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松本清張賞受賞作。
戦中〜戦後の上海を舞台にした陰謀とロマンス、というベタな道具立て、小説としてはやや物足りなく感じる部分もあるのだが、構成の巧みさで突っ切った。
著者の経歴を見ると松竹シナリオ研究所出身、2時間ドラマのプロットを作成していた人物とのことで、納得。尺があるメディア出身の人は構成力があるね。
今度は違う題材でスケールの大きなものを書いて欲しいなぁ、と期待を込めて。
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多江子という人の聡明さと強さに圧倒
第2次世界大戦中の上海とはこういう場所だったのか
その時代の日本人と中国人
そして、富裕層との格差が痛いほどで
過酷な多江子の運命に、すっかりおじけずき
多江子の強さと機敏に打ちのめされる
とても力強く、オシャレで、女ごころが切ない
素敵な小説でした
人はどうにもならない運命がある
周りが何を言っても、
本人自身が引き返そうと思っても、
一度運命が動き始めたら、
もう、どうにもならない…。
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THE女性が描いた女性の物語。
多江子のプライドも気持ちの変化も行動も割と共感出来たけれど、それは私自身が女性であるからで男性から見たら「?」となる様な気もする。
戦時下の上海という舞台は魅力的だったけれど、割とあっさり描かれているのでもっと物語に反映させて激動の半生にして欲しかった。
けれどこの余韻はとても好み。
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戦時中の上海、過去にスキャンダルで時の人となった画家の主人公が、活動拠点を移して再発起を図るが、きなくさいトラブルに巻き込まれていく…、という物語。
装丁のイメージどおり、才色兼備の女性と一癖二癖ある男性陣との愛憎入れ混じる展開を混ぜつつ陰謀も匂わせて、スピーディに物語は展開します。
…のですが、「ん、あれ?」と思うほどあっけない幕切れだったような気がしました。もう一波乱あっても良いのに…ベタベタですが裏切りとかそういう厭らしさを含んだクライマックスがほしかったような。振り返って考えてみると、「ただただみんなにモテモテ」なお話だった気が…いや、もちろん主人公自身は凄くかっこよく描写されていて素敵ではあったんですが。
読み方が良くないのかもしれないと思いつつ、サスペンス風味がもっとあればな、と感じたのでした。
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一万円選書の中の一冊。
読み始める前は「上海の話かあ。なんか地名とか読めない漢字ばっかとかで、読みにくそう」と思ってましたが、そんな心配ご無用、でした。読めなくたってどうでもよい。話がおもしろい。
菊池寛が出てきたので、え、八島多江子って実在した人物?と調べたりしてしまいました。
お金持ちはたとえ戦時中でも優雅なのねえ。東京編が面白かったです。瑠偉よお……。
ただ、夏のところに潜入するのがあまりにあっさりすぎて、しかもそのエピソードがそんなにこの本の中では重要じゃない感じで、やや拍子抜けでした。
選書でどうしてこの本を選んでくれたのかなあ?と考えました。私が戦時中の話が好きなことと、あともしかして私が給食のおばちゃんで、著者が食堂のおばちゃんだから?
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面白かった。
主人公 八島多江子のたくましい生き方が魅力的に描かれていて 一気に読んだ。他の登場人物もみんな魅力的で引き込まれた。
ラストも余韻があって良かった。
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詳細に描き出される「魔都」上海が舞台として何より魅力的。多分そうだろうと思っていたが、作中に現れるクラブやホテルの名前は全て実在のものだという。気が強くて行動力のあるヒロインは、そのくせ妙に男に甘いところがあって、女性よりむしろ男の目に魅力的に映るかも知れない。正直、寸止め感みたいなものはあるのだが、そこを突っ込んでも、多分読後感が悪くなるだけろうなあ。
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八島財閥の令嬢にして、美貌の人気女流画家・多江子は、画家としての新境地を切り開くべく、戦時下の上海にやって来た。
西欧諸国とアジアの文化が隣り合う租界で、過去のスキャンダルの真相を知る特高の工作員に、画家の立場を利用してある男に近づくよう脅された多江子は…
セットと衣装にめちゃくちゃ予算をかけたゴージャスな映画を観たような感じ。
面白くなかったわけではない…けれど、多江子をはじめ、純情と欲望を併せ持った登場人物たちにもうひとつ気持のピントが合わなかったような。
たまたま、つい最近原田マハの「#9」を読んだばかり。
同じ上海を舞台に、魅力的な女性を主人公にしながら、時代背景が違うだけでまるで味わいの違う物語だった。当たり前だけど。
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物語の舞台は、19世紀半ばに上海に設定された外国人居留地、即ち租界が舞台となっています。
上海租界では様々な様式のモダンなビル群が並び、最先端の文化を享受することが可能な衛星都市で、ファッションの面でも大胆な最先端モードが発信されていました。
『月下上海』で描かれている上海租界は、当時の雰囲気がとてもリアルに描かれ、まるで私は彼の地の風景を眺めているような感覚を抱いてしまいました。
主人公の八島多江子は財閥の美しい令嬢であり、愛する夫との破局を機に、画家を目指して昭和17年に上海に赴きます。
多江子は持前の美貌と才能に加え、物事に動じない性格が相まって、上海租界で画家としての社会的地位を確立します。
当然多江子の才と美しさに惹きつけられる男性も登場し、租界を舞台に戦時中の複雑な社会変化の中で、多江子は辛苦を味わう事となります。
圧倒的な男性社会の時代、ましてや海外である上海租界で、多江子は財閥令嬢の立場をフルに利用し、そして男達の視線を一同に集める美貌を武器に、雑多な様相を呈す上海の地で埋没する事なく堂々と生きて行く姿は、まるでハードボイルドな劇画的な女性の雰囲気を醸し出していました。
そんな多江子に、中国人の実力ある実業家に接近して情報を得るようにとのスパイ行為を強要され、波乱の物語が展開する事になります。
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家柄も見た目も才能も持って生まれた主人公。
そこに芯の強さ、負けず嫌いも相まってかっこよさ、頼り甲斐を感じた。でも恋愛面では相手に尽くしたり盲目になるのが人間らしい‥
戦時中の内容であるから仕方ないけれど女性を物として、下のものとする描写が多くて苦しかった。。