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エッセイではなく小説の米原万里。
ソビエトの恐ろしい時代を生き延びた恩師たちの真実を探る物語。
ぐいぐいとひきこまれる。
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プラハのソビエト学校に通った日本人シーマチカが、当時の名物ダンス教師オリガ・モリソヴナの謎に迫っていく。
スターリン(ラーゲリの時代)−フルシチョフ(ソビエト学校当時)−ゴルバチョフ(小説の「今」)と重層的なソ連の歴史が響きあい、
フィクションでありながら歴史の事実が背景にある分(参考文献の膨大なこと!)、リアルで読み応えがあり、興味が尽きない。
オリガは実在の人物がモデルだそうだ。ドゥマゴ賞受賞作。本当に惜しい人が亡くなったものだ。
書店のAさんとの話題から読んだ。
ロシア語は世界で一番罵詈雑言の豊かな言語だそうだ。それって自慢しにくい…20090624
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2009.06.30〜 知り合いが面白いからって貸してくれたので・・・読み始める
2009.7.16 読み終わり
ソ連を舞台にした小説は、殆ど読んだことがないので、新鮮な感覚で読み終えた
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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだあと
この本を手にしたので、
簡単に入り込むことが出来た。
私は米原万里の媚びない文章が大好き。
上手に書こうとか、
読み手を感動させてやろうとか、
そういう意図がまったく見られないこの文章は
読んでいてとてもすがすがしい。
選び出された語彙の絶妙さと、
自身の体験に基づいた少女の細やかなこころの表現がとても親しみやすい。
わざとらしい形容詞の乱用もなく、
簡潔な言葉で伝えるべきことを伝える。
やはり通訳者ならではの文章なのだろうか。
人物描写もおもしろくて、
オリガ・モリゾヴナの風貌などは惚れ惚れしてしまう。
スリル満点の謎解き、
シリアスな歴史事件の裏にあった事実の合間に
シーマチカとカーチャのちょっとどたばたした
やり取りがあって
読んでいる私もちょっと一息。
とにかく大好きな本。
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この話は、最後まで読んで初めてタイトルの大きさが分かります。子どもの頃に出会えった、オリガ・モリソヴナというソビエト学校のダンス教師の過去の謎を大人になった主人公が解いていくという話。旧ソ、スターリン時代の粛清ってホント壮絶…。外国人と文通しただけで逮捕投獄なら私はとっくにスパイとして処刑されてます。今の日本に生きててよかったと心から思った瞬間。はー。
話全体は悲劇の匂いに満ちているかと思いきや、ソビエト学校の子供たちの様子やダンスのエピソードがとても明るいので嫌にならずにどんどん読めます。面白かった。
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かつて少女時代をチェコのソビエト人学校で過ごした
女性が、学校でもっとも強烈かつ多くの謎があったダンス教師の
過去を解き明かしていく物語。
人間性をはぎとられる戦争の悲惨と、
巻き込まれ、つぶされていく人々の悲劇。
それでもその中で立ち上がる、
生きることへの意志、
生きる希望を与えてくれる、ユーモアや芸術。
人間の強さと善さが描かれています。
この先中年になっても老いても、何度も繰り返し
読み続けるであろう本の一つ。
米原万里の本は、どれもそうです。
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米原さんの作品で読んだのはこの本だけ。けれど大好きな作品です。
世界史で現代史を勉強し、その流れでスターリン時代というキーワードに誘われて手に取ってみましたが、時代背景を知っていればもちろんのこと、知らなくても本の世界に引き込まれます。幼少時代をソビエト連邦下(プラハ)で過ごした著者を、主人公の志摩に映したと推測できるほどリアリティーあふれる物語となっていますが、この推測はあながち間違いではないと思います。
著者が亡くなってしまったことは残念ですが、私のお薦めの本リストに必ず入ってくる作品です。
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冷戦時代のなかで
賢く生き抜いた強い女性たちのお話。
これを読むと
どんな環境に追い込まれても
生きるための知恵と云うか
したたかさを持つことを
教えられます。
表面的な強さではない
真の強さに憧れます。
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主人公が少女時代、チェコプラハのソビエト学校で出会った舞踏教師オリガ・モリソヴナ。辛らつな老女だが天才的な踊りで皆を魅了したオリガ。大人になった主人公はオリガの半生の謎を追うのだけど、その中で明かされていく、過酷なスターリン体制下でのオリガの生き様・・・夢中になって頁をめくった。
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まったく認識していなく、米原さんの本を初めて読んだ。
もう、味わってない人も、この本だけは読んで欲しい。
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【あらすじ】
1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説、待望の文庫化。
【感想】
神。
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これほどまでに印象深い作品はない。
「ときにフィクションのほうがノンフィクションよりも多くの真実を語ることができる」
書評まさにその通り。
先へ先へと夢中になって、読んでも読んでも減らない頁がうれしくも、終わりがこないでほしいと懇願してしまうほど読み続けたいと渇望する。
スケールの大きさもさることながら、緻密なエピソードは圧巻。
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日本人留学生のシマが小学生時代を過ごしたソビエト学校では、
スキル、ファッション、鋭い舌鋒で話題の中心になる舞踊教師がいた。
彼女の名はオリガ・モリソヴナ。
彼女は罵倒の代わりに褒め言葉を使い、誉め言葉の代わりの罵倒を使った。
その「反語法」という独特の言葉遣いが、彼女の存在を印象付けていた。
成長したシマがロシアへ再来し少女時代を懐かしむうち、
オリガの過去の謎に気づき始める。
語り手であるシーマチカが個性溢れる教師や親友と過ごしたプラハでの少女時代、引き込まれた舞踏での成長と挫折のドラマ、少女時代を懐古しそこに埋まった謎を紐解く調査・インタビュー、調査の傍ら見えてくるソビエト時代の異質な社会構造。
青春・ミステリ・少女・歴史、色んなジャンルをこんなに欲張て詰めちゃうなんて面白い。しかも、どれもがこの一冊に必要で無駄がない。
そんなポトフみたいなこの一冊の中、読後に1番に残るのは時世のために不条理な状況に陥っても煌びやかな反語法をもってネガティヴな心を覆し、豪胆にしなやかに生きたオリガ・モリソヴナの強さ。
収容所での劣悪な生活の中、刃物類は全て奪われた彼女らがたった一本のピンを見つけ、その先端を研ぎ澄まし鋭利な針にしたものを肌身離さず携帯する。それは「自由」が与えられなかった彼女にとって、唯一手にした「生死の自由」を選ぶことのできる自害用の刃、それが奇しくも生きる糧になっている姿に打たれる。
酷い有様をあえて「至高のもの」と語り、遠まわしに皮肉るオリガの反語法、過激な嫌味にしか思えなかったこの反語法が彼女の生涯を辿ることにより生き抜く助けになっていた事を知る終盤は胸が熱くなりました。
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文化や芸術っていうのは、水や酸素、食物のように生命をつなぐために必要不可欠なものではないけれど、やっぱり生きていくためには必要で、大切なものなんだと思わせてくれた作品。
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普段あまり小説を読む機会が少ないのですが、この本には相当引き込まれました。冷戦時代真っ只中のソ連、謎に包まれた街の雰囲気や、そこに暮らす人びとの生活が目に見えてくるような描写がとても興味深く描かれています。また、話もサスペンス感満載で、主人公やその仲間達の行く末が気になって、なかなか寝させてくれませんでした。