紙の本
駅も奥が深い。
2018/11/17 23:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何気なく通過している駅。
構造やサインにたくさんの工夫がなされているのですね。
駅なんて通過点だし、どうでもいいやと思っていましたが、これからは気にとめてみようと思います。
投稿元:
レビューを見る
駅の「パブリック・デザイン」はいったい何のため・誰のためにあるのか、それをわかっていないから、渋谷駅のような惨状が出来するのだろう(行ったことないけど)。
「駅」に関係する人は必読の書といえる。
投稿元:
レビューを見る
まずは表紙の絵を見てほしい。
少し細かいので見にくいかもしれないが、これは営団地下鉄(当時)大手町駅の案内図で、著者が関わったプロジェクトで作られたものだという。
駅の入り口から電車に乗るまでの一連のサインが白と(千代田線のカラーである)緑を基調としているのに対し、電車から降りてから駅の出口までは黄色を基調としたサインとなっており、分かりやすい。
私は普段から東京メトロのサインは他の鉄道会社よりも分かりやすいと感じていた。特に、ホームに続くエスカレーターの上に掲げられている停車駅案内図は、ホームの左右どちらの電車に乗ればいずれの方角に向かうのかがすぐに分かって便利だし、また路線ごとのカラー分けも明確だ。
初めて駅を利用する人にも分かりやすいようにデザインすることの重要性は普段から感じていたが、この本の第1章を読んでそれを再認識させられた。
第2章第1節では、その営団地下鉄大手町駅のプロジェクトについて書かれている。このプロジェクトは成功を収め、その後、著者がデザインしたサインは営団・都営地下鉄のすべての駅で採用されることとなった(また他社のサインにも影響を与えている)。しかし2004年の民営化以降は、案内図の中で広告料を支払った花屋や書店の名前が赤字で強調されるなど、ユーザーにとって分かりにくいデザインに「改悪」されたようである(第5章第4節で分かりにくくなったデザインについて書かれている)。
私にとって新たな発見だったのは、望ましいデザインとは分かりやすい案内図すらも必要としないということ。千代田線国会議事堂前駅は自然光が地上から下層階まで差し込む吹き抜け空間となっており、遠くからでもすぐにどちらが移動方向か分かるため、移動方向を示すサインを一台も必要としていないという(p.105)。駅のデザインとは、単にこの本の表紙にあるような案内図などのデザインにとどまらず、駅の空間も非常に重要であることが分かった。
この本では空間のデザインが悪い例として、半蔵門駅が紹介されている。改札階からホームに降りる階段が壁で覆われており視界が開けず、そのためホームの様子が上からは全く見えない。ゆえに「ゴーッという電車が入ってくる音がしたので慌てて駆け下りたところ、逆方向の電車だった、などとのことが日常的に起きている」(p.209)という。これは日常生活の中でもよく経験しているので、思わず納得させられた。
第4章では海外の各都市の駅のデザインが紹介されている。ここでは、各都市の駅の様子を順に少しずつ紹介し、写真を並べて掲載しているだけで、結局全体として著者が何が言いたいのかが分かりづらい。それぞれの説明も少なく、やや不満が残る内容であった。
都市別に分けて書くのではなく、良いデザインや悪いデザインの要素について説明した上で、その具体例として各都市の写真を紹介したほうが分かりやすかったのではないかと思う。
新書ながらカラーで写真も多く掲載されており、デザインについて新たに知ったこともあり、ある程度は満足している。ただ、この本はすべてカラーというわけではなく、白黒のページも少なくない。ゆえに写真が見づらい���ージもあったのが非常に残念であった。また、議論が少し色んなところに飛びがちな気もした。著者が全体を通して何を伝えたいのかがやや分かりづらかったのも少し残念である。個々の話題が面白かっただけに、もう少し全体の構成を工夫すれば著者の主張がより読者に伝わりやすい本になっていたと思う。
