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私たちの世代の人なら「ブラザー・サン シスター・ムーン」と言うと、もう40年も前になるけれど、フランコ・ゼフィレッリ監督になる同名の映画を思い浮かべると思う。
中世の修道士、聖フランチェスコの物語を題材に、彼が信仰に目覚めた若い日々を描くお話で、日本公開は1973年。
果たして作中、その映画のことも出てくるけど、登場人物はそれを名画座で見ている。
私は彼らよりちょっと年上なので、封切り時に高校生だったのだけど、映画好きだった私だが、この映画は観ていない。
好きな女の子を誘って観に行こうと思って果たせなかったからなのだけど、今思うと、何故あの青春映画とは言え宗教がかった作品をきっかけにしようと思ったのが良く分からず、多分、題名の響きが何となくそれらしかったからだったのか、いや、ゼフィレッリと言えば「ロミオとジュリエット」だからその線からだな。
今となってはどうでもいいけど、若い頃にやることって、振り返ってみると、まあそんなもんだというお話し。
つまらぬことをグダグダ書いたけど、恩田陸の手になるこの小説、最初のお話しは同じような感じで話が進む。
作者の自伝的要素も詰まった話のようだけど、その人その人にある青春のウダウダ感が面白いかどうかっていうのは、この話のように楽屋落ち的要素が入ると尚更に、かなり好みが分かれるという気がする。
表面的には作者も同じ思いなのかどうか、奥歯にモノが挟まったような、だけども書かずにはいられないっていう書き方にはちょっと引く。
2つ目、3つ目の話になるとだいぶその感は薄まるけれど、この作者にしては、思いつくままさらさらと、まあ意味深には書いてみたという印象。
少し世代はズレるけど、似たような時間を生きてきたことは確かなようで、箱崎くんの『あの時期にいっぱい映画を観たのは、それなりに僕の核になっている』と『仕事というのは、やりがいや自己実現のために存在しているわけでもないのである』には共感するので、★半分程度オマケで。
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久々にジュンク堂いったら文庫新刊があったので、つい購入・・・
短いので一気に読んでしまった。
思いかけず恩田陸の大学時代を垣間見れて良かった。
映画か演劇かのサークルでもはいってたのかな、と思ったら音楽やってたんだ。
やっぱり恩田陸の人物の独白が一番しっくり頭に入ってくるなぁ
こういう、特にどうってわけじゃないんだけど・・・、って物語がすごく好き。たまに読みたくなる類
なんだかんだで
大学生活楽しみたいな。と思った
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音楽や活字、映画があれば幸せだった大学時代。
サークルで馬鹿をしたり午前中ゆっくりしたり、4年間で何を得たかなんてはっきり分からない。
ただあの日々は確かに今の自分の礎となっている…
終始これといった起伏はなく眈々としているのに、どこか懐かしい匂いがする物語。
私は田辺キャンパスに通ってた頃の、若くて少し怠惰で、目の前の事全てに必死やった自分を思い出した。
何年も後、疲れきった時とかに読み直したい一冊。
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同じ高校から同じ大学へと進んだ三人の学生時代の思い出。本と音楽と映画の日々。ああ、こういう大学生活送りたかったとの憧憬の思いと、己の学生時代を思い出す郷愁の思いが混じり合った何とも言えない読後感があります。
三人がべったりと一緒にいる訳でなく、つかず離れずの位置におり、お互いの思い出の端にちらりと写る影のような関係が面白いです。
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蛇、三叉路、そして一の謎の言葉…一体何を表しているのか⁉なんとも不思議な読後感。大学時代の回想がメインで、大学生のなんとも表現しがたいあの感じが今の私にジャストフィットで読んでいてどこか懐かしいような気分にも。
独白形式で複数人が語るっていう小説は、その人物毎に同じ出来事に対する考え方が違っているところが面白い。人に関しても、関係性は外から見ると同じに見えても互いに全然違ったりする…と。
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恩田陸の日記を盗み読みしてるような、なんだか気恥ずかしい感じ。これならむしろエッセイにしてくれたらいいのに。
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筆者の自伝的小説。
早稲田だったんだね
大学時代というものを振り返る、っていうのはやっぱり感慨深いよね。
自分はあらためて、なんっにもうちこむものとかなかったなあ。
うちこむものがないことに、普通はみんな焦りを感じたりして、何かにうちこんでるふりをしたりするんだけど、自分の場合は心からそういううちこむものみたいのを必要としてなかったな
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恩田氏の小説は、いろいろなパターンがある。今回は自伝的な話だけれど、不思議な感じのお話。
自分と恩田氏では約10年のギャップがあるのだけれど、大学時代という中途半端な感覚は一緒のようだ。人それぞれだろうけれど、自分のように何に打ち込んだらいいのか分からない、でもそれを特に深く考えたりしない。同じ高校から同じ大学へ進んだ3人がそれぞれの学生生活をすごし社会にでていく、特におおきな出来事があるわけではないけれど、十分満たされるわけでもなく、4年間を過ごしていく。自分の学生時代がダブって見えてきた。この話もそうだけれど大学時代で思い出すことは同好会での出来事ばかり、授業やゼミのことはあまり思い出さない。
それでも恩田氏はきっと好きなことに打ち込んでいたんだろうな、とも思う・・
小説としては、秘密めいた、「三叉路のことやその後」を読みたかった。続編があるのかな?
