投稿元:
レビューを見る
編者がやたらと辛辣で作者が可哀想になる3冊目の選集
寓話というより大人の童話な作風は好み分かれるのはよくわかるが
すべすべとざらざらの間でなんとかまっとうできたSFという分野の力は
不要だけど必要だと思う
『荒寥の地より』をSFでなく同じようにかければすごくよかっただろうけれど
それよりも『たんぽぽ娘』の最後にかんどうする方が広く訴求する娯楽には違いない
投稿元:
レビューを見る
SF成分の摂取。飯田橋の書店のフェアで見つけたのだっけな。
初めての著者だったけど表題「たんぽぽ娘」「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」「ジャンヌの弓」あたりが好きだったな。ロマンスの方がうまくまとまってる気がするんだよなぁ。いやオチがつきやすいからすっと入ってくるという話かもしれない。
そうか。全編訳者の厳選した傑作だから、どれもしっかりまとまってるんだ。一定の完成度が担保ぽされてる。実際どれも読んで面白かったし、ギミックや世界観に唸った。ただやはり短編だから、「こじんまり」綺麗にまとまってる感もあって。物足りない感もあったのかな。その中でスパイス的にハッピーなロマンス要素があるもののいくつかが、特に個性を感じて印象に残っているって感じ。だと思う。
投稿元:
レビューを見る
青春SFを書かせたら世界一のヤング先生による名短編集。こういう心温まるどんでん返しが得意な作家は、たまにシリアスなの書いてくるからギャップがまた素晴らしい。
生死観を交えた話もあれば、「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」のようにディックっぽい話も収録されているのでバラエティ豊かな一冊だと思う。
投稿元:
レビューを見る
ロバート・F・ヤングが送るSF短編集。全体的にハッピーエンドが多くロマンチックな作品が多い。
「特別急行が遅れた日」
SFでよくある「小さな世界」の短篇。そのネタ自体はオチまで読まずとも察しのつく読者は多いだろう。日常的な日々の中のちょっとした変化と、被造物がこの階層からなる小さな世界とその創造主を意識した所で短篇は終わる。変化はまさに神のいたずらであり、いつもと変わりない日々が固定されているのはゾットするのを通り越して諦観にも似た気持ちを抱いてしまう。
「河を下る旅」
表題作を除けば個人的にはこれが一番面白かった。謎の河下り。薄々その理由に気がついているがそこから目を背けている男女。とどのつまりは三途の川であり、河の上での会話、土手にある宿で泊まっての身の上話などが走馬灯として繋がっていく。途中の自殺の途中であることが分かってからの文字通り急流のようなストーリー展開が見どころである。最後は自殺をきっかけとして二人は運命の出会いを果たすわけだが、ホッとすると同時に非常に美しい終わりであった。最も短篇らしい短篇であり、完成度は高い。
「エミリーと不滅の詩人たち」
詩を読むアンドロイドとそれに魅せられた補助学芸員の話。詩を読むアンドロイドという設定が素晴らしく、そうした芸術は必要とされず、より分かりやすいものほうが喜ばれるという苦悩はとても生々しく嫌というほど理解できる。詩人のアンドロイドを救う方法が、展示物の車に乗車させるという解決策はとてもミラクルで、まさに博物館で働く人間らしい企画とアイデアの勝利であろう。余談だが、「詩の世界の空が落ちてきた」や「エミリーも詩人たちと同じ船に乗っている」などの訳文が雰囲気とあっていてとてもいい。染み渡る一本である。
「たんぽぽ娘」
流石の表題作というだけあって素晴らしいSF短篇である。突然丘の上に現れたタイムトラベラーだと名乗る若い女。そんな彼女に恋をしてしまい、逢瀬を重ねる主人公。彼の知らない不安を目に浮かべる妻。三者三様の思惑が絡み合った恋の物語で、丘の上に現れた若い女の正体が、彼の妻の若い頃だというオチが素晴らしく、まさしく時を超えたラブストーリーである。昔に会っていたからこそ、その日その瞬間に恋に落ちることを妻は知っており、その恋が本物であることを証明するために若い時の主人公と会って結婚する……しかし主人公がその日に恋に落ちることは、すでに決定された未来であり、そこから先のことは分からない。妻の長年の不安の正体が明らかになると同時に、主人公の恋も成就するというアクロバティックなアイディアであり、これはもう思いついたもの勝ちだろう。
「第一次火星ミッション」
子どもの頃のバローズ的世界観の空想的な火星の旅。大人になって宇宙飛行士になり、本物の火星に行くと、そこで子どもの頃になくしたナイフが落ちてあり、それをそっと埋め直す。子どもの想像力は無限であり、ひよっとしたら現実も捻じ曲げてしまう力があるのかもしれない。