それにしても、デザインは面白い。
この本を読んだ後、街を歩きながら色んなデザインに注目するようになった。そして街のデザインをどのように変えていけば良いのか考えるようになった。このような視点を持ち合わせる人が増えれば、自分の住んでいる街はもっと良くなっていくであろう。
投稿元:
レビューを見る
営団地下鉄やつくばエクスプレスなど、さまざまな駅のデザインに長く携わってきた著者。その制作物を振り返り、デザインの意図をまとめた一冊。
何かを提案する時には、「必然性」が必要だということがよくわかった本だった。決してデザインに限ったことではないけれど。どうしてここは赤色なのか、この形状にした意図は何か、など、すべてに筋が通っていなければ、プロの仕事とは言えないのだと。
著者はまず「駅の役割とは何か」というところから問いかけを始める。電車に乗れれば良いのだ、とは考えない。人々が気持ち良く過ごせて、憩いの場にもなり得る場所…。それが著者が考える理想の駅だそう。そのビジョンがあるからこそ、筋の通った提案ができるのだ。誰に何を言われても揺るがない、自分の核となる部分をしっかり持っておくことは、仕事をする上でとても重要なことだろう。
投稿元:
レビューを見る
僕は仕事柄全国を鉄道で旅をしていて思うことがあるが、日本の駅は大抵醜い。東京駅や、新宿駅に見られるようにそもそも構造が人に親切でなく(東京駅などまだ新線増設でさらに駅構造が立体化される!)、それに輪をかけるように不快な空間設計、広告なのか何なのかわからない案内・誘導サインにあふれていて、一体自分がどちらに向かっていって良いかわからない。誰でも大きなターミナル駅で迷った経験の一度や二度あると思うが、それはあなたが悪いわけでも田舎から出てきたお上りさんだからでもなく、駅が悪いのだ。まさしく、列車に乗ってもらうのではなく、乗せてやるという鉄道会社の意識そのものが駅自体に現れている。
そうした酷い駅の中でも感心するような駅が有り、みなとみらい線各駅や、改装後の横浜駅は迷うこともないし、比較的快適だと思っていたら、著者が案内サインや空間設計で関わった案件だった。
本書は、過去の営団地下鉄の案内サインの基本設計(東京メトロになってから醜いけど)やみなとみらい線、つくばエキスプレスで同様の仕事を行い、公共交通機関の案内・誘導サインや空間設計に関わって来た著者による、駅設計への提言を一般向けに記した物だ。
著書の中でも述べられているが、都市のターミナル駅を鉄道会社にのみあるいは会社毎に管理、設計させることに社会的な資本の損失がある。駅周辺の都市再開発が行われることが多いが、駅その物がそこに組み込まれることは先ず無いが、駅そのものの快適さや構造が都市計画自体に組み込まれ、都市と駅での思想が統一されたデザインの上に成り立つことが理想だろう。ダンジョンなどといって面白がっている場合ではないのだ。それは単純にこの国の文化的な後進性の結果でしかない。
今後、高度成長期に建設された様々な公共施設が(それには駅舎も含まれるはずだが)老朽化し、大規模な補修や作り直しが必要となってくる。そうしたときに本書で指摘された視点や考え方が反映され、つまらなくて苦痛な通勤の通過点でなく、この国の文化を表すような空間になってくれれば良いと思う。そうなれば僕くの出張も少しは楽しくなってくるはずだ。
投稿元:
レビューを見る
筆者は 1972 年から営団地下鉄の案内サインを設計した。本書のテーマは、駅に関し、大きく案内と空間構成から成っている。
案内については、営団地下鉄での成果をまとめた設計マニュアルが、全国で統一されている方がわかりやすいという思想のもと提供され活用された。
