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6/13(土)再読了。
5月に放送された日台共同制作ドラマ『路~台湾エクスプレス』終了後、寂しくて再読しました。
読み終えてまた寂しくなってしまった。
いつまでもこの世界に浸っていたかった。
でも、台湾新幹線開業に携わる春香、台湾へのわだかまりを抱えた老人、何者でもなかった台湾人青年を描いた3つのパートは、どれも現在進行形で締めくくられ、私の中ではいつまでも物語は続いています。
と言いつつ、春香と人豪の行方が気になる。
好きな作品の書評記事を本に挟んで、何度も読み返しています。
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台湾新幹線完成までの7年間の関連する人びとの物語。一人ひとりの様々な切ない思いなどが描かれていて、とても感動しました。吉田修一さすがです。
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台湾の新幹線に乗った時、あまりに日本の新幹線と同じでビックリしたことがあり、その事業に関する本だったので読んでみました。
この作家さんの本を読むのははじめてです。
人間ドラマが淡々と描かれていて、心温まるお話。ただ、私の趣味(もっとドロドロした人間の醜い部分も包み隠さず正面から向かうような泥臭いの)ではない。
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2007年、台湾で日本の技術による新幹線が開通。その国家プロジェクトをきっかけに、過去を思い出し、人生が変わっていく多くの日本人と台湾人たちを描いた長編小説。
台湾新幹線を走らせる人々の努力、執念を描いたものづくりの歴史小説だと思って読み始めたのだが、中身はいつもの吉田修一作品らしい青春群像劇だった。
ストーリーの中心人物は、台湾新幹線プロジェクトメンバーの日本人、多田春香と日本の建築会社で働く台湾人、劉人豪。台湾でたった1日出会っただけの2人が数年ぶりに再開を果たし、互いに惹かれては離れて、のまどろっこしい関係を引きずる。中国に気を使い、友好とも敵対とも違う微妙な距離を保つ日台関係によく似ている。
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肉圓(バーワン 千と千尋で豚になったお父さんが一心不乱に食べてたアレ)や紅豆湯(台湾式お汁粉 テイクアウトで食べるのが一般的らしい)や美味しくないシーフードレストランで注文を先に頼んでおかないと中々こないとか料理のディテールが細かくてその分台湾に凄く入り込めた。
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阪神大震災と台湾の震災を超えて日本の女性と台湾の男性の話が進んでいく。台湾新幹線の建設チームに選ばれた女性が台湾に赴任することから物語は始まる。かつて台湾を旅行した時、出会ってその後連絡が取れなくなった大学生がいた。大学生は建築会社に勤めて日本にいる。二人が再会するまで、そして一緒に生きていく覚悟をするまでの物語。
他に新幹線建設チームの先輩。元建設会社勤務で台湾生まれの老人。台湾人青年。からの目線でも語られる。
筆力があるから読んでしまうけど、二人の目線で描いて欲しかった。台湾の事情、老いること、働くこと、恋すること、愛し合うことが散りばめられていて、最後にじんわりとした感動があるのでこれもありか。
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さまざまな台湾での風景での出来事が目に浮かぶようでした。多田春香と新幹線、台湾との出会いを軸にして枝葉を拡げながらそれぞれの人生を見せてくれた。台湾の新幹線はハードだけでなくて人の気持ちが動かすものであったし、人もハートが動かなければ結局は動かないんだなぁって。
第二国民ってなんだよ…と。そーゆー事してきた奴らの血筋だと認識しとかなきゃ。
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台湾新幹線建設プロジェクトに熱意を持つ日本人女性と、学生時代に彼女と出会ったのがきっかけで日本で働き始めた台湾人建築家を中心に、統治時代に生まれた日本人から高雄の建設工場で働く若者まで、多くの人生が交差する群像劇。プロジェクトXばりの困難も盛り込みながら、異なる国の人々の出会いが希望をつなぐ。歴史や政治や親日/台感情や観光ブームなんてものを飛び越え、クールに語るスタイルでありながらも、温かさは確実にあるのがなんともいい。
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台湾へ行ったとき、何も知らずに向かった駅とそこへ来た新幹線があまりにも日本と一緒なので驚いた。台湾の人がとても親しげに話してくれるのが印象に残っている。
台湾新幹線の記事が挟まれ、当時の日本は少し冷めた目線だったのかなと思う。感情移入させてくれない文章だけど、中身の物語はそれぞれ温かい。
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はじめての吉田修一(読売連載の「怒り」は除く)。
“積ん読”書がそろそろなくなり、蔦屋書店でどれを買おうか悩んだ末、北上次郎が帯に書いていた「これが小説だ。」に惹かれて購入。
たしかに「小説」だった(とても良い意味で)。
