都合よく悪者が出てきて違和感
2019/08/13 13:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:海月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
その生い立ちから情緒未発達な攻に執着され最終的には受(頑固だが主体性はない)が絆されるお話。
刑務所で出会うなど独特の設定で文章も上手く飽きることなく読み進められるのですが、お話が展開するために都合よく悪者が出現して、しかもその根拠に説得力がなくて……。
BLとしては、未発達ピュア執着攻好きの方なら萌えられるんだろうな、と思います。
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涙なくては読めません。喜多川が愛を知って、それを得るところまでが書かれています。(ノベルズはもう少し先まで)
愛ってなんだろう?と考えさせられます。喜多川のような幼少期を送った人は滅多にいないだろうけど堂野のような人はきっとたくさんいる。
喜多川を通して堂野の考えや喜多川自身が、出会いによって変わってくる…そんな場を読むことで一種の「立ち会う」ことができて幸せを感じました。
この本は愛って?はたまた幸せって?と考えさせられると思います。そして1つの答えを得られると思います。blだからとしり込みせずにとりあえず捲ってみてください。
レビューになっているのかいないのかわかりませんが(すみません)とにかくオススメの一冊です。
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素晴らしい。
悲しみも痛みも喜びも全部詰まっていた。
読んでいて、暗くてシンドイだけじゃなく楽しめた。
人の心情が物凄く濃く描かれていて、読み応えあった。
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箱の中・脆弱な詐欺師・檻の外の3編が収録されています。
BLレーベルからノベルズが2巻出ています。
講談社文庫から出版されたことを評価したいと思います。
ノベルズを読んだので再読の感が強いです。
痴漢と間違われ逮捕されてしまった堂野崇文は、無罪を訴え続けて最高裁まで争い、そのことが仇となり、実刑判決を受け刑務所に入れられてしまいます。
冤罪で箱の中に閉じこめられた堂野が精神的に追いつめられていくリアルさが胸に痛く息苦しい。
刑務所の中で出会った喜多川圭。誰からも愛情を受けられなかった喜多川は、精神的にとても未熟です。
喜多川が生まれてはじめて知る感情にとまどいながらもそれをひたすら求める姿が印象に残ります。
特殊な環境のなかで、近づく距離、流される堂野。
喜多川が堂野に抱く感情は狂気をはらんでいてとても怖い。
冤罪で服役した堂野崇文は、出所したあと結婚して家庭を持ちました。
時を別にして出所した喜多川圭は、会いたい一心で堂野を探しふたりは6年振りに再会します。
しかし、事件が起きて堂野の家庭は、木っ端微塵に砕けます。
娘、穂花の死、妻、麻理子の裏切り、慟哭の中で堂野は愛について考えます。
そして、喜多川と暮らすことを決心します。
二人で暮らすようになって「犬を拾ってきていいか」とたずねる喜多川。
『夢が、かなう。家があって、あんたがいて、犬が飼える』せつない、ハッピーエンドでした。
文庫に未収録の関連作品「なつやすみ」をあわせて読んでいただきたいです。
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木原さんの作品は読みはじめてしまうと読み終わるまで寝られないトラップが仕掛けられている。
今まで読んだのが全部そうだった。そして寝不足ながらも翌日はずっとその作品のことばかり考えてしまうのだ……。
痴漢の冤罪で逮捕され、最高裁まで争ったために実刑を受けた堂野は、刑務所内で人間不信に陥り、鬱状態になってしまう。
親切に対しての見返りを恐れて心を閉ざしていた堂野に、同房の懲役である喜多川が、なにくれと世話をしてくれるようになる。今度は何を見返りに奪われるのだろうと警戒する堂野だったが、喜多川が要求したのは『ありがとう』という言葉であった。
