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面白い。本当に面白いです。
複雑に絡み合った東欧近現代史が嫌いで、その部分をまじめに学ばなかった高校時代がものすごく悔やまれます。私がもっと東欧諸国の歴史的背景を深く知っていれば、この本は★5つになっていたはずです。
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<06/12/28読了>
◆読後呆然としてしまってしばらく身動き(みじろぎ)ができなくなりました。◆米原さんが少女時代を過ごしたチェコスロバキアへと過去探しの旅に出かけるお話です。その中で、過去のさまざまな謎、とりわけ学校御舞踏教師だったオリガ・モリソヴナにまつわる謎を明らかにしていきます。◆このオリガのキャラが強烈なキャラで、それがこの作品を活き活きとした魅力あるものにしています。年齢不詳の老女にして、踊りは天才的、よく見ると結構美女。気風のいい竹を割ったような性格で、しかし口も悪い。子どもに向かって、とても女性や子供には聞かせられない語を連ねた罵倒をしたりします。◆このオリガの謎をさまざまな伝手を使って明らかにしていくわけですが、その過程が上質のミステリを読んでいるようでとてもスリリング。そして、次第に明らかになるオリガの過去がすさまじい。ネタバレにならないよう、ヒントとしてオリガの過ごした過去はスターリンによる恐怖政治時代だったとだけ言っておきます。◆過去を探すお話って、もうそれだけでも面白いのに、その過去がこんなにすごい上に、それを明らかにしていく過程がスリリングなんですから、もう面白さ百倍です。じっちゃん、脱帽の一品でした。
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読み出したら止まらない、そんな小説。ミステリ以外のカテゴリに入れたが、オリガの過去の謎を追う物語なので、謎ときとしても楽しめる。3つの時代(スターリン時代のソ連、60年代のプラハ、ソ連崩壊後のモスクワ)が交互に描かれ、主人公志摩の目を通して、それぞれの時代を追体験する。不条理な粛清、強制収容所の話など、とても重い題材を扱っているにもかかわらず、すらすらと読める。登場人物のキャラクター設定が見事で、感情移入してしまっていたからだろう。オリガの凄まじいばかりの半生は、しばらく心から離れそうにない。2/24-25。
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マリがプラハのソビエト人学校に通っていたときのダンス教師、オリガ・モリソヴナ。彼女の人生をたどる旅は、ソ連という巨大な国の悲劇をたどる旅でもあった。悲惨すぎる出来事とマリの小学校時代のギャップがすばらしくて、それでも前向きに笑える一作。
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米原さんのエッセイだと思って手に取ったら、本格的なミステリー仕立ての小説でした。舞台は旧ソ連。でも、単なる謎解きの面白さだけではなく、登場する女性達の姿が生き生きと描かれていて、大いに読み応えがありました。タイトルに帰結していくラストはとても感動的。
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チェコにあるソビエト学校に入学した日本人の女性が、恩師の謎を解いていく話。
スターリン政権の頃のソ連国家が舞台だけど、暮らす人の目線で生き生きと描かれていて、読むのが辛くなる固さや重さはない。
主人公の女性たちが若々しいのと、謎解きを中心に進んでいく展開に引きこまれる。
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社会主義のいい面、悪い面、資本主義のいい面、悪い面、その中で生きる人間の弱さ、強さ、愚かさ、気高さが鮮明に浮かび上がる。愛と勇気が湧いてきた。
誰か映画にしてくれないかなぁ。活字だけにしとくのもったいない!。
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1960年代にプラハのソビエト学校に留学した主人公の志摩は、
出来の悪い生徒を「この神童が!」と反語法で叱り飛ばす豪快
なダンス教師オリガ・モリソヴナと出会う。
帰国後30年経った志摩が改めてオリガ・モリソヴナの足跡を辿
るべくロシアに渡ると、凄惨な歴史の爪痕に翻弄されたオリガ
・モリソヴナの過去が生々しく浮き彫りになるのだった……。
この本は、小説の体裁をとっていますが、著者の入念な文献調
査により限りなくノンフィクションに近い内容になっています。
温室のように安全な現代の日本の中流家庭に育った自分には、
こんな酷いことが本当にこの世に起こったのかということさえ
うまく想像がつきません。
安直で浅い感想ですが、人間って本当に強い生き物なんだなと
思わされます。
分厚い本ですがグイグイ引き込まれること請け合い。電車の中
でも臆面もなく泣きじゃくって読み終えました。オススメ。
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ものすっごく楽しみにしてた。
米原万里好きだし、ミステリーって言うし。
ミステリーでもないし、ノンフィクションってわけでもない。
ただ、米原万里の本特有の
自分にない考え方や、見聞きする機会の少ないロシアの話
というのが健在で、そこだけで許しちゃう…かな。
タイトルの素敵さも、相変わらず。
才能をみんなで愛する世界、憧れる。
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自分の人生に大きな影響を与えた強烈な個性の教師
その人生を探る内に浮かび上がる壮絶な過去、そして時代に翻弄される人々・・・・・
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小説として、本当におもしろかった。
学校もの、歴史もの、サスペンスとしても中身がぎっしり詰まっている感じがした。
オリガ・モリソヴナが、とても強くてかっこいい。
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暗黒の世紀ー我々がギリで感覚を想像できる範囲のー
題名は決して間違ってはいないのだが、ここまで読み手をいい意味で翻弄してくれる小説はここ何年か読んだ記憶がなかった。
柔らかい文体の女性の手記はとても皮膚感覚に満ちていて、現代のモスクワをいきいきと描いている様だけでも頁が進むのに、読み進めていくにつれ、いつの間にやらミステリーの渦中へと入り込み、引き込まれていく先にはソビエト時代のロシアという、まさに人類未曾有の歴史的暗部へと繋がっていく。
まさか、まさか。手に取るまではこんな展開は予想だにしなかった。
この小説は基本フィクションだそうだが、鮮やかな文章で切り取られた絵はまさしくノン・フィクションだ。暗黒の時代が生み出したあまりにも雑な生命への仕打ちに反吐がでそうになる。こうした絶望の記憶は救いようのないだけ、人のぬくもりや、優しさを浮かびあがらせるのかもしれない。
今年読んだ中では間違いなくダントツの作品。
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主人公が思い出の教師の来歴を追ってゆくと
国家権力に蹂躙された人々、
ソ連からロシアへの時代に立ち会った人々が
浮かび上がる
悲惨な境遇に落とされ
それでも、生きていくのにささやかな喜びを見出すのが
せつなくて、たくましくて
静かに希望がもてる
たくましいのは筆致かも。。
読み応えあります!
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図書館
次元が現在になり過去になり、舞台が日本になりチェコになり。
その切り替わりがいつでも唐突なのに読者を迷わせない。
今年一番楽しんだ本かも。
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2日で読破。
寝る間も惜しんで読んでしまうほど引き込まれる一冊。
帝政時代のロシアの粛清の実体が明らかにされていて、
衝撃を受けることが多かった。
多様な角度から物語の真相に迫っていく書き方が本当に上手。
米原さんの自伝的小説だそうな。
この本を読んでロシアに興味が湧いて
後期からロシアの社会経済史の授業とってます。