雨とハイエナ【イラスト付】 みんなのレビュー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：やじやじ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

これは令の初恋物語なのですね。
（30歳超えてますが）
義父の性的虐待にあって15歳で家出し
夜の世界で生き延びて
パトロンを数人持ち悪徳ながら金融業を営むまでにのし上がった令
そんな令が真面目で一直線な網淵に出会う。
イラつかせるような気になる存在、
気になって気になってちょっかい出してって・・・
そりゃもう落ちているでしょう。
「恋」にって感じの有様です（本人気づいてないでしょうが）
しかも、初恋です。
初々しさは半端ないです。
そして自分の気持ちに気が付いたら、
身体をはってでもすっぱりパトロンたちと手を切って
でも網淵と会わないと決める。
切なく甘い。
網淵と一緒にというわけではないので
かなり自己完結な気持ちであることは否めないのですが。
（でも網淵の告白は受けているのだから良いのか）

パトロンの一人である三浦さんの存在が秀逸
令が本当は自分の手に落ちてくるのを待っていたのだろうなぁって思う。
大事にして気長に待っていたら、
（落ちてこなくても自分のそばで咲かせていればそれもそれで良しと
余裕で思っていたに違いない）
横から真面目なだけの若造に攫われてしまったと。
裏社会の人らしい落とし前のつけかたして行ったけれど
忸怩たる思いがひしひしと伝わってきます。

淡々とした雰囲気の話なのですが
きちんと起承転結があり、
視点がぶれない作者さんらしい話でした。
この雰囲気と作風はわたし的には好きです。

☆3.5

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：りんりん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

水原とほる先生の作品はどこか静けさというか、温度が低い感じが好きです。この『雨とハイエナ』も何処と無く暗く、静けさが漂う感じがして引き込まれました。
佳境に向けて盛り上がるかと思いきや、淡々と終わってしまい尻すぼみ感を感じました。
もうちょっと盛り上がれればなぁ〜少し残念。
でもこの雰囲気は好きでした。