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  3. たまがわさんのレビュー一覧

たまがわさんのレビュー一覧

投稿者:たまがわ

155 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である SOLO TIME

いつもの話の繰り返しもあるけど、それでもやはり、読めば新鮮で響く。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これまで著者が主張してきたことの
繰り返しになるような話もあるけれども、
分かりやすい文章で、簡潔にまとめられているという感じ。

そして読めばやはり、なるほどと感心したり、腑に落ちる感じがしたり、
これはすごい、と感じたりする部分も多かった。


最近自分は著者が言うところの、「自分の心が暗く澱んで」いるような状態のときが多かったのだけれど、
読み終わって、スッキリしたような、心が少し落ち着いたような、迷いが晴れたような、そんな感覚をひとときでも、味わったのだった。

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電子書籍

人を動かす 新装版

電子書籍人を動かす 新装版

2015/07/20 19:22

読んで良かった。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

読んで良かったと思う。
ちょっと怖い題名、いかめしい雰囲気の表紙、分厚い分量。
しかし、書評が良かったので電子書籍で読んでみた。

非常に納得のいく具体的な話が多く、一話が短いので読みやすい。
「人を動かす」といっても、冷たいテクニックについてではなく、
暖かい人間観に基づく、物事の受け止め方、考え方、自分が選ぶべき行動について、書かれている。

全編にわたり、役に立つ、しかし少し耳の痛くなる話がたくさん出てくる。
PART1の最初の章だけでも、以下のような鋭い文が、いくつも出てくる。

・人間は決して自分が悪いとは思いたがらないものである。だから他人のあら探しや批判を行っても効果は期待できない。人を非難することは無益である。
・死ぬまで他人に恨まれたい人は、人を辛辣に批評してさえいればよろしい。その批評が当たっていればいるほど、効果はてきめんだ。
・およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。
・若い時は人づきあいが下手で有名だったベンジャミン・フランクリンは、自分の成功の秘訣は「人の悪口は決して言わず、長所をほめること」だと言っている。
・人を批評したり、非難したり、小言を言ったりすることは、どんな馬鹿者でもできる。そして、馬鹿者に限って、それをしたがるものだ。

上記の文だけを読むと、説教臭く感じたり、小手先のテクニックについて書かれていると感じられるかもしれないが、本文は暖かい雰囲気で貫かれている。
そして、こう書かれている。

・重ねて言う。本書の原則は、それが心の底から出る場合に限って効果を上げる。小手先の社交術を説いているのではない。新しい人生のあり方を述べているのである。

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紙の本

交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史

古代DNAが切り拓く、衝撃の人類拡散史。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

現役の超大物遺伝学者による、このジャンル中の現時点での決定版。
扱っている年代は、主にネアンデルタール人以降。

科学の力によって、次々に新しい事実が明らかになっていき、
驚き感心するとともに、この学問が持ちつつある切れ味と破壊力に、
怖さのようなものも多少感じた。

例えば、ある民族の先史時代からの出自と由来が
科学によって明らかにされるということは、
その民族にとっても個人にとっても、アイデンティティに関わることでもある。
良くも悪くも、その民族が持つ神話を打ち砕いてしまうようなパワーを持つ。

あるいは、ある民族グループの人たちは遺伝的にこのような特徴を持っています、
また、遺伝子的にこのような病気にかかりやすいです、などと示されたときの、気持ち悪さ。
本書ではまだこれらのことは、それほど明らかにはしていないけれども、
本書を読むと遺伝学の進歩スピードにより、すぐにでもこのような主張が
たくさん出てくることは確実と思われる。

第11章では、上記の問題を含む、ゲノムと人種偏見などに関する
難しい問題に切り込み、論じている。

人種間の違いはないとする従来の科学界の教科書的見解と、
人種差別主義者たちがその主張の根拠として、
遺伝学の研究結果を利用していることの両者を、
著者は科学的立場から批判しつつ、今後、この分野の
さらなる研究の進展により、様々な新事実が次々に
明らかにされていくであろうことに、備えておくことの必要性を訴えている。


