紙の本
平和は、軍事力でどかんと作れるものではない
2018/05/31 17:41
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『職業は武装解除』はNGOで働く女性が書いた本です。
瀬谷ルミ子というこの女性は、まだ若いのにその行動力と実績には驚かされます。
平和を創るというのは細かく気を遣う作業の継続と積み重ねで、しかもうまくいくとは限らない脆い作業だという事がよくわかります。
平和は、軍事力でどかんと作れるものではないのですよね。
日本が世界の平和に貢献するとすれば何をすべきかという問いへの答えは、ここにあると思います。
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なぜ、この本を読むことになったか、キッカケを覚えていない。高校時代に見た新聞記事で、人生ここまで進んできた彼女は本当に凄いと思う。「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれるのも当然である。日本での評価が低いと思いましたが、NHKの仕事の流儀に出ていたんですね。最近知った自分が恥ずかしいです。「できないこと」と「やらないこと」の区別に対する考え方は、全ての仕事に通じる。NHKの番組でコメントされたのでしょうね。以下のコメント文がHPにありました。「やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になる。それをせずに改善をするための方法を考えて実行するのがプロフェッショナルだと思います」これを、アフリカのDDRの仕事を通じて、言い切る彼女の強さを尊敬します。
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戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
そんな職業があるんですね!
積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
日本人だから出来ることがあるという。
一見、ごく普通の女性に見える。
瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。
勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
明るくて人気者の弟。
どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ大虐殺の難民キャンプでの、幼い子供‥
そんな環境にいる人に比べて、自分は努力しだいで色々なことが可能になることに気づいたという。
役に立つにはどうしたら良いか、進路を模索していく。
日本の大学で政治を学ぶが、やりたいことが出来るコースが存在しない。
そこで諦めるのではなく、誰もやっていないのなら就職口があるかもしれないと考えたそう。
卒業後、英国で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどものすごく大変な土地へ。
国連PKO、外務省、NGOの職員として、紛争を終結させることに携わってきたのですね。
まず兵士に武器を返還させるために、お金や仕事、農機具、職業訓練などを交換に与える。
そうしないと、武器を持った兵士に職がなくては、強盗や暴動が起こって、また逆戻りしてしまうから。
兵士に村や家族が襲われた記憶も新しい人々にとっては、兵士が罪をとがめられずにそんな得をするのは見ていて苦しいのだが‥
先に兵士を優遇しなければならないのは、そういう理由がある。
アフガニスタンでは、日本人のあなただから武器を渡すと兵士たちに言われる。アメリカ人やイギリス人なら撃ち殺すと。
アフリカでは、植民地支配をしたことがないと評価される日本。
それに、第二次世界大戦で荒れ果てた日本が復興した様子は希望となっている。いつか、日本のようになれるのではないかという。
日本には、そういう価値があるのだということ。
そういう歴史的価値を背負った日本人。
平凡な一人に出来ることは少ないかもしれないが、決して、なくはないのだ。
傍観者としてではなく、関わっている当事者として考えてみること。
世界で起きていることを少しでも知ること。
この本のご紹介を書くことも、その一歩のつもりです☆
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どこの世界にも対立する関係というのは存在する。たとえば企業内組織の問題もその一つだ。協力しあうことを忘れて自部署の権益を守りに走ると、必ず部門間の軋轢が生じる。それでも組織の歯車を維持できるのは、そこに優秀な「調整役」が存在するからだ。しかし、武装解除における「調整役」の難しさは次元を超えている。何しろ戦争加害者と被害者という絶対に相容れない関係の中に「理解」を持たせなければならないからだ。しかも加害者は武装解除のために「対価」を求めてくる。当然その「対価」は、被害者にとっては許しがたい内容。それでも対価を与え、被害者に理解を求める。著者の言葉を借りるならば、平和とは、時に残酷なトレードオフのうえで成り立っている。武装解除。尊い職業であり、残酷な職業でもある。そして、無くてはならない職業。
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先日、瀬谷 ルミ子 氏 による「職業は武装解除」を読み終えました。
何かの書評欄を見ていて気になった本です。とても興味をひくタイトルですね。
著者の瀬谷ルミ子さんは、国連をはじめ幾多の国際的組織で活躍している「武装解除」のプロとのこと。本書は、その瀬谷さん自らの手による半生記であり、活動ドキュメンタリーです。
読み終えてみて、久しぶりに、「できるだけ多くの人に、この本を手にとってみて欲しい」という気持ちを抱きましたね。老若男女誰でもOKですが、今後の進む道を模索している(若い)皆さんには特にお勧めです。自分の将来を考えるうえで、素晴らしい刺激になるでしょう。
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瀬谷さんの幼少期の思い出から紛争解決、武装解除の今を記述。ところどころに記述がある生々しい現実にもめげず、それでも何か惹きつけられるものがこの仕事にはあるのだろう。途上国の政治の腐敗はもちろんひどいのだが、おそらく日常レベルでそれらのハラスメント、意思の強制というところは殺人や強姦までいかないものの振れ幅を狭めたレベルで日本でも起こっている。
むしろそっちが解決されることがあまりに難しいが必要で、でも途上国のより悲惨な状況を見れば相対的にマシに見える。しかし特に日本の労働環境で起こっていることというのは世界を狭くせざるを得ない労働者から見れば同じような問題なのだろう。
しかし殺し合いにならないまでも決して理想的ではない状態ってイメージがつかない。ワガママになってしまった私は殺し合いやいじめと感じられる基準が通常より下がっているためなのだろう、日本の日常もある種の紛争現場に感じられる。
