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著者の時代劇に対する熱い気持ちがひしひしと伝わる。気がつけば時代劇を見なくなっていた。単調でお決まりにのパターンで飽きたことに理由があるが、その原因がよく分かった。監督、脚本家、役者の不在…。
技術の承継ということも念頭において頑張って欲しい
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いやあ、久しぶりに熱いのを読んだ! 高野秀行さんが「こんなに悲しくも面白いレポートは珍しい」と紹介していたのだが、まさにその通り。著者の悲憤がストレートに伝わってくる。
著者は1977年生まれ。おやまあその若さで時代劇研究家?と思うのだが、その「時代劇=高齢者向け」という状況こそが今日の惨状を招いたのだと著者は言う。若者が見ない番組に大手スポンサーはつかない。何故若者は時代劇を見ないのか? ずばり「つまらないから」。じゃあ、何故時代劇はつまらなくなったのか?
撮影所が下請け化し技術も停滞している・時代考証をやかましく言い立てることで表現が窮屈になっている・人気者に頼るドラマ作りで、時代劇をやれる役者がいない・プロデューサーも監督も脚本家も、時代劇というものをよく知らない人が多くなっている……、著者のあげる理由にはすこぶる説得力があって、こりゃほんとに時代劇は瀕死だなあと思わされる。
確かに近年の時代劇といえば、「水戸黄門」に代表されるお約束的ワンパターンのものばかりが思い浮かぶ。かつてはそうではなかった、現在を舞台にしたのではありえない絵空事になってしまうような、ギリギリの厳しい状況での人間ドラマを描ききった秀作が数多くあった、滅びようとしている時代劇について、ノスタルジーではなく語りたい、この思いを共有したい、という気持ちがほとばしる一冊だ。
俳優や監督、番組等について、名前を挙げて厳しく批判している。でもそれは「ためにする」ものではないから、イヤな感じがない。最終章に書かれた、このところのNHK大河への批判には、うなずくところが多かった。まったく「江」はひどかった。上野樹里ちゃんが主演するというものだから久しぶりに大河を見る気になったのに、なんじゃこりゃ~!これ本気?ギャグじゃないよね?って感じで。まあテレビドラマが見るに堪えないのは時代劇だけではないわけだけど。
このままだとそう遠くないうちに時代劇は死ぬと著者は言う。それでも自分なりにこの状況と闘いつつ、「春日。お前は間違っている!」と現場から(作品という形で)声が上がることを願っていると書かれていて、心からの言葉なのだと思った。
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日本映画の盛衰と一蓮托生だった時代劇。失われたものへの憧憬を綴るのでなく、実証をあげて羅列された多くの問題点は強い説得力を持って存続の危機を訴え、エンターテインメントとして維持するための処方箋にもなっている。なにより行間には時代劇への愛着が溢れんばかりだ。
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時代劇がマンネリ化していった原因、大河ドラマが平板化していく過程、時代劇が陥っていった衰退の渦をひとつひとつ解きほぐし、唇を噛み締めながら詳述した本。論評対象が実名なのも素晴らしい。
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時代劇は好きだったが,観なくなった.今でも骨太の時代劇があれば,観ることもある.この本に書かれていることは,何となく時代劇に魅力を感じなくなっていた自分の感覚とすごくフィットする分析だった.
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愛ゆえの苦言。
時代劇の現状について、厳しくも冷静なる分析。
が、これはおらが国の邦画全体について、テレビ番組について、いや芸能界全体についての諸問題に対しての警鐘でもある。たまたま時代劇が炭鉱のカナリアだっただけで。
時代劇そのものに対しての需要は、決して落ちてはいない。それは封切り映画に足を運び、場内な雰囲気を体感しているからわかる。
がっかり時代劇を連打していたら、そういったファンがどんどん去ってゆくのではないか。そりゃあかんって。
海外にも愛好家はたくさん居るのだし、製作側にはもっと広い視野で臨んでいただきたくもあり。
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分析は平板なのだが、個人的には色々考えさせられた。時代劇が本質的にファンタジーなら、今、その遺伝子は漫画やラノベに息づいていて、「るろうに剣心」がその後継者なんだろう。
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数年前にテレビ時代劇、「水戸黄門」が最終回を迎えた。これで時代劇のレギュラーテレビ番組は全滅した。かつて「銭形平次」、「遠山の金さん」、「大岡越前」、「暴れん坊将軍」などテレビ欄を占めたこともあった時代劇は滅びつつある。なぜそんな状況になったのか。著者の分析によれば、視聴者側と製作者側の問題がある。
視聴者側の問題とすれば、近年になってテレビ視聴率が年代別に算出されるようになったことだ。時代劇はそれなりの視聴率を取っていたが、その視聴者は50代以上であることが数字上はっきりしてしまった。企業は、お金を使いたがらない高齢者しか見ないテレビ番組には提供したがらない。スポンサーがつかない番組が消えていくのは必然だ。
そして、製作者側。著者いわく、時代劇とは一種のファンタジーであり、時代考証はほどほどにして悪い奴を正義がやっつける。そんな単純な展開が観る側に爽快感や感動を与えるのだ。それは、テレビ時代劇もクロサワや勝新の映画もそうだ。しかし、今はリアリティーにこだわり、当時の社会を忠実に再現し、悪役の都合までも描いてしまう。「正義は勝つ」ことにこだわらなくなった時代劇は、それだけを望むファンも失ってしまった。
と、冷静な分析をする著者だが、時代劇愛があふれるあまり、実名で俳優や監督、作品を貶しまくってるのもご愛嬌か。岸谷五朗に対しては、相当お怒りのようだ。
