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食の安全が叫ばれるが、農業が盛んな場所に住んでいる身としては、日本の農業の特殊さを不思議に思うことが多い。食べ物に、産業品に、愛と誇りを持って送り出している人も少なくないのに、一度不祥事が起こると、それが忘れられるくらいの大騒ぎになる。米、医療、養蚕、製菓、養蜂、そして政治。様々な立場の人々がそれぞれの現場で繰り広げられる攻防。それらは決してテレビや新聞で表面的に伝えられることからは読み取れない。この小説によって、ワタシたちは各々の現場に思いを馳せ、自分の問題としても考えることができるのだろう。
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真山仁にはめずらしい短編であるが、真山氏の特徴である詳細な取材に基づいた構成はかわらない。時事に関する比較的新しい題材を提供し読者に考えさせてくれる。
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経済やエネルギー問題をテーマに小説を書いてきた著者が、日本の農業・食・医療の課題等を突きつけた作品群。それぞれ短編なので、読みやすく、物足りない点もありますが、良いです。
「一俵の重み」は仕分け作業のくだらなさとあわせて読み応えがあります。
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真山仁、流石だ。
短編集だけに、ストーリーは徹底した掘り下げは無いものの、その取材した材料の使い方はいつも感心する。
個人的に真山仁のファンであることを差っ引いたとしても、この作家、素晴らしい。
常に作品の根底に流れている『日本人の矜持』を今作でも感じることができた。読書する楽しみとはこういうことだ。と、思えた。
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仕事に賭ける「プライド」を軸とした短編集。
『一俵の重み』
事業仕分けを舞台に、
食えない実力派農水官僚の奮闘を、若手女子官僚目線で描く。
レンホーが出てくる。
ちょっと米事業に関する説明が多すぎて…。
『医は…』
若いとき、上司の医療ミスを押し付けられ日本の医学界から追放された主人公。
アメリカ帰りの天才外科医として地方病院に勤めていたが、
かつての同僚がヘッドハントにやってくる。
一番プロットとしてどんでん返しが効いているし、人間ドラマとして面白かった。
ただ長編で読みたい…。
『絹の道』
怪我により田舎へ帰ってきた元プロ野球選手の主人公。
偶然出会った養蚕業再興を目指す女に協力することになる。
冒頭とラストが印象的で、派手じゃないけどドラマチック。
ただ内容はだれた。
『プライド』
老舗洋菓子メーカーが消費期限偽造の内部告発を受ける話。
なんだかなあ、感情移入できなかった。
『暴言大臣』
厚生労働大臣はなぜとんでもない暴言を吐いたのか。二重三重の仕掛けがあり、こういうオチかー、と感心しつつも、なんか陰謀論ラバーみたいで少し安っぽくも感じた。
『ミツバチが消えた夏』
戦争カメラマンから養蜂家に転向した男が主人公。
ある日、ミツバチが一斉に失踪し、その真相を探る。
最後の短編は、これぞなんという陰謀論。
この本に限らず氏は現実をベースとした作風なので、
どこかで見たことがある光景が散見される。
長編では気にならないものの、短編だと登場人物の肉付けと心の掘り下げが足らなくて、ちょっと下世話なルポルタージュな空気を感じてしまった。
ちょっと物足りない。
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「ハゲタカ」シリーズが代表の真山仁の、主に農業と食をテーマにした短編集。現代日本が抱える問題(解説者はタブーという)に迫り、読後あなたはどうなんだと問いかけられる。『暴言大臣』で大臣に語らせている。「誤解を招くのは承知で言うがね。この国を滅ぼす最大の元凶は、団塊の世代だよ。奴らは、ずっと勘違いしている。自分たちだけが、日本の高度経済成長を支えてきた、日本で唯一市民運動に立ち上がった世代、そして、元気な年寄りとして日本社会を支えていると思い上がっている。私に言わせれば、厚顔無恥もいいところだ」団塊世代の尻尾に属する身としては、耳に痛い。真山氏の本音も少し入っているか。最近の新聞の論調にも、世代論がしばしば掲載され、年金持ち逃げ世代だとか、平成不況は団塊世代が招いた、などなどかまびすしい。しかし、世代論ですべてが語られるほど現在の状況は、簡単ではないと思うが。
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プライド=矜持を題材とした短編集。現実にあった事件や出来事をモデルとした数編があり、思わずニヤリとする場面にも出会える。世の中、いかに欺瞞に満ちているか、その中にあって各人がその矜持を維持するのがいかに難しいかを示している。それと同時に、本来矜持を維持すべき立場の人間が、いかに容易にそれを捨てるかをも表現している。
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ハゲタカの真山仁さんの短編集
綿密な取材や知識とか現実を皮肉るようなリアルはさすが
ただ、冒頭の一俵の重みが自分的には一番面白かった
特に
政治
権力者が自らの力をひけらかす場
教科書
難しいことは偉い人に任せるのが一番幸せという幻想を教える
という言葉が実に見事な言い回し!
他の収録作では「医とは…」「暴言大臣」がまだ面白かったが、全体的にあまり印象に残るものではなかった。
やっぱりこの筆者は短編向きじゃないと個人的には思う。
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「ハゲタカ」の真山仁さんの短編集
農業、食がメインテーマで、あまりこの分野について知らなくても
関心がわく。
プライド、見栄、自分はどっちなんだろうと振り返ってしまいます。
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あつい!これぐらいあつく仕事がしたい。短編だからこその良さもある一方、もっと話の続きが知りたいっておもうのばっかだった。
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タイトルの通り、プライドに関する短編集。テーマは、事業仕訳・医療・農業・食などなど。
作者の取り上げるテーマは、いつも、私がマスコミなどを通じておぼろげに知っている業界の話で、着眼点がとても好きだ。そしていつも、その取材の幅と深さに感動している。
プライドは、「誇り」という意味の他に、うぬぼれという意味合いも持つ言葉。この作品を通じて、いろんな「プライド」を垣間見ることができる。
使命感や責任感に後押しされたもの、
他者愛や自己愛に根差したもの、などなど。
結果はともあれ、どれも強力なエネルギーとなって人を動かしていることが分かる。
誇りとは、自分で認識するようでは、碌なことはない。
理想は、いつも心にある太陽のようなものでしょうか。
(あとがき、ドイツの詩人ツェーザル・フライシュレンの「心に太陽を持て」より)
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短編集だと気づかずに購入したが、一気に読めた。7編構成だが、どれも読み応えあり。個人的には、「一俵の重み」が気に入った。
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事業仕分け問題、医療ミス事件、食品偽装事件など、
ここ最近の間に紙面をにぎわせた、日本の社会問題を背景に、
真山仁の独特の視点で切り込んでいった短編集です。
各短編(全6話)の最後には、
予想もしていなかった落ちがあり、それがまた面白い。
「正義」とは何か、そして「プライド」とは何か、
私は、あらためて考えさせられました。
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短編集。
最初の話から楽しめた。
政治屋は叩きのめしたい。
表題作も良かった。
養蜂家、養蚕の話は、良いところて終わってしまった感じだったけど、どうやら長編で再登場するみたいなんで、次作を必ず読むことにしよう。
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2012年10月 08/81
「ハゲタカ」の真山仁さんの短編集。短編集ですが、現代社会の問題点に目を向けつつ、エンターテイメントに仕上がっています。百田尚樹さんの蜂の物語を読んだだけに、養蜂のやつあたりでは感じるものがありました。いま連載中の作品の販売が待ち遠しい。