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1977年生まれの、国際紛争解決を手掛けるNPO法人の代表であり、2011年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた瀬谷ルミ子氏が、自らの半生を綴った記録。2011年に単行本で発刊され、2015年に文庫化された。
日本の地方に生まれた瀬谷氏が、国際紛争解決という仕事に目覚めたのは高校時代で、自宅の茶の間でお菓子を食べながらめくっていた新聞に載っていた一枚の写真がきっかけだという。その写真には、ルワンダ大虐殺の難民キャンプで、コレラで死にかけた母親を泣きながら起こそうとしている三歳くらいの子どもが写っていた。そして瀬谷氏は、自分にはそうした世界の人々には持ちえない選択肢があり、すべては自分の努力で可能になることに気付き、その後の半生を歩んできたのだといい、本書では、日本の大学卒業後、英国の大学で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどで、国連PKO、外務省、NGOの職員として、武装解除などに携わってきた足跡が綴られている。
最後に瀬谷氏は、「アフガニスタンでは、日本人が言うからと、信頼して兵士たちは武器を差し出した。ソマリアでは、アフリカで植民地支配をしたことがなく、支援を行う際にも政治的な思惑をつきつけない日本は、中立的な印象を持たれている。そして、第二次大戦であそこまで破壊された日本が復興した姿を見て、今はボロボロの自分たちの国も、日本のようになれるのではないかという希望を与える存在となっている。日本が背負ってきた歴史的経緯は、他の国がどれだけお金を積んでも手に入れられない価値を持っているのだ」と語り、私たち一人ひとりが、傍観者ではなく、行動する者として施策に影響を与えうる役割があることを今一度考えて欲しいと述べている。
国内に住む大多数の日本人にとって、世界各地で起こる民族紛争に対して直接的にできることは多くはないが、瀬谷氏らの活動やメッセージを通して、国際社会での日本の役割を考えていくことはできるし、していかなくてはならないことなのだと強く思う。
(2011年9月単行本了)
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PKO 活動やNGO 団体というものが何をしているものなのか、日本人が紛争地帯で何ができるのか、ニュースを見ながらなんとなく考えたことはあるけど、それ以上深く追及したことはなかった。武装解除という言葉すら聞いたこともなかったことを、自分とさほど年が変わらない日本人が世界を股にかけて行っている。平和を作るために、加害者である兵士を優先せざるを得ないなど、きれいごとだけでない、私の知らない世界の普通がそこにある。
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重かったけど眩しくて、力強いけど気分が悪くなった。
手を失ったお父さんの話の中で、平和は「祈るもの」じゃなくて正に「身を削るもの」なんだなあと。
もしも自分だったらと一瞬想像するも我慢できそうにない。水に流せそうにない。身投げするか憔悴して死んでしまう多分。そんな人たちと毎日接して、彼らの間に立って、先を信じて交渉するなんて、本人は「自分がすごいわけじゃない」と謙遜するも、やっぱり凄すぎる。
自分にできる事って、寄付とかもそうだけど、かわいそうだけど厄介だから見ないふりじゃなくて、知ろうとすること、思ったことを発信していくこと、そういう人を特殊だと遠ざけず普通に考えることなのかなあと、気が遠くなりそうになりながら考えさせられた一冊。
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選択をするということ。その選択に対して責任を持つということ。当たり前なのだけれど難しいことを、大きな規模で実践している著者を単純にすごいな、と思う。日本が持つ歴史的経緯、その価値を認識させられる。ただ、だから自分はこうする! と、行動にまで結びつけることは難しく…。ぶっちゃけると現実感がない。現実感がないことに少しだけ覚える罪悪感が、この本を読んだ成果なのかもしれない。
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紛争解決の申し子みたいな瀬谷さんでも20代の頃はあれこれキャリアについて悩んでたんだなぁ、となんかしみじみ。それでも既にやってること凄すぎる…。「和解」も押し付けられる方はたまったもんじゃないっていう例ははっとしたし、クロアチアで若いプロセスとして植林活動を取り入れたという例も、そうして繋がるのかと驚いたり。瀬谷さんの経験を読んで、自分の思っていたキャリアはもしかしたら遠回りなのかなとか思いつつ、でも、結局自分で悩みを引き受けないことにはそれは他人の経験でしかないからな、と考えなおし、たとえ遠回りでも今は自分の思うままにやってみようと思いました。
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貧困、紛争、犠牲になるのは女性と子どもから…目を背けたくなる現実が記されていて心が痛みます。レイプされたのに、男性を誘惑した罪で公開処刑される13歳の女の子の話とか、もう読めません。イスラム教早く無くなれ、紛争してる南アフリカも争い止めろー。読むのに体力いります。
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先進国に生きる人間が
読むべき一冊だと感じた。
発展が頭打ちになりつつある今、
何かが必要に迫られているところに
飛び込んでいく勇気が必要だと思う。
筆者がどのような体験をしてきたかを
知れることは貴重なことだし、
その道に進もうと思っている人の
背中も押せているはず。
読み進めていくうちに
ユーモアのある文章も増えてきて
楽しく読むこともできる。
世界に貢献しながら
世界を渡り歩くなんて
憧れずにはいられない。
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読むと何度でも自分のネジを巻きなおせる本。
武装解除というのは、兵士たちから武器を回収し、職業訓練をし、社会復帰させる仕事のこと。
高校三年生のときに筆者が気づいたことは、とてもシンプルなことだ。――自分には『自由に行動する権利』がある。人生は自分の手で変えられる。その権利は世界の誰もが持っているものではない――気づかせてくれたのは、ルワンダ内戦の写真だったそうだ。
このことに気づいてから今まで、どのように行動して武装解除と紛争解決の仕事をしているのかが、この本には書かれている。
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読み助2018年5月16日(水)を参照のこと。 http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2018/05/post-4e7e.html