喜多川の愛情は言ってしまえば非常に重い。子供のような男だが、その分愛の純度が高い。自分の保身を全く考えないから、逆に相手が保身を考える気持ちにも思い至れない。必死で堂野を求める姿はいじましいのだが、堂野の立場になってみればなかなか痛い。
一度冤罪で実刑を受けた平凡な男が出所後望むのは、これ以上目立たずに、妻子を持って『ふつう』に生きて行くことだろう。だが、同性愛というセクシャルマイノリティを隠そうとも考えない(と思われる)男から過剰な愛情を受けるのは、もうまったくの真逆だ。
愛を知らずに育ち、堂野への執着を捨てられない喜多川、喜多川の孤独を知りながらも、その愛を受け止める覚悟を持てない堂野、どちらの理も分かるからつらい。端から見てしまえばストーカーじみた執着かもしれないが、読めば読むほど喜多川への情が湧くのだ。読者も。
そういった意味でも読むのはしんどかったが、この作品を読むことができてよかったと思えた。
だがやはり、もっと早いうちにノベルス版を買うべきだったかな……。草間さんイラストだし収録されてない話があるみたいだし。
あ、水城せとなさんの窮鼠と俎上のテーマにも似ているなとふと思った。
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「講談社文庫」として発売され感慨深くなりました。BLから一般向けに発信されたものって、今までなかったような…山藍紫姫子センセは角川文庫から出てますが。
とても木原センセらしい秀作が文庫化されて嬉しいし、さらに沢山の読者と共有できるということも素晴らしいです。収録されているのは「箱の中」と「脆弱な詐欺師」と「檻の外」。一般受けするようになのか、BL的にはマストの「雨の日」と「なつやすみ」が入っていません。なので旧版を知らない読者はそこは想像するしかないことに。BL的にはあの番外編の収録がないなんてありえないけど、こういうのがきっと「一般向け」なんだろうなーと実感しました。
痴漢冤罪による理不尽な服役や、それによって暗転する家族の人生や、同部屋の受刑者による手酷い裏切りなど、普通に人生を送りたかった堂野に次から次へと降りかかる怒涛の不幸が痛くて痛くて、何度読んでも泣かずには読めません。まるでいいことなしの服役生活。しかし、喜多川から寄せられる愛だけは無垢で優しくて。
喜多川のむき出しの愛情に、世の中の常識に捕らわれて愛の本質を知ることがなかった堂野の心が変化していく様や、堂野を愛することによって人として目覚めていく喜多川の姿に、魂を揺さぶられます。
「脆弱な詐欺師」では、堂野を探すために自分の人生の全てを費やし、あくまでもあきらめない喜多川の執着愛に、切なく苦しくさせられます。
そして、「檻の外」ではさらに怒涛の展開。再会した二人の周囲で胸が息苦しくなるほどの愛憎が渦巻いていくのです。何度読んでも喜多川や堂野の気持ちにいつの間にか同化してしまい、愛の本質のついて一緒に悩んだり、理不尽な出来事に傷ついたり苦しんだりして、最後には号泣です。
淡々とした語り口で、夢やロマンの対極とも言える俗世間の汚さが描かれているので、痛みはハンパない。その分、生まれる愛情は深く切ない。絶妙な描写力です。
三浦しをんセンセのあとがきも共感しました。
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初BL小説。
「箱の中」は、ちょっと緊張気味しながら読み、「檻の外」では、無我夢中で読み耽ってしまった。読了後、一言では言い表せないような不思議な感情が湧いてきた。面白かったとも違うような...。
人生どこで何が起きるか分からないし、たとえその出来事が自分にとって好ましくないことでも、後で何か得るものに繋がっているかもしれない。そう考えると何が徳で何が損かなんて、後になってみないとわからないし、価値観も人それぞれだから、辛いことも嬉しいこともあるがままの事実を受け入れ、いつも自分の気持ちに正直でありたいと思った。
ストーリーから少しずれてしまうかもしれませんが、個人的には、喜多川の幼少期に具体的に何があったのかもう少し深く知りたい気もした。
「なつやすみ」はまだ読んでいないので今からすごく楽しみ。
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あの名作木原音瀬の、箱の中と檻の外が一緒になったのが、なんと講談社文庫で出ました〜ドンドンパフパフ−!!