台湾高速鉄道(新幹線)の建設が軸になっていて、そこに関わる人たち、戦前に台湾在住だった日本人、台湾に暮らす人々、あるきっかけで日本に留学し就職する台湾人の若者などが登場する群像劇。
主要な登場人物たちの視点で語られ、同じシーンの中で視点が切り替わることもあるが、不自然さは感じない。
風景描写が秀逸で、読みながら頭の中で容易に映像化できる(現地には行ったことないので、想像の範囲内だけど)。
最終章で描かれる、主要登場人物たちの邂逅場面がさわやかで、読後感の良さにもつながっている(「さわやか」というトーンは、小説全体にも通じる)。
ひとつだけ難を言えば、台湾の人達の名前のルビが、初出時の一回しかついていないので、後から「なんて読むんだっけ?」とページを戻るのがちょっと面倒だった。(だって、現地語にちかい発音で読みたいじゃないか。結局読んでる間に、初出のページ数も覚えてしまったぞw)。
近いうちに映画化されそうな気もする。てか、映像でまた観たい。風景描写も良いんだから、このまま登場人物のキャラを変えずに映画化してほしい。
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濃い。ものすごく濃い。
たくさんの登場人物が出てきて、その一人ひとりに共感して喜んで泣いて、そしてその登場人物たちが徐々に繋がっていくところはとてもわくわくします。
人の出逢いや縁や運命って本当に不思議なもの。
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NZ旅行のお供として持っていった一冊。
台北から高雄までの345kmを、時速300kmおよそ1時間半で結ぶ台湾の高速鉄道、通称台湾新幹線。その工事入札から着工開通までに関わった人たちのドラマ。
…と聞くと、壮大な男のスペクタクルロマンを期待してしまうんだけど、中身は淡~い恋愛物語。
台湾旅行で知り合った現地の男の子に恋をするも再会できず、台湾新幹線建設の仕事に関わり台湾に住むようになってようやく9年ぶりに会うことになった…ってありがち~。それでも、台湾で生まれ育ち、戦後日本に引き揚げて建設業の第一人者となった老人の話、今を無責任に楽しく過ごす台湾青年が、新幹線工場で働くようになる話などの挿話を交え、彼らお互いが台湾新幹線を通して間接的直接的に関わっているのが、話にふくらみを持たせている。
なじみのある食べ物の名前や通りの名前が出てくるので、台湾へ行ったことのある人とない人では楽しめる度合いが違うと思う。
ただ、これだけ苦労して開通させた鉄道なのに、現在経営破たんの危機に瀕しているというのが残念だ。
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春香にはいまいち感情移入できない。旅行先で会った男のスクーターに二人乗りしてアパートまで着いていくなんて。20代ならもっと仕事で苦労したり迷惑かける話があっても良いかも。最後に現地のPR会社に転職とかありえない。
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これまで吉田修一の作品と触れることはあまり無く、「翼の王国」で連載してるのをたまにチラ見するぐらいだったのだが、何となく手に取ったのはやはり台湾というテーマのせい。台湾新幹線(台灣高鐵)といえば、僕が新人配属された本部にとっては輝かしくも忌まわしい記憶であり、その後台湾に深く携わることになった僕個人も色んな思い出が有る。その台灣高鐵の入札から開業に到る10年間の時間をマストに、主として5人の日台両国の様々な人が織りなす人間模様を、敗戦、阪神大震災、集集大地震という要素を織り込みながら帆を張っていった物語。
小説としては嫌いじゃない、けど色んな人間関係をひとつの縦軸に纏めるためにちょっとたくさんの「ミラクル」を使いすぎているし、それぞれの人間模様の掘り下げ方があまり深くない、というか、ちょっとファンタジー的過ぎる。みんなそれなりに纏まっちゃうし。男目線から見たこうだったらいいなという意識が物語を引っ張ってってるし、それぞれちょっとキレイすぎるのだ。それに、日本企業の海外プロジェクト受注物語、でもないので、その辺を期待した向きにも違う。
ただ、それでもいいな、と思うのは、描かれている台湾が、足下から湿気が今にも上ってきそうなぐらい僕の感覚にはヒットしたから。台湾の風景や匂いを、すごく良く切り取ってる。読んでいるだけでいますぐ台湾に行きたくなるぐらいだ。林森北路とか永康街とか、これを読んで切ない想いにひたる元台北駐在員も少なく無かろうw
こうやって読むと、僕はやっぱり台湾好きなんだな〜、って思う。何だかんだ縁もあるし、今の一番の部下も香港にいながら台湾人だし。入社2〜3年目のころ、駐在に出るなら台北か香港かサイゴン、と願っていて、結果香港に来て挙げ句の果てにそのまま永住権とか取っちゃったけど、台北に出てたらまた人生違ったかも知れないな。最近台湾案件からちょっと遠ざかってるので、また台湾を切り拓きに行ってみるか。
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台湾新幹線の話。
だが、山崎豊子作品のような綿密な取材による従事者たちのドキュメンタリーを期待してはいけない。
台湾新幹線を取り巻く人たちの生活に焦点が当たっているので、困難を乗り越える姿などは全く描かれていない。最終的にはそれぞれがそれぞれの道をそれぞれの場所で歩いていく、という結末なのでイマイチ残るものはないかもしれない。