紙の本
戊辰戦役
2020/01/27 06:06
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
船戸与一戊辰戦争小説完結編。悲惨な戦争の結末やいかに。一兵士から見た戦争は歴史では語られることの少ない出来事。小説ではあるが臨場はある。
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3巻におよぶ長編であるが故と、作者特有の相変わらずの乾いた描写で陰惨な戦争がこれでもかと描かれ、少々、辟易としながら、最後までぐいぐいと引っ張られるように読み終えることができた。また、結末は会津藩の降伏という約束された結末ではあるものの、教科書などでは戊辰戦役も五稜郭も十羽ひとからげに扱われているが故に歴史としての知識もなく、ここまで詳細な降伏に至るまでの状況を知らなかっので、戦国時代とは違う日本最大の内戦としての歴史を知るという意味においての読後感は消して悪くない。3人の主人公たちが見る雨月の幻に関する解釈は一切ないまま、また、あっけないほど歴史の片隅に消えていく様は、これも作者特有の執着の無さで相変わらずのハードさである。最後に唯一生き残る長州の間者たるものが語る歴史観は余りにも客観的で現代解釈的ではあるが、正鵠を得ているであろう。今のこのタイミングでの発刊は3.11にささげるという意味かと思ったが、その前であったことであったり、某大河ドラマの主人公となっている女砲術師が鮮烈な活躍をするなど、結果として時代の先をいったものになっているのも興味深い。
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会津戦争も鶴ヶ城の戦いで終了。
全体を通すと商品カタログを見ていたような感じだ。
膨大な資料を読み込んで事実のみを書いていった、ということは巻末の参考資料の多さを見ても解るし、作者自身もそのことを述べている。
それでそんな感想を得たのだろう。
戊辰戦争全体を時系列で読みたい、という欲求は充分満たされた。
全体に陰鬱なムードの中で、最後に川崎八重子が見せる輝きは印象的だ。