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主人公は京都府警サイバー犯罪対策課の刑事。IT業界のエンジニアだと、ニヤリとするような描写が散りばめられている。舞台は近未来のようだ。旬の話題を扱っていて、なるほどこんな未来もありうるのかなと思った。
ざっとキーワードを上げてみる。
コンピュータ犯罪、個人情報、冤罪、ウイルス、IT土方、マイナンバー、佐賀県武雄市図書館、Tポイントカード
関係ないけど、刑事は関西弁のイメージがある。どこでできたイメージなんだろう?
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近い将来、すぐそこにやってきているビッグデータの時代にふさわしい、警告を鳴らすような小説。某レンタルショップ・本屋のポイントカードのことを言っているのだな〜と思い、ポイントカードにどれだけ個人情報を収集されているのか、少し強くなる。そしていつか誰も気づかない間にこの小説なようなことが起こるのでは、と思わせる。
展開はさくさくと爽快にすすむ。ラストはものがなしい。
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佳作。著者4篇目となる長編。
処女作のGene Mapperと3篇目のアンダーグラウンドマーケットは既読だが、それらほど遠くない、只今現在の現実世界と変わらない未来。そこではマイナンバー制度は現実のものとして稼働しており、ともすればIT土方とも称されるSE達の環境も変わっていない。そんな世界での警察が舞台となるのが本作。
現実世界でこれまでに起こってきた事件や企業や出来事がちりばめられており、よりリアリティを増している。そして様々な舞台設定は著者がIT業界に身を置いていたからこその内容で読みごたえのある一冊。
ただ前述の2作に比べると睡魔に勝つほどに作品に引き込む力強さは無かったかな、というのが個人的感想で☆4つ。
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ウイルスソフト、多重請負、ビッグデータなど個人情報を脅かすITとIT業界、そして権力の横暴と利権が絡む犯罪小説、ウィルスソフト作成容疑で拘禁されていた容疑者が無罪放免された後、妙に逞しくなっているのは、やや違和感がありましたが、とてもスリリングな展開でとても面白く読めた。孫請けの次は曾孫、そして玄孫、来孫、昆孫、仍孫、雲孫、耳孫、と続くようです^^;
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IT業界に身を置く者としては興味深く読み進めることができたが、少し行き過ぎ感のある設定ではなかっただろうか。
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公設民間運営施設の大型プロジェクトに関わるITエンジニアが誘拐され、京都府警サイバー犯罪対策課の万田は、かつてXPウイルス容疑で逮捕され最終的に不起訴になった武岱に協力をあおぎ事件を調べていく。
ポイントカードの利用履歴、マイナンバーによる個人情報管理などビッグデータに関する話題は興味深いが、誘拐事件や捜査の内容、登場人物たちも個性的で、盛り沢山過ぎて食傷気味だった。
(図書館)
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マイナンバー制度、個人情報保護、PC遠隔操作事件、この辺りのキーワードに興味がある人ならば、興味を持って読めるはず。
UNIXタイム、人月(にんげつ)、多重請負、ヒューリスティック、正規表現という言葉に反応する人ならば、さらに良いと思う。
藤井さんはちょっとした近未来を、ああ確かにこういうのありそうだなあと思わせる書き方がホント上手いと思う。自分はとても楽しめた。
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主人公はサイバー犯罪の捜査官。
個人情報を悪用して精巧な振り込め詐欺メールを自動的に生成し、それを遠隔操作ウィルスで他人のPCから送るという事件があり、一人のエンジニアが被疑者として拘束されていたが、証拠不十分で釈放された。
その事件が未解決のまま、ある自治体が提供する複合施設のシステム開発に携わるエンジニアが誘拐され、その捜査線上に前述のエンジニアが浮かび上がる。
そのエンジニアを監視することも兼ね、捜査協力という形で共に行動することに。
自治体システム開発における違和感に始まり、予想だにしないところで矛盾に気付き、二つの事件の関係が明らかに…
と言うストーリー。
登場人物の挙動に対して裏で話が進む感覚や、深追いする主人公が犯人の工作に巻き込まれる緊張感とか、非常によかった。
ストーリーに直結しない範囲で、実在の団体・サービス・システムの名前が出てきて、技術規格も今のものやその発展系のような名称で出てきたから、SFとかよりはイメージしやすいと思う。
