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自ら考え実行する。
理想的な中学生の姿なのに、その姿が自分たちの思う形と少しでも違うと認めようとしない。
押さえつけて型にはめようとする。
大っ嫌い、そんな先生。
一生懸命やってる人に対して、そんなことしても仕方ないとか、頑張ってる姿を鼻で笑うとか、最悪。
そういうのをブスという言葉で表現する。
でも、キツイ表現を使うと、それがそのまま自分へのダメージとして返ってきちゃうのよね。
放送委員と放送部の両方がある学校ってどれぐらいあるんだろう。
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本読んでうれしくなってピアノに向かって曲を作りたくなったのは久しぶりかも。ラストで、女の子が互いに手をぱちんと打ちならす、きれいな終わり方。余韻を楽しみたくなる。
「しずかな魔女」もそうだったけれど、ここでも放送部のコンクールに向けて、自分たちでドラマをつくり、ニュースの原稿を作成しと、物語の中で物語を語る構成になっている。そのドラマやニュースの中身が、登場人物の抱えている様々な問題と響きあって、深く心を打つ。
最後の放送で流すことになっている、オリジナルな曲の歌詞も何だかよい。
こういう物語のリアリティーって、登場人物が抱えている問題の解決の度合いによって決まってくる部分も大きいと思う。あまりきれいさっぱり解決しきってしまえば、欲望の代替的満足としてはすっきりするけれど、リアリティーは低くなり、逆に問題が全く解決できなければ、リアルではあるけれど、物語としてのカタルシスはなくなってしまう。
このお話では、仲間の中の人間関係は、主人公たちの成長とともにうまいところに着地していくんだけれど、外には和解しえない「敵」がいて、その強敵ぶりがお話のリアリティを高めている。そのあたりも、「しずかな魔女」と似ていて、現実の問題に対して、妄想の中ではなくきちんと立ち向かっていく強さを要求してくるところが、僕には好感を持てた。
これを読書感想文の課題図書として選ぶセンスはなかなか。いろいろな切り口でひっかかってきそう。
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中学、高校と放送経験者です。アナウンスで県大会も2連覇しました。経験者としては、大会に出るための原稿練習の描写表現をもっとして欲しかったなと思います。放送はあまり馴染みがない大会であるため、周りに大変さが理解されないことが多いです。この本は、せっかく放送部のお話なので、放送部の内部をアピールして欲しかったなと思います。ただ、中学生の人間関係の表現は素晴らしいと思います。リアルです。
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中学の放送部を舞台にした、これはもうド直球の青春成長物語。
最初から最後まで、どろどろはなくて等身大の、どこにでもいる女の子の物語。そこが良いのだと思う。ドラマティックすぎず、明るさは失わず、悩みつつも仲間とともに答えを見つける。
わたしはもうひねくれた大人なので、ここまでストレートなものを見せられると、ううむ…国語の教科書か、国語のテストの例文のようだ…などと思ったりしてしまうのです。
だけど、これがとても丁寧に書かれた物語であることもわかるんですよ。このへん、うまく言えないけど、そう、見たことのあるキャラが多いのが安心感でもあり物足らなくもあるの…。バスケ部のいじめっこタイプの派手な女の子、とか生徒指導の嫌な先生とか、まあ敵キャラです。このへんがなー、もう少し理解できそうな良いところを見たかったというか。ああでも現実はむしろ、嫌なやつは嫌なやつなので、リアルではあるのか…。
美少女転校生の口の悪さとか、野球部の三田村くんの変わり者ぶりとか、そういうちょっとヒネってある設定は好き。奥行きというか。弟くんが出てくるあたりも良い。
で、最後の詩が、これも直球なんだけど、おお、ってなるくらいまぶしくて、なるほどここへすべてのメッセージが込められてるんだなあ、と思った。ここは本当にクライマックスで、さすがのひねくれた大人の心にもぐっと来た。
とにかく、ザ・王道青春ストーリーなので、たしかに既視感はあり、そうだなあ、題材が違えど他に同じ起承転結の物語は存在していると思われるんですけども。
でもなんか、すごくそれをきっちりとブレずに書き上げている。文章はシンプルだけど、ほんと読みやすくて上手い、お手本のようです。
