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街道をゆくシリーズの中でも、特に面白い一冊。特に巻末の李登輝との対談は各方面に影響を与え、今現在も学術界では語り草となっている。
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台湾旅行の前の予備知識として。
日本人として、台湾のみならず歴史を知っておくことが必要だと強く思った。今の台湾の親日ムードを「台湾の人は日本が好きなんだーありがと!」なんて表面だけ見るんじゃなくて、そうなった背景を知って、そのうえで台湾と向き合わないと、何かを見誤りそう。
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1993年7月から翌3月まで週刊朝日に連載。
「街道をゆく」シリーズのなかでは珍しく現在進行形の政治問題に切り込み、当事の総統李登輝氏と国土や愛国心について対談し、大問題になった著作である。
総統李登輝氏はそれまで国土や愛国についてのデリケートな問題について発言すれば大きな国際政治問題を巻き起こすことを恐れて、極力触れずにいた。それが本著での対談で、歴史の大家の前では心の奥の厚い魂を吐露してしまったというのが背景にあろう。
素晴らしい内容の本で、NHKの「街道をゆく」では唯一映像化されていないのが残念極まりない。
安野光雅氏のスケッチも、情景を見事に表現され素晴らしい。
台湾旅行の前から読み続け、実際の情景と人情、雑踏、匂いや暑さを体験して、ようやく帰国後読了。
国とは、人とは、歴史とは何か。そして愛とは。
大国の間を長い間揺れ動いた台湾を本著は俯瞰することで、司馬氏が危険を顧みず問題を浮き彫りにしました。鋭く切り込んだことで世界に台湾を知らしめ、政治的に悪い影響ばかりが起こったのではなく、事実を知ることで深く世界の理解が進んだと確信します。
司馬氏そして李登輝氏に心よりの敬意を表します。
以下、印象に残った文章
・李登輝さんは、以前、台北市長(官選)に就任したとき、「誠、公、廉、能」を自分自身の基本態度にした。
・香港や東南アジアの華僑は工業を好まず、手っ取り早く金儲けができる金融業や不動産業、相場を好むのである。台湾人が、無骨にも製造業を好むというのは___日本人の影響だという言うが___際立った特徴といえる。
・「植民地というのはトクな面がある。その本国のいちばんいい所が植民地で展開されるからだ」
・小さなホテルの食堂で、台湾史の一端を考えつつ、この国のゆくすえを思った。(省略)太陽が桃の花の蕾を開かせるように、ごく自然に、台湾における”空想”の部分が消え、現実の島と住民に根ざした国が、生物学的なおだやかさで才誕生する時代がくるのに相違ない。その再誕生にあたっては、海外のいかなる勢力も容喙しない、というのが、自然というもののめでたさである。
・山地人は、若い人はともかく、諸族間では言語が通じない。だから諸族間の交渉は、いまなお日本語が用いられるという。この地球上で、日本語が「国際公用語(?)」である唯一の例は、台湾山地人のあいだでしかない。
・「高砂族」と日本時代によばれてきた台湾山地人の美質は、黒潮が洗っている鹿児島県(薩摩藩)や高知県(土佐藩)の明治までの美質に似ているのではないか。この黒潮の美質というべきものは、男は男らしく、戦いに望んでは剽悍で、生死に淡白である、ということである。
・1895年から五十年間、台湾は日本領だった。1945年に分離するまで、そこで生まれて教育を受けてきた台湾の人々が濃厚に日本人だったことを、私どもは忘れかけている。
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司馬遼太郎の文章に癒される。
台湾の歴史を知り、理解すれば、日本の明日が見える。
日本と仲良くしたい国と付き合うことを真剣に考えてもいいのではないか。
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50年間日本に実行支配されたにも関わらず、台湾には親日家が多いのは何故なのか。という素朴な疑問があり手に取った一冊。
大きな歴史的な流れはもちろん、ミクロな視点で台湾の歴史が、人々の言葉を通して語られているのが印象的だった。
面白いのは、この紀行文が連載された当時、台湾はまさに歴史的な局面を迎えていたことで、巻末の当時の国家元首李登輝氏との対談もとても興味深い内容だった。
司馬さんが、好意的な印象で綴る人物像は、読んでいて気持ちが良い。
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この本を読むのは2度目となった。再読した要因は複数ある。数日前に台湾を旅行で訪れたこと、早稲田大学・江正殷氏の「台湾を知る」を受講した後であったこと、台湾のひまわり学生運動を調べた後であったこと、KANOや天空からの招待状が上映中であることと数をあげればきりがない。とにもかくにも台湾の歴史的背景を、ここでいったん整理しようと思い立ったのである。
本書は台湾の全貌を知りたい人にとってのバイブルといっていい。週刊朝日誌上で連載が開始されたのが1993.7.2とある。いまから20年以上も前となり、やたら「グローバル化」が唱えられる現代社会では、時代の趨勢が移り変わっているように思われるが、今から読んでも現代とリンクしている話題は非常に多い。先日「台湾を知る」では、李登輝総統が目指した「中華民国在台湾」と、そこから発展した「中華民国是台湾」の考え方習った。つまり台湾が独立した民主主義「国家」に至るプロセスを「中華民国到台湾」も含め、「到」⇒「在」⇒「是」で形容していた。その一連のながれを本書では知ることができる。もっとも、司馬遼太郎氏と李登輝元総統の対談が1994年であり、まだこの時点では民主化が現在進行形の印象は否めないが。
ともあれ、思い立ったが吉日。KANOや天空からの招待状を見る前に。台湾へ旅行に行く前に。はたまた台湾人と付き合いたいと考えている前に。要因は何でもいい、台湾と何らかのかかわりをもちたいと思っている人は、その表面上を漂っている好奇心に、ちょっとだけ肉付けをする意味で、ぜひ本書を手に取ってほしい。
