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牡蠣のポタージュみたいな一冊。
カルト宗教のエッセンスが詰まった至上のルポルタージュ。「人生の答えを他の人に委ねた瞬間、自分の人生はなくなってしまう」(305項)をこれほど説得力をもって発信できる人は日本に何人いるのだろうか。
神を含む他人に人生を委ね切ってしまえることは確かに楽園なのかもしれないけど、神や他人の理想以上に自分の人生が成り得ないことは、自分にとってはサタンでありハルマゲドンなんですがねぇ…
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エホバの証人(Jehovah's Witnesses)は、キリスト教系の新宗教。ものみの塔聖書冊子協会などの法人が各国にあり、ほぼ全世界で活動している。エホバ(ヤハウェ)を信仰している。
1870年代にチャールズ・テイズ・ラッセルによって設立され、世界本部は長らくアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区に置かれていたが、2016年に同州ウォーウィックへ移転する。当初は「国際聖書研究者協会」という組織名だったが、後に「エホバの証人」に改名した。信者数は全世界で約860万人、最多国アメリカ合衆国では約120万人、日本は約21万人ほどいるとされている。聖書は主にものみの塔聖書冊子協会が翻訳した新世界訳聖書を使用する。主流派キリスト教の基本信条、三位一体論を否定し、輸血を拒否することで知られている。教義によると、神は唯一神エホバ(ヤフア)であり、キリストは神の子であって神ではなく、天使長ミカエルと同一であるとしている。また、現代の世界(宗教組織、政治組織を含む)は悪魔サタンの支配下にあり、やがて終わりの日にキリスト率いる神の軍団との大戦争(ハルマゲドン)により人類に対するサタンの支配を終わらせるとしている。また、「エホバの証人」という名称には、すべてのものの創造者エホバについての真理を語る人、という意味が込められている。 カトリックや正教会、プロテスタントなどの主流派キリスト教会が信じる「三位一体説」や「イエス・キリストの神格化」などの基本信条を否定する立場をとっている。(ウィキペディア)
実は、私が大学で上京して一人暮らしを始めたときに、何度も訪問を受け、「聖書を勉強しませんか」と誘われ半年くらい部屋に招き入れたことがある。最初の人はいつも休日や夜にスクーターで通われ、真面目な社会人という印象でした。その人が数か月で交代し、次は早稲田大学の4年生でいろいろな知識が豊富でしたが、その人も忙しくなったのか、私がいつまでたっても入会の素振りが無いのか、いつの間にか来なくなってしまいました。風の噂では殺されたという話も・・
さらに、元妻の母親がエホバの証人で、嫁も小さいころ一緒に伝道していたそうですが、父親の反対で距離を置くようになったということでした。
従って、ある程度の教義の内容や活動については知っているつもりでしたが、本書を読んで改めて「まじめ」「清貧」「意固地」というキーワードがふさわしい集団だと確信しました。これらの言葉からはカルトという危険な要素は見出しえませんが、彼ら独特の聖書の解釈によって「輸血拒否」「兵役拒否」「情報統制」「自分の世界以外はサタンの支配下にありハルマゲドンを信じている」という点は、自分だけの心の中におさめる分には問題はないのですが、家族や周りへの強引な伝道は、やはり家庭内不和や社会の軋轢を生じさせる問題があります。とはいえ、筆者のような脱会した背教者に対して「仕返し」「罰則」もなく、単純に縁(つながり)を切るだけというのもエホバの証人らしいといえばらしい気がします。
本書は、9歳から35歳まで信者だった作者が、長老などとぶつかり始めたころから教義に疑問を持ち始め、聖書の言葉を一字一句厳格に解釈する団体が、その疑問にきちんと向き合わないご都合主義に嫌気がさしていたある日突然覚醒した、そして独自に理論武装して家族の洗脳まで解いていったという壮絶な戦いの記録です。
エホバの証人が一体どんなカルトなのかを正しく知るためにも一読をお勧めします。
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昔から、オウム真理教とか創価学会とか幸福の科学とか、そういう類の宗教に興味があった。子供の時から信じてきたものに疑問を持つのって、難しいし怖いことだと思う。でも、目を背けずに洗脳から解かれたのはすごい。自分が信じたいものを信じること自体は悪いことではないと思うし、日本以外の国ではもっと宗教は一般的で身近なものだろうけど、妄信状態になるのは怖いと思う。お互い認め合うか、それができないなら一斉に手放すべき、っていう考え方が私的にはしっくりきた。救われるために信じるのに、信じることが争いを生むのは本末転倒だよね。あと、そもそも聖書ってなんなんだろう、という興味が湧いた。
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真面目に取り組んだからこそ矛盾や疑問を感じたり、何気ない他人の言葉に引っ掛かりを感じて自ら調べて答えを探していく姿勢がすごかった。
正直、洗脳が解けたときの謎の体調不良とお言葉やらは読みながら「??」と理解不能ではあったけど、まぁ世の中には人間の常識では説明できないことというのはあるからと思った。しかしどうやって両親その他の洗脳を解いていくのかと思ったら理論武装の話し合い、かつ短期決戦ではなくてはいけないというのを読んで、これは想像よりずっと難しくて厳しいんだなと痛感した。
著者の場合、現実逃避として証人をやっていたわけではないから経験が身になったり活かされたりするのだろうなと思った。あと想像してたよりずっとコミュニティがしっかり機能していて、なるほどこんな風に仲間同士で繋がっていったり助けあったりしてるんだと。著者も書いてたけど脱退したあとに報復があったり絶対に辞められないようになってたりとかしない分、まだ良心的ではあるなと思ったりもした。
何度も出てくる聖書の引用については、読んでも私にはさっぱりだった。なんでその聖句がそういう解釈になるの??って感じで。
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東京ガールズコレクションなどを手掛けた佐藤典雅さんの自伝。9歳でエホバの証人になってから35歳で脱会するまでのことが書いてある。
まずは、記憶が詳細すぎて驚く。そんなに細かく自分の人生について覚えているものだろうか?
やはり一番面白かったのは、それまでの「洗脳」がどういうふうに解かれていったのかという部分。自分だけではなく、周りの人の「解約」にも必要だったのは理論、というのが面白いし、それでも神に対する愛はある、というのが興味深かった。両立するんだな。
私も常々思っているけど、「他人に答えを求めたら終わり」というのは本当にそうだと思っていて、仏教でもよく言うけれど「悟った」と思っているうちは悟っていないのだと思う。
エホバの証人のしつけの話で、「人間はまず「いいえ」を覚える。決して「はい」ではない」というのは、ちょうど子供に自我が出てきているところなのでなるほどなと思った。でもそれを「原罪のせい」にするのはさすがカルト!
私は自分がカルト宗教2世でなくて本当に良かったと思う。