B+ LABEL ぼくの野獣(ビースト) みんなのレビュー
- 真船るのあ(著), 日輪早夜(イラスト)
- 税込価格:550円(5pt)
- 出版社:小学館
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紙の本
成長系というか飼育系というか脱皮系というか…
2007/02/11 11:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
母に先立たれて、五歳になる双子の弟たちを一生懸命育てている高校一年生の宙夢(ひろむ)が、けなげです。お話の設定では、彼はミニマムな体型でベビーフェイスということになっていて、周囲の男子生徒たちに、すっかりナメてかかられていますが、見る人がみれば、自分の考えをしっかり持っている強さとか、家族の生活を自分の意志でしっかり支えられるだけの責任感がにじみ出ていて けっこう男前な、りりしい美少年なのではないかと思うのです。
そんな宙夢にちょっかいを出してきた勇馬も、最初のうちこそ自分のペースで強引に手に入れて弄ぼうと、野獣よろしく無礼な態度で迫ってきますが、逆にピシッとしつけを入れられ、すっかり餌付けされて、心から懐いてしまいます。
勇馬は裕福だけれど寂しい家庭で育っていて、とくに父親との関係はこじれきっています。勇馬の父親というのが、家柄をひけらかし見栄にこだわるためには息子の純粋な努力や気持ちを台無しにして憚らないという、実にステレオタイプな最低人間で、もしかしたらお話の都合上、勇馬をグレさせるためだけに生み出されたダメ親父なんじゃないかと疑いたくなるほど、作中での存在感もペラペラに薄いのですが、この父親の呪縛を逃れることが、勇馬の宙夢の恋愛成就の儀式ともなっています。精神的にしっかりと親離れして、好きな相手との関係を確立するという、思春期の成長物語的な要素も抑えつつ、野生のケダモノが美しい少年のとりこになって立派な猟犬に脱皮する……というような、ファンタジーの匂いも感じさせるような面もあって、ややあっさりした印象ではあるものの、なかなか楽しいお話でした。
蛇足ですが、このお話、大和名瀬のコミック「さあ恋におちたまえ」(海王社)に、ところどころ、とてもよく似ています。一般庶民の主人公が母親に死なれて双子を含む弟たちの面倒を見ているところや、孤独に育ったセレブな相手に見初められて猛烈アタックをかけられ、迷惑するところ、セレブ青年のイトコが嫉妬にかられて何かにつけて妨害をかけてくるところ。もちろんストーリーや物語の味わいはずいぶん違っているのですが、なんとなく、「境遇格差系」とでも銘打って、同じ棚に分類しておきたい作品ではあります。
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