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なにか特別なできごとがあるわけでもなく、著者の見聞きしたことがらがひとかけらの感想とともに淡々としたためられているだけなのだが、著者の目線のなんと温かく、愛惜に満ちたものであることか。
過去に50年間同胞であったという記憶を、両岸で大切にしている人々がいると知るだけで、慰められる。
日台友好進展を心から望む。
今さらながら、司馬遼太郎という作家、というか文明評論家を失ったことは、我が国の大きな損失である。
先の震災を乗り越えるに当たっても、羅針盤となってもらいかった。
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琉球と台湾がチベットやウイグルと重なる。帝国主義の大波が小国を呑み込む。戦争の勝敗を分けたのは戦術よりも武器の進化であった。科学の進歩は戦争によって花を開かせてきた。第一次世界大戦(1914-1918年)では迫撃砲・火炎放射器・毒ガス・戦車・戦闘機が登場した。第二次世界大戦(1939-1945年)は空中戦の様相を示し、ドイツの弾道ミサイル「V2ロケット」が生まれ、アメリカの原爆が日本に止(とど)めを刺した。二度の大戦は戦争を国家の総力戦に変えた。
http://sessendo.blogspot.jp/2015/11/40.html
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時は蒋経国が亡くなって数年がたったばかりのこと。台湾は着々と民主化が進み、大陸は大陸で勃興する気配はまだない。今となってはちょっと昔の話だけれど面白い。これだけ日本語を話す人がいる頃に旅をしてみたかった。
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2016年11月に台湾に行った。台湾の事をより知りたくなったので読んだ。
司馬さんが台湾を訪れたのが1993年くらい。当時の台湾は、民主化から日が浅く、大陸出身でない人間、つまり台湾人が初めて国のトップになってからいくらも経っていない時だった。この紀行は、その当時の、司馬さんの目、つまり外から見た台湾を、教えてくれる。司馬さんの目…というのは、司馬さんが書いたんだから当たり前なんだけど、それこそがこの本の一番の魅力と思う。司馬さんの目から見た台湾、を当時の日本人から見た台湾、と言い換えてもいいかもしれない。なぜなら2016年11月に自分が行った台湾では、この本に書いてあることは(知識不足は大いにあれど)ほとんど感じなかったから。アジアのお隣さんで、日本のものに溢れてて、気さくで親切な国、だったから。
台湾という国、と暮らす人々、はきっと司馬さんの頃から変わっていないけど、自分が知らない台湾が、台湾紀行には書いてあった。
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【司馬さんがゆく 台湾編】『竜馬がゆく』等の作品で、若い世代の間でも変わらぬ人気を獲得し続けている司馬遼太郎が、台湾を歩きながら感じたことを綴った作品。「国家とはなにか」という大きな問いを手掛かりとし、歴史の奔流の中をたくましく生きてきた台湾について考えを巡らせていきます。
ときには広く名も知られていない個人と、国家や民族、そして歴史という大きな思念の間を、鷹揚に、そして自由に行ったり来たりしながら思考の幅を広げてくれるとことが司馬作品の魅力だと思うのですが、本作ではその魅力が台湾という彩りを伴って、格段に増しているように感じました。これからも『街道をゆく』シリーズに手を出してみようかなと。
〜「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」と、大きな瞳を据えていわれた。たずねている気分が、倫理観であることは想像できた。考えてみると、彼女の半生をひとことでいえば、水中の玉のように瑩として光る操なのである。こういう人の前では、答えに窮したほうがいいとおもった。〜
考えのヒントをこんなに与えてくれる土地も珍しいのではないか☆5つ
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親日国台湾の地理と歴史を巡る記録。
歴史の中で主権者が数度変わる数奇な運命にありながらも、立派に自立しようとしている。
読後に思ったのは、なんて可憐な国なのだろう、ということ。
しなやかであり、それでも折れることがありながらなお発展を続ける。
日本の心、中国の精神性、原住民の気質、それらが混ざり合い、しかもそれらがきちんと住み分けできているように思われる。
簡単に「親日」と割り切れないものがあるのを感じた。著者が高齢の女性から「日本はなぜ台湾をお捨てになられたのですか?」と問われるシーンは考えさせられた。
台湾は国ではないという主張がありますが、絶対に台湾は一つの国です。
他の国の一部ではありません。ということは言い続けたいです。
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なんだか文章が固くてほかの街道をゆくのようにすらすらと読みすすまなかった。台湾の歴史については、考えさせられた。巻末の李登輝総統との対談は、大変良い内容だった
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もう実は2年以上前に読了した本なので、詳細はすっぱり忘れてしまいました。
だとすれば読んだ意味はあるのかという大きな疑問が湧きますが、大変に面白かった。それに今後台湾のことを考えるときはまた再読しよう、と。(そういう意味では電子書籍といのが非常に便利です。場所を取らないし、痛まないし、出先ででもパッと再読できる上に、単語検索で部分読みも可能なので)
司馬遼太郎さんが語る世界史、というのは本当に美味しい読書です。世界史昏かったので、毎度鮮やかに世界の認知の解像度を上げてくれます。
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台湾のアイデンティティとは。
司馬遼太郎さんの考察と李登輝さんなど台湾の著名人と議論する内容は面白い。