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これだけの宇宙を見せられて、人間ひとりひとりの物語に価値が見出せる人がいたら会ってみたい。
価値はないけれど意味はあるよね。個人的に重きをおきたいのはヤチマの人間性について。人によって色々思うところがあるんじゃないだろうか。私は彼(彼女?)が『何の曇りもない笑顔』を浮かべられることと故郷を捨てて一人で真理を求め続けることから見える 無邪気さ を持っていることに大きな意義がある……気がする。引用したとこが心に残ったのは、ヤチマのセリフだからです。
物理とか数学をやったことのない文系の人には読みづらいかも。でもわかるとこだけ読んでればおkです。
あと5回くらい読んでちゃんと理解したい。
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理論が……理論が……わたしゃ、アホや。
「ワンの絨毯」あたりまでは何とかイメージできたけど、そこから先は読みながら、WEBでいろいろと調べる(翻訳の山岸氏もそういう読み方もありと訳者後書きに書いている)。
ラストが好きです。孤児が帰っていくところが。
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あ〜やっと読めたよ。前に一度第1部第1章だけで挫折して、いつか再挑戦と思っていたウルトラハードSF。解説の大森氏のアドバイス通り、わからないところは大胆にとばし読み、最後の方はほとんど具体的なイメージがつかめないまま、それでも充分入り込めた。
この長編の一部であり、おそらく核となった短編「ワンの絨毯」をSFマガジンで読んだ時の何とも言えない感慨を思い出す。「何が書いてあるのかよくわからないが、何かすごいことが書いてあるのはわかる」という読書体験は後にも先にも他にない気がする。大体よくわからんものは途中で読めなくなるものだし。
宇宙とそれを認識するものについて、徹底した思考が繰り広げられ、イーガンの切り開いた地平では、従来の宇宙SFがすべて古色蒼然として見える。気力十分な時に再読したい。
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とにかくスケールが圧倒的。
それぞれのパートで用いられる個々のアイデアが非常に独創的でよく練られており、それだけでも楽しめたが、特に最後の1節、結末の感動は他の小説では絶対に味わえないものだったと思う。
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すごく難解で世界観が理解できるのかあやふやなまま読み進めましたが、ハマリました。
とてもスケールが大き目の前に広がる宇宙が頭の中に浮かんできます。さすがに多次元の空間は想像しがたいですが・・・
人が肉体を捨てて生きていく世界、孤児として創出されたヤチマが宇宙の果てまでも追求する真理。
何度読んでもあきません。
読めば読むほどもっと理解したくなる作品。
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圧倒的スケールにして緻密。読者を選ぶ物語ではあるけれど、量子力学と認知科学のある程度の知識があれば、何とかついていける。ただし、これは宇宙オタクを満足させるためだけの衒学的な語りなのではなく、こういった舞台の中でしか語り得なかった物語なのではないか。知性とは何かということを読みながらたくさん考えた。
非知性ソフトウェア創出が作り出したヤチマという個体が〈私〉を獲得するまでの18-54pのくだりで心を鷲掴みにされ、そこからは理論的な部分が少々わからなくても一気に読み進められた。一気に読む、ということが褒め言葉ではないと思うけれど、読まずにはおられない、この物語と少しでも多くの時間結合していたい、そう思わせる素晴らしい読書体験。
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知性の進化の極み、だがそれが人の身には叶わないというのは悲しい。だが、おおいに考えられることだ。
肉体を持たない意識はその時点で、人類とは呼べず、それが人間の精神構造を模倣したものであっても、AIと呼ぶべきだと思う。
人類はAIを生み出すための存在でしかないのではないかとも思えてくる。
未来の行く末について、思考が広がる作品を書ける。現代SF作家で、この人は最高峰だ。
