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北の湿地の建物で老人の死体が発見された。現場に残された謎のメッセージ。被害者の隠された過去。衝撃の犯人、肺腑をえぐる真相。いま最も注目される北欧の巨人の傑作、待望の文庫化!
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ガラスの鍵賞受賞
ミステリが読みたい!2013年海外編第1位
アイスランドミステリ
アイスランド警察の捜査官エーレンデュル・スヴェインソンを主人公とするシリーズの三作目にして、日本語訳一作目。
耳慣れないアイスランドの固有名詞と格闘しながらながらぼちぼち読み進めるかと思って購入したものの、ぐいぐい読ませるのがアーナルデュル・インドリダソンの筆勢。
訳者あとがきに、スウェーデン語から訳すと聞いた作者の反応が書かれている。「アーナルデュルはわたしにどの言語から訳すのかと訊き、わたしがスウェーデン語から訳すというと、うれしそうにうなずいた。スウェーデン語とアイスランド語はともに古ノルド語を土台としていて、言葉のニュアンスや雰囲気が近い。それに、アイスランド語からスウェーデン語に訳したイルヴァ・ヘレルードの翻訳がとてもいいと聞いていると彼は満足そうに言った」
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かつてレイプ魔だった男が死体で発見され、主人公の捜査官が男の過去をさぐり、そこから殺人犯を追う話。登場人物のキャラもあまり描かれずにストーリーがたんたんと進む感じ。内容はまとまってて、結末も結末にいたるまでの流れも納得。
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面白かった。一気読みになってしまいました、アイスランドの風土、文化にふれられたのも良かったです。日本に似て閉鎖的なところがあるんですね。ファミリーネームがない、というのもその国のあり方を物語っていると思います。元をたどればみんな血族、という表現が作中にでてきますが、それが印象に残りました。「緑衣の女」も読もうと思います。
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北欧のミステリーは、悪天候がよく似合う。雨がずっと降り続いていたり空が暗くて、晴れた日がほぼ皆無といっていい。でも、それが物語を盛り上げている。
アイスランドを舞台にした小説は初めてだが、聞きなれない名前や地名が出てきたにも関わらず、読みやすかった。
悲しい過去がもたらす連鎖、結末はとても悲しい。。。
ただ欲を言えばもう少し、展開がスピーディーだと良かったかも。
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シゾ(統合失調症)の研究で有名なもので、スコットランド家系研究というものがある。
シゾで有名な遺伝子変異、DISC1を発見した有名な研究だ(確か2000年のもの)。その家系ではシゾが多発する。
特にヨーロッパ北部諸国では、国民の合意のもと、全国民の遺伝子が集められ、研究に利用されている。
この小説はそのような現状やそれに付随して起こるトラブルに対する問題提起とも考えられる。
小説中で出てくるある疾病は国家試験(以前にCBTでも)の重要ポイントであるが、その点でも医学研究を志しているものが読むと面白い内容だと言えると思う。
推理小説としてももちろん楽しめる。
アイスランドの風景というかどこかそら寒い様子が文章を通じて伝わってくる。
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面白かったー。アイスランドの作品。エーレンデュル、部下のエリンボルク、若手のシグルデュル=オーリが老人殺害の事件に挑む。レイキャビクってどんなところか想像付かないけど、多分人口少ないんだろうな。北欧でも離れているもんね。なんとなくさみしい土地かなと想像する。そこで珍しい殺人事件に関わる昔気質のエーレンデュルがよかった。
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お見事。徐々に明らかになっていく真相が、心臓を鷲掴みされるような息苦しさをもたらす。自分がこの犯人だったらと思うと、酷く切ない。
どうしようもない悪は存在する。しかも遺伝という人間には抗い切れない運命に翻弄される。それに抵抗する手段はこの結末しかないのか。
それにしてもお見事。一気読みです。
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アイスランドの警察小説。エーレンデュル、シグルデュル=オーリなど耳慣れない人名、地名が頻出で読み進めるのがなかなか困難だった。北の湿地で起きた老人撲殺事件。そこに残された、「おれはこいつ」という謎のメッセージ。そこで過去に起きたレイプ事件。そこにエーレンデュルの父娘問題が絡み…。読み終わってみると、じめじめとした印象が残り映画を見た気分。その地を知るには、その地のミステリーを読めばいい、というのも納得。プロット的に、「そうだったのか!」的なことはなかったけど。
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最初の場面からは想像もつかない悲しくて遣る瀬無い話だった。
殺害された人間から広がる人間関係や過去が犯人へと繋がっていくさまは凄かったです。