表題作が入って700円なので相当お得で、しかも講談社文庫なので、こっそりBL知らない人にも薦められる大変いい感じですが、あの、2人のその後が描かれた「なつやすみ」が未収録なので、これは布教用です。
あと表紙デザインをムシカゴグラフィクスの百足屋さんがやってます。ラノベデザインで有名なので、おっ?という感じ。三浦しをん嬢の解説もうんうんと頷いてしまいます。
ノベルス版、是非購入して下さい。こっちは布教用。
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文庫のランキングで1位だったし、皆さんのレビューも良かったので買ってみた。
最初の「箱の中」、痴漢の冤罪で服役することになった堂野のぶつけようの無いやるせなさや刑務所生活の息苦しさを描いて、まずまずの出だし。
そこからどんな話になるのかと思っていたら、男ばかりの刑務所の中で、男同士の「愛」の話になって、う~ん、これはちょっとどうかな。
って、そこまで読んで解説を見て、帯に書いてあった『BL』がボーイズラブだと分った次第。知らないというのは怖いねぇ…。
読み進むかどうか迷ったけど、何と無しに気になる話で読み進む。
次の「脆弱な詐欺師」、最後の「檻の外」と、多分、お約束の世界を普通の社会的な話の中に落とし込んでいくところが一味違うんだろうか、これが男女の物語だったら確かに普通のお話になっていて面白味に欠ける様な気もするけど、私としたら男同士のsexのところは勘弁という感じ。
心の中を語らず得体の知れない喜多川の行動が典型的な小市民の大江や堂野の生活にじわじわと喰い込んで行く様は、得も言われぬ息苦しさや緊張感を伴った一種のサスペンスを醸し出していて、お話の展開としては巧い様な気がするけど、これを愛の物語として読むことは出来ず、私には評価不能ということで。
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『箱の中』を読んだ時、まるで泥沼の中で蓮が蕾をつけるような愛を見た思いがした。しかしその蕾の何と花の咲かないことか。
続く『脆弱な詐欺師』では、喜多川が痩せ衰え、細く儚くなっていくのが目に見えるようで、誰しもがその背中に「もう諦めた方がきっと楽だ」と声を掛けたくなるだろう。しかし同時に、まだ諦めないで幸せになって欲しいと、祈らずにもいられない。
『檻の外』で二人と読者に与えられた結末は、決して手離しに喜べるものではなかった。しかしその酸鼻を極める悲しみの中で、「それでも君の家がいい」という一言は、果てしなく輝く花に見える。
三浦しをん先生の解説にあるように、『なつやすみ』がどうしても読みたくなってしまった。
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息詰まる物語だな。
堂野が、終盤になるまで、イマイチ曖昧な感じで感情移入しづらかった。
喜多川の一途さは、現実に考えると常軌を逸してるけど、うっかり感動してしまった。
あの愛情は受け入れてしまえば、この上もなく心地良いものなんだろうなあ。
この作家さんは、人気あるのは知ってたけど、初読み。
また、別の作品も読んでみよう。
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ずっと読んでみたかった木原さんの作品が講談社文庫から出るということで楽しみにしていた。
読んでみて、容赦ない悲劇から始まるのにまず胃が重くなる。そしてくっきりと姿を現してくる喜多川という男。彼の直情すぎる感情に胸が詰まる。「普通って、変だよな」と言い、「何もしなくていいいんだよ」と言われる喜多川が“寂しさ”を知ったのは果たして幸せだったのか。満腹を知らなければ空腹をやり過ごせたように、知らなかった頃には戻れない。
自由すら求めなかった男が求めるものが、それでもただひとりしかいないという事実に畏怖の念すら抱く。
(幸せか幸せでないかを他人が論じても意味がないとはおもいつつ、堂野と再会できなかったら喜多川はどうなってしまうのだろうとおもえば、わたしが途方にくれた子供のような気持ちになった。『檻の中』の最後、涙を流した堂野の姿にこれほど胸が締め付けられたのは、ただの傍観者でしかなくても“愛を知る”という変化にただただ圧倒されたからかもしれない。)
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BL小説は初ですが、ジャンルの括りは気にせずに読めました。
解説で三浦しをんさんが書かれているように、真実の愛が、いかに人間を救い、人の人生を豊かで深いものにするか。
この作家、木原音瀬さんの描写、読者を引き込ませる文章…とても素敵です。
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おもろい。
ボーイズラブ小説初めて読んだ。
全然抵抗なく読破。
ちょいちょいグロい部分もあるんだけど…
なんかグロさを感じない。
そして紆余曲折あってのハッピーエンド。
へたな恋愛小説よりもスカッとする。
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表題作の『箱の中』と次の話まではとても面白かったのですが、最後の話がちょっとしんどかったです。特にボーイズラブの世界(?)に持っていかなくてもいいのにとちょっと思いました。
真ん中の短編の探偵とその家族の描写が非常にうまくて共感できました。お話としてはこれが一番おもしろかったです。それから芝さんがかっこいいです。