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みすずの本とは思えない行間の広さとフォント、とだけ言っておこう(笑)
データをHPから手に入れられるのが、さすが現代の欧米経済研究書って感じですね。自分でエクセルをいじりながら読めば、私のような門外漢にも多少勉強になりそうだ。
中身を読まなくても事前情報がかなり手に入ったのは良かったが、どうなんだろう。
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ようようと読了。
語りたいことが多過ぎるのと語っている人が多過ぎるのでとりあえず感想は控えますが、2015年の今年の10冊No.1はこの本なのは間違いないでしょうね。(2014年中に読んでおくべきだった)
読みやすく且つ噛み応えに溢れる良書でした。
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やはり経済学は面白い。世の中の仕組みを学ぶのに経済学を選択したことは間違っていなかったと改めて思う。本書から学んだことを箇条書きに。・日本における民間資本の蓄積は90年代をピークに2010年まで停滞←失われた20年の正体はこれ。・資本収益率が経済成長率を大幅に上回ると、相続財産は給与所得よりも急速に増えるが、これは能力主義に反し世襲型資本主義と言える。・幕府を資本家に置き換えると四公六民のような社会と言えないか。・資本からの収益とは、不動産所得、配当、利子、キャピタルゲイン、ロイヤリティなどを指す。・NYはリーマンショックで停滞したがそれは一時的なものですでに復活している。これはリチャードフロリダも指摘している。・ピケティが示す解決策である世界的な資本課税(タックスヘブンを無くす)は、Bitcoinのような回避策を加速させることになるのだろうか。・トップ1%の富裕層の収入増加を説明することができない。相続以上に収入の増加率が加速している社会を許している。r>gはある意味必然。投資家や事業者がその事業に従事する労働者より多くの果実を得ることだから。・この自然現象に歯止めをかけるのは、過激なものは戦争、革命、大不況、民主的なものは選挙を通じた課税。・社会的なモビリティの低下は続く。・国債のデフォルト→銀行の倒産→1000万円以下は保護されない→実質的に富裕層が負担することになる。・増税は、これから最も買い物をする若者の負担が大きいが、税金をもっと払えと決めているのは高齢者。
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高成長なら格差は縮小、低成長のが格差は拡大(アベノミクスは成功しても低成長の範疇)。トリクルダウンはない(あったとしても微々たるもの)。経済成長と格差の関係についての現状では決定打なのだろう。あれだけの長期データについてどういった反論が出てくるか。議論が発展したら面白い。
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朝日12/21今世紀末までには、国民所得に対する資本の価値比率が、格差の大きかった19世紀末の水準にまで高まると予測。21世紀をどのような世界にするかは、市場と国家に関するわれわれの選択にかかっている。(京大・諸富徹
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話題の本。結構厚いが書きぶりは平易で読みやすい。
著者が主張するような資本課税による格差解消の手段が政策として行なわれない場合、日本に住む次の世代の選択肢は成長率(g)の高い国に移るか相続を受けるか、しかないのだろうか。
・かつての農耕による時代は成長率gが低いため、r-g が大きく、富は非常に集中していた。その結果であるベルエポック期の極めて大きな格差は第一次・二次世界大戦によって資本が破壊されたことによって低下した。しかし1950年以降再び格差が開いてきており、ベルエポック期に近くなりつつある。富裕層の中でもよる富めるものとそれほどでもない者の間の格差が拡大している。
人口増加が大きいと(相続が分割されて相続財産の重要性が低下するので)格差は縮小する。成長率が高い時も(gが高いので)格差はあまり拡大しない。が、今後はこうした効果も期待できないだろう。
