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劉邦の物語であるが、光武帝の劉秀の物語と同じであっさり系。結構すらっと読めてしまう。 ちょっと感動が薄い。ただ周りの人々が結構はつらつとしており、光武帝よりは物語としての脇が良い分おもしろみがあるかも。
次は?
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宮城谷版劉邦物語である。いつものように豊富な資料をベースにディテールが構築された、新しい像を持った劉邦像が描かれている、と言っていいだろう。
上中下巻の連続刊行が予定されている、すでに連載が終了している作品のようだが、この上巻では兵を挙げて官軍を打ち破ったところで物語はクローズしている。
さすがの文章の巧みさであり、近刊で見られるように(一時あまりに淡泊だった描き方から脱却して)物語の温度も高め。歴史的に見ても重要な夫人の呂氏がよく描写されている辺りも、「草原の風」などに比べて物語の持つ濃さを感じさせるところだ。
氏の作品では「長城のかげ」や「香乱記」においてすでに劉邦が現れてはいるが、その像はかなり卑小なもので、特に「香乱記」における姿などはかなりのメッタメタぶりであったと記憶している。
この辺は、ファンにとっては趙盾や魏冄でおなじみの展開であるが、既出のイメージからだいぶ異なった描き方をされている。個人的には、韓信がどう描かれるのかが楽しみに待たれるところだ。
期待値も込みで星五つと評価しておきたい。物語が向かう推進力はかなりのもので、期待を煽っている。
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著者の新しい作品が出て、どきどきしながら、頁をめくった。劉邦は、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」でも取り上げられているが、著者がどのように描くかとても楽しみである。次巻の発売が楽しみである。
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中国漢の高祖の物語の上巻。
司馬遼太郎の名作「項羽と劉邦」のキャラが焼き付いているのと、著者の別作品での扱いが悪かったので、本作の劉邦ができすぎた人で驚きました。
確かに、主人公はいつも立派に描かれていたり、別作品で脇役になると悪い面をクローズアップされたりする多面性も著者の人物像の描き方ですね。
さらに、本作の呂夫人も賢く行動力のある人で、既成の人物像をいい意味で裏切ってくれています。
また、これまでの著者の作品と異なり、主人公の親や祖父や師匠のように導く人がいないというのも特徴です。
本巻では決起するところまでで、劉邦がだんだん大人物になっていく途上が描かれていました。
次巻以降で登場する項羽がどのように描かれるかも期待したいです。
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歴史小説の大家が描く新たなる劉邦像。秦朝への反乱が燎原の火のごとく広がる中、劉邦と仲間たちが挙兵の時を迎える。傑作長編の序章!
【宮城谷昌光作家生活25周年記念作品】
「天に命じられれば立つ」
天下人の器とは――
一人の男の信念に、綺羅星のごとき才が集結す。
中華全土を巻き込んだ、最強のライバル対決が始まる!
中国史を代表する名君・劉邦の活躍を、歴史小説の大家が鮮やかな筆致で描き出す傑作長編。秦末の混乱期における劉邦と仲間たちの挙兵から、天下を分ける項羽との決戦まで、圧巻のスケールで展開!
酒好きで女好き、一介の地方役人に過ぎなかった劉邦が、なぜ中華全土を統一する王となるに至ったのか。稀代の英雄譚の序章!
宮城谷昌光「劉邦がこれほどおもしろい男とはおもわなかった」
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小説作品をこれだけ面白く読み切れたのは
どれだけ振りだろうか・・・(笑)
これまで読んだ司馬遼太郎版と
横山光輝版「項羽と劉邦」との違いを
楽しみながら補完しながら
上中下巻を一気読みできました。
宮城谷作品を読んだのは「夏姫春秋」以降
久々、これまで勿体ないことを
してきたのかも・・・。
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★2015年7月18日読了『劉邦 上』宮城谷昌光著 評価B+
久しぶりに宮城谷氏の作品を読む。丁寧な人物描写が特徴で、その描写の積み重ねがつまらないと感じる人もいるかもしれませんが、私はこの手法は宮城谷氏の歴史小説には、合っていると思う。
この巻では、泗水亭の亭長としてすでに四十代半ばになっていた劉邦から話は始まり、始皇帝崩御から陳勝呉広の乱が生じて、ようやく劉邦にも人生の転換点がめぐって来る。そして、豊邑の城外で秦軍から初勝利を挙げるところまでが描かれる。
いくつも劉邦の物語は読んできたが、人生50年以下だったはずの当時で、おそろしく彼は晩成だった事を改めて気付かされた。
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器の大きい劉邦が、やむを得ず起つ。この後、天下人となるために人を活かしながら活躍するのを楽しみにしたい。