以下は本文より引用。

『ところが2009年を境に、考古学や歴史学、人類学、さらには言語学において
長く支持されてきた考え方に、全ゲノムデータが挑戦し始めた。
そして、こうした分野の長年の論争に一つひとつ決着をつけているのだ。』


『過去8000年のヨーロッパ史が目の前に展開し、
超スローモーション撮影ビデオを再生したように、
現代ヨーロッパ人が、今の自分たちとはほとんど類似性のない系統の集団から
どのようにして形成されたのかを見せてくれたのだ。」


『ストーンヘンジの建造者のような人々は、神々に捧げる
壮大な神殿や死者のための墓所を建てていたのだが、
数百年もしないうちに子孫がいなくなり、自分たちの土地が侵略されることになろうとは
知る由もなかっただろう。
古代DNAから浮かび上がってくるのは、現存する北ヨーロッパ人すべてのおもな祖先が、
わずか5000年前にはまだやって来ていなかったという驚くべき事実だ。』


『 ステップの人々がペストに感染して抵抗力をつけていたということは考えられないだろうか。
彼らの持ち込んだペストによって免疫のない中央ヨーロッパの農耕民の数が激減した結果、
縄目文土器文化の広がる道が開かれたという可能性はあるだろうか?』


『こうして、古代DNAによって、可能性のある移住ルートを追跡し、
その他のルートを除外できたため、10年にも及ぶ膠着状態に決着がついて、
インド=ヨーロッパ語の起源に関する議論に終止符が打たれた。』


『人類の先史時代を形づくった重要な推進力は、極めて多様な集団の間の
大規模な移住と交雑だったことが、古代DNAによって疑問の余地なく証明されたのだ。
厳密な科学の前に、純血信仰への回帰をめざすイデオロギーは退散するほかないだろう。』


『わたしたちは今、こんにち生きているほぼあらゆるグループが、
何千年、何万年にもわたってくりかえし起こった集団の交雑の産物であることを知っている。
交雑が人類の本質であり、どの集団も「純血」ではないし、その可能性もない。』

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紙の本

なぜ私たちは生きているのか シュタイナー人智学とキリスト教神学の対話

著者への畏敬の念が湧いてくる。そんな対談。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、朝日カルチャーセンターで行われた連続対談に追加対談を加え再構成・加筆したものだそうだ。

すごいお二人の組み合わせだと、この本の出版を最初に知ったときに笑ってしまった。

とにかく、高橋氏の謙虚さというか柔らかさというか、静けさみたいなものが
全編を通じて流れていて、読みながらずっと、著者に対して畏敬の念を感じざるを得ないような、
一種の宗教的とも言えるような気分を感じながら、読み進めた。

対談の中身は、人の内的体験のような話からキリスト教、教育、資本主義のような現実的な話まで、
結構難しい話題も多いながら、現代の私たちの置かれている状況などと絡めつつ、深くて濃い。

何より、具体的な対談の中身よりも、二人の著者がお互いを尊重しあい、謙虚に尊敬しあう姿が、心に残った。
例えば、本当の賢者ともいえるはずの高橋氏が自身を、
『道半ばを歩いている者』 としていたり、

『 私がなぜ佐藤さんのファンかといいますと、佐藤さんの出された本を読ませていただいて、
自分がいかにものがわかっていないか思い知らされ、もっと学ばなければという気持ちに
させられるからなのです。いま、私をそういう気持ちにさせるのは、第二の啓蒙主義の時代を生きているからではないか。
政治でも経済でも精神生活でも、まだ見えない未来のための土台になる、基本的に大事なことを
わかりやすい言葉で論じてくれている第一人者は、私にとって、日本では佐藤さんです。
特に、見える世界と見えない世界の関係を、佐藤さんはご自身の専門であるキリスト教神学の立場からだけではなく、
ほかの立場からも、しかもその立場を自分のこととして論じてくださっているところが、すばらしいです。』

と語っていたりするので、読んでいるこちらとしては頭が下がり、謙虚な、
清々しいような気持ちにさせられる。

それと思ったのが、新書としては中身が充実し過ぎていること。
一般書として、3300円ぐらいで売っていてもいい本じゃないかとも思った。

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電子書籍

怪談徒然草

電子書籍怪談徒然草

2017/10/01 21:10

怖すぎる。でも語り口調なので緩和されてる。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本、読みたいと思っていて新刊では手に入らず、
中古本でもまあまあな値段がしていたので、
現在発行されていないのは、何か著者の考えがあってのことなのかもしれない、
と思って読んでいなかった。

