紙の本
過度の安定を求めるのではなく、不安定を受け入れ操縦していく
2018/07/14 20:02
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投稿者:aki - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダヴィンチからライト兄弟まで、有人飛行機開発の歴史。
ライト兄弟までは飛行機の安定性が追及されていたが、ライト兄弟は違った。
乗っている人は、景色を楽しむためではなく、飛行機を操縦するために乗っているという当たり前のことに気づき、飛行機の安定性を放棄し、積極的で効果的な操縦することにしたことがライト兄弟成功の秘訣だった。
しかし、ライト兄弟の成功も長くは続かなかった。飛行機の釣り合いと安定、さらに操縦に天才的直観をもっていたのに、人世の釣り合いと安定の必要に思いが至らず、最後まで自分たちだけで世俗的な事件まで処理しようとして自滅した。
飛行機だけでなく、人生も同じではないか。
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『不安定からの発想』(佐貫亦男、2010年、講談社学術文庫)
航空技術史とそこから学べることや私たちの生活に応用できるものをひろいあげた書。ライト兄弟までの航空技術の歴史を述べた後、ライト兄弟が目指した、安定な飛行を得るための不安定な機体のエピソードから学べることを述べる。
航空技術史の話もおもしろかったのですが、「安定のために不安定を求める」という第2部が非常におもしろかった。正直者を力学的に考えるというような記述や、過度に安定を求めすぎると初動の機動性が失われるなどの斬新な記述が印象的でした。
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「ライト兄弟はなぜ、飛行機を飛ばすことができたのか」
その成功の要因は「安定の放棄」と「積極的で効果的な操縦」である。
『不安定である』ということを念頭において事を始めれば、自ずとやることは見えてくるし、自らで安定を生み出すように考え行動するだろう。
安定を求めるあまり、その場から動けなくなる前に勇気を持って1歩を踏み出そう!!!
航空工学のスペシャリストならではの発想に奮起を促される1冊。
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前半は「空を飛ぶ」と言うことに対して追求してきた人々(レオナルド・ダ・ビンチからライト兄弟まで)がなぜ失敗したのか、なぜ成功してきたのか、その活動内容を記したモノ。後半は工学的な見地から安定、不安定に対しての考察+そこから見える人生への教訓という構成。
興味深いのは安定を追求すれば素早い変化対応が困難であり、変化対応を追求すると安定からはほど遠くなるという点。絶対的な安定はないことから大切なのはほどよい安定と出来るだけ変化に対応出来るバランスということでこれは現在の社会に非常に当てはまると感じる。
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安定であるということはどういうことか。これを有人飛行の歴史を紐解きながら解説している。後半は安定であることを維持するにはどのようにすればいいかを力学的側面から解説したうえで、実社会との関連性を述べている。
この本を読んでいる最中に感じたことが、安定ー不安定の関係が“安心”や“ゼロリスク”の考え方にも通じているということである。著者の安定ー不安定の考え方をさらに掘り下げて知ることにより、それを“安心”“ゼロリスク”の考え方に対して言及できるように生かしたいと思っている。
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学生生活を送る中で,なんだか思い通りにならないな,と思うことはありませんか?飛行機にとって「操縦しやすい」ことと「安定している」ことは両立しません。この本には,大空を自由に飛び回るために知恵を絞った人類の歴史が凝縮されています。飛行機について思いを馳せることで,なにかヒントが得られるかもしれません。
*推薦者(工教)S.N
*所蔵情報
https://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00309150&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB
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社内の某推薦図書に上がっていたので、購入。ライト兄弟の飛行成功に向けた技術的側面から、何かしらの示唆を提供している、とおもったら大間違い。ライト兄弟の成功の前にあった、失敗の数々。ライト兄弟成功後の「失敗」を採り上げ、航空理論とに掛けた人生論・世の中論といった感じ。いちいち表現が面白く、軽いディスりが満載。
もとは1977年に発刊。著者が指摘している「安定が過ぎると方針転換が難しい」ということは、今の日本の現状にぴったり。いろいろ示唆に富む一冊であった。