アイスランドという国の制度をうまく使っていると思った。
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アイスランド作家によって書かれたミステリー。
筋書きも、アイスランドならではの内容。
ちょっと尻すぼみな終わり方にも感じられるけれど
楽しんで読めた。
レイキャビクの街歩きは半日しかできなかったので
是非また訪れた際には気ままにぶらりと歩いてみたい。
いろんな発見があるかも。
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アイスランドを舞台にしたミステリー。
湿地にあるアパートで発見された老人の遺体。この老人殺害事件を発端に、過去の哀しい出来事が明かされる。
まったくの偶然だがアイスランドを舞台にした作品を、つづいて読むことになった。
少し前に流行った北欧ミステリーともどこか違うアイスランドミステリー。アイスランドという地をイメージしにくいことは変わりないが、こういった書物で知らないことを知るというのは読書の醍醐味と言えるだろう。
ひとが殺されまくる派手なミステリーに比べると地味な作品ではあるが、扱うものが重いためドッシリした読み応えがある。
何を扱っているかというと、レイプである。
この作家さんは男性であるのだが、レイプに対して女性の受ける傷の大きさや深さを思いやっていることが感じられる。
以前読んだ横溝正史の「三つ首塔」でのレイプされた女性が自分をレイプをした男を好きになるという描写の、薄っぺらく女性を貶めていることと比べることがインドリダソンに失礼というくらいだ。
映画評論家でもある作家のためか、どの場面も脳内で映像化しやすく印象的というところも特徴なのかもしれない。
殺人事件を起こすには理由がある、というのがインドリダソンの自論らしい。そのため、殺される側にもそれなりの理由があると考えるようだ。
この考え方には全面同意はできないけれど、被害に遭うひとの中にはそれだけの恨みを買ったひともいるということはあるとは思う。全てがそうなら寧ろ簡単で、中には逆恨みや、たまたま目の前にいたから殺されるということもあるところが難しいところなのだが。
この作品は犯罪捜査官エーレンデュルシリーズの三作目。
主人公の悩み多く疲れたキャラクターも良かったため、他の作品も読みたくなった。
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2016年ユーロ(*サッカーの大会です)の話題と言えば,ポルトガルの初優勝と,初出場ウェールズの躍進,そしてアイスランドの独特の手拍子応援だったわけです。(*個人的な見解です)
アイスランドが躍進したおかげで,TVの視聴率が90%だったと聞いて,そんなことありうるの!?と思いましたが,人口が30万人ほどなんだそうで,それなら・・・ありうるのか・・・。
で,肝心のストーリーです。
ある湿地帯に立つアパートで見つかった老人の他殺体は,よくあるずさんな強盗事件,「アイスランドらしい事件」のはずだった。しかし,残されたメッセージに引っ掛かりを覚えた刑事のエーレンデュルの丹念な捜査により,事件の背後にある忌まわしい過去が明らかになっていくのだった。
近頃のミステリに登場する警察官はみんな家庭の悩みを抱えているのが定番みたいなのですが,このエーレンデュルも離婚してて子供たちと折り合いが悪くて・・・と,大変なんです。でも仕事もあるんです。仕事の合間に,なぜか元妻の親類というほとんど他人の頼みごとまで引き受けなくちゃならないんです。
ちなみにこの「頼まれごと」は事件にどうかかわるのかと思いながら読んでいましたが,事件の背景に流れる女性の抑圧といったテーマにつながっていて,しかし直接の関わりはない,という距離感がとてもよかったです。
犯行動機とかはとっても気が滅入る話で,しかし同じ島国ムラ社会の日本人には,現代でこそこんな話はないものの,結構想像できる範囲の話のように思いました。
人口30万人て,市町村レベルだもんなあ。
ところで,これを読んでいるとき,想像?でミートスープを作ってみた。たぶん違うものが出来上がったと思うけどおいしかったです笑
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アパートの一室で老人が殺された。
当初警察も無計画で単純な
典型的アイスランド殺人だと考えたが
犯人によって残されたと思しき
謎の3つの単語が事件に複雑な
背景の存在を匂わせた。
馴染みの薄いアイスランドを
舞台とている点でまず既に興味深い。
物語は重たいテーマを抱えていて
終始陰鬱とした雰囲気で進む。
だが、この陰鬱さが苦にならず、
逆に物語に厚みを与えていて
読み応えが凄かった。
物語が進むにつれ、
救いのない展開ばかりが繰り返され
主人公エーレンデュル警部でさえ
複雑な家族問題を抱えており、
爽やかで明るい描写は一つもないが
それでもこれは家族の愛を描いた
ミステリとして素晴らしいものだった。
読む人を選ぶ作品だろうが、
多くの人に試して欲しい一冊。
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アイスランドでなければ成立しないかもしれないストーリー。アイスランドのことを知りたくなります。ミステリーは、その国を知るためのガイドブックに良い、と著者が言っていたがまさにそうかも。読んでいる途中までは画面がグレーがかっているようだったが実際はカラフルな街並みなんですね。簡潔な文章も読みやすくて良いです。訳者あとがきも興味深くてためになりました。