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グレッグ・イーガンのソフトな人々が描かれたハードなSF作品です。
人類の多くが肉体を捨て、意識をシミュレートできるコンピュータ上に生活環境を移した世界で、問題に直面した人類の外宇宙への進出が描かれます。
そして、ハードなSFだけに、その辿り着く果てである結末も、ハードボイルド(煮詰り過ぎ)です。
<そんなに簡単に、ヒトが身体を捨ててコンピュータに移り住むの?>
”私”という意識は、身体ではなく、脳内の電気的、化学的な変化自体でもない。
脳内の電気的、化学的の変化が、連続的な意味のある変化の場合に、生み出される現象…雷とか風とかと変わらない…と思われる。
同様の変化が起こるなら、例え機械であっても、再現される意識は同じはずある。
元より、意識が不連続なヒトが、意識の同一性なんて問題を気にしても仕方ない。
<要は・・・慣れなんじゃない?>
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1997年発表、グレッグ・イーガン著。仮想現実都市ポリスに住む、ソフトウェア化した人類。ソフトウェア化を拒み、肉体を保ったまま地球で生きる肉体人。地球を襲う天文学的危機をきっかけに多次元空間へと逃れた人類は、遠くの星へクローンを飛ばす「ディアスポラ」を開始する。その果てに未知の生命体と接触する。
とんでもない小説だった。全力で理詰めだ。ストーリーの流れは何となく分かるのだが、冒頭の孤児ヤチマが生まれるシーンなどはまだしも(このシーンが個人的には一番面白かった)、幾何学やワームホール、多次元の話など、大学で物理科や数理科を専攻でもしていないと完全には書かれていることを理解できないに違いない。だから、理論のどこまでが本当でどこまでが虚構なのか、よく分からない。だが虚構をそれっぽく描くこと自体がSFなのだから、分からずとも圧倒されていればいいだろう。
肉他人、ドリームエイプ、ワンの絨毯、ヤドカリなど、とにかく怒涛のように溢れる発想。そして六次元など、全く想像のつかない巨視的・微視的なスケール。これらを楽しむだけでも読む価値はある。
読み終えて、数学や物理学への興味がわいてきた。ちゃんと勉強してから、もう一度読み直してみたい。そうすれば著者の仕組んだ嘘に気づくことができ、ニヤニヤしながら読めるのだろう。
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最近(一部で)超話題のウルトラハードSF『ディアスポラ』を読破!!「近年のSFでは最高」だとか、「イーガンの頂点の一つ」だとかの評価があったので、ずっと読みたかったんですよ。
グレッグ・イーガンって人はすごい作品を書くのはわかってました。『万物理論』は難解ながらもとんでもない方向に行っちゃうところが刺激的だし、『しあわせの理由』や『祈りの海』なんかは「技術とアイデンティテイ」という問題を考える上で重要な事柄を扱ってて興味深い。とにかく、いまホットな人なんですよ!(力説)
『ディアスポラ』の評判は聞いてたんですが、近くの本屋になかったので、いままで読んでなかったのです。この前、渋谷による用事があったのでついに購入しました。
で、読み始めたんですが。。。やばそうなニオイが。500ページあるのは最近のSFの風潮でいいんですが、20ページの用語解説・・・。しかも、用語解説よんでもわけわかんない・・・。
まぁ、こんなのは読み始めりゃ何とかなるもん!
・・・・僕が間違ってました。
のっけから「ソフトウェア生命体の誕生」というわけわかんないパートだし・・・。この世界にいる三種類の知的存在は肉体人、グレイズナー(ロボット)、ポリス市民(コンピュータ生命体、ソフトウェア)なんだけど、主要登場人物は一番感情移入しにくいポリス市民がほとんどだし。話はもっぱら電脳上ですすむし(物理法則無視のよくワカラン世界)。場合によっては5次元とかにいっちゃうし・・・。
すごかった!(わからなさが)
いや、SFは読みなれてるつもりでしたが、甘かった・・・。こんなふやけた自分はレンズマンから読み直します。ありがとうございました
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ハヤカワの『四半世紀のベストSFフェア』で購入。
イーガンというと難解だと言われているが、専門的な部分がよく解らなくても充分楽しめるんじゃないの……と思わせる作品。
登場人物や設定はかなりデジタル的、というか、数学的なのだが、読後感は寧ろ有機的なのは訳文のせいだろうか?
