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専業主婦の小夜子、営業マンの光太郎、中学生のかんな。
買ったばかりの家での穏やかな日常…そこから物語は始まる。
しかし、美容師の海斗からの営業メールが一瞬にして不穏な空気を呼んできて、読んでいるこちらはハッとする。
作者の他の作品のように、夫婦の小さな綻び…綻びとも言えないくらいありふれたものだけれど、決して真っ新にはできないもの、が事件を引き起こす。
一つの事件が終わり気を抜いたところでまたチクリとくるラストも相変わらず恐い。
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20140326 どうも嫌な気分になる本。登場人物が皆普通では考えない事をするからかもしれない。何故なのかについては説明は無い。怖いもの見たさで読んでしまった。
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要約すると、平凡な専業主婦が美容院の若い男のストーカーになっちゃう、という話。
でも、読んでいくうちに、相手の男を好きだからという理由ではないことがわかる。
人間が壊れてゆく過程は文章の流れで感じ取れるものの、
そのきっかけが何であったのかはよくわからない。
だからこそ、怖い。
タイトルの付け方も独特で興味深い。
作者曰く「自分 の意志じゃないところで、何かがどんどん動いている感じ」、
というのを「だれかの木琴」に例えたらしい。
感性が複雑だなー。
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最初は、あまり面白くないな・・・と思っていたのですが。
212ページ目からラストまでが、一気に面白くなります。
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書店にてジャケ買い。しかし、壮大な表紙とは裏腹に物語は小さな世界で完結してしまい、閉塞的に思えたまま終わってしまった。
ストーリーにも期待していたけれど、ストーカーになっていく心理がそこまで描写されているわけでもなく、敢えて描いていないというのもわかるけれど、周囲の人間の描写をもっと描いてもいいのではないか・・・。
結局のところは、夫に対する純愛を曲がった形で見せてしまう、という女性の物語なのだろうけどそう気付ける箇所も終盤にしかなく、読んでて退屈してしまった。
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人が道を踏み外す瞬間というのは激情にかられてなどではなく、案外何てことのないふとした一瞬にほんの少し逸れる程度なのだろうと思う。それが気付いた時には引き返せないところまでエスカレートしていくのだけど、自分の中ではそこまでの過程があまりにナチュラル、綺麗なグラデーションでありすぎるがゆえに、自分の異常さを自覚できないのではないか。
誰しもが本作の主人公になりうる壊さを感じつつ、物語のラストにぞっとした。
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主婦が美容師の青年にストーカーする話なのだが、突き進んでしまう自分を客観的にみている姿に、決して特殊なことではなく、日常の延長として書かれている。自分もあり得るかもと怖くなったり、痛いと思ったり。
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短い本なのになかなか読み進められなかった。結婚していても、あんなんじゃ寂しいね。
妻の台詞だけが、昭和初期の映画みたいで浮いている気がした。きっといろんな意味で浮いてるのかも。
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”オススメ文庫王国”からだったかな。帯を見ると、主婦が壊れていく話ってのは分かっちゃう。正直、要らん情報だと思うけど(前情報無しの方がきっと楽しめる)、それでも尚、淡々と進められる語りの妙によって、求心力の高い作品に仕上がっている。怖い内容って知らなかったら手に取らなかっただろうし、そういう意味ではある程度のネタバレは仕方ないけどね。で内容は、何となく歯車が狂ってきそうな”予感”を感じさせる序盤とか、実際にストーキング行為が始まってからの狂気を描く後半とか、それぞれに読ませられる。結局主婦が墜ちた真の理由はいまひとつピンと来ないけど、だからこそ、逆にリアリティがあったりして。
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何不自由なく暮らす専業主婦
