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三部からなる。
読者の予想の上を軽快に疾走する推理小説。
薄っぺらい日本の作家に飽きた人向け。
第一部。
物語は自分の魅力を理解して巧みに利用する女アレックスが誘拐されるところから一気に加速する。
誘拐目的は何なのか。
アレックスは膝を抱える体勢がやっとという木箱にはいって床から1m半離れた宙に釣り上げられている。
誘拐犯は1日2回写真をとり、水とドックフードを与える。アレックスは身動き取れず尿便を垂れ流し、体は痙攣が襲う。死臭を放ちつつあるアレックスの周りにはネズミが集まり始める。それでも懸命に生にしがみつく。
水面下では警察が誘拐事件をしり、必死でアレックスを探している。はやくはやくアレックスを見つけて!とハラハラする読み手の私。そしてなぜこんな誘拐をされてるの?異常者なんてオチはやめてよ、とページを急ぐ。
なにかがおかしい。
アレックスは誘拐犯から逃れ、脱走した。
第二部。
誘拐の理由が解き明かされる。アレックスはやりたかったことを次々に実現していく。
警察は誘拐被害者ではなく、殺人者としてアレックスを追う。しかし、偽名を駆使して獲物を落とすアレックスにはなかなかたどり着かない。アレックスは生きる理由をやりとげる。
第三部。
丹念に捜査をつづけた警察のターン。
ここでアレックスの全てが晒される。
ラスト。
警察は殺人容疑で犯人を逮捕する。
「われわれにとって大事なのは、(略)真実ではなく正義ですよ。そうでしょう?」
真実では救われないこともある。
正義によって胸が掬われる。
手元に残したい逸品みっけ。
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意外な展開と言われてましたが第一部で90%くらい理由やアレックスの成り立ちや秘密は予想できた。
ヒントは巧妙にぼかしていたが、必要な伏線はは全て提示されていてサスペンスになている人なら多分丸分かり。
伏字にすると
恐らくアレックスは×に×されている。
そして×は×にアレックスを×した。
アレックスは×できない×だろう。
その理由は×だから。
全部当たりましたが、ただレベルが……予想のうえをいく凄さ。
そして、さすがにあれの伏線があれだとは予想できなかった。
アレックスは第一部で身動きできない籠、――皮肉にその拷問用の檻は「少女」という名前――から、あらゆる方法で脱出を試みる。
やらなければならないことをを成し遂げるために、飢えや乾きによる死のうえをいく悍ましい仕掛けにすくみそうになりながらあがいてあがいて生き抜こうとする。
その写真を見たもう一人の主人公カミーユの直感するところの、『ろくでもない女』にしては彼女はひたむきで強い。
ところが首尾よく脱出した彼女が始めたことは、自分の予想とまるっきり違うことで驚いた。
途中、自分の仮説と矛盾する部分があり、外したかーと思ったら実は的中だった。
それがわかった時、やりきれない気持ちでいっぱいになった。
ネットを見ると似たことを嘯く人間はいっぱいいる。
男はもちろん女も。
この前はこの国の良心であるべき存在まで、公式の場でそんな見解を示した。
この物語がこの道筋を辿らざるを得なかった理由が、分かる気がする。
世界はそんな理屈で生きてるやつで溢れかえっているのだから。
そしてアレックスを追う刑事たちも個性豊かだ。
主人公カミーユは天才女流画家の息子として生まれ、その才能も受け継いだが母親のニコチン中毒が原因で145cmという低身長に悩まされている。
そんな彼を愛し支えていた妻のイレーヌを誘拐殺人で失った痛手からいまだに立ち直れていない。
そんな彼を心配して敢えてこの誘拐事件の調査につけたグエン。恋多き男で大柄、階級も上だが対等な友人。
さらに、かつての部下で超資産家でお坊ちゃん、物腰優しく博識でハンサム…なんか浅草にそんな刑事いましたよね…ルイ。カミーユを常にフォロー。
最後にケチのアルマン、買い物頼まれたらしっかりお釣りは着服するとんでもない刑事だがカミーユの母親をなぜか尊敬している。そしてカミーユの観察眼によると彼はケチだが太っ腹らしい。
ここ迄くると、なるほど三銃士か!と納得する。
アルマンはポトスでアトスがグエン、アラミスはもちろんルイ。しかし、とうのたったダルタニヤンだ。
けれど、彼らのさわやかさがこの話を救ってくれる気がする。
