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レイテ、硫黄島、そして沖縄。悲惨な負け戦が続く。勝ったら勝ったで、負けたら負けたで、大日本帝国の戦は敵や味方の命を無駄に散らしていく。著者トーランドはアメリカ人なので、大日本帝国軍が侵攻先を蹂躙する話はあまり出てこない。代わり?に捕虜を虐待する話はたっぷり出てきて、気持ちが悪くなる。生存者のインタビューに基づくものと思うと、なおさらだ。
硫黄島の栗林中将の死に様は、当時の軍人の一つの理想型なのだろうと思うし、今の人が尊敬する気持ちもわからないでもない。とはいえ、降伏せずに2万人の兵士が死んだことを考えると、それは本当に偉業なんだろうかと考えずにはいられない。後世からの後出しジャンケンであることはわかっているけれど。
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太平洋戦争を日本・アメリカの両方の視点から描いたアメリカ人著者による5巻のうちの1巻である。
この第4巻はレイテ・硫黄島がアメリカの手に渡り、日本軍が総崩れとなっていくところを描いたものである。
歴史の教科書では本の数行で終わる内容が1冊の本として詳細に書かれているだけあり、3巻までと同じく読み応え十分である。
ただしこのシリーズはすべてそうなのであるが、私の太平洋戦争に対する知識不足のためやや消化不良で、もっと知識を増やさなくてはというのが読了後の率直な感想である。
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第4巻は、東條内閣の総辞職からルーズベルト大統領の死まで。
レイテの海戦で事実上日本海軍が戦闘能力を消失した時点で、無条件降伏を含めた和平交渉を進めていれば、硫黄島や沖縄戦、また東京大空襲や広島・長崎への原爆投下による死傷者は生まれなかったことを考えると、戦争終結を考えはしても、それをどのように実行に移すかという動きが表面化しなかったのは、まことに痛恨の至りという他に言葉がない。
もちろんそれは、過ぎ去った歴史を後の世から振り返っての後知恵というものであろうが、感情論や過去の成功体験に流されると大局を見失うことがあるという歴史の教訓だけはしっかりと胸に刻んでおきたい。
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ガダルカナル、サイパン陥落と、徐々に追い込まれる日本。第4巻では、東条英機失脚から本土空襲、沖縄本島決戦までの動向を見る。日本軍のいくたの失態で、特に有名なのがインパール作戦である。これほど悲惨で無慈悲な結果を招いた戦いはないだろう。この作戦の参謀を担当した片倉衷は、川の大きさや山の高低など、地形から作戦の実行は不可能だと判断した。しかし、牟田口廉也は、片倉の忠言を聞き入れず、独断で実行した。当然、途中で無理が生じた。特に、食糧難に陥ったため、兵隊たちは、道端の草、カタツムリ、蛇、トカゲなど、食べられそうなものは手当たり次第食した。
一方で、硫黄島は、アメリカ側に大打撃を与えた戦いであった。ときの指導者の栗林忠道は、敗北が目に見えたのにもかかわらず、ありもので何とか持久戦に持ち込んだ。結果を見ると、日本軍は負けたが、アメリカ側の侵攻を遅らせることに成功した。このように、日本軍の指導者にも、さまざまな人物がいた。
さらに、この時期の政権の小磯内閣は、和平工作の成果をあげられないうえに、支持率も低下した。そこで、次の首相を検討し、鈴木貫太郎へと渡る。鈴木は、誰にも真意を明かさずに、腹芸で、和平工作を進めた。