急にこの電子書籍版が出たので、さっそく読んだ。
最後の『三角屋敷の話』は怖すぎるし、ヘヴィーすぎた。
この話の印象が強すぎて、他をあまり思い出せないぐらい。

この本は文体が語り口調で、内容はかなり怖いんだけど、
その現代的な語り方によって、多少、良い意味で怖さが緩和されているというか、
そこで現実世界と何とかつながっている感じがして、
その点で良かったと思う。

なぜ文体が語り口調かというと、三夜に亘って著者が体験談を中心に
怪談を語るという企画コンセプトがあり、その話を
なるべく忠実に再現したものだからということだ。

全体にわたって内容が濃く、また分量もある。
けど、文体のせいもあって読みやすい。でも怖い。

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紙の本

直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座

鋭すぎる視点。読む価値ありだと思います。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

雑誌『AERA』に2008年から6年半にわたって隔週で連載された
900字コラムを収録したもの。
連載順ではなく、テーマごとに再編集されているが、文章は当時のままのようだ。

時事問題を扱っているコラムでは、その前提となっている話題(週刊誌発行当時は
前説明なしで読者が認識していたであろう話題)を、読んでいるこちらが
よく覚えていないというようなこともあったが、
書かれている内容はもっと中長期の、ある程度普遍的なものが多いので、
読んでいて問題は感じなかったし、楽しく読むことができた。

第1講が 生き方・仕事論
第2講が メディア論
第3講が 国際関係論
第4講が 教育論
第5講が 政治・経済論
第6講が 時代論

1話につき900字なので短いが、中身が濃い。
そして、切り口が非常に鋭い。
認識を改めさせられるというか、考えさせられるというか、軽い衝撃を受けっぱなしという感じ。

この中身の濃さで文庫本。読む価値ありだと思います。

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紙の本

自己を見つめる

紙の本自己を見つめる

2016/03/12 13:36

人生とは何か。真剣に向き合う哲学者による、やさしく強い語りかけ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

心に静かに染み入る、人生論。

人生とは何かなんて、人とはあまり語り合わないけど、
本書を読んで、著者の真剣な人生観に触れて、改めて自分を含む、人それぞれの人生の尊さというものを、認識させられた。
真剣に誠実に等身大に、運命や世間や人生について考えるところを語っていて、まったく説教臭くなく、青臭くなく、理屈っぽくもない。

読んで良かったと心から思える本だった。


以下、まえがきより引用。

『・・・日常茶飯のすべて、行住坐臥のすべてが、いかに生きるべきかという根本問題と直結している。
たとえば、今晩の食事は何にするのか、明日は何の仕事を片付けるべきなのか、自分の人生設計の全体は
いかに描いたらいいのか、等々、私たちの日々の営為のすべてが、こうした自己決定と自己決断の連続だからである。

私たちの人生は、生まれてから死ぬまで、こうした態度決定の連続のうちで形成される。
それは、せんじ詰めれば、生老病死の人生と、この世における人間の生存の意味への問いへと収斂する。
こうして、人間と世界の存在の意義いかんに向けた態度決定こそが、人間の生存の核心をなす根本問題となる。

この世に生きる誰もが、実は、心の奥底で、こうした深刻な問いに悩まされているのである。
けれども、誰も、この世の公共的な世俗の言説の場では、そのことを表立って議論したりはしない。
というのも、その問いは、公共的な世俗の言説の場で問題にされるには、あまりにも繊細で内面的な問題意識でありすぎるからである。
したがって、人は、多くの場合、無言のまま、誰にも相談することのできない、こうした人生の重大問題を抱えて、悩みながら生きている。』

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紙の本

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

小さなミスが、大事故につながるまで

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

原題は、
"INVITING DISASTER: Lessons from Edge of Technology"