彼らが、最後、『正義』と『法』、どちらに重きを置くか語るシーンがある。
その選んだものは良くも悪くもフランス人らしいと思った。
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真実と正義、一見同じ立場にあるように見受けられるがしばしば対局の位置に座することがある。ミステリーの視点からというのが、斬新な切り口であった。闇を抱えた警部の心情や癖が、事件に向き合いつつも過去に翻弄されている様子がリアル。
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アレックスという女が拉致監禁される所から始まるミステリー。カミーユ警部の生き様を挟みながら話が進んで行く構成。どんでん返しの結末だが起こった事は全て理由があり原因がある。憎しみの種を摘み取る為の犠牲とも言えるかもしれないと感じた虚しい話でした。
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30歳の美しい女性アレックスが正体不明の男から拉致され、身動きできない檻の中に閉じ込められるというのが発端。この監禁描写はリアルで緊迫感にあふれるが、物語はここから想像もつかないところに着地していく。
一種の叙述トリック。どこから語るか、どう語るかで物語の様相は大きく変わる。それを計算し尽くした構成が秀逸だ。トリックだけで成立したミステリーは読み終わっても驚きしか残らないが、この作品には重い読後感がある。
訳者あとがきにミステリマガジン2013年12月号のオットー・ペンズラーのコラムが引用されている。引用されていない部分を引用しておく。
--------引用ここから---------------------
警官たちは有能かつ勤勉で、事件は解決したかと思われるが、何もかもが予想通りには進まない。もし、最初の百ページですべてわかったという読者がいたとしても、私は信じない。
酷すぎるほどの暴力描写があり、フランス語から英語への翻訳も完璧ではないが、Alexは英国推理作家協会賞のCWAインターナショナル・ダガー賞を受賞するにふさわしい作品だ。
--------引用終わり-----------------------
事件を捜査する主人公カミーユ・ヴェルーヴェンをはじめパリ警視庁犯罪捜査部の面々が魅力的だ。このシリーズ、もっと翻訳してほしい。
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ある日路上で誘拐・監禁された女性アレックスを
警察が追っていく物語。
アレックスの立場は、見知らぬ男に突然襲われた
か弱い被害女性のはずだったのに…。
そうだったの?そんなことになってるの?
ああなっちゃったの?そこが狙いだったの?と
読者は有無を言わさず、ぐるぐると連れまわされます。
話はよく出来ていて、思ってない場所に連れていかれ
先がとても気になるのですが…。
私には重すぎたのかも知れません。
一気読みできず、ちょっと読むとグッタリして
十数ページで眠ってしまう日々が続きました。
自らの意志というより、誰かに進まされているような
後戻りが許されない暗い深い階段を下りていく感覚。
そんなアレックスの緊迫する状況と渦巻く怒りのエネルギーに、
読み手として同行することを無意識に拒否してたのかも知れません。
アレックスを追う警察側の絆。
ワケありの警部カミーユと、
カミーユを助ける周囲の者たちの組織力・人間力に
ちょっと救われた一冊です。
よく最後まで読めたものです。
でも最後まで読まないと…この物語は全く別物になってしまいますからね。
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3部構成。
読み終わったときのこのゆすぶられ感、どう人に伝えてよいのか選ぶ言葉が見つからない。
アレックスという女性の生き様、哀しくイタイ。
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以外な展開の連続でお話も面白いけど、主人公のカミーユをはじめとした登場人物が魅力的。
大きな傷を負ったふたりが事件を軸に交差して、また離れていく。ミステリーの強いヒロインは哀しいなあ。「望みを捨てたほのときに、救いの手が差し伸べられる」とあるけれど、彼女に差し出せれた手があったら…
