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知ろうとすること。
東大教授早野龍五と糸井重里の対談集。
福島原発事故に関する正しい事実の伝え方に関する話。
当時の福島がどういう状態で、今の福島がどういう状態か、ショッキングでも非科学にも伝えず、科学的な事実を伝え続けた早野教授。
科学的に正しいデータでも、不安を感じる人には伝わらない。
[データそのものだけでなく、「表現の仕方」ということが重要になってくる気がします。たとえばこれからの段階としては、当事者じゃない立場の人たちが当たり前に「大丈夫だ」と思えて、それを言う側に回る、というようなことがすごく重要なんじゃないかな。]
伝える人がどう伝えるか、そして今ある事実を受け手がどう正しく知ろうとするか、それによって正しい事実が伝わっていく。
伝わらないことをあきらめずにどうしたら伝わるかを考え行動すること、分業・専門化が進む現在、科学者に限らずいろいろな専門分野に関わる人間が考えるべきポイントだと思う。
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無意識のうちに塞き止めていた福島に関する情報を、3年と半年を経てやっと更新できた。それもまた、すごく確実に。しばらくは本棚に戻さず、持ち運んでいたいなぁ。
(文中の言葉の交差ひとつにしても、早野さんの説く科学的な確信でグッと安心、もうひとつ糸井さんのすごく人間的なユーモラスでホッと安心だったり。個人的にはそういったとこも魅力的だったな。)
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東日本大震災、福島第一原発事故の後、福島の被ばくについて誠実に調査を重ね、福島の人々に寄り添ってきた東大の早野龍五さん(専門は違うのに今ではすっかり第一人者!)とHP、ツイッター上で被災地をずっと気にかけてきた糸井重里さんの対談。福島の現状、これからのことが非常にわかりやすくまとめてあると思います。福島の高校生がヨーロッパに行って発表したという話にはかなり勇気づけられました。漠然とした不安や忌避感とか、もしくは正義の押しつけが蔓延している中で自分は科学的に誠実なものに向き合っていけるようになりたい、と思います。
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淡々と対談が書かれた本ですが、早野先生と高校生の取り組みが書かれた最後の章で、涙が出てしまいました。
大人は、未来を生きていく子ども達に「可哀想」といった呪いの言葉ではなく、先生がされたように正しく知って乗り越えていく力を伝えて行かなければならないと思いました。
大変困難な道を諦めずに切り拓いてくださった著者のお二人を心から尊敬します。
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お子さんのいる方達にぜひ読んでいただきたいし、
放射線のことだけではなく、あらゆることに関しても
同じことが言えると思う。
冷静に、科学的に、事実を把握すること。
扇動的な声に惑わされないこと。
なかなか難しいんだけどね・・・。
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「知らない」と「知っている」この雲泥の差。
そして、知っていてもなんとなくできないことがある。
本屋さんで積んである雑誌の2冊目を取ってしまうこと。
でも、知っていれば、そのうち2回に一回は一番上の雑誌を手にするかも・・・。これが雲泥の差なんだと優しく丁寧に伝わってきました。
伝えるのに「言葉」は本当に必要ですが、それに人の納得が加わるには事実という要件も必要なのですね。
いろいろわかると共に、わからないことも一つ。
データでいろいろ危ない物質の量が少ないのはわかったのですが、大きな事故がありながら、どうして少なくてすんだのかはわからなかった。理由もわかるといいのにな。
そして、物理学者という人のアタマの構造はもっとわかりませんでした。紙には書けないけど数式として答えが出る・・・????うーん、違う人種ですね。
でも、とっても興味ですし、面白いとは思いましたが。
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そこで見えてくるのは、糸井さんがあとがきで書かれていることにも繋がるのですが、事故などの危機に対する「姿勢」なんですよね。「姿勢」であり、どこを向いているかという「視線の向き」でもある。そういうのが学べると思いますよ。いわば、北極星を教えてもらうような本とも言えますね。近代になって科学が発達するまで、航海してるときに目印にしたのは北極星です。「北極星を見る」というのは、イコールこのような災害の場合での「姿勢」を知ることであり、「視線の向き」を知ることでもある。他の星を目標にしてさまよってしまうがごとく、科学的事実に拠ろうとすうことをしなければ、きっと、この災害の本当のことはいつまでたってもわからずに、さまよい続けてしまうことになるでしょう。さらにいえば、自分だけさまようのではなく、さまよいながら人を傷つけたり迷わせたりもしてしまう。そうはならないように、最小限どこを向いたらいいよ、と促すような本だと思います。
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映画を観もしないで書くのは大変失礼だと思うのですが、、