実際、国民所得における富裕層の資本所得、労働所得、相続財産の全ての比率が上昇してきている。この傾向が拡大して不満がたまっても革命が起きないようにするためにはなんらかの弾圧システムや説得装置が必要になるが、それは難しいので格差を縮小していくべき。
国家の税収は1900年ころまでは国民所得の10%以下であったが、この程度では君主的役割以上のものを国が果たすのは難しい。2000年には30-50%程度になっている。所得、資本への課税率が高いので、格差が無秩序に拡大することへの歯止めになっている。所得税は第二次世界大戦直後は90%近い最高税率の国もあったのに、税率が低下し、超高額な給与をとるスーパー経営者の時代を招いた。高給取りは(経済学者もこの範疇に入る)既得権を守ろうとして累進課税に反対しているが、そもそも80%の税率をかけても対象となる者が少ないため税収としてはあまり大きくない。国家の税収のためではなく、格差の拡大を止めるために累進課税が必要。
また、今後は世界的な資本課税も必要になるだろう。資本は国境を超えることもあり、国際協調による資本課税が必要。
・教育は上方に平行移動しただけである。大学卒の者は多くなったが、富裕層は大学院に進んで学位を取るのが普通になっている。
・r>g なので、年金もペイゴー方式よりは積立方式(資本所得を得る)のほうがよい。ただし、資本所得は賃金上昇よりも変動が大きいことと、切り替えのためには丸々一世代、年金がもらえない世代がでるのでこれをどう解決するかが問題。
・ジニ係数は、労働所得が0.2-0.4、資本所得が0.6-0.9、総所得は0.3-0.5で、労働所得は比較的平等
・資本よりも技能が要求されるようになると格差はより能力主義的なものになり、固定されたものではなくなる。(が、これには否定的。資本の重要性は歴史的に変化していない)
・資本と労働の分配率は労働が2、資本が1と言われてきたが、時代とともに変わってきている。サッチャー、レーガンの登場に伴い資本の取り分が上昇してきた
・資本の様態自体もかつては資本といえば土地であったのが、21世紀には工業資本と金融資本になった。
・GDPから生産に使用した財の減価償却��引いたものが国内生産。国内生産はGDPの9割程度になる。植民地などのように、外国にこれが搾取されていないのであれば国内生産は国民所得(所得の合計)に等しく、多くの国で両者は1-2%程度しか乖離していない。
国民所得は資本所得+労働所得
本書では資本というときに人的資本は含まない
第一法則
α=rXβ
国民所得における資本のシェア(α)は資本収益率(r)と国富が国民所得の何倍か(β)の積になる。β:600%、r:5%、α:30%がだいたいの値
資本/所得比をみると、ヨーロッパは戦争で資本が破壊されたのに対し、米国ではずっと安定した比率であった。米国は植民地も持たなかったため、外国資本も重要ではなかった
農耕社会では資本の追加に対する弾性値が1を切っていた。すなわち、βが増えた時、rが大幅に減るため、αは減少していた。
現代社会では資本の新たな、有効な使い道がいくらでもみつかるので弾性値は1を超える。βが増えた時、rも減るが、その減り方は小さいためαは増える。
第二法則
β=s/g
資本/所得比率βは、貯蓄率s、成長率gと上のような関係がある
毎年国民所得の12%を蓄え、国民所得の成長率が2%の国では、長期的には資本/所得比率は600%になる。つまり国民所得6年分の資本を蓄積することになる。
ゆっくり成長する国(停滞した国)では、所得に比べて大きな資本の蓄積が行なわれるため、過去の資本の蓄積が大きな意味をもつ。ただし、この法則がなりたつまでにはかなりの年月がかかる(貯蓄一年分を蓄えても資本はあまり増えない)。第一法則はいつも成り立つ
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資本収益率が成長率を上回っている現況下では、格差はさらに拡大するだろう。格差を是正するには、資本に対する累進税が有効であると説く。
現在、富裕国ではアメリカが1番格差の大きい社会となっている。これは、レーガノミックスによる所得税の最高税率の引下げによるところ大である。
格差問題を政治との関係の中で、分析してくれる。
大著であるが、何とか読み終えた。
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世界的に話題になっている本だが、前評判をあれこれ聞いているよりも、実際に読んでみる方がずっといい。容認し得る範囲を超える格差は民主主義の根本を破壊するという、ごく真っ当な問題意識に沿って、きわめて平明かつ説得的な議論を展開している。論旨の流れは明快で分厚さは気にならない。翻訳も読みやすく、これで6000円なら安いくらいだ。
