投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
結構分厚い本だけど、一気に読めた。続きが気になってしかたなかった。
オリガ・モリソヴナという非常に口が悪いが、天才的に踊りの才能に長けていた女性を
幼少の頃、プラハのソビエト学校で教わっていた主人公が、大人になり彼女を尋ねようとする。
その過程で、思いもかけず彼女の壮絶な過去を知ることになる。
昔はソビエトのスターダンサーだった彼女がスターリン政権の粛清によって、強制収容所へ送られ…。
確かに社会主義国はこういった欠点も多々ある。
けれど一番印象に残ったのは、特に旧ソビエト(ロシア)は個々の才能=国家の財産と捉えているところ。
日本や英米などは、芸術や、個人の才能を伸ばす機会は、富裕層の特権みたいなところがある。
けれど旧ソ連(ロシア)の良いところは、例えば絵の上手い子がいると手放しで「この子はすごい」と皆で喜び
国家レベルでその才能を大事にしてくれる。その才能は国民全体が分かち合うものだし、芸術=文化みたいなところがあるのはロシアの美点だろうなぁと思う。
著者は実際、プラハのソビエト学校で学んでいるから、学校の様子はノンフィクションの部分もある。そこも面白い。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
米原さんの本を探していて発見。
あまりなじみの無い旧ソ連圏が題材になった小説。
小説としても楽しめたし、勉強にもなった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
すごい本でした
著者の実体験も入ってるからリアル。
ソ連からロシアへ
壮絶な時代にたくましく生きた人々の物語。
読んでてつらいっていう場面も多いのに、
それでも暗くならないのは
何があっても生きのびてみせる!っていう
登場人物たちの圧倒されるぐらいの生命力が
充ち満ちているから。
社会主義も民主主義も、行き着く先は
いっしょなのかなぁ。
この著者はエッセイストだから、
普段小説読まないっていう人にもオススメかも
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
スターリン体制下で収容所に送り込まれた女性の手記を通して、主人公・志摩が出会った教師、オリガ・モリソヴナの隠された人間像を追う。
物語の横軸は三つ。一つはプラハのソビエト学校に通っていた志摩の幼少時代、オリガ・モリソヴナという女性が幼い志摩に与えた強烈な印象と独特な学校環境が描かれる。のちに志摩が追う謎がここで提起される。もう一つはメインの軸でもう若くない志摩がロシアを訪れ親友カーチャたちとともに謎解きに奔走する現在。私立探偵のごとく情報のしっぽをつかんではその足で出向きパズルのピースを集めていく。そして三つ目はパズルのほとんどを占めるある女性の手記の挿入で、彼女が経験した強制収容所の実態が描き出される。その中で志摩が追うオリガが登場し、思いがけない事実にぶつかる。
フィクションとして一人の人間の軌跡を辿ることを目的としながら、ロシアの社会制度とその時代背景を膨大な参考資料をもとに事実に迫っている。結果的に事実である特殊な状況がむしろフィクションたらしめた恰好の素材になっている。また主人公の造形がもろに作者を投影しているために、書きたかった個人的な思索をすべて詰め込もうという欲もあったろうけど、それらがすべて長い年月をかけてろ過された形で書かれているようで、小説特有の嘘臭さがない。
という感じで完全無欠の小説なのに読了までかなり時間がかかった。ロシアという国への興味と手記にどれだけ引き付けられるかが分かれ道だと思う。
今亡き米原万里はロシア語訳者。外国語を扱う人の日本語は簡潔で綺麗。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
すごいリアルだし・・・
参考文献の数ものすごいし・・・
面白すぎて惹き込まれた。
自身も9歳から14歳までチェコ・プラハのソビエト学校で学んだ米原万里さんの経験も含んだ小説。
共産圏の歴史を知ることができます。とても悲しい歴史やけど。何も知らなかったので、こんなことがあったのか・・・ってへえって思いつつこの悲しい歴史に巻き込まれ翻弄されたたくさんの人々のことを考えて悲しくなった。突然強制収容所(ラーゲリ)に入れられたり夫が二度と帰ってこなかったり子供と生き別れたりしたら誰を恨めばいいんだろ。何を救いにしたらいいんだろう。
登場人物のオリガ・モリソヴナやエレオノーラ・ミハイロヴナも歴史に翻弄された一人。
子供の時、親の赴任先のプラハのソビエト学校で学んだ志摩が40代になり、その当時舞踏の教師だったオリガ・モリソヴナとフランス語の教師だったエレオノーラ・ミハイロヴナの謎をロシアに行って解き明かしていく、っていう話です。
元・同級生のカーチャもロシアで再会して一緒に謎解き。
そこで明かされる数々の事実がほんとに胸を締め付けられるくらい悲しいです。切ないです。
でもどんな状況でも生きることに貪欲な姿勢に感動。
悲しいだけじゃなくユーモアもいっぱい詰まっててすごくいい小説。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
米原さんの小説を初めて読みました。バレリーナの話とかはエッセイでも書かれてましたね。