膨大な数の重大事故の検証集。
アポロ宇宙船やら潜水艦やら原子力発電所やら、
飛行機墜落事故、工場爆発、船舶火災、熱気球、自動車…。

「序章」で著者は、

『わたしは、人間のミスとマシンの不調が結びついた災難を中心に検討することにした。
ニアミスですんだり、多少の損害はあったが大惨事にいたる寸前ですんだものもある。』という。


本書内では、ある一つの事故について考証しているうちに別の事故に言及したり、
また最初の事故についての記述が終わったのかどうかはっきりしないままに、
別の事故についての詳しい記述が始まったりと、
とにかく膨大な量の過去の事故について、ひたすら紹介と考察が続いていく。

教訓は、とにかく高濃度酸素は何でもすぐに燃やしてしまうから危険とか、
水と電気の接触による事故は、より重大な事故に結びつくとか、
NASAや納入業者は、打ち上げ期日や納入期限に追われると
小さな不具合を無視するようになるとか、
24時間勤務のシフト制では、情報の引継ぎが重要とか、色々、多数。

もちろん、リスクを扱う組織はこうしたほうがいいとか、
小さな問題に直面した個人としてこういう行動もありうる、などの提言もある。

著者が強調するのが、今日システムはより巨大化し、ハイパワーになっているために、
ほんの小さなミスが災害の引き金を引いてしまうことがある、ということだ。
本書の実例でも、小さな不具合やミスが、システム全体の破局につながるというケースが
多く紹介されている。

そもそも、システム自体が元からかなり危険度の高い、
脆弱なものだと感じるケースもある。
少なくともスリーマイルアイランド原発事故当時(1979年)の原発は、
危険だらけの代物なのではないかという印象を、本書を読んで持った。

当時、何が起きているのか現場の誰も分からない大混乱のさなかに、
技術者のひとりが、問題を起こしている二号炉の担当ではなかったブライアン・メーラーを
制御室に一本しかない電話で自宅から呼び出して、
そして彼がある問題に気付かなければ、どんなことになっていたかわからないという。

またこの原発事故の二年前にも、オハイオ州のデビス・ベッシ原子力発電所一号機で、
惨事寸前のニアミスが起きていた。

著者はいう。

『 本書で訴えたいことのひとつはこうだ。
われわれは凶暴化することもあるマシンにかこまれて暮らしているのだが、
そうしたわれわれの世界においては、いまや平凡なミスが
莫大な被害を招きかねないことを認める必要があるし、
その結果として、より高度の警戒がもとめられるばかりでなく、
家庭や小企業のレベルまでもが高度の警戒をしなければいけないように
なりつつあることを知る必要がある、ということである。

たとえば、惨事につながる連鎖は、飛行機の機体の洗浄を担当する会社からも生じうるし、
マンションのガス管のそばで作業する人からも生じうる。』

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紙の本

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

身近な話題で読みやすい

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

おもしろく、読みやすい。
著者の別の本も読んでみたくなった。
著者は「謝辞」で

『 どうすれば「学者っぽくない文体」で書けるのか、工夫するのは簡単ではなかったが、
執筆中は多くの人に助けられた。』

と書いているけど、たしかに著者に親しみを感じるような文章だった(翻訳も)。


第4章の、「社会規範」と「市場規範」の話は、興味深くおもしろかった。

一例を挙げると、イスラエルの託児所で、子どもの迎えに遅れてくるのを減らすために、
親に罰金を科すのが有効かどうかを、著者の友人でもある二人の学者が調査をした。
結論を言うと、罰金はうまく機能しないばかりか、長期的に見ると悪影響が出ることが分かった。

なぜかといえば、罰金導入以前は親たちは、「社会規範」の意識、
つまり遅刻をすれば先生に申し訳ない、という気持ちが強かったので、
あまり遅刻をしていなかった。
しかし罰金制度が導入されると、考え方が「市場規範」に変わってしまい、
罰金を科せられているのだから、遅刻するもしないも決めるのは自分とばかりに、
親たちはちょくちょく遅刻するようになってしまった。

