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ものすっごく楽しみにしてた。
米原万里好きだし、ミステリーって言うし。
ミステリーでもないし、ノンフィクションってわけでもない。
ただ、米原万里の本特有の
自分にない考え方や、見聞きする機会の少ないロシアの話
というのが健在で、そこだけで許しちゃう…かな。
タイトルの素敵さも、相変わらず。
才能をみんなで愛する世界、憧れる。
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自分の人生に大きな影響を与えた強烈な個性の教師
その人生を探る内に浮かび上がる壮絶な過去、そして時代に翻弄される人々・・・・・
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小説として、本当におもしろかった。
学校もの、歴史もの、サスペンスとしても中身がぎっしり詰まっている感じがした。
オリガ・モリソヴナが、とても強くてかっこいい。
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暗黒の世紀ー我々がギリで感覚を想像できる範囲のー
題名は決して間違ってはいないのだが、ここまで読み手をいい意味で翻弄してくれる小説はここ何年か読んだ記憶がなかった。
柔らかい文体の女性の手記はとても皮膚感覚に満ちていて、現代のモスクワをいきいきと描いている様だけでも頁が進むのに、読み進めていくにつれ、いつの間にやらミステリーの渦中へと入り込み、引き込まれていく先にはソビエト時代のロシアという、まさに人類未曾有の歴史的暗部へと繋がっていく。
まさか、まさか。手に取るまではこんな展開は予想だにしなかった。
この小説は基本フィクションだそうだが、鮮やかな文章で切り取られた絵はまさしくノン・フィクションだ。暗黒の時代が生み出したあまりにも雑な生命への仕打ちに反吐がでそうになる。こうした絶望の記憶は救いようのないだけ、人のぬくもりや、優しさを浮かびあがらせるのかもしれない。
今年読んだ中では間違いなくダントツの作品。
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主人公が思い出の教師の来歴を追ってゆくと
国家権力に蹂躙された人々、
ソ連からロシアへの時代に立ち会った人々が
浮かび上がる
悲惨な境遇に落とされ
それでも、生きていくのにささやかな喜びを見出すのが
せつなくて、たくましくて
静かに希望がもてる
たくましいのは筆致かも。。
読み応えあります!
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図書館
次元が現在になり過去になり、舞台が日本になりチェコになり。
その切り替わりがいつでも唐突なのに読者を迷わせない。
今年一番楽しんだ本かも。
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2日で読破。
寝る間も惜しんで読んでしまうほど引き込まれる一冊。
帝政時代のロシアの粛清の実体が明らかにされていて、
衝撃を受けることが多かった。
多様な角度から物語の真相に迫っていく書き方が本当に上手。
米原さんの自伝的小説だそうな。
この本を読んでロシアに興味が湧いて
後期からロシアの社会経済史の授業とってます。
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結構分厚い本だけど、一気に読めた。続きが気になってしかたなかった。
オリガ・モリソヴナという非常に口が悪いが、天才的に踊りの才能に長けていた女性を
幼少の頃、プラハのソビエト学校で教わっていた主人公が、大人になり彼女を尋ねようとする。
その過程で、思いもかけず彼女の壮絶な過去を知ることになる。
昔はソビエトのスターダンサーだった彼女がスターリン政権の粛清によって、強制収容所へ送られ…。
確かに社会主義国はこういった欠点も多々ある。
けれど一番印象に残ったのは、特に旧ソビエト(ロシア)は個々の才能=国家の財産と捉えているところ。
日本や英米などは、芸術や、個人の才能を伸ばす機会は、富裕層の特権みたいなところがある。
けれど旧ソ連(ロシア)の良いところは、例えば絵の上手い子がいると手放しで「この子はすごい」と皆で喜び
国家レベルでその才能を大事にしてくれる。その才能は国民全体が分かち合うものだし、芸術=文化みたいなところがあるのはロシアの美点だろうなぁと思う。
著者は実際、プラハのソビエト学校で学んでいるから、学校の様子はノンフィクションの部分もある。そこも面白い。
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米原さんの本を探していて発見。
あまりなじみの無い旧ソ連圏が題材になった小説。
小説としても楽しめたし、勉強にもなった。
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すごい本でした
著者の実体験も入ってるからリアル。
ソ連からロシアへ