その後、横浜駅で乗り入れ五社を一体として捉えた案内が日本で初めて実現したが、その過程でも、JR 東日本の上位層から他社線の案内を拒絶する偏狭な妨害がなされたことが紹介されている。JR 他社でも、他社線への乗換案内より自社系列ホテルや商業施設の案内を優先し、利用者が必要とする案内がなされていない例が示される。
また、営団地下鉄が民営となった時、広告のために案内システムが破壊され、回復困難な状態にあることも知らされる。
空間構成は、日本ではごく僅かな例外を除いて無視されてきており、営団地下鉄はその最たるものであることが諸外国との対比で示される。
利用者にとってわかりやすい構成を仙台地下鉄で提案したら、建設省につぶされた事例が紹介される。その後、首相官邸の隣の営団駅で、理想に近い空間を作れた事例が示される。ここは時間を経てもその状態を保っている。
その後、福岡市の地下鉄新線、みなとみらい線、りんかい線などが、利用者の視点に立った駅設計をしている事例が紹介される。
最後に、首都圏を主な事例として、日本の鉄道の路線名称を中心とする案内が、地域限定の「ローカルコード」にこだわるあまり、外部の利用者にはほぼ理解不能である状況が指摘される。
一例として、田園都市線―半蔵門線―東武伊勢崎線と直通運転が行われているのに運営者ごとの名称が使われていることが挙げられる。利用者にとっては一つの線であり、その運転系統に識別子を付ける方がはるかにわかりやすいことが提案される。
さらに、日本語話者以外に理解されるユニバーサルコードとするためには、使えるのは英字 A-Z と数字 0-9 の 36 文字とごく少ない色だけであることが指摘される。首都圏の事情を考え、英字は一文字だけで 7-8 種に限り数字は二桁まで使う路線コード体系が提案される。
空間構成は一朝一夕に変えられるものではないが、路線コードを含む案内体系は、旅行客だけでなく現にその街に住む利用者への案内も含めて早急に体型立てる必要があることに同感である。このためには、高い視点でのマスタープランが必要であることが指摘されている。
著者が適任であると思う。
投稿元:
レビューを見る
駅で確かに迷わなくなったな、という本。
駅デザインの第一人者が半分オナニーダケレドモ駅デザインについて解説している新書。ど素人だったので、出口=黄色ってことにも改めて気づいた。大きな駅という空間に対して、印象や使いやすさをおおきく左右する細かな配慮が散りばめられていることに若干の感激を覚える。機微を理解せず金を渋る役人との戦いもおもしろい。
新宿紀伊国屋で購入。
投稿元:
レビューを見る
北陸新幹線開業に沸き立つ富山駅。他方、今もなお様々な苦情が寄せられている。正確さと安全性は世界トップレベルにある日本の鉄道であるが、デザインレベルは意想外に低い。欧米の構内写真を見れば一目瞭然。愕然とさせられる。本書では空間構成と案内サインの両面から、分かりやすさと心地よさを体感するためのデザインの手法が紹介されている。ページの半分は写真とイメージ図で構成されており視覚的にストーンと入ってくる。なかなか飽かせないつくりこみになっている。
投稿元:
レビューを見る
仕事に関係にある本として読了。魅力ある沿線を作っていくためには、どれだけ駅をパブリック空間として大切にするかが重要ということを学んだ。トータルでコンセプトとデザインをパブリックのために考えること。
収入になる広告を安易に貼るものではないこと。我が身に言われている気がしてドキッとした。
また、元来日本では駅の設計を基本土木側が行い、最後に建築側が内装のデザイン検討となってしまう現状があるため、どうしてもデザインに限界があったこと。そしてそれを打破した事例など。
この本では色んな事例が載っていたけど、ここのプロジェクトの具体的な進め方などはわからなかった。著者の赤瀬さんの講演とかないかなぁ〜ぜひ聴いてみたい。
投稿元:
レビューを見る
この本を読み終わったのは、普段あまり使わない新宿駅に行く途中の電車の中だった。
