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結構良かった。☆4.5くらい。
台湾新幹線を背景に、バラバラだった登場人物が少しずつ距離を縮めて、つながった。春香と人豪の話がいいな。こんな奇跡ってあるんだ。
前々から台湾に行きたいと思っていたが、この本でさらに後押しされた。台湾の人は温かいな。工期にルーズなところも苦笑。
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異国に高速鉄道を開設する苦労を描いた企業小説かと思って読み始めたのだけど、それを題材にしながらそこに携わった人とその周辺の人たちの数年間を切り取って描いた物語だったのね。
開設の中心となる商社に勤め、台湾に出向した春香を中心に、恋人の繁之、同僚の安西、彼女がかつて台湾に旅行した際案内をしてくれた台湾人男性・人豪、台湾人の若者で後に車両の整備に携わる威志、台湾からの引揚者である葉山勝一郎等々の登場人物が連なる。
人豪⇔春香⇔繁之の微妙な関係や安西と妻との関係など書けば書きようはあると思うけど、あまり深くは立ち入らず、鉄道建設の進行に従い淡々と物語は進む。その辺りの書き振りは絶妙と思えるも、ドロドロしたところには立ち入らず多少の物足りなさはあり。物語の本筋とはあまり関係ないけど、定年後、妻も無くして独居する葉山の生活振りが身に沁みた。
私にとって台湾は25年前に初めての海外出張で回った国のひとつだけれど、現地の人に車で引き回してもらっただけで、それ以来訪れたこともなく、殆ど印象に残ってない。それでも“立ち止まった時の景色が世界一美しい街”の濃密な佇まいが、街中の喧騒にせよ田舎に残る自然やスコールの情景にせよ、よく描けていると感じた。
主な登場人物がひとつの列車の中ですれ違う終章にも心落ち着く。
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台湾新幹線の部分が
どこまで真実に近いかなんてことはわりとどうでもよく、
それぞれの数年間が感慨深い。
生きていくことの面白さ、楽しさ、詰まってる。
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【台湾でも大反響! 国を越え、溢れる想い】台湾に日本の新幹線が走る! 巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がる。確かな手触りの感動傑作!
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吉田修一「路」http://hon.bunshun.jp/sp/lu 読んだ、ものすごくよかった。読後に爽やかで瑞々しいカタルシスを得たのは久しぶりだ。多数の二人組の人間関係が台湾と日本とで交差し、台湾新幹線が全部を縫い合わせる。早く先を知りたいもどかしさと読み終わりたくない気持ち(つづく
力強く温かく生命力が満ちた本。小説はこうじゃなきゃ。全員が相手のことを真摯に考えて悪い人間が一人も出てこない。この幸福感はわたしの中の台湾の印象と重なる。躊躇する春香に比べて人豪の率直でのびやかな言動は気持ちがいい。言わないと伝わらないものね。伝えることが大事なんだよ(おわり
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新幹線事業部の春香、安西、山根
終戦後台湾を引き上げてからずっと台湾に背を向けていた葉山勝一郎
台湾の若者、陳威志(チンウェイスー)
そして、日本で建築家として働く劉人豪
それぞれの家族、恋人、友人たちとの関係や物語が
いつの間にか、新幹線事業を軸にして繋がってくる
最後に新幹線が開通する感動とともに
人としてのやさしさや静けさ、温かさを感じる
とても素敵な本でした
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台湾での新幹線開通に奮闘する主人公。
仕事や、鬱の彼との関係、大学時代、台湾旅行中に、出会った青年との再会、いろんなことが、静かに流れていく物語。
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最高でした。登場人物が多くて、それぞれつながりがなさそうなのに、最後はきちんとしまってる。密度が濃いのに、さわやか。台湾行きたくなったなあ。おいしいものを食べて、町を歩いてみたい。