しかも、数週間後に託児所が罰金制度を廃止した後も、
親たちの遅刻は治らず、わずかだが悪化したという。

『社会規範も罰金もなくなったのだから無理もない。』と著者は言う。

そして、

『 この実験は悲しい事実を物語っている。
社会規範が市場規範と衝突すると、
社会規範が長いあいだどこかへ消えてしまうのだ。
社会的な人間関係はそう簡単には修復できない。
バラの花も一度ピークを過ぎてしまうともう戻せないように、
社会規範は一度でも市場規範に負けると、まずもどってこない。』

という。
これ以外のより多くのこととも関係しそうな、考えさせられる話だ。


同じジャンルの本で、同じハヤカワNF文庫に「ファスト&スロー」
(ノーベル経済学賞受賞者・ダニエル・カーネマン著)があるけど、
本書の「解説」では、本書を先に読み、つぎに「ファスト&スロー」を読むのが良いと書いてある。
たしかに、本書の方が、読みやすいのと、扱っている内容がより身近な感じ。
「ファスト&スロー」は、より内容が濃く専門的な感じ。
分量も上下巻で多いけど、そちらもおもしろかった。

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紙の本

心を癒す言葉の花束

紙の本心を癒す言葉の花束

2018/08/11 20:03

タイトル通りのような本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

一九三二年ドイツ生まれで、日本に長年住む著者が選んだ言葉と、それについてのエッセイ集。
聖書からの言葉や、ドイツのことわざや哲学者や作家の言葉、著者自身の言葉まで色々。

第一章……苦しみ
第二章……光
第三章……愛
第四章……勇気
第五章……受容
第六章……死
第七章……希望
第八章……今を生きる

著者は上智大学名誉教授で、専門が死生学のため、ホスピスに関する話題などが多い。
また、著者の子供のころの戦時中の体験話もいくつかあり、印象的。
著者の人柄か、職業柄か、文章から受ける印象が、とても穏やかであたたかく、心を落ち着かせてくれる。

「心を癒す言葉の花束」というこのタイトルは、それほど大げさでもない。
本当にそんな感じで、派手な大きな花束というよりも、小さくて美しい花の数々…。


以下、本文より…。

『 苦しみは、人格的な成熟へのおおきなきっかけとなります。
 苦しみを体験することによって、以前には思いも及ばなかった
人生の複雑な側面に気づき、より豊かな人間に成長できるのです。』

『 人生には、どうしようもない困難がつきもので、私たちに選択の余地はありません。
 けれども、起きてしまった苦しみにどう対応するかは、ある程度自分で選択することができます。』

『そんな暗い体験の中、父と母から貴重なアドバイスをもらいます。
「暗闇の中でも、小さくてもいいから、光を探しなさい。」
 暗闇の世界にも必ず光はある。
すべてがつらく絶望的にしか見えないような状況でも、
何かしら希望を見出す努力をしなさい、という教えです。
 苦悩に対する、安易な解決法や特効薬などはありません。
苦しみの渦中にあるとき、たとえわずかでもその人にできることがあるとすれば、
それは、闇の中でも光を探し求め、行動に出る、ということでしょう。』

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紙の本

人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病 下

我々の身体は、現代の文明生活に適応できているか。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人類は、類人猿の時代から現在までのその進化の過程で、
そのほとんど全ての時間を狩猟採集民として、過ごしてきた。
そのため、我々の身体は、狩猟採集生活に適応するように、進化してきたのだという。

虫歯、労働、食物の栄養、衛生状態、身長、寿命などのデータから、
狩猟採集生活、農業の開始、産業革命と、環境の変化により我々の人体が
どのように変化してきたのかを考察する。

そして、現代人の生活の特徴である、エネルギーを摂りすぎ、動かなすぎる、という状態が、
いかに我々の身体にとって、悪影響を与えているのか、ということを、肥満や2型糖尿病や、
がん、骨粗鬆症、アレルギー、偏平足、近視、腰痛などの様々な不調の原因を分析し、説明する。

とりあえず本書を読んで、甘すぎる加工食品を摂るのは控えめにしたい、とか
いかに身体を動かすことが大事なのか、といったことが、印象に残った。

根拠を示さずに断定していくような本ではまったくなくて、
とても科学的で、中立的な視点から記述していこうという本。

人類の進化史を記した上巻は、他の本でもその知識は得られるけど、
この下巻は、本書ならではの部分だと思う。

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紙の本

日本人の源流 核DNA解析でたどる

DNA分析から探る日本人の起源とは…? そして更なる謎…

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これまでに、多くの学者たちによって日本人の起源について
考察され、本として出版されてきた。
歴史学や考古学、人類学、医学、宗教、言語、民俗、神話…

