投稿元:
レビューを見る
近年まれにみる傑作。モラエスを心の奥底まで探るように描いており、とてもすばらしい本だ。モラエスについて勉強したくなった。
投稿元:
レビューを見る
【未完の絶筆を息子が書き継いだ評伝・モラエス】急逝した父・新田次郎の無念を晴らすべく、息子・藤原正彦が完成させた評伝。明治のポルトガル人モラエスが見た日本の美と誇りとは。
投稿元:
レビューを見る
ところどころで涙が出た。読んで良かった。
今でも思い出しただけで目が潤む。
主人公は外国人なのに、ところどころで自分が日本人であることを再認識させられる不思議。(私の場合は『思い出させてくれる』の方が近いかも)
それほどモラエスさんの日本にい対する知識や適応力はずば抜けていた。(よくよく考えたら明治・大正・昭和の日本を生きている!)
亜珍の存在。昔だったら彼女の暴走に腹を立てていただろうけど、出自や身の上を考えると、どちらの気持ちも分からんでもないんだよなー…
それでも睨むようにこちらを見る彼女の写真を見ると、やっぱりこの人苦手…に切り替わる笑
坂の上を目指す日本と、もはや小国への末路を辿るポルトガルの対比も見事だった。変わりゆく故郷との訣別を心に決めるも、ふとした時にそれを思い出してしまう。そのポルトガルもモラエスさんの死後ドイツに占領されることを知っているから、せめて生前だけでも綺麗な形で故郷のイメージを残して欲しかったとか考えてしまう。(読み手の辛いところは歴史を知ってしまっているところ…)
新田氏が命を賭し、バトンを繋いだ御子息の藤原氏がライフワークさながら年月をかけて調査・書き上げた超大作。
なかなか聞かない例だから文体とかどこかで違いが出てくるかと思っていたけど、二人の人間が書いたことを忘れるくらい何の違和感も持たずに読みふけった。
出版に至った際、藤原氏は新田氏の無念を晴らしたのと同時に父親へのサウダーデに溢れていたのかな、とも。氏へのやり切れないであろう想いを想像したら二重で涙が出てきた。
投稿元:
レビューを見る
明治後期に来日、日本の自然、文化、女性をこよなく愛し、ポルトガルの海軍士官であり外交官、文筆家として名を馳せたヴェンセスラオ・デ・モラエス(1854-1929)の半生を綴った波乱万丈の大河評伝小説。 毎日新聞に連載中だった『孤愁』は、新田次郎氏の未完絶筆となったが、次男の藤原正彦氏が父の無念を晴らすと霊前での誓い、32年かけて約束を果たし完成された親子共作の感動の叙事詩。 神戸の領事館時代に伴侶となったヨネとの死別、姪コハルの早逝、二人の故郷徳島市の眉山の麓に揃って眠るモラエスに黙祷・・・。
投稿元:
レビューを見る
時代は明治から大正。
ポルトガル人で、元軍人、外交官のモラエス氏の日本での半生を描いた歴史小説。
彼は、母国ポルトガルに戻ることなく、徳島で終いの人生を迎える。
当時、日本に来た外国人の渡航記を読んでも気が付くことだが、この小説でもラモエス氏の客観的な外からの視点で、当時の日本の生活、文化、日本人に触れられており、とても興味深い。(多くがポジティブな捉え方)
日本人女性も妻、愛人を通じて褒め称えているのだが、その関係には悲劇が付きまとう。
実際の彼の書物を読むと、より直接的に当時の日本について知ることができるのかもしれない。
ちなみに、本著は、新田次郎が連載を開始したものがベースとなり、死去により途絶えていたものを、息子の藤原正彦が継いで完成させた大作。
徳島には、モラエスにまつわる観光地があるようなので、いつか巡ってみたい。
(眉山山上の博物館施設「モラエス館」や旧宅のあった徳島市伊賀町一帯)
なお、徳島は、第一次世界大戦で捕虜になったドイツ人が収容された場所としても有名であり、その交流も小説になっている。
今では年末の風物詩にもなっている第九は、この時から広がったらしい。