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きれいで気分の良い文章。
台湾新幹線の建設工事が話の軸になっているが、あくまで人々を繋げるためのツールとしての扱いで、そのあたりの加減がすごく絶妙。
登場人物たちの等身大の暖かさを感じる、とても気持ちの良い作品でありました。
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主に4つの物語がある
台湾に来た日本人、春香と鬱になった日本人恋人、一度会っただけの忘れられない建築家台湾人
台湾で育った記憶が忘れられない老人
旧友に詫びるシーンが一番良かった
徴兵後に子持ちの父となる決意をする、台湾人青年
台湾女性に惚れ、離婚を決意する安西
台湾に日本の新幹線が出来るまでの、それの周辺のドラマ。
大きなドラマは起こらないけど、前述した60年ぶりの謝罪と、春香と日本人彼が鬱から立ち直ったうえでの離別はとても良かった。
そして、また生きていく。そんなアウトロが似合う、人間の様々な人生の途中を切り取った作品。
個人的にはもっと刺激が欲しかったが、大人のゆったりとした時間が感じられる。
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ネットやテレビで台湾特集してる度に、台湾行きたいー!と思ってた(まだ行けてないけれど)この本を手に取った時に、台湾の新幹線が日本のものだとは知らなかったので面白いかな?なんて思いつつ、新幹線建設の話だからそれこそ、プロジェクトXみたいなハードなものなのか?という若干の不安(専門用語とか、難しい話とか)もあった。
でも読み進めていく内にそんな不安が消し去り、何人か出てくるこの物語の軸となる登場人物と一緒に彼、彼女らの人生を一緒に歩いていた。
そして気付いたら感情移入し過ぎていたのか、春香が旅先で出会った人豪と過ごした半日のエピソードでは甘酸っぱい想い出に胸が切なくなり、勝一郎が中野と再会したシーンでは涙が止まらなくしばらく泣きながらページをめくった。
最初はバラバラに進んでく物語だけど、次第に点と線が繋がりはじめてラストには1本の直線になる。新幹線が台北から、高雄に繋がった様に。
さっき読み終えたばかりだからまだ上手く表現できないけれど心が暖かくなったし、生きる強さ、夢、友情とかその他諸々。。。そういったもの全てが台湾と日本を舞台に描かれていて本当に素晴らしい作品。
2015年の今、現在 1番心に残った作品。
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台湾新幹線開通までの経緯を軸に、事業に直接関わるビジネスパーソン、現地で生活する市民、そして日本統治時代に郷愁を抱く者などのドラマが展開する。メインとなる男女のストーリーはかなり甘美的だし、大規模な公共事業はもっと「プロジェクトX」的な感動があっていいと思うが、悪人の出てこない市井の人々の生きる躍動感が読んでいて楽しい。
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これは面白かった。テーマも物語構成も面白かったけれど、この人の書く文が好きだ。時々、はっとするくらい美しいと思う。
台湾の友人の懐かしい姿を思い描きながら読んだ。
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日本商社が手掛ける台湾新幹線の開通を軸に、日本人と台湾人の人生が巧みに交差する。台湾の瑞々しさに胸踊る傑作。
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台湾、及び台湾新幹線にかかわった人々の群像劇で、台湾の風景描写が至るところに出てきて、旅行したくなってしまいました。
この作者さんらしい、達者な文章で、最初は繋がりのなかった人物を最終的には纏めてみせるところは流石でしたが、この作品に関してはあまり入り込むことができなかった。
1人あたりの視点が短めでサクサク読めるのはいいけど、その分、ぶつ切りな感じがする箇所があり、作中での時間経過により、話が飛んでしまっている。
良くも悪くも市井の人々のお話といった感じで、登場人物にあまり魅力を感じなかったのも、読書スピードがあがらなかった原因かな。
唯一、小説的なエピソードがあるのは春香と人豪のパートだけど、ここも春香に恋人がいることで、しかもその恋人の設定のおかげで、いまひとつ盛り上がりに欠け、もどかしいし……。
台湾礼賛的な文章もちょっと自分には受け入れがたかった。