紙の本
魔性のおじさん降臨
2020/08/31 16:19
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投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
噂等々を聞いて覚悟しての購入でさて読もうとしたら
なんか本自体に不穏なオーラがあって、
手に取ってはページをめくることなく置きを
数日繰り返してしまった本。
たまに本に対してそういうことがあるんですよね。
こわごわ読んでみましたが、恐れるほどではなかったです。
相変わらず不穏な作品ではありましたけど。
とりあえず、BLの作品の登場人物として年齢層が高いので
ここはまず作品を受容できるか否かのポイントだと思う。
私個人的には問題はない。
とにかく得体の知れなさが際立っている。
柴岡の行動の不穏さとか、何を考えているのかわからなさとか。
彼の言葉は心の有様を伝えていない。
柴岡氏の言を借りればその言葉も「擬態」だ。
言動すべてが、怪しい。
途中で河瀬が「話すな」っていう気持ちはわかる。
言葉が言霊だからねぇ。言葉には他を翻弄する力があるよね。
魔性のおじさん降臨みたいな感じ。
「死にたがり」をうざいとか思いつつ、目が離せない。
まあたいがい河瀬の方も褒められた人間でない・・・
そこまでする?→それに対しては謝罪ないよねーとか
明らかに犯罪だろう。ってことなのですが・・・
色々とだめな部分もあるのですが、その弱い部分の描かれ方がやっぱり良い。
そしてそんな彼が魔性に足を取られてしまうあたりかなり泥沼。
結局、ずぶずぶな感じなラストだし。
色々なインモラルありましたが、
やっぱり14歳に手を出す不倫おやじはちょっとぎりぎり歯ぎしりする感じ
(近親相姦より私のデットラインに近い)
ここがあまりみっちり書かれていなかったのだけは(私にとっての)救い
実は本筋の中ではあまり重要でないのですが、
後ずさりしたのはネズミのシーン。
ストーリーにあまり関係ないところでぞわぞわ度MAX。
ネズミがいるなら、Gもたくさんいるだろうーって声なき声で悲鳴を上げてました。
本を投げ捨てる寸前。
登場人物に感情移入できない分、
俯瞰して読むことができた作品でした。
腐臭のする綺麗な物語な感じでした。
日高ショーコさんの挿絵に惹かれて買いだったのですが、
すごい作品にあっている。
これまたコレクションにいたします(笑)
☆3.5評価の4です。
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『美しいこと』での、木原音瀬と日高ショーコの組み合わせはすごく良いと思ったので、こちらも期待です。
タイトルから、どんな話か妄想してるだけで楽しいです(笑)
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1ページ1ページを捲るのがあんなに重く感じられた小説はなかなかないと思います…。やっと読破。読むのに1週間と半分かかってしまった(;ω;)
木原節、というか精神・心といった方面に語りかけられる作品でした。
レビューにも書かれているように、自殺願望のあるおっさんと、元部下の青年のお話。初っ端からおっさんの襲い受けで後の展開にヒヤヒヤさせられたものですが、夢中になるほどのめり込んでしまう…。
前に読んだ木原作品がCOLDシリーズでした。そこから考えると、また違った方面からずっしり来る感じかな。
確かに重く、暗い話かもしれないが、どこか自分の私生活とも共通する点が見られる。良く言えばお人よし、悪く言えば悪者にはなりたくない…そんな青年と自分は近いなぁと感じました。
年明けには少々重かったけれど、いい作品です。
大好きな日高さんの挿絵もとても良かった^^
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まず、オヤジ受けでハードルが高い作品なのですが、
それよりも全体的に話が重くて重くて…。
読んでいて心がダークになる作品でした。
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木原節炸裂な作品でございました。
重くて、逃げ場もなくて、追い詰められる一方なのに、
何故か一気に読ませられてしまう木原テクニックに嵌ってしまいました。
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正直、ここで終わるか…!?というところで終わっています。
これからの二人がどうなるのかはっきりしないままぶっつりと…今までもそういうお話はあったので続きを期待してはいけないと分かりつつ、その後がどうなったのか気になって仕方ありません。
二段組みでページも多いですが、木原さんの本はテンポが良いのと読みだすと次が次がと気になるので一日もかからず読み終えてしまいました。
NOWHEREとはまた違うオヤジ受ですが、白髪の描写を除くとあんまりオヤジっぽくないかも…?
