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2021/05/31 14:39
投稿元:
所要時間:2
印象的な文章:一番気をつけたことは「仕事を選ぶ」こと
オススメ度:
身内 5
身内以外 4
過去の自分(20歳) 4
未来の自分(60歳) 4
子供が【27】歳のときに読んで欲しい
「仕事とはこういうものだ」という一般論、固定概念は邪魔。常識からの【ギャップ】に新しい価値が生まれる。
ふざけているのは間違いない。ある意味迷惑でもある。だが見方を変えればそこに優位性や希少性を生み出す。これが、「頭をやわらかくする」一つのアイデアであり発明。
2023/10/30 22:38
投稿元:
【感想】
「インド人完全無視カレー」「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」「バカが考えた株の漫画」……。株式会社バーグハンバーグバーグは、その素っ頓狂なアイデアでネット上のニッチな場所をキープしている広告メディアだ。私も自社メディアであるオモコロをずっと読んでいて、ときおりめちゃくちゃハマる企画に遭遇しては笑わせてもらっている。(読書好きとして、『本を読んだことがない32歳が初めて「走れメロス」を読む日』はとても感動しました)
だが、そうしたアイデアを次々に出せるのは、ひとえにライター達のセンスの賜物なのか?それとも会社として一つの「お笑い論」があり、それに沿ってオモシロを組み立てていくロジカルなやり方があるのか?
本書は、そうした謎多き会社の社長・シモダテツヤさんが自身の「仕事術」に関して語る一冊だ。「仕事術」といっても形式ばったビジネス書のような体裁ではなく、あくまでバーグ社らしく「オモシロ」に全振りしており、肩ひじ張らずに読める一冊に仕上がっている。
さて実際、オモシロを生み出し続ける秘訣はあるのかというと、あるような、無いような、どっちつかずな感じである。一応シモダさんは「おもしろ分析シート」という、ウケるコンテンツを要素分解したフレームを作ったらしいが、本人いわく「2回ぐらいは使ったが、そのあと全く使っていない」とのこと。ある程度の指針はあるが、やはりセンスで運営されている部分は大きいのだろう。
ただ、本書でシモダさんが繰り返し語っている仕事術がある。それは「ふざけたこと『だけ』をやれ」ということである。
シモダさんいわく、おふざけはアイデアの源泉である。例えば社内で企画を考えるときのこと。社員が増えて会社が大きくなっていくと、自然と企画会議がマンネリ化していく。人数が増えればみんなが「自分は考えなくても誰か考えるだろう」「このアイデアは多分否定されるだろうな」という気持ちになり、当たり障りのないアイデアが好まれる雰囲気・空気が生まれていく。だが、現状を追認するだけの会議ほど無駄なものは無い。そもそもバーグ社は「振り切れた企画」で人々のハートをつかむ会社であるから、置きに行ったアイデアほど意味の無いものはないのだ。
そのため、みんなが奇抜なアイデアを出せるように会議を最少人数にして、出たアイデアごとに社内コンペで企画を決めていくという方法を取っているらしい。これならば同調意識が排除され、自分事のように会議に参加するようになる。突拍子の無い発言によって連鎖的にカオスが発生し、意味が分からないアイデアがたくさん出てくる。そしてそこには強い情熱が宿っており、これまで見たことのない「オモシロ」が生まれていく、というわけだ。
加えて、その「ふざけたこと『だけ』をやれ」というポリシーは、依頼してきたクライアントにも容赦なく提案する。
クライアントの中には自社を真っ当に宣伝してほしいと言う人も少なくない。だが、カッコイイ映像や写真でイメージを伝える手法や、商品を褒めちぎる手法などは、正直手垢が付きまくっている。世間に溢れる���ロモーションに埋もれさせないためには、「バーグ社とやるからにはふざけ倒しますよ」という姿勢をまずクライアントに見せる。それがバーグ社の一番の強みであり、結果的に真面目な宣伝よりもずっと効果的なPRができるのだ。
――ミスを恐れ、後ろ向きな姿勢でアクションを起こさない、という考え方は僕たちにはありません。むしろ何が「アウト」で何が「セーフ」なものかをしっかりと理解し、「ギリギリセーフ」なポイントを探りながら、着地させる。それによってポジティブで、ワクワクできる仕事になっていくのだと思います。