物騒な世の中から家庭を守るために設置されたセキュリティシステムにいる自分は、家庭という名の箱に閉ざされた籠の中の鳥のよう
ある時訪れた美容院で担当した美容師との出会いによって主人公はストーカーという行為にはまってゆく
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それを愛と間違えるから がおもしろくて井上荒野
主婦がストーカーになっていくはなし
ていうあらすじと前情報がなかった方がおもしろかった
普通の暮らしをしている人もそれぞれ歪をかかえていて、ささいな拍子で後戻りできなくなっていく
ていうのを帯からじゃなく小説内でもっと感じたかったな
夫が妻の体じゃたたないから、日常で感じた小さいいやらしさをストックして今日はセックスしてやらなきゃなの描写が複数回でてきて居心地が悪いキモチ。ストックしたやらしさが絶妙に小さくて女のわたしなら気にも留めないシーンの切り取りでむなしさ倍増。
コロナバケーション ちゃりで30分走って大型ブックオフ百円コーナーにて購入
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すごい本だった。
小夜子は、自分がおかしくなっているということを、家族に気付いて欲しかったんだと思う。光太郎は生涯でたった一人の相手だし、かんなはたった一人の娘。特に趣味があるわけでも何かに特別秀でているわけでもない自分にとって、家族はたった一つの心の拠り所で、自分にはそれ以外には何もないと思っていたのかもしれない。海斗への執着は、海斗でなくてもよかったんだと思う。たまたまそこにいたのが海斗だったというだけ。海斗に執着し、奇行を繰り返すことで、日々感じている孤独感、寂しさ、焦りのようなものを家族に気付いてもらいたかった。わたしはこんなに狂っている。こんなに狂ってしまうほど寂しかったんだ、と、伝えたかったんだと思う。
素直に「寂しい」「つらい」と言うことの難しさ。試してもうまくいかなかったときの、本人にしか(あるいは、本人にすら)わからないねじれた感情と、そこからくる言動。わかってほしいのにわかってくれない(あるいは、わかっているのにわかっていないふりをされる)ことからくる絶望。そういうものを直接言葉にしないで、小夜子という一人の人間から醸し出させることで間接的に読者に伝える。読み終わって、小夜子の不気味さに眉をしかめながら、その一報で誰もが(もちろん自分自身も)小夜子になり得るという可能性に気付き戦慄する。
すごい本だった。
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営業メールからストーカーに変ってゆく。一歩道を踏み外せば、だれもなりうるかもしれない。小夜子の執着は、寂しさの現れか。映画では、平凡な主婦は常盤貴子で(綺麗すぎる)、もし、もっと地味な女優さんだったらどう違ってくるか。。
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*主婦・小夜子が美容師・海斗から受け取った、一本の営業メール。それを開いた瞬間から、小夜子は自分でも理解できない感情に突き動かされ、海斗への執着をエスカレートさせる。明らかに常軌を逸していく妻を、夫の光太郎は正視できない。やがて、小夜子のグロテスクな行動は、娘や海斗の恋人も巻き込んでゆく。息苦しいまでに痛切な長篇小説*
普通の主婦の、ただのストーカー物語。ではありません。
海斗へのストーカー行為がやけに淡々としているなあ、と思っていたら、本当に見て欲しかったのは夫だったのですね。巧い!
若い頃とは愛情の質や熱量が変わっただけなのに、その喪失に順応しきれなかった小夜子の幼さ。だからこその、好意を見せてくれた他者への執着行為。
構成も展開も心理描写も素晴らしく、エンドレスな予感の不気味なラストもこのお話には相応しい。ただ、この作品の醍醐味は、ひと歳取らないとわからないかもですが・・・
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この物語の主人公、親海小夜子(およみさよこ)はマイホームへ引っ越し夫、光太郎、娘のかんなと3人で暮らしています。
特に大きな「何か」があるわけでもないけれど日常のほんの隙間に忍び込んだ異質な世界へ進んで行く小夜子に不気味な狂気を感じました。
不穏な空気感が絶えず流れている様なストーリーですが、もしかしたら1歩間違えば誰にでも起こりうる様な事なのかもと思えて来ます。
理性だけでは抑えられない人間の不可思議な感情が如実に表現された作品で怖い反面、興味深く読みました。