これらに新たに強力に参入してきたのが、人間のDNAを分析することによって
人の歴史上の動きなどを解明しようとする手法である。
主にこれまで、母系を辿れるミトコンドリアDNAと父系を辿れるY染色体を調べることにより
日本人の起源についても考察されてきた。

近年になり、それらよりも格段に多い情報量が得られる、常染色体を調べることができるようになった。
そしてなんと、発掘された縄文人の常染色体を直接調べることまでできるようになってきたのだ。

その縄文人の核DNAの研究の成果は2016年頃に一部紹介され、NHKでも
“サイエンスZERO「日本人のルーツ発見!~核DNA解析が解き明かす縄文人~」”という番組で放送もされた。
その内容は、縄文人のDNAがかなり特異で、東アジアの人たちのものとは相当違っているようだ、というものだった。
続報を期待していたら、本書がついに出版され、その研究のこれまでの成果が、ここに明らかになったのである。

そしてその内容は、期待にたがわず、興奮させられるものだった。
多くのことが整理され書かれていて、とても面白かった。
まだまだ明らかになっていないことが多く、今後の研究に期待したいが、
現時点までの成果だけでも、日本人の起源について関心がある人にとっては、非常に興味深い内容となっている。


以下、本書より引用↓

『 以前から、人骨の形態学的研究で縄文時代人の特異性がいろいろ議論されてきたが、ゲノムDNAの塩基配列を解析することにより、
縄文時代人の祖先は、東アジアだけでなく、アフリカを出てユーラシア、さらにはオセアニアや南北アメリカ大陸に拡散していった
現代人の祖先のなかでも、きわめて特異的な集団であったようだ。』

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紙の本

日本文学全集 09 平家物語

紙の本日本文学全集 09 平家物語

2017/10/26 20:30

結構面白かった。

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訳者は前語りで、

『 つまらない挿話は省いたのか。無意味だと判断した書き足しを削ったのか。
すっきりさせて「ダイエット版の現代語訳 平家」を生んだ?
 否だ。
 私はほとんど一文も訳し落とさなかった。敬語だって全部訳出した(むしろ増やした)。
章段の順番もいっさい入れ換えなかった。』

『 私は全身全霊でこの物語を訳した。
 鎮魂は為せたと思う。』

こう言っているので、安心して読めた。
原文ではとても読む気になれないし、どうにかこの訳で、途中飛ばし飛ばししながらも
何とか読み通せたので、良かった。
この訳によって、登場人物たちがより生き生きと描かれているのだと思う。
結構面白かった。
現代でも馴染みのある神社仏閣が、物語の舞台として結構出てきて、これも良かった。



試しに一部分を、手元にあった原文(版が違うかも?)と併せて載せてみた。

薩摩の南方の洋上にある鬼界が島についての描写の部分。


嶋の中にはたかき山あり。とこしなへに火もゆ。硫黄と云物みちみてり。
かるがゆへに硫黄が嶋とも名付たり。いかづちつねになりあがり、なりくだり、
麓には雨しげし。一日片時、人の命たえてあるべき様もなし。


 島の中には高い山がございます。
 永久に火が燃えております。
 硫黄というものがいっぱいです。
 そのために硫黄が島とも称されるのですが、まあ噴火の轟がいつも鳴り上がること、
そして山頂より鳴り下ること、それから麓では雨がしきりです。
一日片時といえども人が生きていられるところとは思えません。


壇ノ浦の合戦中の出来事。


「けふは日くれぬ、勝負を決すべからず」とて引退く處に、おきの方より尋常にかざっつたる小舟一艘、
みぎはへむいてこぎよせけり。磯へ七八段ばかりになりしかば、舟をよこさまになす。
「あれはいかに」と見る程に、船のうちよりよはひ十八九ばかりなる女房の、まことにゆうにうつくしきが、
柳のいつづれぎぬに、紅のはかまきて、みな紅の扇の日いだしたるを、舟のせがいにはさみたてて、
陸へむいてぞまねひたる。