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【まとめ】
0 まえがき
仕事内容、「ふざけたこと以外はしない」。
うちの会社のホームページに掲載した採用情報には、募集する人材として「一回のジャンプ中にキックとパンチを120発以上撃てる人」や「炎の洞窟の奥に住む爆炎の魔神かつやる気のある人」と書かれています。未だに条件をクリアする人が一人も現れていないので採 用が上手くいった試しはありません。
とまあこんな感じで、僕の会社は社名も理念も、そして仕事内容まで、すべて「ふざける」というスタンスで一貫した、とてもいい加減な会社です。
いろいろなルールにがんじがらめの世の中、本を読んでいただいた方に「当たり前ルールからハミ出るマジョリティー戦略もアリだな」「世の中って意外とアウトにならないんだな」といったことを感じてもらえると、著者として幸いです。
1 どのように企画を生み出しているのか
バーグハンバーグバーグは、新しい製品やサービスなどはもちろん、会社が立ち上がったとき、人材募集などの多くの人に知らせたいことがある際、それと連動したWEBサイトを制作したり、イベントを実施したりすることで、その情報を広めるお手伝いをしている。
また自社事業として、おもしろポータルサイト「オモコロ」などのメディア運営を行なっており、こちらではクライアントなどからの制限を受けることのない、自由な「おふざけコンテンツ」をどんどん生み出し、配信している。
そんなバーグハンバーグバーグには、企画を考えるときのために作った「おもしろ分析シート」というものがある。
●おもしろ分析シート
おもしろいと人が感じるであろう要素を8つ書き出し、シート中の「おもしろ要素」のうち、最低でも2つを含む企画であれば承認を取らずともクライアントへ提案しても良い、とした。その要素は以下の通り。
・お笑い
・ギミック(技術的な仕掛け)
・共感(あるある、時代、参加感)
・新しさ
・ギャップ
・リアル(大きいもの、実際にやる)
・観察(継続、ハマる、コレクション)
・達成感(満足感、コレクション、努力)
●威嚇案
新しく、尖りすぎてOKをもらうことが難しいアイデアのこと。そのアイデアを、たとえ通らず実施に至らなくても、クライアントに見せることで「通りそうなアイデアばかりではなく、本当はここまで尖ったことができるんだぞ」と潜在能力を知ってもらうための行為。
「OKを出せるもんなら出してみろ!」とクライアントを煽りビビらせる幼稚な手法だと感��るが、意外とクライアントへのプレゼンの場で盛り上がったり、声をかけてくれた担当者の方を楽しませたりすることができるので、それだけで十分もとが取れる行為だと僕は思っている。
通そうとするところから企画を考えてしまうと、無意識のうちに思考にブレーキをかけてしまい、当たり障りのないアイデアや、どこかで見たことのあるようなアイデアばかりが出てきてしまう。まずは無茶から入るのだ。
●ギャップ
①まず一般的な常識(デフォルト)を見つける
②その常識に対し、逆の印象や違和感を与えるような変化球を考える
③「1」と「2」で落差が生まれれば、それが「ギャップ」になる。
カレーを開発するにあたり本場のインド人シェフを呼んだのにアドバイスを無視して作ったカレー、レンタルサーバーの選び方をエロ漫画にして説明した企画などを生み出した。ギャップを上手く使えば、「人の興味を引く要素」を作り出すことができる。
●削る勇気を持つ
作り手としては、せっかく思いついたアイデアは、当然すべて盛り込んでいきたいと考えてしまう。しかし、そこで「削るのが勿体ない」と考えてしまうと、過剰に表現や情報を盛り込んでしまいがちになる。
表現においては、必ず受け手側にとっての許容量というものが存在する。それはサイトであればそこに掲載する文の量であり、画像の量だ。僕の会社であれば、散りばめられたボケの数もその一つ。それらの許容量を超えてしまうと、せっかくの表現も受け手がキャパオーバーしてしまい、読み飛ばしてしまうことになる。
過去に、あらん限りのネタを放り込んでしまったために、縦に長ーいサイトが出来上がってしまったことがありました。そのサイトは、最後まで読むのも時間がかかるし、ボケの数も多く、コンセプトがぼやけてスッキリまとまっていませんでした。いくらおもしろくできた企画であろうと、最後まで読みきるのがとてもしんどいものになっては、効果も半減してしまいます。