グローバルな累進資本課税を提唱する著者に対し、過激派だ夢想主義者だなどと批判する向きは多いが、ピケティの最大の功績は、経済の社会的側面を見失った主流のミクロ経済理論に対し、格差を正面からとりあげることによって、政治学や歴史学など他の社会科学と密接な関係にある公共哲学として、経済学をアダム・スミス以来の本道に押し戻したことにあるといえるだろう。公共哲学としての研究のアプローチはその手法や語り口にもはっきりと現れており、国際的な共同データを蓄積したり、専門注解をサイトに示すなど、たいへん刺激的だ。
本書の議論の中核は、r>gの数式であらわされる資本収益率の長期的増大傾向にあるが、この不等式が資本主義のロジックの内部から理論的に導き出されたものではなく、歴史的データから経験的に導き出されたというのが重要なポイントである。経済学者による批判はこの点に向けられることが多いようだが、私は、これは彼の議論の弱みというより強みであると思う。結局のところ、われわれが分析する対象は歴史的システムとしての資本主義なのであるから(この前提自体を受け入れない学派もあるが)、経験にあわない理論こそが捨て去られるべきであって、理論にあわない経験が否定されるべきではないのだ。
格差を絶対に政治問題にさせたくない人々のヒステリックな非難とは裏腹に、ピケティは少しもラディカルな理論を弄んだりはしていない。彼は成長も格差も否定しない。むしろオーソドクスな新古典派の理論から出発しながら、ラディカルなマルクス主義者たちよりもずっと明快に格差拡大の傾向を論証してみせたことの意義は強調していい。成長を言いわけに、「公平」を含むさまざまな社会的価値を犠牲にするような新自由主義は、もはや保守的な立場からさえ決定的に時代遅れになりつつあることを理解すべきだ。この意味で「日本はアメリカほど格差は大きくないのでピケティの批判はあたらない」といった反論は、議論にもならないレベルだ。アメリカの格差はこの数十年の政策の結果であり、日本はアメリカに倣う政策を急速に進めているのだから。
本書が押し出しているような格差の問題が、これからの経済政策に関する議論のベースラインになっていくことを期待したいけれど、やはり本書の議論の立て方は、EUのような共通の社会的価値を基礎にもつ社会を背景にしたものだという感じも受ける。日本や中国などでこのような公共哲学がどれくらい受け入れられるのか、期待しつつも気になるところ。
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経済は政治や歴史も含めて様々な視点で広い視野を持って考えることが大事と痛感。
講義形式のように書かれていることや図も多く思っていたより読みやすかった。
個人的にはお金などの資本の亡者にならず
今を楽しむこと「体験」が大事だと思った。
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r > g rは資本の平均年間収益率で、利潤、配当、利子、賃料などの資本からの収入を、その資本の総価値で割ったものだ。gはその経済の成長率、つまり所得や産出の年間増加率だ。
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本編608頁 索引98頁 内容も難しく、読書時間15時間以上で文字通り悪戦苦闘 価格は5500+税と高額 しかし得るものは多いので、手元に置きたい1冊
付箋の数も多い 18世紀末と19世紀初頭にイギリスとフランスで古典派政治経済学が生まれた時点で、すでに分配は重要な問題の一つになっていた 最終的には国民所得に占める農業比率が下がるにつれて、農地の価値は他の富に較べて着実に下がっていった 富もまた所得を生み出すので、所得側にとっても富は重要なのだ 所得=労働からの所得+資本からの所得(賃料、配当、利子、利潤、キャピタルゲイン、ロイヤルティ)国民所得=国内産出+外国からの純収支 国富=民間財産+公的財産 国富=国民資本+純外国資本 地方社会における土地の収益率は4~5%位 世界人口は2012年には70億人近いし、世界の産出は70兆ユーロをちょっと上回るくらいなので、一人当たり産出はほぼ1万ユーロ 産出の成長を二つの部分に分解することが重要だ。