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過激だと言われているのかもしれないが、時代劇ファンなら大抵の人が以前から思っていたことを書いてくれたまでの内容だと思う。全面的に同意。時代劇ファンの気持ちに、時代劇を作る側の人が気づくことはあるんだろうか。
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内容こそは時代劇について書かれていますが,エンターテイメント業界の盛衰について幅広く適用できる書物です。
例えば今はイケイケでクールジャパンとまで呼ばれているアニメ業界ですが,低賃金で酷使されるアニメーターや売上重視の会社など,問題がそのまますぎて,時代劇の歴史をトレースするのでは!?と思います。
時代劇と言う一分野に長く身を置いてきた作者だからこそ,このように深く考察した本が書けるのだな,と思いました。
時代劇好きじゃない人でもお勧めです。
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時代劇がほとんどやらなくなった今どうしてこんなに衰退したのかどうか論じた本。役者と制作サイドを経済的な支えみたいなものがなくなったせいでどんどんとクオリティーが下がったという意見はほぼ同意。まあ、それは時代劇だけじゃなくて、他のテレビ番組に言えることだけどね。あと、大河がどんどんと朝ドラ化している、主人公中心過ぎてつまらなくなっているという批判も頷ける。特に去年の軍師官兵衛はとてもひどくて見れなかったよ。
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時代劇を深く愛するがゆえの痛烈な批評。
もはや死に体の時代劇を延命するよりもむしろ介錯することを選択した筆者の断腸の思いが伝わってくる。
費用対効果ばかりを追求し、目先の数字(視聴率)にとらわれるあまり、小手先で制作され続ける時代劇の劣化再生産のサイクルは、現代社会のシステムそのものにも当てはまると思った。
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なぜ時代劇がつまらなくなったのか、というとひとことでいえば『慢心』と『放棄』だと思う。
これらが複合して、今のような時代劇がつまらなくなったという状態になったのではないかと本の中に答えとしてある。
【本文】http://ameblo.jp/skycafe-ac/entry-11991012159.html
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いまも細々と作られ続けられてはいますが、凋落した「時代劇」の現状に至った理由を辛過ぎる眼差しで次から次へと指摘するとともに、逆にそこから著者の「時代劇」に対する深い愛情が感じられる一冊です。
自分もこどもの頃から時代劇は大好きでして、よく観ていた記憶があるのは大川橋蔵の『銭形平次』、東野英治郎の『水戸黄門』、中村梅之助の『遠山の金さん』『伝七捕物帳』、里見浩太朗の『大江戸捜査網』、杉良太郎の『遠山の金さん』『新五捕物帳』、高橋英樹の『桃太郎侍』などで、そのほか観ていた憶えがあるのは中村敦夫の『木枯らし紋次郎』や勝新太郎の『座頭市』、萬屋錦之介の『子連れ狼』『鬼平犯科帳』などがあります。また、NHK大河ドラマも記憶がある加藤剛の『風と雲と虹と』以来、毎年ずっと見続けていまして、こうやってみると自分もかなりの「時代劇」ファンであることを再認識しました。(笑)
振り返ってみると、錚々たる俳優による時代劇ドラマを、昔は数多く放送していたのだなあとしみじみ思うところでありますが、著者の言う通り、いまでは演技もおぼつかない、自分の知らない若手俳優陣ばかりが主役を張っていて、明るい画面でアットホームな雰囲気のドラマをたまに見せられても、ちっとも面白さに浸ることができないです。
著者は「時代劇」とは時代設定を過去にすることでファンタジーな世界として魅せることができる現在進行形のエンターテインメントであるとしていますが、自分も全く同意するところで、かつての多作や脚本のマンネリ化により、時代劇=ワンパターンなドラマと捉えられてしまったのは、製作の怠慢であり誠に残念なところであります。
本書では時代劇の構造、役者、監督、製作などといった様々な切り口にて、「時代劇」の問題点を小気味よいほどに明らかにしていますが、これは日本のテレビドラマそのものの問題点であるといってもよく、ドラマ制作に携わる人々の大いなる欠陥を示したものであるともいえます。「時代劇」に限らず、このような質の劣化がところどころでみられるのも構造的であるがゆえに、今後もテレビ界では繰り返されていくのでしょうね。
個人的には『水戸黄門』を成立させていた構造とか、京都撮影所の話とか、NHK大河ドラマの路線変更の話や、使えない俳優の名指しなどがとても興味深く面白かったですが、特にNHK大河ドラマについては、昨今のファミリー路線はまあほどほどなら許せるとしても、刹那的な楽しみのみ追求するアホな評論家の口車に乗ったのか、演出の大仰化、脚本のご都合化や不自然な物語展開、主役不在の若手大量投入など、ドラマそのものの質の低下を苦々しく感じていまして、1話完結のもはや「大河」なドラマとはいえない状況に暗澹たる気分となっています(特に『天地人』『江』あたりは酷過ぎて噴飯ものだった)・・・。いや、昔の大河も脚本のご都合化や不自然さはあるにはありましたが(山岡荘八原作の場合は特に目立った)、これは主演俳優の演技力というか魅力というか器量でカバーされていたものと思いますが、いまはそのようなこともないですね。(泣)
気が付いてみると、いまもCSで時代劇専門チェンネルを観ていることが多く、��者の示す通りやはり昔の時代劇は面白さが満載されていたと思います。多様化の時代に「復活」ということまでは無理としても、せめて質の高いドラマの提供だけでも何とかならないものだろうか・・・。
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面白かった。目から鱗というか何というか。このまま時代劇がなくなってほしくはないが、最近の民放ドラマの惨憺たる有り様を見るとあり得る話だな。