詰め込もうとしている要素が、本当にそのキャンペーンとして入れる必要があるのか、最大化させたいポイントは何なのかをしっかり考えて、あえて「削る」ということを選択することも非常に重要なことだと僕は思う。
●マンネリ会議を打破するエゴと狂気
定例会議において、当たり障りのないアイデアが好まれる雰囲気・空気がその場に生まれており、マンネリ化していた。
社員が増えるにつれ、当然参加者も増えていく。その全員に気を配りながら会議を進めていった結果、どこかで「違うな」と思ったアイデアに対しても、とにかく「活かす」方向で物事を考えるようになってしまった。
しかし、うちみたいな振り切れた企画こそが意味をなす会社の場合、「全員が賛成するようなもの」なんて、クソほどの価値もない。むしろ誰か一人のエゴ丸出しのアイデアこそが、意味のあるものとなるのだ。
そのため、最初から会議の参加者を少人数にし、同調意識を排除した。大人数のときに生まれる「どうせ他の参加者がアイデアを出すだろう」という参加意識の低さも解消できた。そして少数からしか生まれない振り切れたアイデアを、発表会形式で企画し整えていった。
2 ふ��けた企画を通す方法
・キーマンを攻めろ
→承諾する側のキーマンを攻める。その人が興味を持つような話の展開をすれば、社内の検討会で自分たちのアイデアを推してくれる可能性がある。
・余計なアイデアはムダではない。
→プレゼンの際に本筋とは関係ないアイデアを準備し、クライアントを楽しませる。アイデアなどというものは常に出し続けていないと、脳が腐り始め、つい
には何も出てこない状態に陥りがちなので、こういう機会を利用して実現不可能であろうがなんだろうが、絞り出しまくっておいても損はない。逆にそのくらいの気持ちで挑めば、クライアントへのプレゼンも断然盛り上がるし、自分の頭にとっても訓練になるはず。
まずはプレゼンに参加した人たちを楽しませ、そして満足させるためにも通りそうなアイデアばかりでなく、「雑談」にも相当するような余計な、でもおもしろいアイデアを用意することが大事だと僕は考える。
・お題だけでなく、オチやボケまで解説する。
→広告やプロモーションの場合、アイデアだけでなくボケやオチまで解説して提案を行わないと、その良さを認識してもらえない。大喜利でいい回答が浮かぶ人は、普段から大喜利を日常的に考えている人だけ。一般人には「自分たちは回答がわかっているボケ」を前提に説明しないようにしよう。
・営業のいらない強さを持つ。
→ふざけたことしかやらなければ、ふざけたこと以外の仕事を断っていけば、ふざけ前提の依頼が来るため、「やりたいこと」と「やってほしいこと」の齟齬が起こりにくくなる。
3 ふざけた仕事論
・ポジティブであれ
何でもかんでも炎上や批判を恐れ、神経質になりすぎて、せっかくのおもしろい企画や初期衝動をカチカチの状態にしてしまう人を、最近よく見かけるようになった。
僕は、理不尽なことにイチャモンをつけてくるクレーマー、それは基本的に「極少数の、声がでかいだけの人」だと思っている。確かに負の感情を叫ぶ人は、その言葉のネガティブさで目につきやすい。
しかし実際は少数派で、それが問題でないことを知っている常識人は、声を発することすらしません。小学校や中学校で学んだような、極めて一般的な「道徳」さえ守って、モノ作りをしていれば、本当の意味での炎上なんてするはずがないのだ。
クレームを考えるとき、声が大きいから、数が多いから、再検討の余地がある、というものではなく、それが本当に意味のあるものなのか、それともただの好き嫌いをぶつけてきただけのものなのか、そこをしっかりと判別することが大事。公序良俗を乱したり、法律違反をしたりしているわけでもない。ただ個人的に気に入らないというクレームに左右されおもしろさというものを見失う必要はないのだ。
・社員の育て方
仕事を任せたり、責任を与えたりする中で人は成長していくのに、僕は「自分がやったほうが確実」という謎の思い込みから失敗を恐れ、社員の成長機会を奪いまくっていた。
もっと社員のことを信じて、甘えて、任せていくことが、会社にとって一番良い環境だと気付けた瞬間だった。そこでようやく自分が暇になることを恐れず、ガンガン仕事を振って、何かあったときに「最後のケツだけ僕が拭けばいい」と思えるようになった。
honto
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