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いやー、まいったまいった。全然わからんかった!わけのわからんことを考える人が世の中にはいるもんだなぁ。
人格をソフトウェア化して、仮想都市で生き続ける世界。星の終わりによる不可避の終末。それから逃げる/新たな世界に進出する過程「ディアスポラ」を描く。
なんやようわからんかったけど、最後の方に主人公たちは一応の安全への道を手にいれるのね。新しい世界への切符を手にいれる。でもそれを得る過程でみつかった、さらに先を行く人「トランスミューター」を追いかけることを選ぶ人がいて。まだ見ぬものを求めるって、なんなんだろうね。こんな世界に生きている人がいるんだろうなぁ。
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初めてグレッグ・イーガンの作品を読んだ。想像以上にハードSFだった。最初から難しい。脳のシナプスを活性化させ、目から入ってくる文章から画像を生成し、脳みそに汗をかきながら読んだ。涙ぐましい努力(自分的には)の結果、最初の部分はかなり楽しめた。
この最初の部分は、非常によくできていて、生命の誕生(コンピューターの中の世界だが)のプロセスを臨場感と共に思い切り楽しめる。その部分があるからこそ物語に引き込まれ、最後までドキドキしながら読むことができた。
後は大宇宙を移動しながら、時には次元を越え、時には別宇宙に飛び、自分のクローンを作りながら永遠の旅をする。
数学やら物理やら、やたら難しい単語が出てくるが、分からなければ、自分が感じた語感を信じて「こんなものかな」と思いながら読み進めればいいのではないだろうか。そういえば、用語解説が後ろの方にあるので、分からない単語や概念が出てきたら参照するとよい。ただし必要最小限の単語しか解説されてないので、後は読者の努力が必要になる。読んでいて大きな迷子にならないためにも、イーガンの作品に馴染みがない人は最初に目を通しておくといい。
ハードSFは細かいことは気にせずに、分からない部分も含めて分かったふりをして、なんとなく著者の描きたい世界観を楽しめればいい、と個人的には思っている。ディアスポラも感覚で読んだ。それで楽しめたのだから、これはこれで正解だったのだろう。
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この頃、星空を見上げると、ある感慨にうたれる。この宇宙にはいろんな世界がある。他の星の生命もいるかも知れない。宇宙人もいるかも知れない。
もしかして自分もそこに到達できるかも知れない。と思ったのは子どもの頃。
星々の世界があると思っても、もはや自分にはあの星々に到達することはあり得ないと今は思わざるを得ない。そのことにある感慨を覚える。ましてやこの宇宙の外など。しかしそんな小説を読もうという気はある。なぜだかよくわからない。
すごいSFだけど、とても読みにくい。
という評言はまあ正しい。私も最初の三分の一くらい読んだまま、数年うっちゃっておいた。
まず最初のアイディアは、人間がその精神をソフトウェア化し、ヴァーチャル環境に移り住み、肉体人と二極化するという未来(ソフトウェア化しつつも、機械の身体にその精神を収めるグレイズナーの存在も)。そのヴァーチャル都市、《コニシ》ポリスで人工知性ヤチマが生まれるさま、ヤチマが《コニシ》ポリスを見聞きするさまが描かれる。
次のアイディアが中性子連星の想定外の崩壊によるガンマ・バーストで地球上の生身の生命が死滅してしまうというもの。当然、ポリスに逃げ込むしか生き延びる方法はない。私はこの辺で挫折していたのだが、このあとあたりから、疑似科学理論はとても難しいものの、話は快調に進んでいく。作品世界での時間もどんどん流れていく。
現実世界との接触を失うまいとするポリス《カーター・ツィンマーマン》に舞台が移る。ここで登場するのがコズチ理論という物理学。空間に時間を加えた4次元にさらに6つの次元を加えた10次元がこの宇宙であり、素粒子はそれらの次元を結ぶワームホールの口であるという理論。コズチ理論に基づき、ワームホールを抜ける超高速航法を生み出して,他の知的生命を探しに行こうとするがうまくいかない。そこでポリス住民の志願者すべてが千のコピーを作って、千の方向に宇宙船を飛ばす「ディアスポラ」計画が発動する。
「ディアスポラ」計画により、知性体・トランスミューターの足跡が捉えられ、彼らがこの宇宙より上位の宇宙に移動していることがわかり、修正コズチ理論を駆使して、彼らもその宇宙、時間1次元と空間5次元の宇宙に移る。ここの描写がまたすごいのだが、トランスミューターはさらにその宇宙もすでに去っている。ここから先、『タウ・ゼロ』以上のスケールになって、唖然と口を開けている他ない方へ話は進んでいく。
そして結末まで開いた口がふさがらないものと覚悟すべし。
そして、今日もまた口を開けて夜空を見上げるのだ。スカイツリーを、じゃなくて。
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30世紀を舞台に、ソフトウェアによって生み出された
主人公ヤチマの冒険譚。
ヤチマの誕生を描いた第1章では、
ソフトウェア上での知性・人格・自我の生成プロセスが丁寧に記述されており、
難解ながらも読み応えあり。
その後、章ごとに、情報科学、数学、遺伝子工学、天文学、と、
多岐にわたる科学分野を横断しながら、
人格をアップロードしなかった肉体人とのコンタクト、
宇宙へのディアスポラ、ワープ航法の技術開発、といった旅が展開。
物語が進むにつれ、身体的、時間的、空間的な制約が次々と外され、
人類はどこまで行きつけるのか?、想像力をかきたてられた。
本作にテーマや世界観が近い作品を、関連順に。
・『アッチェレランド』(チャールズ・ストロス)
・『順列都市』(グレッグ・イーガン)
・『都市と星』(アーサー・C・クラーク)
・『know』(野崎まど)
・映画『マトリックス』シリーズ