福島についてのドキュメンタリーがあるようですが、そちらを見て不安になったら先入観を捨て、一度この本を読んで落ち着いてほしいと思います。(追記)
確認のつもりで読みました。
知らないと心配になるから知ればいい。
不安なら安心できる方法を探せばいい。
きちんと知ってから発信なりRTなりすればいい。
大事なことが書いてある本だった。
火山の噴火もそうだけど、落ち着いてもう少し知るべき事があるのではないか。少なくとも他人の伝聞だけでなく元資料や元発言に当たり、判らなければ信頼できる人を探そう。そう思いました。(追記)
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2015/08/07:読了。
図書館で借りた本。
あまりに素晴らしい本だったので、文庫本を買った。
何かに迷ったとき、判断がブレ始めているときに、心の有り様を確認するのに、物差しになる本多と思う。
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感情に訴える発信に、敏感に反応してしまう私だけど、もっと、知らなきゃいけない。
無知は本当に恥だ。
自分が選ぶ情報で、人を笑顔に出来ることもある。
みんなに読んでほしいな。
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東日本大震災が起こった直後、福島第一原発に関わることをTwitterで発信し続けた早野教授と、その早野教授のツイートを支持した糸井さんの対談の本。
薄いし、対談だから専門的知識に偏ることもなく、いい意味で敷居が高くない本です。なので自分でも読めました。(かと言って専門的なことが書いてないわけじゃないです)
最初に糸井さんが述べているスタンスは、「自分の判断は普段科学的ではない部分が結構ある。だが、何か起こったら、科学を拠り所にする」というもの。これは自分もそうありたい。
東日本大震災は、原発に対するスタンスを明らかにする人が結構いた。そのような人たちは実際になんらかの行動をした。
そうでない人達にとっても(自分も含めて)、震災は今後生きて行くのにはどのようなスタンスがいいのか考える契機になったのだ、と改めて思いました。
実例として、震災を機に福島の優秀な高校生の渡航が実現したのだし、早野教授によって子どもの放射線測定、内部被曝に関するノウハウが確立されたのだし。
3年半が経とうとしている今、震災を改めて考えるのにとてもいい本だと思います。
さらに今後、世界がより緻密な数式で表され、科学の力で災害の被害が食い止められるようになることを祈ります(第5章参照)。
自分にできることは、一市民として少しでもいろんな本を読んで、センセーショナルな情報に動かされずに冷静に判断できる知識を身につけることなのかなと思いました。
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あの頃わたしが心の拠り所にしていたふたりの本。この人たちがいてくれて本当によかった、と思っていたあの春のことを思い出した。
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震災当時、小学生だったので原子力発電所が大変なことになっているということくらいしか知らないまま大人になってしまいましたが、今になってでもどういう研究が行われていたのか知ることができて良かったです。
放射線の実験をする研究室で、高い反応が出たから機械に異常がないか探したら外から放射線が持ち込まれていたという話、興味深かったです。
目に見えないので、あっても気づかないし、無くてもあるのではないかと不安になることがある。
そういう伝えづらいものに対して、しっかり検査してデータとして真実を伝えてくれた人がいたということの有り難さをとても感じました。
声を大きく上げる人は信用できないという話もたしかにと思いました。慌ててしまう時にこそ冷静に判断していきたい。
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とても大切なことを伝えている良書だと思います。
放射線に関わる一技術者として、科学的な見地としては正しいと感じました。
でも、本書ではあまり触れられない、確率論としてリスクがゼロではないことから、自分は、それでも、という思いが原発に対してはあります。
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福島の原発事故直後から放射線の影響について、継続的に客観的事実を発信し続けている物理学者の早野龍五氏と糸井重里氏の対談。
早野氏があとがきで述べているように、当時、科学の思考や言葉がいかに一般に伝わらないかということはイヤになるほど突きつけられた。例えば、「安心」と「安全」の差は今はほぼ通じるようになったが、当時は「こういう条件であればこう考える」ということがなかなか伝わらなかったように思う。そこは当事者との意識の差であったり、あとはやはり表現の問題だ。
早野氏がいかに事実を分析し発信し続けたかというのは、尊敬するとともに個人の力に頼ってしまっている部分に危うさを感じる。
知らなかったことがすんなり読めるのはさすが。糸井重里氏に対しては、正直、いつも若干批判的な目で見ているのだが、毎度のことながら読んでるうちに「やるなぁ」と思わせられてしまう笑