壮絶な時代にたくましく生きた人々の物語。
読んでてつらいっていう場面も多いのに、
それでも暗くならないのは
何があっても生きのびてみせる!っていう
登場人物たちの圧倒されるぐらいの生命力が
充ち満ちているから。
社会主義も民主主義も、行き着く先は
いっしょなのかなぁ。
この著者はエッセイストだから、
普段小説読まないっていう人にもオススメかも
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スターリン体制下で収容所に送り込まれた女性の手記を通して、主人公・志摩が出会った教師、オリガ・モリソヴナの隠された人間像を追う。
物語の横軸は三つ。一つはプラハのソビエト学校に通っていた志摩の幼少時代、オリガ・モリソヴナという女性が幼い志摩に与えた強烈な印象と独特な学校環境が描かれる。のちに志摩が追う謎がここで提起される。もう一つはメインの軸でもう若くない志摩がロシアを訪れ親友カーチャたちとともに謎解きに奔走する現在。私立探偵のごとく情報のしっぽをつかんではその足で出向きパズルのピースを集めていく。そして三つ目はパズルのほとんどを占めるある女性の手記の挿入で、彼女が経験した強制収容所の実態が描き出される。その中で志摩が追うオリガが登場し、思いがけない事実にぶつかる。
フィクションとして一人の人間の軌跡を辿ることを目的としながら、ロシアの社会制度とその時代背景を膨大な参考資料をもとに事実に迫っている。結果的に事実である特殊な状況がむしろフィクションたらしめた恰好の素材になっている。また主人公の造形がもろに作者を投影しているために、書きたかった個人的な思索をすべて詰め込もうという欲もあったろうけど、それらがすべて長い年月をかけてろ過された形で書かれているようで、小説特有の嘘臭さがない。
という感じで完全無欠の小説なのに読了までかなり時間がかかった。ロシアという国への興味と手記にどれだけ引き付けられるかが分かれ道だと思う。
今亡き米原万里はロシア語訳者。外国語を扱う人の日本語は簡潔で綺麗。
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すごいリアルだし・・・
参考文献の数ものすごいし・・・
面白すぎて惹き込まれた。
自身も9歳から14歳までチェコ・プラハのソビエト学校で学んだ米原万里さんの経験も含んだ小説。
共産圏の歴史を知ることができます。とても悲しい歴史やけど。何も知らなかったので、こんなことがあったのか・・・ってへえって思いつつこの悲しい歴史に巻き込まれ翻弄されたたくさんの人々のことを考えて悲しくなった。突然強制収容所(ラーゲリ)に入れられたり夫が二度と帰ってこなかったり子供と生き別れたりしたら誰を恨めばいいんだろ。何を救いにしたらいいんだろう。
登場人物のオリガ・モリソヴナやエレオノーラ・ミハイロヴナも歴史に翻弄された一人。
子供の時、親の赴任先のプラハのソビエト学校で学んだ志摩が40代になり、その当時舞踏の教師だったオリガ・モリソヴナとフランス語の教師だったエレオノーラ・ミハイロヴナの謎をロシアに行って解き明かしていく、っていう話です。
元・同級生のカーチャもロシアで再会して一緒に謎解き。
そこで明かされる数々の事実がほんとに胸を締め付けられるくらい悲しいです。切ないです。
でもどんな状況でも生きることに貪欲な姿勢に感動。
悲しいだけじゃなくユーモアもいっぱい詰まっててすごくいい小説。
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米原さんの小説を初めて読みました。バレリーナの話とかはエッセイでも書かれてましたね。
にしても、このお話って小説だけれど現実にあったことを元に書かれてるんですよね…何もかもに疑心暗鬼な時代だったのか…私全然知りませんでした。「さよなら妖精」を読んでも思いましが、旧ソ連や東欧について知識がなさすぎますね。自分の知識のなさはひどいと思いますが、程度の差こそあれ日本人には多い気がします。色々考えさせられました。
楽しい話をするなら、オリガ・モリソヴナのダンスが見たくなりますね。
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エッセイではなく小説の米原万里。
ソビエトの恐ろしい時代を生き延びた恩師たちの真実を探る物語。
ぐいぐいとひきこまれる。
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プラハのソビエト学校に通った日本人シーマチカが、当時の名物ダンス教師オリガ・モリソヴナの謎に迫っていく。
スターリン(ラーゲリの時代)−フルシチョフ(ソビエト学校当時)−ゴルバチョフ(小説の「今」)と重層的なソ連の歴史が響きあい、
フィクションでありながら歴史の事実が背景にある分(参考文献の膨大なこと!)、リアルで読み応えがあり、興味が尽きない。
オリガは実在の人物がモデルだそうだ。ドゥマゴ賞受賞作。本当に惜しい人が亡くなったものだ。
書店のAさんとの話題から読んだ。
ロシア語は世界で一番罵詈雑言の豊かな言語だそうだ。それって自慢しにくい…20090624