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これが葉室麟。「蜩の記」以後、それまでの葉室麟とは作風が変わったのかと思うような作品が続いていた感じがしていたが、最近の作品は私の好きな葉室らしさが戻ってきている。
「山月庵茶会記」は葉室麟の真骨頂。
政争に敗れ国を去った男が16年を経て、妻の死の真相を知るためだけに、高名な茶人となって戻ってきた。「茶をたてる心は相手に生きて欲しいと願う心」
女人の心と歌を描かせたらやはり葉室麟。
⭐️5
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茶を点てる心は、相手に生きて欲しいと願う心―かつて政争に敗れ、黒島藩を出た柏木靱負が、千利休の流れを汲む高名な茶人となって国に帰ってきた。孤狼の心を胸に秘めた男は、家督を養子に譲り、山裾の庵に隠遁する。今日も山月庵に客を招く。抗争の最中に喪った、妻の死の真実を知るために。直木賞作家・葉室麟の真骨頂!静かなる闘争の記。
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藩内の政争に敗れ、妻も亡くした靫負。茶人となって藩に戻り、妻の藤尾が何故自死したのかを、当時の関係者を茶会に招いて探ろうとします。それが思わぬ波紋をよんで…、という話。
静かな戦いというか、藤尾の不義の疑惑は真実なのか、彼女は何故死を選んだのか、真相が気になり、ページを捲る手が止まりません。ミステリーのようです。もっとドロドロとしたものがあるのかと思いましたが、意外にあっさりしていたような気がします。夫婦愛を感じた本でした。
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ちかパパの友情がぶっきらぼうながら温かく、とても微笑ましい。政争だの復讐だの、血なまぐさくなり勝ちなテーマを中和してくれる。
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図書ボランティアのおばあちゃんに勧められて読んだ。
長編の時代小説は読んだことがなかったので、最初は読みにくかったけど、慣れた。
「チャンバラとかないし、男の人が魅力的なの」とおばあちゃんは言っていたけど…
最後に少しだけチャンバラあるし、主人公の男に魅力をそこまで感じなかった。
とはいえ、時代を考えると、逆境の中でも愛に溢れた夫婦だったんだな、と思った。
ミステリー要素もあって楽しみながら、和歌などの引用で教養を身につけることもできた。
時代小説も面白いな、と思った。
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人は己の生まれ故郷で昔から知る人のために役立ち、何かができたと思えることが幸せなのだ。私には、ついぞそのような幸せは訪れることがなかった
又兵衛も江戸に出ればわかる。何事も大きく華やかではあるが、心に響くものがない。やはり、田舎育ちは田舎にいてこそ、心が静まるものをようだ
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九州の某藩にて、政権争いに敗れて後、茶人として名を成した柏木靱負(かしわぎゆきえ)
政権争いの際に、妻を自害させてしまったことが生涯の遺恨として生きてきたが、その真相を知るために故郷に戻り、茶会を介して当時の事を究明していく。
そして知った真実、妻の思い、妻への思い。
茶の湯の世界観と、政争と、旧友と、養子への思いと、徐々に解放されていく心に、感情移入!!
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2020.07.26
山本周五郎の「ながい坂」を思い出した。武士とは、武士の妻とはかようなものであったかと•••。
ラストの真の友とはかような関係であるかにも心を打たれる。