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なぜこんなに目を背けたくなることを凝視していかなければならないのか・・・。
木原さんって、興味深い作家さんだと改めて思いました。
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50近いのに魔性すぎる受け。
攻めの方に感情移入していたせいか自分まで翻弄されました。笑
精神的にちょっと辛いのでナーバスなときはつらいけど読み返しても面白い。
攻めの普通っぽいところがいいです。
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何度目かの再読。極めて物騒な帯の煽りですが(「殺してくれないか…あとは、海でも山でも適当に捨てればいい」)、中身は割といつもの木原テイストです。
「NOW HERE」が、オヤジの年齢とスペックに目を瞑ればコメディテイストの王道のラブストーリーだったのに対し、こちらは顔はいいが中身がアレなおっさんなので、攻は終始振り回されて苛々していて真っ黒ドロドロです。
でも読後感は悪くないので、同著作「情熱の温度」が大丈夫ならチャレンジしてみてください。
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面白かった。
木原先生の作品は「男同士の恋愛小説」というより人を愛するとはなにか、というもっと根本的な人間愛にあたる部分を書いていることが多く、それが癖になる。
木原先生の他の作品に比べて痛さは少ない。暗さ、もやもや感は人それぞれだろうが個人的には比較的軽く感じた。
読了感は悪くない。ただ二人の今後が気になる。
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この本はほんとにBLである必要がない。後半エロシーンが入るまで普通に人間ドラマとして楽しんでた。
死にたい人間を止めるのってほんとに出来ないことなんだと思う。身近にそういう人がいないし、想像に難しいものだけど、柴岡の絶望と死への願望、欲望への貪欲さとかなんとなく理解が出来る気がした。そういう話を書ける木原さんはほんとに凄いと思う。
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久々の木原作品でした。リアルがストレス多くて痛い目に合っていると、木原作品からは自然と遠ざかってしまいます。積ん読が溜まりに溜まっていたので一番上にあったこの本を読みました。
おお、上司受け。(爺い受けとはあえて言わない。だって私から見ればお兄さんだし…。(苦笑))
木原作品にしてはソフトでしたね。それなりに幸福感に溢れたラストですし。振り回されつつのめり込んで行く攻め君の心情の変化が面白かったです。受けおじさまの壊れようは微笑ましく、巣に篭る小動物な様に萌えました。そんな彼に、ほっとけネェよ!と構いたがる攻め君がまたカワユク見えて楽しく読みました。
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歪んだのを読みたい時にはオススメ。
文章がすごいので読み応えはかなりあるけど、痛いのとか重いのが欲しい時だけにしたほうがいい。二段組で量も多い。
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心底『WELL』を読んだ後にこれ読まなくて良かったと思います。
そうじゃないと、この暗闇ループの衝撃に耐えられなかった。
そこはかとなくダークな展開で、ちょっと読むのが途中耐えられなく
なり、完読に3日を要しました。それでも挫折できないというか…
挫折させてくれないっていうか。
結局、怖いもの見たさで最後まで読んでしまいました。
後味の悪さは木原作品の中でも屈指。
一応はハッピーエンドなんでしょうが、後半急ぎすぎた感があり、
まったく主人公達に感情移入できませんでした。
河瀬が柴岡に惹かれていく過程も、柴岡が河瀬を好きになった理由も
なんだかどのあたりもいまいちピンとこず、無理あるんじゃないかなーと。
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魔性のおじさま、すげぇ。一筋縄じゃいかない。心の闇はない、と言う柴岡の言葉が奈落の底を思わせる。平常時から闇の中にいれば、それがその人の普通になるわけだ。その闇を纏って生きている人間のオーラに読んでいる間、引きずられそうになった。そして、柴岡の台詞の抑揚が頭の中で再生されてしまうのが止められなかった。
柴岡の得体の知れなさが際立っている。名前ではなく「男」として書かれる彼の行動の先の読めなさ感、何を考えているのか台詞を読んでも読み取れない感じ、不気味でしょうがない。柴岡の言動全てがミステリアスと言うよりホラーだ。
風呂に入れてやる、とか、食事の世話をしてやる、と言う「まるで何も出来ない子供を世話するような」状況が必然となってしまう関係性って…そそるんだよなぁ、それがホントお上手なんだよ、木原さん!!世話している方は義務感で、それを楽しめてない、と言うのが凄い萌えるんだよ…そこからの逆転が予想されるのと、人間関係はギブ・アンド・テイクで平等であるとか、片一方ばかりが搾取されるのはいけないとか、そう言う理想論派どうでもいい、私のように自己中心的な人間は、一方的に与えられないと相手を心底信用できないし、そこまでして貰えてやっと、相手に少しくらいは返そうと言う気になる。こう言う幼稚な精神構造をしている人間にとって、木原さんが描く二人の関係性はある意味でりそうなのだ。
日高さんの挿絵じゃなかったら、かなりキツいんじゃないかこれ、とも思う。骨格から皮膚の感じから年齢を描き分けられる作家さんってそう多くはないから。柴岡の年齢を妥当に表現出来てなければ、不気味さ通り越して気持ち悪くなるかもしれないのだ、それを柴岡に相応な絵柄で描かれていたので素晴らしかった。木原作品は挿絵の選択肢が絶妙だな、って思う。木原さんの方からオファーを出しているのか、出版社からオファーを出して決まるのかその辺不明だが、どちらにしても作品を邪魔しない最適な絵師さんが選ばれている。