akiさんのレビュー一覧
投稿者:aki

吉沢久子、27歳の空襲日記
2020/04/18 18:39
投げやりになっていく 戦争の恐ろしさ
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2019年に101歳でお亡くなりになった吉沢久子さんが,太平洋戦争中の1944年11月から1945年8月までに書いた日記。想像していたよりも物資はあったようだが,空襲が激しくなるにつれ,人々が投げやりな気持ちになっていくところに戦争の恐ろしさを感じた。梯久美子さんの『昭和二十年夏、女たちの戦争』や早乙女勝元さんの『写真版 東京大空襲の記録』も併せて読むと当時の状況がよくわかる。

一〇〇年前の女の子
2022/01/28 22:52
一〇〇年前に生まれた少女の生涯と暮らしの歳時記
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明治42年に生まれた寺崎テイの生涯を次女が聞き書きしたもの。その次女は雑誌『太陽』の編集長だった船曳由美。母の記憶もすごいがそれを聞いて文章にした娘もすごい。
季節の行事が詳細にかかれており、今はほとんど失われてしまった季節とともに生きる日本人の暮らしの一端が垣間見れて興味深い。

特許法入門 第2版
2022/01/28 22:46
特許法の最良の入門書のひとつ
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法学部学生や企業の知的財産部に配属された社員向けの特許法に関する基本的な情報を提供する入門書である。
次の各章から構成されている。
第1章 特許法への招待
第2章 特許発明
第3章 発明者
第4章 特許取得手続
第5章 異議・審判・再審・審決取消訴訟
第6章 特許権
第7章 権利の利用
第8章 権利侵害
制度の趣旨や目的、概念の定義が明確に記載されており、理解しやすいように配慮されている。
次のステップへの足掛かりとして、初学者にはややレベルが高い項目については、「ステップアップ」というコラムを設けて解説されている。
特許法を初めてしっかり勉強しようとする人にとっては最良の入門書のひとつである。
本書は令和3年の法改正を反映したものであるが、初版から7年経過しており、その間にも多くの法改正があった。法改正を反映した改訂版をもう少し短いサイクルで出して戴けるとありがたい。

材料系の状態図入門
2018/09/16 22:34
材料科学者の地図
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状態図は、材料開発、材料製造プロセス開発になくてはならない《地図》である。豊富な例を用いて、《地図》を読むための基礎から応用まで述べられている。材料を学ぶ大学生、若手研究者・技術者に薦める。

標準特許法 第6版
2020/05/20 18:05
特許法の基本書
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勤務先で知的財産を担当することになり購入した。
特許権侵害,特許権の利用,特許取得手続き,特許行政争訟など特許権に関する基本事項について,豊富な事例を用いて解説されている。基本書としてはこれ一冊で十分と考えられる。

知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く
2020/04/18 17:53
研究開発部門の成果を事業に結びつける際の知財の活用方法
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研究開発部門の成果を事業に結びつける際の知的財産(特に,特許と意匠)の活用に関して,そのポイントが具体的に書かれている。企業の研究開発部門,知的財産部門の人たちが読むべき本。重複する箇所もあるが,同じ著者の『技術法務のススメ』も併せて読みたい。

どもる体
2018/07/29 15:27
ことばではなく、からだがどもる
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吃音について、身体論からアプローチする新しい試み。なぜどもるのか、どもりそうな時どのように対応するのかなどを当事者へのインタビューを通じて明らかにしていく。対処法が症状にもなってしまうなど、当事者も気づいていない吃音独特の世界が垣間見える。

時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち
2017/11/26 20:13
価値ある地味な研究
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湖底の地層7万枚を4年もかけてひたすら数える。その間、論文発表なし。
なんと地味な研究。しかし、アフリカから地球の隅々まで拡散していく人類の歴史を知る上で非常に重要な研究。
国を越えての協力や競争もあり、ハラハラドキドキしながら読めました。

ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来
2016/05/22 11:06
科学者を目指す少年少女に
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「絶対音感」などのノンフィクションで定評のある最相葉月さんが、12人の博士にインタビューした記録。取材に際し、科学者としての自分に影響を与えたと思う伝記・評伝を1冊あげてもらってそれを切り口にして、科学者としてやってきたことや将来の夢について語ってもらっている。科学者がどんな生活をしているのかも伺い知れる。科学者を目指す人、とりわけ、少年少女に読んでいただきたい本である。
本書で取り上げられた恐竜博士佐藤たまきさんが2016年の猿橋賞を受賞するなど、著者の取材対象を選ぶ目にも感心させられる。

流れのふしぎ 遊んでわかる流体力学のABC
2012/12/07 20:39
流れの不思議な世界を体験
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誰でもできる簡単な実験で流れの不思議を体験できる。数式を一切使わず、流体力学を勉強し始める人にとって役に立つと思います。

世界がわかる理系の名著
2017/06/03 20:50
科学の古典を文系にもやさしく
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科学の発展に寄与した古典を紹介。世界がわかるというのは大げさ。
取り上げられているのは次の14冊:
1. ダーウィン『種の起源』
2. ファーブル『昆虫記』
3. メンデル『雑種植物の研究』
4. ワトソン『二重らせん』
5. ユクスキュル『生物から見た世界』
6. パヴロフ『大脳半球の働きについて』
7. カーソン『沈黙の春』
8. ガリレイ『星界の報告』
9. ニュートン『プリンキピア』
10. アインシュタイン『相対性理論』
11. ハッブル『銀河の世界』
12. プリニウス『博物誌』
13. ライエル『地質学原理』
14. ウェゲナー『大陸と海洋の起源』
それぞれ、
・書いたのはこんな人
・こんなことが書いてある
・その後、世界はどう変わったか
・エピソード
・教訓
・さわりピックアップ
について分かりやすく解説されている。理系のみならず、文系のひとも楽しめる。

日本美術を見る眼 東と西の出会い 増補
2016/07/09 11:19
浮かび上がる日本人の美意識
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日本美術にも造詣が深い西洋美術史の専門家が語る日本人の美意識の特徴。
われわれ日本人が当たり前過ぎて気づかないことを浮かび上がらせてくれる。
例えば、「西欧世界においては、美はある一定の基準を満たしているものという考え方が強く、そのかぎりで美は永遠不変であるが、日本人にとっては美とはむしろ時の流れとともに消え去りゆくもので、失われゆくものに対する愛情の思いが、美意識の重要な要素のひとつとなっている」との指摘は興味深い。30年以上前に書かれたものもあるが、今でも新しさは失われていない。

近世古文書解読字典 増訂
2016/03/19 21:18
古文書を読もうとする人が最初にもつべき字典
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日本語の古文書を読むための字典である。同じ字でも崩し方によってかなり異なって見えるが、多くの字体が掲載されており、どの字になるのか探すことができる。コンパクトなサイズの割に多くの例が載っており、初心者が最初にもつべき字典であると思う。

日本語のくずし字が読める本 入門
2018/08/26 00:38
くずし字を読むための入門書
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古文書を解読するためには、まず、くずし字を読めなければならない。本書の前半ではひらがなを取り上げ、元の漢字がどのように崩されているのかを豊富な実例をもとに示している。ひらがなのくずし字は意外と難しいので、自分でも書きながら覚えるのがよい。後半は、少し進んで、漢字かな混じり文の読み方は解説されている。
これから古文書を読もうとする方に適したくずし字の入門書である。これがマスターできれば、同じ著者による応用編に進めばよい。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
2018/07/14 20:27
失敗から学ぶ組織とは
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航空業界と医療業界を対比させながら、失敗から学ぶ組織と学ばない組織があることを豊富な事例を基に説明。事故があれば、その原因を徹底的に追求し、再発を防止しなければならない。そのためにどうすべきが述べられている。
さらに、事実を正しく認識するため、ある施策を取った時、その効果だけをみるのではなく、その施策を取らなかった時の効果も見なければならない。
失敗をうまく利用しながら、組織を強くしていくことが考えたい人には必読の書である。