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ずっとそこにあったの刺さっていることさえ忘れていた指先の棘を、ふと逆なでして急にその存在を意識した時のような、そんな鈍い痛みを思い出しました。
今、ここにある人生と、もしかするとあのとき選ばなかったもう一つの人生と、どちらが良かったかなんて、そんな答えはきっとわからないのだろうけど。
田舎の町の小さな駅のプラットホームで「彼女」と出会った人たちは、今、自分が生きているこの人生をきちんと肯定することができたのでしょうね、彼女と出会うことで。
誰もが後悔の中で生きている。後悔という海の中を必死で泳いでいるのでしょう、誰もが、きっと。でも、後悔できるのも一つの幸せなのかも。だって、今、生きているのだから。
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なんてヒリヒリした小説なんだろう。
先日、たまたま著者のデビュー作「ゴールデンラッキービートルの伝説」を読み返し、そのあまりのヒリヒリ感に打ちのめされたばかりで。
全編に流れる、どうしようもなく、取り返しのつかない、癒えることのない痛みが、体中に染み渡る。
やらなかったことへの後悔のほうが多いという言葉にさらに打ちのめされる。
薄い紙ですっと指を切った時のような、やるせない痛さ。
ラストに向かって、ホームにいる彼女のことが少しずつわかっていく。リンクしている登場人物の背景が次第に濃くなっていく。
そういう、小説を読む楽しみのほかに、過ぎ去った季節に対する痛切な懐かしさがたまらなく愛おしく哀しい。
この人が紡ぐ物語が大好きだと思った瞬間。
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田舎町の小さな駅のホームにあらわれる制服姿の少女。見える人にしか見えない彼女が、出会った本人も忘れたい、心の奥に隠した本当の声を聞く。そのとき…。青春の残酷さと美しさを描く傑作。
始発電車の彼女
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「だって、あなたは私の子供じゃないの!」
私は叫んだ。
「親が子供を愛して、何かをしてあげることの、どこが悪いの!」
そうだ、私はなにも悪くない。なにもまちがってはいない。
ただ私は、あなたを愛していただけ。ただ、あなたに幸せになって欲しかっただけ。欲しいものをすべて与えてあげたかっただけ。お母さんが出来なかったことを、我慢していたことをやって欲しかった。私の夢を叶えて欲しかった。
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夏の間だけ駅のホームに姿をあらわす
セーラー服のオレンジ色の髪飾りをした女の子。
転校前に友達との関係を修復できた男子高生。
冴えないと思っていたクラスメートが、バンドで輝いていたこと、時計台に出ると噂を幽霊を見に行くことになったこと。
自分と一心同体だと勘違いしていた、亡くなった娘を思う母。
自分の人生を一生懸命過ごすことを、教えてくれたホームにいた彼女。
付き合っていた彼女にひどい振られ方をして、そのまま失ってしまった思い出。
容姿端麗、成績優秀だった当時高2の絢は
駅でストーカーに無残にも殺された。
絢と仲の良かった亜矢は、彼女を大切に思いながら自分自身を見失って、大学生のときに自殺未遂のすえに病院で寝たきり。
ホームにあらわれる幽霊(?)は亜矢。
最初に出てきた男子高生が亜矢の精神を肉体に戻してあげる。
映像化しそうな話である。
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「君は、本当は、誰?」
夏の小さな駅のプラットホーム。白のセーラー服にオレンジ色のリボンで髪を束ねた少女。時に彼女は煮え切らない思いや心の靄を抱えた人の前に姿を現し、何かしらの示唆を与える。
その駅では過ぎさりし夏の日に通り魔事件が発生し、命を経たれた少女がいた。
ファンタジーと言ってしまえばそれまで。後悔しない人間はいないけれど、だからこそ今日という一日を生きることの大切さを感じられる。
最終章がせつない。読了したあとにプロローグを読み返すと痛くなる。
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切ないお話でした。
最後のエピローグは読んでいて辛かったです。
無意識に人々を助けていた彼女が、1番助けを必要としていたのかもしれません。
どんな過ごし方をしても、それはその人にとっての1日として過ぎます。
ダラダラ過ごしても、忙しく過ごしても、泣いて笑って過ごしても、その人にとっての1日なんですよね。
毎日後悔の連続でも、そんな1日を確実に過ごせた事に、普段から感謝しようと思えた1冊です。
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「始発電車の彼女」
言葉足らずな忠告。
嘘か本当か分からない噂ほど、相手を傷付ける凶器になりやすいがそれを伝えるのも言葉の選び方を間違えれば信頼などを失うんだろうな。
「ヌー」
もしもの未来。
幽霊にお願い事をするなんて不思議なまじないに思えるが、何かしらその噂が広まる出来事があの学校であったからこそ場所は違えど長年生きているのだろうな。
「お母さんのシチュー」
あの時の後悔が。
親が子を愛することが悪いとは言わないがそれが子の足枷になっていたとしたら、それは少し行き過ぎた愛情であり子にとっては重荷にしかならないだろうな。
「黄金時代」
想像もしなかった一日。
彼女も無くし物の事でテンパってたとはいえ何故彼女を同行させたのか不思議過ぎる展開だったが、一生に一度ぐらいなら意味の分からないぐらい変な日を過ごすのもありかもしれないな。
「ほおずき」
花言葉の意味。
突然突き放されたら誰だって戸惑うだろうが、サプライズの誕生日プレゼントがとある花に似ていてその花言葉を知っていたら彼女自身もとても戸惑っただろうな。
「最終電車の彼女」
彼女を殺したのは。
ちょっとした過ちが大きな事件に繋がってしまい結果彼女は亡くなってしまったが、それは彼女のせいではないが少し違えばと後悔してしまったのだろうな。