とはいえ「今日はもう日が暮れてしまう。決戦は無理だ。」というわけで、引き揚げはじめた。
 そのときだった。
 沖のほうから立派に飾り立てた小舟が一艘、汀をめざして、来る。
 漕ぎ寄せる。
 と、磯へ七、八段ほどの距離となったところで、船の向きを横にする。
「あれは、なんだ」源氏の軍兵たちは訝る。
 目を離さないでいると、船屋形から年のころ十八、九の女房が現れる。
柳の五衣に紅の袴を着て、優美なことこの上ない。紅の地に金箔でもって日輪を描いた扇を持っている。
いや、扇は竿の先についていて、その竿を持っている。その竿を船乗りたちが足場とする船の縁板に建てる。
それから、陸にーー源氏の武士たちにーー向かって手招きをする。

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紙の本

DNAで語る日本人起源論

紙の本DNAで語る日本人起源論

2017/06/18 13:38

急速に発展する分子人類学からみる、現生人類と日本人の成り立ち。最新情報も豊富。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

全11章のうち、第5章までが人類の東アジア進出までについて。
これがとても良かった。出版が2015年と新しく、デニソワ人についてや
出アフリカした現生人類とネアンデルタール人の初期混血についてなど、
新しい話題についても詳しく、その他の事柄についても、公平に丁寧に書かれている。

第6章以降が日本人の成立についてで、縄文人、アイヌ、琉球人、渡来系弥生人などについて、
これまで考古学や人類学でも、推測でしか語ることができなかった関係性が、DNA分析によって
明らかにされていくのは、すごい。
まだ現時点では明らかになっていないことも多いが、今後の研究によって、さらに理解は進んでいくのだろう。
目が離せない分野だ。

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紙の本

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 上巻

過去の崩壊した文明の事例と、現代の我々の文明のあり方との、いくつもの類似…

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最高に面白い。

過去の崩壊した文明の事例についての本かと思ったら、
それとともに、過去の事例から導かれる、現在の我々の社会の行く末についても、
暗示的に推測していくような本だった。
何しろ、第1章のタイトルが「モンタナの空の下」。つまり現在のアメリカ合衆国で
進行形の事例についてなのだ。


第2章では、イースター島についての話。
一七二二年にヨーロッパ人が初めてこの島を訪れたときには、島は
三メートルを超す樹木も、茂みすらもまったくない荒地だった。

ところがこの島はかつては、背の高い樹木と低木の茂みからなる、
亜熱帯性雨林の島だったことが調査により分かっている。
そして島民たちは、巨大なモアイ像を幾つも建造できるほどの文明と
複雑な社会を持っていた。
しかしその島民たちは森林を破壊しつくしてしまい、その結果、
カヌーを製造するための木材も無くなり、それにより
沖に出て漁をすることができなくなり、土壌も痩せて農業も困難になった。
人びとは飢餓に陥り、社会は崩壊した。
どうしてそんなことになってしまったのか、その謎に著者は切り込んでいく。
そして、当時のイースター島の状況と、現代の我々の文明との類似点も見えてくる…。

全体を通じて、著者の知識の広さ、柔軟な思考、洞察の鋭さ、文章のうまさに、驚かされるばかりだった。


第3章より、ある南太平洋の島についての記述を、以下に記載。

『 しかし、やがてこの恵まれた島の人口が、豊富な資源でも支えきれない数にまで
膨れ上がってしまった。森林が切り倒されて土壌浸食が起こり、農業生産力が低下すると、
もはや余剰の農産物を輸出することも、舟を製造することも、島民たちがまともに食べることすらも
できなくなった。交易が衰退するにつれて、輸入していた原材料が不足し始める。
内乱が広がり、地方の武将が次から次に入れ替わり、従来の政治制度が覆される。
恵まれた島の飢えた大衆は、人肉食に依存して命をつないだ。
その島と海上交易を行っていた島々の民は、さらに悲惨な運命に見舞われた。
頼みの輸入品が断たれると、今度は自分たちの島の環境を荒らし始め、ついに生存者が
ひとりもいなくなるまで破壊し続けたのだ。』

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