だいたい印象に残ったのはこの三篇で、全体的に読みやすい短編集だった。えげつない結末やソリッドな作品はほぼ皆��だが、センチメンタルなアイディアが冴え渡っており、有名作品と言うだけあって一読の価値のある作品集である。
投稿元:
レビューを見る
ボーイ・ミーツ・ガールもののSFということだが、どうもべたべたしたものに感じられてしまって、あわなかった。タイミングが合えば、もっと感興をそそられることもあり得たかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
安心して読めるSF。皮肉ではない。
どこか暗い背景を持ち、不穏な雰囲気が漂うが、結末は…安心します。
投稿元:
レビューを見る
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
最近読んだ「ビブリア古書堂の事件手帖」で出てきたこのセリフと本。いつだったか聞いたことがあると思って検索してみたらヒットした「CLANNAD」の一ノ瀬ことみのセリフ。その「たんぽぽ娘」の短編を読んでみようと思って手にした本。
SF×純文学みたいな感じって言えばいいのかな。純文学にはほとんど触れてきてないので間違ってるかもしれないけど。
SFの設定は面白いのもあるけど、全体を通してみたときには設定のパターンができてしまってて後半は結構ダレる。妙に頭でっかちなSFの部分と、妙に爽やかな恋の部分がいまいちかみ合ってないのも多いかな。たぶんこれは同じ作者の話をまとめて一冊の本にしまったことが間違いだった気がする。続けて読むとそれぞれの話の面白さが半減してしまう。
個人的には「河を下る旅」が好きだった。
投稿元:
レビューを見る
ビブリア古書堂で「たんぽぽ娘」を知り、井上一夫訳の「たんぽぽ娘」を読み、この本を手に取った。
「特別急行がおくれた日」
「河を下る旅」
「エミリーと不滅の詩人たち」
「神風」
「たんぽぽ娘」
「荒寥の地より」
「主従問題」
「第一次火星ミッション」
「失われし時のかたみ」
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」
「スターファインダー」
「ジャンヌの弓」
以上13の短編が収められている。
目的はやはり「たんぽぽ娘」にあった。
本書の訳者は以前読んだものと違い、伊藤典夫氏である。
翻訳者が違うと、やはりどこか質感が変わるもので、私は伊藤訳の方が好きだ。
細かい表現がわかりやすいし、ロマンチックな場面はより素敵だと思う。
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という表現も伊藤訳だ。
ストーリーはすでに知っていたのではあるが、何度読んでもいいものだと思う。
他の作品はどうだったかというと、「たんぽぽ娘」に負けない作品ばかりだった。
嘘偽りなく、本当にどの作品もよかった。
その中であえて挙げるならばと思っても、「河を下る旅」、「神風」、「主従問題」、「ジャンヌの弓」と絞りきれない状態だ。
世界観と情景描写はとにかくわたしをわくわくさせるし、物語からは切なさと安らぎの両方を感じられる。
それでいて、二番煎じにはならない。
これだけの物語をこんな文章で書けるのなら、さぞ執筆活動は楽しかったことと思う。
死の前日まで次回作の準備をしていたというのも、それが理由の一つではないだろうか。
とにかく他の作品を読みたい。
しかし、4つの長編と200の短編のうち、日本で翻訳された作品はそう多くはない。
あとがきによると、伊藤氏は次のヤングの短編集を計画しているようだが、彼もすでにご高齢である。
…私は英語ができない。
もし英語を読むことができれば、いくつかの作品は手に入る。
「たんぽぽ娘」の原文を味わうこともできる。
さて、どうするか。
投稿元:
レビューを見る
「ビブリオ古書堂の事件手帖」で題名を知り、図書館で見つけたので読んでみました。河出書房新社から出されている奇想コレクションの1冊で装丁のきれいな本。表題作を含む13篇の短編集です。
特に好きなのは「河を下る旅」「エミリーと不滅の詩人たち」「神風」「たんぽぽ娘」。
「エミリーと不滅の詩人たち」は一種の企業小説で博物館の補助学芸員が詩人たちを助ける話で終わり方がイキ。「河を下る旅」と「神風」は極限下におけるボーイミーツガールの話。特に前者は人生も捨てたもんじゃないことを思い出させてくれる小説と思います。
13篇の中で一番面白かったのは、やはり「たんぽぽ娘」。美しいSF小説です。中年男が未来から来たという若い女性に恋をします。「おとといは兎を見たわ、昨日は鹿、きょうはあなた」というフレーズの響きが好きです。ストーリーの展開、ラストが印象的。ネタバレになるので、内容は書けません。
個人的にSF小説は苦手ですが、それでも寝る前に読んで何となく甘い気持ちで寝付くことができました。特に「たんぽぽ娘」は読む価値があります。
