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面白え。青山文平読むの2作目だけど、やはり時代小説とは思えない読み易さに引き込まれるし、そこに感動すらする。ドラマティックな歴史的出来事に欠ける時代を舞台にしてここまでのドラマを編めるのが凄い。ラストでタイトルの意味と妻の駆け落ちの真意がわかるシーンは痺れた。ただ、それも自分の興産の結果を知らずに腹を切った娘婿に関しては救って欲しかったなあ。これじゃみんな救われないじゃん。ハッピーエンドでいいんだよ?
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妻にかけおちられた阿部重秀、今度は娘がかけおちた。ふたり共に妻は夫のことを思って、夫が死なないようにかけおちたのだった。
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時代小説家は、『キャラクターの心情を3文以上記述したら血を吐いて死ぬ呪い』にかかってるのか?
とまで疑ったくらい、前に読んだ『海神の子』が悲惨な出来だった。だが、その疑念は杞憂に過ぎなかった。
本作は、時代
背景に即した、血肉のかようキャラが描写されている。
タイトル通り、かけ落ちした、武士の妻、そしてその娘がでてくるお話。
といっても、女性視点は謎解き的にでてくるだけ。
殖産に賭ける下級武士(事情もち)とその娘婿がメインキャラ。
かつ、読者は『各キャラの述懐』を総合することで新たな光が当てられ、主人公・阿部重秀と同じような新鮮な驚きが、味わえる。
時代小説読みなら知ってて当然だろ、というすっとばしも少ないのも、良い。
文句なしの星5つ。
ああ読んでよかった、頭の中にある胃袋がようやく美味しいものを食えた。
最後に美味しい所持ってく家老が良いキャラしてます。
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"人から言われるまでもなく、己の力足らずは骨身に沁みていた。が、興産掛を続ける以上、それを認めてはいけないと戒めてきた。"
『半席』が良かったのでこちらも。こういう心情がわかるような世代になったものだと思いつつ、そこまでの覚悟もない私であるが、確固たる居場所を用意してくれない時代(著者後書き)の中で頑張ろうと思ったところです。
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武士の世というのは、嫉妬である。嫉妬を飼い慣らすことができるものと、嫉妬に翻弄される者とが、もっともらしい理屈をつけて争う。その中にわずかに義とか徳とか言ったものがあって、嫉妬の濁流の中から逃れ、義を持って徳をなす物語。