言ってしまえばやっぱり感想文コンクールの課題図書らしさはすごくある。ほんとに優等生なの。シンボルとしてのメタセコイアの配置とかも。まとまりすぎてるくらいに。
でも意外にね、こういう安心して子どもに読ませられる作品って少ない。健全、っていうと薄っぺらくなるんだけど、よい意味で。
ちゃんと最後まで楽しく読めるし、良かった。
世界にむかって歩き出す、というテーマはね、ほんときらきらしてまぶしいなあ。
(個人的にはわたしも放送部だったので、みんなでやるものづくりの楽しさ、みたいな要素ももう少し欲しかったのかもしれん。映像研とか桐島部活とかの。どっちかというとオタク寄りの。そういう物語のほうが、わたしにはぶっ刺さる。けどまあそれは好みの問題です…)
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放送部を扱ったところ、マイナー部活の大変さ、がんばる描写は良かった。
死ね死ね言っておいて正当化するところは嫌い。超絶美少女が相手を「ブス」と罵れば効果抜群っていうのも現実的じゃないと思う。
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放送部を題材にしたのはうまいと思った。
なぜなら、放送部という1つの器のなかに、マイクの前で原稿を読み上げる人(アナウンサー)のほかに、機器操作をする人(ミキサー)や、全体を見て指示をだす人(ディレクター)などの多様な持ち場があって、個性を割りあてやすいから。
またスポーツ系と違い、女子と男子のどちらが担当しても不自然じゃないのも強みだ。
それにしても、この本の展開は“王道”だと思った。
大会出場に向けてバラバラだった個性が次第に結びつく展開はまさにそう。個性が多様ないまの中学生が感情移入しやすいように、それぞれのキャラクターが細部まで作りこまれている。
ほかに同級生からの同調圧力とそれの裏返しの巧妙な嫌がらせや、自分の主義主張を生徒に押しつけてそれが正しいと思いこんでいる先生との闘いや、そして異性への淡い思いなど、今の中学生が好きそうなアイテムがコンパクトに盛り込まれている。
でもあえて言わせてもらえれば、こういう最大公約数的な落ち着くべき地点に落ち着くような“万人受けしそうな”作品は、私はあまり好きではない。
この本の完成度を低く評価するつもりはない。だが私は最近読んだ「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」からも、この本と似たような感じを受けた。
https://booklog.jp/item/1/4062210800
まるで今の中学生が“忖度”や“空気を読む”というような現代的な風潮に取り巻かれつつも、そのせまい枠内のみで葛藤や軋轢を克服することで、もう自己満足を得てしまうのでは、と“深読み”してしまう。
「中学生」「放送室」と聞いて私が思い出すのは、私が中学生のときに放映された3年B組金八先生の「卒業式前の暴力」だ。
加藤優の物語を今の中学生も一度じっくり見てほしい。コンプライアンスとかに押し込められたせまい常識なんか百万光年かなたへ蹴り飛ばすかのようにいろいろな感想が胸から湧き上がること必定。そういう意味でこの本よりも多種多様な感想文が加藤優からは生み出されるのではないかと思っている。
昨今の中学生向け小説のパターンが1つの定型に落ち着こうとするかのような傾向に活を入れるという意味で、誰も書かないまたは書いていない視点からレビューを書いてみた。
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昔、中学校で放送部の顧問をしていたことがあった。それまで放送部がなかった学校に創部したから、この本に出てくるような一期生と共にワクワクしながら、作り上げていった思い出がある。キーパーソンになる美少女転入生には、橋本環奈を重ねて読んでいた。彼女が主人公の少女と放送部を作り上げていく中でお互いの心の傷が癒えていく様子が爽やかな読後感につながった。
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中学生の不器用さだったり、いじらしさだったりを感じた。
そんな時代もあったなぁと思い返す。
そして、ちょこっと描かれていた大人の世界の追い詰め(いじめ)は、悲しいかな あるあるだ…。ホント悲しいけど。
実は大人も不器用だ。
なんてことを考えながら読んだ本。
ゆっくりでいいから前に進もう、そう思わされた。
不器用な私には響く1冊だった。