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最初は誘拐監禁された哀れな被害者だったアレックス。
物語が進むにつれて、ただの被害者ではない面が見えてくる。
たぶん、こういうことだろうと予測しながら読んで、ほぼ予測は当たっていた。
でも、アレックスの最後の行動が理解できなかった。
カミーユがアレックスの狙いに気付いたから、良かったものの、報われない可能性もあったわけで、人生を賭けたギャンブルだったのだろうかと思った。
スピーディーな展開も良かったけど、捜査する側のカミーユをはじめ、金持ちでハンサムなルイ、しみったれのアルマンというトリオが良かった。
シリーズの他作品もあるようなので、翻訳されたら読んでみたい。
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最後にたどり着いた、真実と正義は別であるという答え。アレックスに対して思うことは人それぞれだろう。引き込まれる作品。
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先にレビューを何件か読んでいたこともあって、誘拐監禁事件が序章に過ぎないんだという心構えはあった。海外の犯罪捜査ドラマを好んで見ているのでアレックスの過去も薄々このパターンだろうと察しはついた。
それでもいざ読んでみると、アレックスの身に起きた出来事(ほんとはこんな表現じゃ生ぬるいんだけど)は強烈すぎて、たぶん一生忘れられない。
ストーリーの妙に感嘆するよりも、なんでそんなことができるのかとつらくなった。
とはいえ、後半から話が面白くなってくるのも確か。
カミーユ・ヴェルーヴェン警部から見たアレックスが「誘拐された被害者像」から別の人間像に切り替わる境目にはゾクゾクさせられた。
同僚のルイやアルマン、上司のル・グエンとの関係性が陰惨な事件の合間にちょこちょこと和ませてくれる。
アルマンのドケチ描写がやけに濃厚だなあ(笑)と思っていたら、それは後から活きてくる立派な布石でした!
後書きによると、プロデューサーのジェームズ・B・ハリスが映画化に向けて動いているとのこと。それはそれとして、ヴェルーヴェンシリーズ全訳のほうをまずは楽しみにしてます!
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いろいろ受賞したサスペンス小説らしいので期待して読んだけど…アレックスが誘拐されるところから始まる。
このストーリーを構築する上で考えたくもない描写が多く出てくるのだろうけど、こんな酷い話をよく書けるものだ。
映画化を意識した書き方、でも実際に観に行けばとても気分が悪くなるだけだと思う。
終わり方も酷いし、もう一転あれば良かった。
あと、カミーユのキャラが苦手。
とても悲しい過去があるのにすぐキレて憂いもないし、結局警察たちはキレてばかりの脇役だ。しらけてしまう。
映画化するなら、ストーリーもキャラもあちこち手を入れて(特にラスト)やってほしいところ。
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翻訳モノの中ではダントツ読みやすい。訳者さんがいいんだろうな。
拉致され、監禁されるアレックス。
誘拐犯の動機。
謎解きと答え合わせ。
二転三転する物語に振り回されつつ、先が気になってぐいぐい読める。
正義は真実より大事。
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【あなたの予想を全て裏切る究極のサスペンス!】監禁され、死を目前にした女アレックス――彼女の心に秘められた壮絶な計画とは? 英米ミステリ界を戦慄させた驚愕と慟哭の傑作!
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アレックスは男に連れ去られ監禁される。目撃情報から捜査部は動き出す。
アレックスは男に訊いた「なぜわたしなの?」捜査により明かされる衝撃の事実。
感情が右に左に振られ、胸が締め付けられる。
アレックスが頭から離れない。
ネタバレになるから多くは書けないけれど・・・
涙が溢れてきた。
読み終えて、しばし呆然。
橘さんの訳も読みやすかったのだと思う。