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タイトルが絶妙。
ストーリーや登場人物に大きな魅力はなかったけれど、
「火星に住む」に込められたニュアンスが好き。
2016/2/3 再読
読み進めるのが辛かった前回よりは、少しだけ慣れる。
最初は嫌いなキャラクターでも人間味を帯びることで、好きになれるから不思議。
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震災後の伊坂さんの作品で、いい感じの方向を感じました。村上春樹さんとは違った手段の表現。
タイトルのデビット ボウイの曲、なんとなく知ってたけど、こんな詩だったのか。ツンツンと来ました‼️
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(2015/02/28読了)
タイトルを見たときはSFモノかと勘違いしたが、これはこれて楽しめた。
伊坂さんの中にある、権力や国家に対する不満や恐れを、ゴールデンスランバーやキャプテンサンダーボルトとはまた違った視点で描いた作品だと感じた。
国家単位ではなくとも、会社などの組織では、似たような現状がある。
個人的にはキャラクターにもう少し個性があってよかったと思うが、前半、視点がコロコロ変わり人物を把握するまでに時間がかかった。
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最初からかなり心臓がえぐられる気持ちになった。
ただ進むにつれ、つっかえるものを残しつつ善い人と犠牲者の区別をさも自分に問われている感覚になる。
中々後味の悪さがぬけずにいつ、光が見えるのか?もしくは漆黒の闇から脱け出せないのかとハラハラさせられ、結末はそこか~と鼻の奥から声が漏れてしました。
探求心、恐怖心、痛い所を突かれる、、色々な方面からくすぶられた。
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面白い。やっぱり伊坂幸太郎だ!最初読み始めた時どんどん場面が変わってなんのこっちゃと思ったけど、うまくすべての伏線を回収するあたりはさすが伊坂幸太郎。あっぱれ!
今回は中世の魔女狩りさながらに、平和警察なるものが見せしめのために悪人を公開処刑する話なのだけど、魔女狩りよろしく魔女だと疑われたが最後、魔女じゃないと言えば拷問され殺されて、魔女だと言えば処刑される。どっちにしろ助からない。平和警察も同じで完全に冤罪にも関わらず酷い拷問をし罪を認めさせる。警察は本当に正しいのか?世間に流れているニュースはコントロールされたものではないのか?何が真実なのか?伊坂さんらしいテーマだなと思った。
今作の例えばなしは虫に例えることが多くてとてもおもしろかったし、武器は磁石と斬新だし、『全員は助けられない』はそのとおりだと思った。
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伊坂作品にしては珍しく個人的に不快感ある内容が続いて、どうなることかと思ったけど、ある一人のキャラクターが出てきて一気に空気が変わって、また暫くすると読み始めに近い不快感が襲ってくるんだけど…。なぜか読み終わると満足してる、っていう。おそらく再読するであろう作品。
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もう、苦しくて苦しくて。
でも伊坂さん作品やからきっと大丈夫、大丈夫、って自分に言い聞かせながら読み進めた。
現実世界に近いけれど、少し違う物語の舞台。いまの世の中もこうなる危険をはらんでいる気がして、とてもこわくなった。
きっと大切なのは「たかをくくらないこと」「大きな力を疑うこと」ゴールデンスランバーも、魔王も、火星に住むつもりかいも、同じメッセージがこめられてる。
そのふたつを忘れずに、「生きてるみたいに生きる」のだ。
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伊坂さんにしては珍しくタイトルの効きがもう一つ。勧善懲悪足り得ないラストに、妙なリアリティーとやるせなさを感じて、現実を憂えてしまった。