実際に新宿駅に降り立つと、なるほど本書で指摘されている通りサインが見辛く、サインを目を凝らして見ていれば後ろから突き飛ばされ、また駅の出口もわかりにくく(「高層ビル方面」などという案内を作った人間を小一時間説教してやりたい)、各社各線がまとまりのない乗り換え表示を出している、実にわかりにくい駅であると改めて実感した。
ただし筆者の理想とする駅が終端駅ばかりであるので、それらの終端駅と新宿や渋谷のような途中駅(この呼び方が正しいかはわからない)を同列に比較するのは無理があると思う。
投稿元:
レビューを見る
駅というものを建築的な視点から見ると非常に面白い。
日本の駅は初めてそこに来た人にはなかなか分かりにくい造りになってることは間違いない。そんな駅を例を交えながら紹介してくれていて、非常に楽しく読めた。
駅が商業施設となる現在、ますます分かりにくくなってることには違いない。
パブリックな空間にマーケティングが持ち込まれると、その空間はパブリックではなくなる。そこにいる誰でもが気持ちよい空間にすることが、パブリックデザインのあるべき姿とわかった。
統一された記号や、自然とどこにホームがあるのかわかるシステムを作ることの必要性を感じたのと同時に、路線数や乗り換えが少ないかもしれないが、ドイツやイギリスに行った際に駅で迷ったことが少なかったのは、統一の取れたデザインやサインと、その駅構造にあるのではないかと感じた。
投稿元:
レビューを見る
サインを中心に、駅のデザインとは何かということをまとめた本。この本ではパブリックデザインという言葉を使っていて、利用者にとって使いやすいように、問題解決することみたいな感じ。
日本の主要なターミナル駅(新宿とか)の現状と問題点、営団地下鉄やみなとみらい線などで筆者が実際にやったデザイン事例、ヨーロッパ駅の紹介など、実践的かつ内容が豊富だった。
写真や図版がカラーでとてもお得感がある。
投稿元:
レビューを見る
駅という身近な施設について、パブリックな施設・空間のデザインの重要性を記されている。
具体事例で知っている駅・路線があげられていたので想像しやすく楽しく読んだ。
駅を利用する際にあらたな視点で観察しそう。
投稿元:
レビューを見る
日本の公共デザインへの怒りの本。
日本の駅は文字に溢れて迷うことが多い。何故なら、駅の設計が路線の付属物として扱われているために、駅をデザインする範囲が限られているためだ。見通せない駅構内で、文字ばかり増やして、余計に分かりづらくしている現状。また乗換駅で他社線への案内を大きくすべきところを自社関連施設への案内を大きくし、利便性を考えていない。案内図は利用者の為の図であり、広告板ではない。
また東京であれば、相互乗り入れが多いにも関わらず、わざわざ相互乗り入れに複数のラインナンバーを振っている。海外利用者がそれでスッと理解出来るとは思えない。鉄道会社の自己都合である。
駅のデザインは、単なる駅の色合いや素材のことではない。ひとが動く動線を如何にスムーズにさせるか、地下駅でも如何に心地よくさせるか、など実践が試されるである。にも関わらず、最新の駅でも単なる閉鎖空間としてしかデザインされていない場所の多いこと。
というような内容でした。
あとは個人的見解を。
2020年に向けて、国などは観光客を倍増させたいようだが、今のままでは乗り換えに戸惑い、混雑が増すだけで、また来たい場所になっているとはとても思えない。
根本的な総合デザイナーの不在は新国立競技場の騒動でも明らかだが、交通面でも今後にそのような騒動そして混乱が増していく、そんな未来が見えてしまい、落胆する。
さて。いまの忙しすぎる日本人に出来ているのは、小手先のことで相手を満足させることだけである。
総合デザインとは、文化のことであろう。いま、この国の文化は、潰えようとしているのだ。
投稿元:
レビューを見る
既に作っちゃった駅は、対応が難しいよね・・・
駅デザインをする人は、限られていると思うが、
その視点を他の事にも活かしたいところ。