジア諸国との交流を重視することが今後新しい歴史像を構築するうえで必要であることを示している。

著者は、このようにマクロ的な観点から古代日本を取り巻く国際状況を論じる一方、出土文字史料の精緻な解読というミクロ的な視点から当時の人々の暮らしや地域の歴史を復元している。『資源を活用して特産物を生み出す』という章では、日本の各地で現在も生産されている様々な物産(桑・貝類・織物・昆布など)は、通説のように中世に淵源をもつのではなくて、古代に地域の特性を生かして作り出されたものが多いと述べている。この他にも、出土した木簡から、遠く関東から九州の防衛に強制的に駆り出された防人たちの嘆きや、再徴兵されてより過酷な東北の戦場に送られることを恐れて故郷を捨て見知らぬ土地へ土着せざるを得なかった民衆の苦悩をリアルに描き出している。

また、出土した木簡史料からは、当時の高度な稲作農業の実態も推測でき、古代の人々は様々な自然災害に備えて多品種の稲の銘柄を育てており、この時代の人々の自然に向き合う姿勢に敬意を払っている。その一方、現代日本の稲作農業は、「こしひかり」「ひとめぼれ」というブランド米一辺倒で来ており、著者はそうした偏ったものづくりのあり方に大きな危惧を寄せて、地球温暖化など自然環境が悪化することが懸念される中にあって、古代の知恵に学ぶべきところは多いと警鐘を鳴らしている。

著者は、後書きの中で、「歴史とは過去との対話」と述べているが、本書で打ち出された斬新な古代像は、将にそのことを裏打ちしている。学ぶべきことが多い好著として、特薦に値する。

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紙の本

日本古代にまつわるさまざまな話題

2018/10/10 19:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

第一章では、「天皇」という呼称や「日本」という国名は
いつから、どういう由来で使われるようになったのか。
当時の東アジア情勢を見ながら読み解く。


第二章の「米作国家の始まり」が面白かった。
古代から多くの品種の稲が栽培されてきており、
品種名も、一〇〇〇年以上も受け継がれてきたことが分かっている。
江戸時代の農書には九〇種以上の品種が記されている。
それは品種ごとの成長時期のずれにより、風水害や病害虫に対する備えとして、
食糧安全保障としての意味合いも考えられるという。

しかし一方で現在の米づくりは、徹底した市場性・商品性の追及により、
コシヒカリ系のブランド米が中心となっている。
著者はこうした特定品種に偏った作付けのもつ危うさについて危惧する。

また、『日本列島における稲作農耕は古代において大部分の骨格が形成され、
中・近世に継承・発展した』ということや、

『農民によって生産された稲が、出挙によって支配者側に回収される
強力なシステムが古代社会のなかに確立されていたといえよう。
 日々の労働により収穫した米が、農民自身の口に入ることは、
ほとんどなかったのである。』ということなど、

興味深い話が記されている。


第五章の「海の道・川の道を見つめ直す」も面白かった。
海上交通と河川交通の重要性、

『従来は内陸部と見なされてきたが、直接的に外洋につながる河川により、
古代の陸上交通と海上交通の結節点として、第二の河口ともいうべき
重要な役割を果たしてきた』地域として
下野国寒川郡と陸奥国北上川流域を取り上げている。

『寒川郡の地は、東京湾の太日川の河口に対してほぼ直線的につながり、
“第二河口”として海上への入り口と位置づけられていたと推測される。
寒川郡が下野国において重要な役割を担い、その活動が広範囲に繰り広げられたのも、
“第二河口”の機能を発揮したからであろう。』という。


第六章 「東アジア交流の原点“文字”」も興味深い。

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2008/08/20 14:41

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2010/08/03 18:12

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2011/04/22 08:49

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2014/01/15 12:45

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2016/07/17 17:34

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2017/01/09 12:45

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2017/01/24 14:14

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