人口増加と一人当たりの産出の成長とに別けるのだ 世界人口は1700年から2012年まで平均でたった0.8%しか増えていない。それが3世紀にわたり続くと、これは世界人口が10倍以上増えたということになる。1700年に6億人の人口が2012年には70億人以上になっている。この勢いが今後3世紀にわたり続けば世界人口は2300年には700億を超える 年率1%の経済成長は大規模な社会変革をもたらす 突き詰めれば国債とは、国民のある一部が別の一部に対して持つ請求権にすぎない 国民資本=農地+住宅+他の国の資本+純外国資本 フランスもイギリスも、民間財産の規模を根本的に変えるほどの巨額の公的債務を抱え込んだことはない 資本の内、農地はだんだん工業・金融資本と都市部の不動産に変わっていった 資本主義の第一基本法則 α=r×β(資本/所得比率) 資本主義の第二基本法則 β(資本/所得比率)=s/g 貯蓄率s、成長率g βから資本と労働の分配へ 所得は常に労働所得と資本所得の和 資本ー常に労働よりも分配が不平等 長い目で見て賃金格差を減らす最善の方法は、教育と技能への投資だ トマス・ジェファーソン「地球は生きている人々のためになる」 特に低成長で、資本収益率が成長率よりも明らかに高い時は、富が集中し、資本所得トップが労働所得トップよりもはるかに優勢になるのはほぼ避けがたい 巨大格差が生じるのに、巨額の財産の資本収益がすべて10%になる必要はない。小さな差からでも、巨大で不平等なショックが発生するのだ もっと簡単な解決策は、税金を所得ではなく富を基準に計算することだ 移民による再分配は問題を先送りにするが、新しい規制の必要性を無くすわけではない 政府が支出をまかなう方法は主に二つ。税金と負債だ。一般に公正と効率の観点からして、税金の方が負債よりもはるかに望ましい。負債の問題は返済が必要ということだ 巨大な公的債務を大幅に減らすにはどうすればいいだろう?手法は三つあり、それを各種の比率で組み合わせることができる。資本税、インフレ、緊縮財政だ。…… 歴史的には、ほとんどの巨大公的債務はインフレで解決されてきた
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2015年1月10日予約。3月18日借り出し。600頁を超える本を2週間で読むのか…4月1日読了。思っていた以上に面白かった。かつて読んだ宮崎義一氏の「複合不況」(中公新書)を想起させる実証的な論考であった。宮崎氏が生きておられたら、この本をどう評されるであろうか。ひょっとすると悔しがったかもしれない。若干ヨーロッパ人のアメリカに対するバイアスを感じなくもない。
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経済学の素人なので、まず用語がよくわからないので、字面を追うだけで、批判的吟味もできず。特に数字がたくさん出てきて実証的なのだろうが、頭がついていかず。現代のマルクスという声もあるが、著者は決して社会主義や共産主義を目指しているわけではなく、その方向に関しては否定的である。資本主義の中心的な矛盾としてr>gは避けられないし、このままだと資本主義は破綻してしまうので、著者の提案は「累進資本税」を導入しようということ、しかしこれを導入するには、高度な国際協力と地域的な政治統合を必要とする。資本主義に民主主義を取り戻そうというのが簡単に言うと著者の主張のようだ。600ページの大著で読了に時間がかかったが、わからずに読み飛ばした部分も多く、読了の満足感のみが残る結果となった。
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読破に1年以上経過。途中他の本に何度と浮気しましたが、何とかあきらめず。歴史的な視点で経済の歴史を語っているので、別途読んでいた歴史関係の本との接点が見えてよかった。次はタックスヘイブン関係の理解を深めたくなる。
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昔読んでいたマルクスを思い起こしながら読み終えた。
21世紀の資本論 の書名が相応しい気がする。
資本・労働・利潤・地代・利子、資本家・労働者・経営者、について 18世紀以降のヨーロッパ・アメリカの入手可能な限りのデータにより分析が続く。
21世紀の資本主義社会では富の集中、格差の拡大は不可避であり、国際的な累進的な資本税必要性を主張、
もちろん、容易なことではないと、断りながら・・・