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本巻は、インフラ特集で、街道、橋、水道、そして、医療、教育について、豊富なイラスト、マップ、写真等が盛り込まれた、たのしい巻です。
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手抜き工事をするな。インフラ整備をけちるな。安全衛生と維持管理が生活水準を高めるのだ。土木建築の歴史入門書として楽しい名著である。
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第10巻はハードなインフラ(街道・橋・水道)とソフトなインフラ(医療・教育)、各地の遺跡の写真と地図など。
「賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、歴史は知識だがそれに血を通わせるのは経験」
「パレスチナ・コソボ・マケドニア・・・民族間の紛争の解決は、民族自決を唱えてしまった現代、ますます遠くなりつつあるのかもしれない」
「神頼み、人間誰でも身体の具合が悪くなると不安になるもので、頼れるものがあれば何にでも頼りたいという心境になる」
「神頼みだからといって非科学的と断定できない。休暇・体力面でのふるい・粗食による清浄化・温泉・同病相憐れむの環境」
「人間とは無意識にしても、意外と利己的な存在である、不幸に絶望していた人でも、右にも左にも病人がいる環境の中では、軽症であることだけでも幸せに思えてきて、力がわいてきたりする」
「キリスト教帝国・・・あるひとつの考え方で社会は統一されるべきと考える人々が権力を手中にするや考え実行するのは、教育と福祉を自分たちの考えに沿って組織しなおすこと」
「人間の生活にとって最も重要なことは、古今東西ひとつの例外もなく、安全保障なのであった。現代でも、戦乱の続く地帯に住む人々の苦しみを見れば、このことを納得できる。ローマ史を書くことは軍事史を書くことにならざるをえない」」
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「賢帝の世紀」でなんとなく気分も一段落してしまうのだけれど、塩野さんはここで一気に歴史を遡り、再び下りと行き来してローマ帝国を帝国たらしめたインフラを改めてまとめてくれる。他の巻と違って主人公は登場しないのだけれど、道、防壁、水道などまさに帝国を運営するのに必要だったものがどのようにして築き上げられたのかの物語。今の時代にもなおそのままで残っていると思ったら、それはその後メンテナンスの行き届かなくなった廃墟に過ぎないことがわかる。これ読んでからヨーロッパを旅するのはきっと有益なんだろうなと思う。
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この第10巻は「インフラストラクチャー」編である。独立した、建築・土木・治水などに特化した内容である。先にこれを読み、次に1巻から読み始めるべき。
道路の舗装、上水道、橋梁・建築・・・目を見張るばかり。また、現在も同じルートに道路があり発掘できない所も多数あるという。
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作者の言うとおり、ローマ帝国のインフラについて述べたこの本は、歴史を追いかけている他の巻に比べてどうしても地味である。しかし、読んでいてタイクツしたかというとそうではない。それどころか、血湧き肉躍ると言ってもいいほどの興奮を、僕に与えてくれた。
戦いも、インフラ整備も、精神というか価値観のあらわれという点では同じなのである。戦いで相手を退けるのも、国力を豊かにして相手が進入できなくするのも、国民を守るという点では同じである。城を築くのと同じ情熱とプライドを持って水道や道路を築く精神は、素晴らしいと思う。
多分それは、今の僕自身が一番あこがれている「戦い」のあり方なのかもしれない。理想に近いものを、この本が提示してくれたから、僕にとって幸せな読書体験であったのだと思う。
2007/5/14
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文庫本が立て続けに出版されていたので購入。
王政・共和制・ローマ帝国時代を通じて古代ローマ人が
インフラをどのように考えていたかが考察されています。かなり乱暴な記憶ですが気になる内容は
-システムは継続性が大事だから発案者だけが理解でき
るものではいけない
-政治家が決めることは思想とかではなく具体的な
政策である
です。かなり意訳ですが政治家こそ実利を追うべき
であることは同意できます。
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現代では約2,000年前のローマ人を『インフラの父』と呼んだりするらしい。
そしてこの巻では、色んな本の中では地味であまり出てこない、『全ての道はローマに通ずる』の語源とも言える、『街道の建設』『上下水道の建設』などの生活のインフラについてのみ、書かれた本。
はじめ書きには、著者が自ら読みづらい本。しかし、どこにもない著者著しての挑戦の本でもあるということ。
現在でも道や水の確保が難しい地域がある中で、約2000年前に何も無い状態からこれを作り整備したのはとても凄いと思います。
これに近い方法を行なったのは、織田信長で楽市楽座や道を大きく広げた所が似ています。
まず『街道』には、戦略上軍団の行動スピードを高める為と、他の街との交流を盛んにする為、また道を広く創り、一定の距離の木々を切り見晴らしよくする事で、敵の奇襲や、盗賊などの被害を減らし、事件が起こっても短時間で援助に迎える整備された道ということです。
