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犯罪性が疑われる多くの死体が、解剖されることなく、又ずさんな検視による犯罪見逃しや冤罪も後を絶たないという日本の現状。
死因・解剖に限らず、わが国は、先進国にきちんとしたシステムがあるのに、それを学んだり取り入れたりしない甚だ憂慮すべき体質がある。
事実が知られ、それが広く認識され改善されていくためには、この本のような努力の必要性が痛感される。
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日本の死因究明制度に警鐘をならす本。とても勉強になった。
検視の具体的な方法は、CT、解剖、DNA鑑定などわかりやすく説明され、世間を騒がせた事件を例や、海外の制度と比較で解説されているため、一般の人でも問題点が理解できた。
異状死は行政検視だけで事件性の有無がわかるわけがない。
なのに日本では解剖がほとんどおこなわれていない。
それによって、冤罪や犯罪の見逃しが増え、保険金が適正に支払われず、伝染病を察知できないなど、問題点がたくさんある。
日本では死因究明制度が機能していないためである。
日本の制度は複雑になっていることが多々あり、これもその一つであろう。
もっと単純にして運用していかなくてはならない。
一昔前の日本では、地域のコミュニティーが強く、犯罪性の有無を聞き込みや自白など周りの状況である程度判断できていたため、今の死因究明制度で対応できていたのだろう。でも、都会では隣に住んでる人のこともわからないこの時代に、今の制度では不十分である。時代に合った、他の先進国に倣った制度が必要である。
ただ、それには費用の問題、遺族感情の問題が生じてくる。外国ではあまり問題にならないかもしれないが、亡くなったらきれいな遺体で早く葬儀を挙げたいのが日本の遺族感情である。その遺族感情を解決するには、国民が死因究明の重要性を理解しなくてはならない。啓発活動がまだまだ不十分である。
特に印象に残ったのは、
「医師のみがサインする書類にも関わらず、警察官の判断も加えなければ書けないはずの「死因の種類」の欄があることがおかしい。」
警察属託医として開業医が異状死を検死することが多いため、それぞれがもっと知識を付けなくてはならない。そして、この問題点を医師会が重要視して組織として声を挙げていく必要があると感じた。
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検死を取り巻く状況。問題点。
日本がこんなに酷い状況とは。
検死がなされないことで起こり得る、また実際に起きている問題と、じゃあ検死しようじゃんと簡単に言えない状況。
最後は、みんなで応援してね、というのが潔い。
しかし、自分の娘が仮に異常死したとして、死後に一旦解剖されることに耐えれるか。
逆に、本当の死因も特定されずに、ただ葬られるのに耐えられるか。
死んだら水に流す、的な日本人の心情みたいなもんもあるんじゃないかな。
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死因の解明に必要不可欠な解剖。それが異状死の大半に適用されないまま,遺体は火葬されていく。死因不明社会日本の現状を法医学者が訴える本。解剖の実際から諸外国の死因究明制度まで,豊富な実例とともに書かれていて,予備知識がなくても問題ないように工夫されている。
拙速に決めつけられる間違った死因は,犯罪や虐待の見逃し,致死的な製品不具合や感染症の見過ごし,損害保険金や賠償金の誤算定に直結する。「そんなまさか」という感じだけれど,著者の語る死因決定の実際の流れや,力士暴行死事件,湯沸し器CO中毒事件,首都圏連続不審死事件などを眺めていくにつれ,その深刻さが判ってくる。
患者を診て病気を治す通常の医学に対し,死体を調べて社会を守る法医学。その機能が十分発揮できるような制度・体制を整備するという法医学者たる著者の悲願がよく伝わってきた。
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以前、TVで海堂 尊が死体にCTスキャンをかけるだけで隠された死因が判明できるという話を聞いたことがあるが、本書を読むとそれだけでは不十分であり、逆にCTをかけたことにより、真の死因を見逃す怖れもあるという。以下、引用省略。
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20人もの死者を出したパロマガス湯沸かし器事件。死亡解剖をしてほしいという両親の願いを一顧だにせず却下した警察。もし最初に警察が最初の事故で原因をきちんと追求しておれば20年間も同じ事故は繰り返されること亡くなった19人は生きていたはず。相撲部屋の頑強な若者の早死にも同じ。警察官には解剖に回すのは手続きが大変で面倒くさい。捜査も大変といったことから、事件を犯罪性なしにしたい気持ちがある。明らかな病死以外はすべて解剖する国であればこのようなことは起こらない。警察へ届けられた遺体の解剖率は日本が5%。オーストラリアが54%でスウェーデンは89%。日本の死因はウソだらけ。あまりに悲しい現実だ。
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法医学の目線から日本の死体にまつわるエトセトラを語る本。
死体が警察主導で取り沙汰され、諸外国に比べて日本の死因究明システムが遅れているという筆者の主張はわかったのだが、法医のなり手はそもそもどれくらいいるのだろうか。
諸外国のようなシステムを導入するにはまだまだ法医学のなり手が足りないように思えるし、そもそも法医学教室のある大学がかなり少ないことを考えると、筆者の主張をかなえるには医学教育のあり方を含めた大掛かりなシステムの構築が必要なように思う。
もっとも我が国にそれだけの体力があれば、の話だが。
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海外の先進諸国と比べて、日本は死因特定に客観的かつ科学的証拠をあまり重視せず、江戸時代と変わらずに状況からの推量や自白などに頼るばかりのいい加減な検視がまかり通っているという。このため、火葬されてしまえば、医療事故も殺人事件もうやむやになってしまうという。
日頃から日本は本当に法治国家なのだろうか、と疑問に思っているけれど、この分野からも同じ警鐘が鳴らされていることを知りました。
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遺体を解剖し、真の死因を探るな法医学についての本。なぜ遺体の解剖が必要か、また日本ではなぜそれが少ないのかについての本。
アンナチュラルで見たなぁ、と思いながら、「解剖をする」までしないと見えてこないことが結構あること、その段階までいくことが少ないのが問題であること等々が提示されていた。