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相変わらず伏線の張り方と収れんのさせ方は流石だが、本作は、他の作品に連なる権力に対する不信感から描かれるダークサイドストーリーではあるが、いつもの話のそこかしこにある、憎めなさとかほっとする部分が少ないので読むのは辛い。タイトルから軽いSFの様なものを想起して手に取る向きにはすすめられない。
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さっぱり内容が想像できないタイトル。ところが、読み始めてすぐに、薄ら寒くなる設定に顔が引きつった。伊坂作品とわかっていなければ、読み通せなかった。
舞台は「平和警察」制度が施行された日本。推進者は犯罪が減ったことを力説するが、その実態はかつての特高警察を彷彿とさせる恐怖組織だった。平和警察が危険人物と見なせば、その人物の人生は終わる。拷問にかけられ、公開処刑を待つのみ。
持ち回りで指定される「安全地区」が、宮城県に回ってきた。安全地区で何が起きるかというと、住民が相互に監視し、密告する。危険人物の一丁上がり。ろくに捜査などしない。平和警察にはいたぶるのが大好きな人員が揃っている。こんな設定、笑えねえ…。
こんな無茶苦茶な制度がまかり通る、絶望の世界。ところがある日、何者かが平和警察庁舎に侵入。警察官を殺害し、被疑者を連れ去った。威信に関わる事態に、東京から捜査官が送り込まれる。「正義の味方」は、特異な武器を使用しているらしい。
「正義の味方」は誰でも助けるわけではない。助けた相手の共通点は何か。平和警察は片っ端から連行する始末。「正義の味方」が動くと、さらなる被疑者をどんどん生む。いくらエンタメ小説とはいえ、おいもっとしっかりしろよと思ってしまう。
しかし、終盤が近づき、その正体が明かされると…。この男に1人で立ち向かえというのも酷だよなあ。そして、平和警察は男をあぶり出そうとする。いつもの仙台駅東口広場で、「彼」は公開処刑にかけられようとしていた。打つ手はあるのか。
うーむ、確かに意外な結末ではあったけれど、これであっさりひっくり返るのかねえ…。慎重に慎重を期したというのはわかるけれど、その間にもどんどん処刑台送りになるわけで、何だか読後感がすっきりしないのだった。
とはいえ、いつもの伊坂作品の得意技とは違うひねりを見せてくれたのは評価したい。何より、100%絵空事と笑い流せなかった。ここまで極端な事態は来ないと信じたいが…ネットの発言くらいはチェックされていると思った方がいいだろうね。
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伊坂さんらしい、大きな公権力をテーマにした本書。前半はなかなかエグいしキツイ。
そこから、とある人物の登場で物語の雰囲気がガラリと変わり、しかし後半どうなっちゃうの!?と思ってたら最後はニヤリとしちゃうカンジ。
伊坂作品のこのニヤリとしちゃうカンジがたまらなく好き!
結果的に大満足。
やられました。
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そんなに、この国が嫌なのだったら、海外にでも逃げるかい?
それでも、そこは所詮、社会の延長上でしかない。
だとしたら君は、火星に住むつもりかい?
タイトルは「火星に住むつもりかい?」だけど、火星は全く関係ありません。
伊坂幸太郎いつも通り、仙台が舞台です。
伊坂幸太郎の小説は好きだけど、悪党の小気味よい話や、最後に救いのあるいい話も多いけど、暴走する不気味な公権力を描く話も好きだ。
もちろん、一番知られているのは「ゴールデンスランバー」、テロの容疑をかけられた無実の主人公が、ひたすら逃げる話。
そして「魔王」は選挙のある候補者の言う事があまりに急進的なのに聴衆はそれをおかしいと思わないのに対し、超能力を持った兄弟が密かに対抗する話。
「モダンタイムズ」は魔王の、その後の世界。監視社会を描く。
さて、本作「火星にすむつもりかい?」は、そんな不気味な公権力を描く流れの作品である。
警察に「平和警察」が組織された。平和警察は一年にある地区を「安全地区」に指定する。