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どういう劉邦を描くかと思ったら,実にオーソドックスで,不思議な力を持っている人物として~47歳の劉季は豊邑の出身だが,跡取りではなかったから少年としてあちらこちらを流浪し,客となって過ごしたが,いわば不良で悪党の一歩手前。富裕な呂公が泗水に越してきて挨拶に出向き,ありもしない祝い金の金額を他の十倍書いて目に留まり,次女を貰うことになった。曹氏という女性がいて子もなしていたが,所詮は妾。毒には毒でと,泗水亭長という吏員になったが,目立った働きはない。張耳に世話になっていたが,郡界を逃げ回っていてお尋ね者になった寧君が,その恩人かも知れない。夜,川で小用を足していると,気配がして目の前の川に飛び込んだが,剣士に追い掛けられ,絶体絶命の危機を救ってくれたのは,寧君だった。始皇帝が死亡し,二世皇帝が即位し,り山に泗水と豊邑の百人を引き連れていくが,二泊目に豊邑から来た三十名の内三名を除いて逃亡した。全員が罪の問われることは必然,皆を集めて,亭長が逃亡したと言えば罪に問われないと言い聞かせ,泗水に返すが,30名余りが劉季に従った。県界の山沢に一同は住み始め,義弟であるハンカイが沛県に知らせる。妻の呂雉は夫の居所が分かると訪ねてきた。北の警備に行こうとして大雨に阻まれた陳勝・呉広が反乱の兵を集め,陳県を中心に10万の兵を率いるようになり,陳勝が王を名乗ると,沛の県令も慌てだし,簫何と曹参に謀ると,劉季の罪を赦し招くべきだという。この意見を入れ,赦免状をハンカイに持たせると,劉季と同日生まれの幼馴染みである豊邑の廬綰に夏侯嬰も加わった。沛県に着くと令は心変わりがしたようで,簫何と曹参も暗殺されそうになって,逃げ出してくる。簫何は父老を動かすために矢文を放ち,翌朝,劉季は県令として迎えられ,一月余りで有望な行政官としても認められる。豊邑の富豪・雍歯は外に力を示せと言う。薛県の二城を攻めるが落とせず,豊邑に滞在中,秦の軍勢・監平に取り囲まれたが,狙いは自分の命だと理解した劉季は,自分が守る北門に全戦力が投入されると読んで,本陣を襲う埋伏部隊を用意してこれを殲滅し,沛県に凱旋した~過去を振り返る時,時系列が逆転する時には,一行空けてくれると読みやすいのになぁと思っていたのだが…まあ,それも馴れる。とばして読まなければ良いだけの話だ。人物の描き方に癖がなくて,まっすぐだ。劉邦を誣告した人物が誰だか描かれていないが,これからそれが明らかになるのだろうか? 読み終わって,奥付を見ると毎日新聞社が出していて,三巻同時だから書き下ろしかと思ったら,新聞連載! 新聞連載は,書き換えて辻褄を合わせる場合があるのだが,宮城谷先生は加筆修正せず,だから,一行空けることもしていない。印刷の段階で,一ページの行数を抑えているので,行間が広くなっているのも読みやすくなっている部分だろう。字のポイントも多少大きいのかも知れない。ふりがなもふってくれているし…って事は,編集部が偉い?
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秦末から劉邦が項羽に勝つまでの数年間を描いている。漢王朝成立後のことは書かれていない。
無から生じた有はいつでも無へたちかえることができるがゆえに無限。
縦横家は怒らせる説術からはじめる。そのほうが信用度が増すと考えた。
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この歳までボンクラだった劉邦がいきなりのヒーローっぷりに呆れるが、宮城谷さんらしい。
全体の感想は3巻読み終えた後に。
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著者の作品にしては早めに本題に入った気はする。序盤なのでスカッとする展開は少なめだが面白かった。劉邦の奥さんが良く描かれているのは印象的だった。
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若き日の劉邦といっても、既に40歳代後半!実は若い日に暴れん坊だったとの回顧が出てくるが、既に大人物の風格があるところから物語は始まる。立場は亭長(警察分署長)。貴種の相があるとの記述がくり返されるが、著者のいつものパターン!将来、鬼后となった呂薙との結婚までの経緯、そして若き日の賢い呂后の描写が興味深いところだし、多くの部下たちとの出会いから、それぞれの性格が描写されていて楽しい。幼馴染の盧綰、犬肉業者・義弟の樊噲、口の堅い夏侯嬰、知恵の曹参、蕭何。彼らが劉邦の徳に惹かれ、徐々に集団が拡大していく。劉邦が儒教を嫌い、そして特に礼楽(音楽)を嫌っていたことは初耳だったが、紂桀の滅亡の理由として既に広まっていたということなのか。
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冒険っぽい感じで楽しい。何がどうして皇帝にまでなるのかさっぱりわからないところもワクワクする。あと地の文がわりと正直。この辺はよく分からない的な事とか書いてある。
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久々に宮城谷さんの小説を読み始めた。
随分昔に、「晏子」や「孟嘗君」を読んで、メチャメチャ面白かった記憶があるが、ブクログを始める前だったので、残念ながらレビューはない。なので、いつかもう一度読んでみたい。
今回は、この「劉邦」。まずは上巻。
かなりいい感じ。すでにワクワク感がある。
時代は、秦の始皇帝の時代。不老不死を望んだ始皇帝がついに没し、二世皇帝が即位。秦の暴政は続く。
そのころ、沛県生まれの気のいいオヤジが、泗水亭という亭の長となった。竹皮冠をかぶり、動いていれば陽気だが、静止していると陰気になる。酒好きだが、人の良否を一目で見抜くするどい感性を持っている。
当時の税に値する労役を課され、劉邦は100名ほどの労働者を引き連れて出発するが、出発早々、逃亡者が出る。一人でも逃亡者を出すということは、課された役務を果たさないこととなり、従ってその時点で犯罪者となる。命の保証はない。
どうせ命がないのならと、劉邦は解散宣言。だが「俺についてくるものはついてこい」と、集団の逃亡生活が始まる。そして、人望熱い劉邦の周りにはたくさんの人が集まってくる。
ちょうどそのころ、世界史の教科書でも習った、陳勝・呉広の乱が勃発する。秦の暴政に対する不満の爆発だ。
しかしながら、劉邦たちは、陳勝・呉広には組みせず、独自の軍団を作り、力を蓄えていく。
上巻では、劉邦の軍団が、秦軍との初陣に勝利するところで終わる。軍団がますます力をつけていく、その理由は、劉邦の人となり、つまり有能な人材を呼び寄せる徳を持ち合わせているところにある。
有能な将の将たる劉邦の快進撃。まだまだ、序盤戦だがこのワクワク感がどんどん大きくなる気配が間違いなく感じられる。