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山田詠美の小説にでてくる世界は今僕のいる空間とは別の世界である。
その世界は、とても魅力的で官能的な世界、すぐそこにある。踏み出せば簡単に行けるんだと思う。
行きたいけど行けない。
それ以上の悦びがあることもわかっているのに…。
そして又、心の内に棲んでいる何かを求めて彼女の本を読む。
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いつか、どこかで出合ったような感情。
きっと、これからまたどこかで出合うであろう感情。
でも例え、出合ったとしても、私はそっちにはいかない。
感情は理解できるけど、彼らの行動は、今の私には理解できない。
美しい文章に、美しい言葉たち。
私は、もっとみずみずしい山田詠美が読みたい。
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一時期、山田詠美ばかり読んでた。思えば早熟な子どもだったのかもしれない。子ども心に山田詠美の世界の登場人物はお兄さんお姉さんで。漠然とこんな大人になるのかと思ったが、思いの外子どもな事実に驚く。のさておき。「色」をテーマにした短編集。一癖も二癖もある登場人物たちは山田詠美にしか書けないトリッキーさとスノビッシュな匂いを漂わせている。今の、この現代の流行りじゃないかもしれないが、ただライトでエンターテナーで「面白い」読み物が溢れる中で、不可解な感情を消化しきれない重さと、スタイリッシュな世界観が心地よい。
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私は、あなたのものにされるの、大好きだったけれど、それは、私が、そんなことでは束縛されないという事実を知っていたからよ。解らない?
(P.22)
ぼくの好んだ人間関係は、本当は理不尽なものであることに気付いた時、ぼくは、綺麗な心を持った奴隷として、彼の前に、おのずと跪いたのです。
(P.130)
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小さなお盆の上には、鍋焼きうどんが乗っていた。化粧の匂いをぷんぷんさせてね。
この女ときたら、親父が戻るまで、まったく隙のない化粧をして、待ってるんだ。本当に好きもんだよ。
冗談じゃねえ。
死んじまえばいいんだ。
(陽ざしの刺青/声の血/顔色の悪い魚/高貴なしみ/病室の皮/草木の笑い/白熱電球の嘘/ヴァセリンの記憶/雲の出産/埋葬のしあげ/黒子の刻印/蜘蛛の指輪)
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エイミーはいい女も病んだ女もウブな男の子も病んだ男の子も書き分けるからすごい。わたしも仔羊の塊を焼きたくなったし、大丈夫な理由として、「だって、詩人だろ?」って言われたい。
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12の色に纏わる短編集
色は自分の予想
陽ざしの刺青 金
婚約者のいる男と寝る女。
しかし彼に寝るのが好きだからと好きになったと言われる。
受け入れるが、彼の婚約者が妊娠していたことが発覚する。だが男は別れようとしない。私はそれを楽しむ。やがて男はその子供を連れてきてその子の前で女を抱く。
私は、彼と体を合わせる時だけに夢中になっていて、彼が私の生活に入り込んで来たがるようには、彼を愛していなかった。私は、自分の生活の大部分を彼のために費していたが、自分の心は、彼のために、ほとんど使ってはいなかった。彼が選び取って来たように見える私たちの関係は、実は、私が選ばせて来たのだと、私たちは気付いた。
「私を殺したからと言って、あなたの手に入るわけじゃないのよ。もう、私の心を痛めようとする以外に、あなたが、私を愛する方法はないのね。可哀想な人。これは、もう愛なんかじゃないわ」
血の声 赤
死んだ母の代わりにやってきた女女した継母。彼女は媚を売るように僕に接する。僕は彼女を犯した。
顔色の悪い魚 青
夜中に目覚めて寂しくなり適当な番号に電話する女。
彼女は愛する人を亡くしていた。
魚になったような気がしない。誰からも、愛されないで、夜明けの空気を泳いでいるお魚
この世に確かなものなんて何ひとつない。抱いてくれない男は、もう私の男じゃない。そして、私の男がいなくなった私の人生は、もう幸福じゃない。
高貴なしみ 紫
全てを持っている気品のある健一と下品だが魅力的な俺。健一にすみれという彼女ができたとき俺は嬉しかったが彼に彼女を取らないでくれと言われて彼女を犯すことを決意する。
すみれのような女は健一とよく似ており簡単に落とすことができた。たくさんの痣をつけ彼女を抱いた。そのことを健一に話した時彼の顔は痣のように染まった。
持てる者たちは、いつだって、そうなのだ。幸福を確認する術を持たず、自分より下にいる者たちの不幸を垣間見て、初めて納得する。
病室の皮 白
傲慢な私は和江という親友がいる。彼女に彼氏ができたと報告される。初めは全くそんな気はなかったが彼と話しているうちに彼と自分が似ていることに気づき彼を手に入れたいと思う。
草木の笑い 緑
自分を愛していた女を殺した。だって彼女はおれのためだけに生きているんだから。強姦なんかじゃない。彼女はおれに抱かれるために生きていておれがいなきゃ生きていけない。だから美しいうちに彼女を花を手折ったんだ。
初めて会った時に決めたの。私、あなたに愛される時だけ生きて行こうって。
白熱電球の嘘 橙
みんなを感動させる嘘をつく。それが当たり前。ある時恋に堕ちる。その人にさえも嘘をつく。だって彼を感動させてあげることが私の使命なんだから。
ヴァセリンの記憶 黄
同性愛と中途半端な関係な彼女。
雲の出産 灰色
冴えない女を遊びに誘って抱けたらという残酷な賭け。
埋葬のしあげ 茶色
お金持ちの少年は無理矢理留学させられる。
黒子の刻��� 黒
双子なのに自分には黒子がある。そのせいで全てが醜く思える。妹はあんなにも美しいのに。
蜘蛛の指輪 銀
母は少しおかしい。母には人の心に住み着く蜘蛛が見えるのだ。