紙の本
「活気溢れるニューヨーク」に出会いたいなら、コレしかない!
2001/07/03 01:49
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投稿者:US - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニューヨークって、ハテ? 実際にはどんなところなんでしょか?
この本読むと、いろんな映画で見覚えのある「あの」ニューヨークが、次々浮かんで来るんです。
見返しのページを開けたその次の最初の「献辞」の7行からノリノリのこの本読むと、ニール・サイモンのニューヨークとか、植草甚一のニューヨークとか、ノラ・エフロンのニューヨークとか…いろんなひとが書いてきた「ニューヨークの空気」が、てんこ盛りの感じです。
南米のとあるクニから盗まれた黄金像がこの街に持ちこまれ、ところが偶然にも複製品が十五体もあったもんだから、ハナシはしっちゃかめっちゃかになる。本物の像を探して誰も彼もがニューヨーク中を走り回る。錯綜した争奪戦を通じてこの都市の「全体像」をきゃははと笑いながら見てください、って趣向でス。
インチキ航空貨物会社の青年がいて、離婚の瀬戸際にあるハープ奏者の女性がいて、へんな市民運動の活動家がいて、個人宅用プールのセールスマンがいて、ハーレムのボスがいたりして、あやしげな投資家がいたりして、まだまだ一杯いて、ダウンタウンからロングアイアランドの高級住宅地から空港から図書館まで、ありとらゆる場所が出てくる!
無数の人物を配した上で、おフザケの中に、男と女、ジェンダーの問題から貧富の格差から、性的嗜好や人種偏見のハナシまで、さりげなく入ってる。それがぜんぶ、かなり粋に茶化されてます。字で読んで、しかも翻訳モノの文体でこれだけおかしい「小説のカタチの都市論」も、あんまりないという気がする。
解説によると、書かれたのが1976年らしいけど、70年代の猥雑な「生きたニューヨーク」を生鮮保存した感じ。
笑わせて、わくわくさせて、ほいでときどきじーんとさせる。読み終えると、眼に栄養をもらった気分の一冊です。
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我が愛のウエストレイク。ホントにすきだ…
確か、「このミス」でも海外作品ベストの上位に入っていたような。
その時点で20年くらい前の作品だったはずですが、全然古くないのは、さすが巨匠だウエストレイク。
話としては。
南米某国から奪われて、アメリカへ持ち出された超貴重な踊る(踊っていることになっているらしいが、ぱっと見、排泄行為をしているようにしか見えない)黄金像。
そしてこのレプリカが15体。
超強烈なキャラクターが入り乱れ、黄金像のホンモノとニセモノも入り乱れ、奪い奪われ、最後に笑うのは誰だ。
登場人物も多く、黄金像のレプリカも1体や2体ではなく、読む前は「把握できるかなあ」と不安だったんですが、読んでいくとぐいぐい引き込まれて、あっと言う間でした。
「ガッタハッスル、急がなくっちゃ」
ほんとうにウエストレイクは楽しくていい。はずれもナシ!
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ニューヨークの運び屋のジェリー。
ひょんなことから空港で受け取り損ねた荷物が純金の「踊るアステカ僧侶像」で100万ドルの値打ちがあることを知る。
しかしそれは15個の複製に紛れて、パーティーで配られてしまった!
黄金像を探して、ジェリーの仲間たち、依頼人たち、そして立ち聞きした間男と複製を持つパーティー参加者たちのドタバタ群像劇。
登場人物は多いが、そのワヤワヤした感じが楽しい作品だと思う。
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ちょっと前、というか考えると20年くらいもしかして経ってるかも、というくらいの前に、こういうドタバタと色んな人が絡み合うような話が流行ったような、と思ってたら、なんと翻訳は1990年代だけど、原作は1970年代という!いやでも話の中はそんなに古臭くもないような。ドタバタが本当に心底あほらしくて、本を読みながら笑ってしまうなんてそんなにないよなぁ、というくらい楽しげ。もちろんこういう話につきもののご都合主義やら現実離れしたところとか、あるにはあるけども、気にせず楽しむのが吉。
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1976年、42年前の作品。日本ではほぼ20年後の1994年発行。
16体のうち1つの本物の黄金像を探し当てるために複数のグループが
右往左往する小説。
登場人物が多くて最初は読むのに手間取りましたが
スポットが当たる人物がほぼ決まった2部からは嵌りました。
最初は本物にたどり着けるのかと疑心暗鬼に読みすすみ
最後の最後でどんでん返し。お見事。
42年前の小説なので犯行が超絶アナログでしたが
それも面白かったです。
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事の発端は、南米の最貧国デスカルソで起こる。ここの国立博物館には、数千年以上も前に創作されたという黄金の「踊るアステカ僧侶像」が厳重に保管されていた。同国政府は新たな観光資源とするべく、僧侶像の複製を作り、安価な工芸品として売り出すこととした。サイズは小さなトロフィーと同じくらい。だが、依頼を受けた彫刻家は、役人と美術館警備員と結託し、密かにニューヨークの南北アメリカ美術館に売り渡す計画を練る。その価値は百万ドル。三人の偽装工作によって、僧侶増はアメリカ国内へと密輸された。だが、間抜けな手違いから受取人には渡らなかった。黄金像は複製品15体とごちゃ混ぜになったまま、或る民間団体の景品としてばらまかれてしまう。その事実を、航空便横取りで生計を立てていた地元グループが知る。踊る黄金像を手に入れろ。かくして、マンハッタンを舞台に大捜索と大争奪戦が繰り広げられていく。
ハメット直系のハードボイルドから離れ、コミカルなミステリへと転じたウエストレイクが量産していた単発物のひとつで、1976年発表作。この派の達人トニー・ケンリック登場まではウエストレイクの独壇場でもあったといえるのだが、軽快なタッチでドタバタ劇を盛り込んでいく筆力は流石だ。導入部や大きな場面展開の合間には、凝りに凝った散文を挿入。ただ、力の抜けたユーモアセンスは良いとしても、如何せん長過ぎる。多くの登場人物が「踊るアステカ僧侶像」を求めて、本物と偽物合わせて16体を個々に追うため、必然ボリュームは増し、構成は散漫となる。途中、文体を変えるという翻訳者の〝遊び〟で趣向を凝らしてはいるが、同じようなエピソードが繰り返されるのは辛い。コメディは短い方が引き締まる。ウエストレイクは相変わらず剛腕を発揮しているため、数多の奇人変人が入り乱れるナンセンスなファルスが好きな読者には、大いに楽しめるだろうが、ちょっと欲張りすぎた印象。