懸念(?)しているように専門用語もそれなりに出てくる。
都度説明はあるが、IT関係者の方がスラスラ読めると思う、けど俺もぱっとイメージできない箇所もちらほら…
知識がない人でも読み進められると思うけど、普段全くPCに触らないような人はイメージできないところもあるのではないだろうか。
けどそれだけリアルな分、分かればイメージしやすいし、端々の出来事も「実現可能だな」と思える恐怖はあった。
また背景として、警察の動きや民間に対する働きかけ方もそれっぽいし、情報技術に関する官民の提携関係も非常に有り得る感じで、これもリアルだった。
3Dプリンタを使った建築って話もでてたから、新しい技術に関しても盛り込んでるのかな、その辺も興味があれば面白いと思う。
話の中には、システム開発を請け負っている人が10次請負であり、その悲惨さを記しているところもある、IT土方はこの先にもなくならないということか…
俺はまだ客観的に見れただけ恵まれているんだろうなぁ、ITに限らず近い立場の人は読んでて辛いんじゃないだろうか…
プラチナデータと比べ、こっちの方がまだ近い未来なのかな、その分具体的にイメージしやすいと思う。
話としても面白かったが、やはり今後の情報技術に関する問題提起をしている面もあると思う。
出てきた言葉の中で、「個人情報保護法は流通規制です。プライバシーの保護を行うために制定された法律ではありません。」と言うものがあり、一番衝撃を受けた。
「マイナンバーは危ないですよ」と言うメディアに対して「短絡的だ」と思っていたが、この下りの話は危機意識を覚えた。
また、これは法律のあり方にも関係するかな、○○のための法律は必ずしも○○になるような法律ではないって感じ。
最近の安保条約や集団的自衛権の話と合わせて、色々考えさせられた。
あとは、人が手動で運用するルールや、古いバージョンでしか動かないシステム・規格はよくないよね、って言うシステム屋からすると耳の痛いメッセージも…
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IT業界の仕事環境には驚いた。他の業種でも似たようなことはあるが下請けの数が多すぎると思った。
情報、データの恐ろしさ、扱いの難しさを感じた。
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あらすじを見たときは、もっとトンデモな話かと思ったけれど、なかなか真面目な警察小説で、著者の主張したいとこも伝わってきて、結構良い小説だと思いました。
(このあらすじに惹かれて読む人はもともと、個人情報に対する意識の高い人だと思うけど。)
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ネット社会の便利さと危うさがすごく面白く描かれていました。とても「ありそう」な話で、今後「起きてきそう」な話に思えました。最後の最後、こういうのって、あー、なくても良かったのにとか、ないほうがいいのに、ということがありますが、この作品については大きな余韻につながって良かったです。次の作品、期待して待っています。
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確かに、今まで読んできた警察小説とは違ったか。
ただ、そこまでITに食い込むのであれば、警察小説である必要は全くないのではと感じた。
話はまぁ、つまらなくはないという感じ。
一番最後の文章はいらないかなぁ。
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ITとか個人情報とか警察とか。そんなものを凌駕してワーカホリックと簡単に呼べないほど仕事に取り憑かれた人たちがグサグサきた。
役に立たないと思われたくない。自分がやらなければ。すごく良く分かる。
好きすぎてのめり込みすぎて壊れていく。それはある意味恋だ。
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ビッグデータが今後どのように取り扱われるか、近々未来の予言。技術の進歩と行政の信頼性。建設業界と化したIT業界の多重下請け構造。技術が実現する素晴らしい未来と、技術によって招かれるディストピア。作者のIT行政への考え方、姿勢も見て取れる。
作者は、日本のジェフリー・ディーヴァーになりつつあるような気がする。
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藤井太洋さんの『ビッグデータ・コネクト』読了。今進行中のITニュースから想定される地獄を書いた警察小説で、非常に面白く一部冷汗が止まらなくなりました。ここまでの現場に遭遇したことが無い幸せをかみしめつつ、すぐ隣で起きている現実(そうです、割と現実です)を嫌でも思い出させるという…
余談ですが、今話題の鈴木亮平なら『ビッグデータ・コネクト』武岱の変身前・変身後、喜んでやってくれそうな。映像化の際はぜひ。