にしても、このお話って小説だけれど現実にあったことを元に書かれてるんですよね…何もかもに疑心暗鬼な時代だったのか…私全然知りませんでした。「さよなら妖精」を読んでも思いましが、旧ソ連や東欧について知識がなさすぎますね。自分の知識のなさはひどいと思いますが、程度の差こそあれ日本人には多い気がします。色々考えさせられました。
楽しい話をするなら、オリガ・モリソヴナのダンスが見たくなりますね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
エッセイではなく小説の米原万里。
ソビエトの恐ろしい時代を生き延びた恩師たちの真実を探る物語。
ぐいぐいとひきこまれる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
プラハのソビエト学校に通った日本人シーマチカが、当時の名物ダンス教師オリガ・モリソヴナの謎に迫っていく。
スターリン(ラーゲリの時代)−フルシチョフ(ソビエト学校当時)−ゴルバチョフ(小説の「今」)と重層的なソ連の歴史が響きあい、
フィクションでありながら歴史の事実が背景にある分(参考文献の膨大なこと!)、リアルで読み応えがあり、興味が尽きない。
オリガは実在の人物がモデルだそうだ。ドゥマゴ賞受賞作。本当に惜しい人が亡くなったものだ。
書店のAさんとの話題から読んだ。
ロシア語は世界で一番罵詈雑言の豊かな言語だそうだ。それって自慢しにくい…20090624
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2009.06.30〜 知り合いが面白いからって貸してくれたので・・・読み始める
2009.7.16 読み終わり
ソ連を舞台にした小説は、殆ど読んだことがないので、新鮮な感覚で読み終えた
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだあと
この本を手にしたので、
簡単に入り込むことが出来た。
私は米原万里の媚びない文章が大好き。
上手に書こうとか、
読み手を感動させてやろうとか、
そういう意図がまったく見られないこの文章は
読んでいてとてもすがすがしい。
選び出された語彙の絶妙さと、
自身の体験に基づいた少女の細やかなこころの表現がとても親しみやすい。
わざとらしい形容詞の乱用もなく、
簡潔な言葉で伝えるべきことを伝える。
やはり通訳者ならではの文章なのだろうか。
人物描写もおもしろくて、
オリガ・モリゾヴナの風貌などは惚れ惚れしてしまう。
スリル満点の謎解き、
シリアスな歴史事件の裏にあった事実の合間に
シーマチカとカーチャのちょっとどたばたした
やり取りがあって
読んでいる私もちょっと一息。
とにかく大好きな本。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
この話は、最後まで読んで初めてタイトルの大きさが分かります。子どもの頃に出会えった、オリガ・モリソヴナというソビエト学校のダンス教師の過去の謎を大人になった主人公が解いていくという話。旧ソ、スターリン時代の粛清ってホント壮絶…。外国人と文通しただけで逮捕投獄なら私はとっくにスパイとして処刑されてます。今の日本に生きててよかったと心から思った瞬間。はー。
話全体は悲劇の匂いに満ちているかと思いきや、ソビエト学校の子供たちの様子やダンスのエピソードがとても明るいので嫌にならずにどんどん読めます。面白かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
かつて少女時代をチェコのソビエト人学校で過ごした
女性が、学校でもっとも強烈かつ多くの謎があったダンス教師の
過去を解き明かしていく物語。
人間性をはぎとられる戦争の悲惨と、
巻き込まれ、つぶされていく人々の悲劇。
それでもその中で立ち上がる、
生きることへの意志、
生きる希望を与えてくれる、ユーモアや芸術。
人間の強さと善さが描かれています。
この先中年になっても老いても、何度も繰り返し
読み続けるであろう本の一つ。
米原万里の本は、どれもそうです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
米原さんの作品で読んだのはこの本だけ。けれど大好きな作品です。
世界史で現代史を勉強し、その流れでスターリン時代というキーワードに誘われて手に取ってみましたが、時代背景を知っていればもちろんのこと、知らなくても本の世界に引き込まれます。幼少時代をソビエト連邦下(プラハ)で過ごした著者を、主人公の志摩に映したと推測できるほどリアリティーあふれる物語となっていますが、この推測はあながち間違いではないと思います。
著者が亡くなってしまったことは残念ですが、私のお薦めの本リストに必ず入ってくる作品です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
冷戦時代のなかで
賢く生き抜いた強い女性たちのお話。
これを読むと
どんな環境に追い込まれても
生きるための知恵と云うか
したたかさを持つことを
教えられます。
表面的な強さではない
真の強さに憧れます。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
主人公が少女時代、チェコプラハのソビエト学校で出会った舞踏教師オリガ・モリソヴナ。辛らつな老女だが天才的な踊りで皆を魅了したオリガ。大人になった主人公はオリガの半生の謎を追うのだけど、その中で明かされていく、過酷なスターリン体制下でのオリガの生き様・・・夢中になって頁をめくった。