そして、近隣住民からの情報を基に危険人物をあぶり出し、一年に3回、公開処刑を行う。
一回目の公開処刑は、せいぜい1人か2人。しかし、二回目三回目は人数が跳ね上がる。
魔女狩り。平和警察に連行された人たちは帰ることが無い。
「まさか、普通の人だと思っていたのに」
彼らは、テロリストだったのだ。一般市民は、その事に疑問を抱かない。
今年度、安全地区に選ばれた仙台では一回目の処刑が終わり、二回目の時期も近づいていた。
しかし、容疑者連行の際に何者かが平和警察を襲った。一体、誰が。メンツをつぶされた警察は血眼になり「正義の味方」の犯人捜しを開始した。
「正義って何なんですかね?」
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正義ってなんだろ
善悪ってなんだろ
なんだかやり切れない
現実の事件でもそんな風に感じるものが増えてきている。気のせいじゃない。
「世の中には、悪なんて存在しません。全部が、正義と言ってもいいくらいで。」
という台詞が印象的で怖かった。
そうなんだ。本当に怖いのは悪いことをしてる自覚のある犯罪者よりも、自分が正義と信じて疑わないテロ集団とかサイコパスの方だし。
人が違えば正義も悪も入れ替わることがある。
そのうえ、この作品では善行に対しても疑問を投げかけてくる。
善意と偽善。
宝くじの話とか、火事の話とか、少し話を大きくしてはいるけれど、こういう信じられない話はたぶん、本当に、ある。
しかも、今回の物語、
いわゆるヒーローは出てこない。
ヒーローっぽい人物は出てくるんだけど、
実は内面はあくまで普通の人で、
動機も正義感だけではなかったりもして。
なんだか、こちらまで一緒に悶々としてしまう。
真壁鴻一郎は作品中で1番印象的な人物。
飄々としてて、愛想は良いがちょっとした言葉の端に冷淡というか冷酷というか温度の感じられない台詞を平然と吐く。
擬態していたとはいえ、彼は正義とは違う気がする。良くも悪くもフラット。偏った振り子のバランスを整えただけ。
もしかしたら、人間より虫に近いのかもしれない。
ありえないストーリーにも妙なリアルさがあって
荒唐無稽とも思いきれない怖さがあるし
「何がどう変わろうと、別に、世の中が正しい状態になるわけじゃないけどね」
の言葉も真理のようで怖い。
正しくあることだけに固執しすぎると、
前述の正義とは何かの命題でつまづいたり、
視野が狭くなって自分の正義と他者のそれとが大きく食い違っても気がつかないという悲劇が起こりかねない、
だとしてもやっぱり、正しくありたい、善くありたいと思ってしまう。
世の中が正しい状態に近づけるように、と考えることは間違ってはいない、と思いたい。
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系統としては「ゴールデンスランバー」的な感じ。
個人的には結末はすこしもやもやした終わり方だったかなーと。
ただ前半からしばらくは悪(だと個人的には感じる)のワンサイドゲームのようで歯痒い思いで読んでましたが、最後に安心、読めそうで読めない展開には伊坂節が存分に発揮されてた気がします。
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うーん。最後のまとめ方はさすが伊坂幸太郎。ただ、最近思うのだが、伊坂幸太郎の本は読んでいると凄く面白く、スイスイと読んでしまうのだが、あとで、あの小説はどういう内容だったっけ?と思うと、思い出せない、そんな作品が多いような気がする。
話は逸れたが、内容は、かなりありえない状況で、警察が危険人物と捉えた人物を市民の前でギロチンにかけ、処刑する。その方針に異議を唱えるものが、陰で動き…。
表向きには自分の知り合いが処刑されるのを防ぐために正義の味方となって、警察組織に対抗する男が現れ、物語を展開していくのだが、やはり、警察の方が一枚上手で、最後には処刑される側になるのだが、事態は意外な展開をみせる。
伊坂幸太郎の作品は、人間のエグい部分や、グロいシーンなどがあっても、その文体は飄々としていて、あまり深く感じないのだが、結構怖いことを書くなあと改めて感じました。
最初にも書いたが、残らない作品かもしれないが、面白いのは間違いなし。読んで損はないと思う。