投稿元:
レビューを見る
たんぽぽ娘が日本人にはよく刺さると聞いていたが、自分も好みの作風だった。
少女、時間旅行、再会という、こういう物語に弱いのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
女子好みのSF、13篇。
こんなに可愛いSF作品集を読んだのは初めてかも。
「特別急行がおくれた日」
「河を下る旅」…男女2人が天国か地獄か、あの世行きの川下りで出会って。。
「エミリーと不滅の詩人たち」…陰キャ女子と詩人@博物館。
「神風」
「たんぽぽ娘」…最後に書きました。
「荒寥の地より」
「主従問題」…家のドアから幸福そうな異世界へ…と思いきや。今も昔も異世界は憧れなんですね。
「第一次火星ミッション」…少年たちの宇宙の旅。宇宙への旅の書かれ方がほのぼのしてて良い。
「失われし時のかたみ」
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」
「スターファインダー」
「ジャンヌの弓」…未来の王子様が少女を迎えに行く、ようなお話。
最後に、NO.1はやっぱり表題作の「たんぽぽ娘」です。
「『ビブリア古書堂~』かぁ。読んだことない。」と思いつつ読了。
話がもう可愛いすぎる。少女漫画。キュンキュンする。でも、読み終わった後に、「あれ?これ読んだことある…。」と過去のデータを探しました。
2013/6/14発行のこの作品のみの本で読了していました!このときにも「ビブリアは未読」と書いていて笑ってしまいましたが、表紙が(おそらく)同一人物の女性なんでしょうけど、同じ女性とは思えない(;^ω^)
https://booklog.jp/users/kei1122/archives/1/4835449479
投稿元:
レビューを見る
奇想コレクション
「たんぽぽ娘」時空を超えた愛の物語。
ロバート・F・ヤング作品では「時が新しかったころ」もおすすめ
投稿元:
レビューを見る
表題のたんぽぽ娘は読めたけれど、その他は昔のSFで、なんか眠くなる。
読み進めるのが少し億劫でなかなか読み進めない。
解説読むと著者さんなんかあれな人みたいだし。
投稿元:
レビューを見る
たんぽぽ色の髪の未来から来た少女。
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
「たんぽぽ娘」の、甘く切ない読後感。
SF作家ロバート・F・ヤングの短編集。
古臭さを感じさせない作品もあり、楽しめます。
投稿元:
レビューを見る
『たんぽぽ娘』を含むロバート·F·ヤングの短編集。
私は、アニメCLANADで出てきたフレーズに『たんぽぽ娘』という作品があると聞き、当時読もうとしたら、絶版で高騰してました。
その後、他作品で取り上げられてりし、再翻訳された走りがこの作品だったと思います。
当時私も、これは読まなあかんやろということで、発売日に買ったこの作品。
実は買った当初は『たんぽぽ娘』だけ読んで、そのまま10年寝かせていたみたいで、本棚から見つけて、今度は全部読んでみるかということで、読んでみました。
まず、率直な感想は良く言えば玉石混交、悪く言えば『たんぽぽ娘』以外ほぼ駄作だなと思いました。
なんなら中学校2年生が、俺が考えた凄い設定を考えたノートに書いていそうな内容だなと思うものも…
短編でいわゆる雑誌に書かれた読切みたいなものが多いので、設定がわかりづらいというのもあるし、時代は1960年〜80年代というのもあって、私が、生まれる前のアメリカなので、文化や出来事がピンとこないというのもあるのかもしれません。
ただ、この中でもやはり圧倒(というか、日本人向け?)なのが『たんぽぽ娘』だなと。
その他『河を下る旅』、『ジャンヌの弓』、その時の時代が分かれば、『主従問題』が好きかなと思います。
惑星が出てきたりするやつは良く分からんまま終わってかなぁっていう印象です。
テーマというか、短編に共通しているのは、ロマンス(特に少女愛?割と成熟した女性には厳しい傾向があるような…)、アンチ戦争、反絶対君主みたいな指導者、セックス(種の保存?)があるように思いました。
『たんぽぽ娘』が会心の一撃みたいな作品だったんだろうなと思いながらも、基本は雑誌掲載で短編を書いていた作者ですので、書きたいものに当時の流行りのものを無理矢理取り入れ感もなきにしもあらず、当時の雑誌の読者層に合ってたものがこういう作品だったという可能性もあり、当時はこういう作品が雑誌に溢れていたんだろうなと思いました。
今読むと当たり前で古臭いで一蹴できてしまいそうな古典SFの短編集ですが、発表から50年くらい経った今でも、これは良いなと思える短編が何作かあって、なかでも『たんぽぽ娘』は今読んでも素敵な短編だと思えるだけでも本当は凄い作品なんだなと改めて思いました。