これは知ってか知らずか、織田信長も同じ目的で同じような行動に出たのだと思います。
また、水道に関しては水道橋などを創り、質の良い水源を何万キロから持ってくるという凄い事を行い、それにより清潔な水の確保は元より、今と違って水に殺菌作用を行なっているわけではないので、流しっぱなしの状態なんですが、それにより下水環境が整えられて衛生面でも大きく向上したとの事です。
ローマに行きたい。
ローマの歴史を感じたい。
帝政ローマ最高です。
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この巻は今までと違って、インフラのことだけを全般的に述べている。基本的には今まで述べたことの繰り返しが多いのでやや退屈。
●面白かった点
ローマ人の偏執っぷりがよくわかる。
●気になった点
繰り返しが多いので退屈。図が少ない。どうして小説家は文章で述べようとするんだろう? もっと図を入れれば良いのに。
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本巻はガリア戦記に着想を得たのかなと思う(読み落としていなければよいけれど)。
巻末カラーの写真が思った以上に充実していてよかった。2千年の昔が偲ばれる。アッピア街道やフォロ・ロマーノの「兵どもの夢のあと」の感じが好き。
一方で、ネロの記念柱やポンペイウスの柱、ブリンディシの円柱など、力学的に不安定なものが綺麗に残っていることに驚く。建設時の技術力とメンテナンス力は素晴らしい。
一番驚いたのは水道橋。カエサリアのものは海岸沿いにもかかわらず、よく現代まで残ったものだ。ニームの水道橋も3層の大きさだし、セゴビアのものは街中にそびえている。
欲を言えば、多くの街道の説明や写真があるとよかったなと思う。
街道の基本形の説明はよかった。水はけも考慮し、地中1.5mまで手が入っているとは想像していなかった。
これだけの隆盛を誇ったローマ帝国が、どのように終わっていったのか、ますます次巻以降への期待が高まった。
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このシリーズでは異質な一巻です。人物中心ではなく、テーマはローマ帝国を支えたインフラである道、橋、水道などのハード、そして医術、教育などのソフト面のインフラ。ローマ人は子供の時から母国語のラテン語と世界共通語としてのギリシャ語を話したと言う。特に道の建設は当時としても土地の接収から始まる公共事業の大変さの記述など、現代にも通じる記述は迫力があります。ローマが世界帝国として現代に至るまで圧倒的な存在感を持っているもの凄さに圧倒されます。ローマ人とギリシャ人の違い、ローマがいかにインフラを重視し、清潔さを望んだか、ギリシャは美を求める割には、清潔さはあまり求めなかった!永年の繁栄、異常に少ない疫病の流行、パクス・ロマーナの実現は、これなくしてはなかったということが良く分かります。著者は全15巻の中で、この巻の副題、書く内容も決めていたというだけに力が入った作品です。
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ローマのインフラ、特に街道、橋、上下水道のハードなインフラと医療、教育のソフトなインフラに一冊を丸々割いた感じ。ローマ帝国の凄さをこの一冊からだけでも感じとれる。
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塩野七生によるローマ人の物語の第10巻。この巻はシリーズの他の作品と異なりインフラというテーマに絞って書かれている。ローマ人のインフラへの考え方から、なぜローマ帝国は人類史上類をみないほどの成功を納めたのかを探っている。インフラはハードなものとソフトなものに分けられており、前者は街道や橋、水道などで後者は医療と教育についてである。シリーズのこれまでの内容を総括する上でも、今後の内容を先取りする意味でも意義深い一冊となっている。
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ローマ人の物語で唯一つ未読であった「第10巻」を読むことにした。
この巻を飛ばしたのは著者のまえがきに『他の巻と違って(退屈だから)覚悟して読むように』と書かれていたので、それではとスキップした。
この本を手になるきっかけは指輪物語を読んだ時のオルサンクの塔、ミナス・ティリス、アルゴナスの門等々の偉大な建造物が印象に残ったからであった。
実際の歴史上で最大の文明を作り上げたローマ人がどのような考え方で現在に残る建造物を作り上げたのか興味をそそったからである。
ぜんぜん退屈しませんでした。
ハード・インフラとして道、橋、水道について書かれている。
ローマ人が道を造ることにかける意気込みが、征服した民族を同化させるためであったことは他の巻で何度も述べられていたことであるが、特に水道の建設が医療というソフト・インフラに対する考え方に相通じるものを持っていたことは印象に残った。
ローマ人の医療に関する基本的な考え方が『直すより予防すること』であることから、清潔な水を無料で供給し続けることが重要、かつ実績をあげていた(後世のヨーロッパの都市がいかに不潔であったかを考えるととても興味深い)。
巻末にある写真と地図が貴重です。トールキンの本を読んでいるときに地図を離さずに読んでいたので、丁度舞台となる空間が同じなのでつい錯覚しました。
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ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、ローマの財に支えられたインフラ整備に終始。ローマ人の国づくりとは、どのようなものかが分かります。