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うーーーーーーーーーーん!!!!
たまにある、恩田陸の「コレジャナイ感」www
タイトルがね、いいんですよ。
恩田陸のタイトルセンスは、ほんと素晴らしい。
ただ・・・んー、半自伝的な、青春小説。
タイトルからイメージするものとちょっと違う!
『夜のピクニック』、『ネバーランド』系?か??
でもまだ『ネバーランド』の方が好きかも。
特に大きな事件はなく、3人の男女がどういう人達か。それだけっぽい。
うん・・・事件性がある話の方が、好みです。
タイトルはかっこいいのになーほんとに・・・w
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【あらすじ】
楡崎綾音・戸崎衛・箱崎一は、高校の同級生であった。高校時代は、ほどほどに仲良く、ほどほどに一緒の時を過ごしていた。卒業後は、同じ大学に進学することとなったも3人であったが、高校時代のように3人で会うという機会はなく、各々が小説・バンド・映画に熱中?した大学生活を送っていた。
そんな3人が大学を卒業して社会人となった今、それぞれの高校・大学生活を振り返っていく。
【感想】
著者の自伝的作品とも言える本作品。楡崎綾音がちょうど恩田陸にあたる。彩音は大学時代をこう振り返っている。「何もすることなく何もかも小さいサイズに会わせ、広がる機会を逸したまま時を過ごしてしまったような気がする」「何かを好き、何かに夢中になりきれない自分がいる」私にも思い当たる節がかなりあり、心が痛かった。
本作品では彩音の他、戸崎・箱崎それぞれの大学生活が描かれている。読んでるうちに「あっ、あるある〜」「自分に似てるわー」という瞬間が訪れるのではないでしょうか。
人生最大のモラトリアム期間と言われる大学時代。私自身の大学生活を振り返ってみても、「何かをしたわけじゃないけど、何もしなかったわけじゃない」という非常にまどろっこしい思いが浮かぶ。けれど、なんだかんだ大学で過ごして得たものが、今の生活に繋がっているのかな?とも思ったり、思わなかったり。
とにもかくも、今の自分と学生時代の自分を比べ、見つめ直すきっかけを与えてくれる作品であると思う。社会人3〜10年目くらいの人にオススメです。
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ブラザー・サン シスター・ムーン 、同名の映画、テレビで見たことある。聖サンフランシスコが主人公だ。大変感動した。
この映画が頭にあったわけではないが、自分の学生時代を懐かしく思い出すために買った。
モデルはまさしく著者である。音楽に、映画に、読書。同世代の若者はこの三つしかなかった。村上春樹の本を読んで懐かしく思うのと同じ感覚でこの本を楽しんだ。
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3人の登場人物がそれぞれ大学時代の出来事を中心に回想しているので、
いつもの恩田さんのノスタルジックなジュブナイル作品より
ほろ苦度が高めかなと思いました。
また、ご自身の体験が強く反映されている(特に第1部)ようで、
ファン的にはなかなか興味深かったです。
巻末に1~3部に共通して出てくる高校時代の話が収録されていますが、
3人のこの先の話というか、3人が再会したり、なんらかの形で接点をもつような話も読みたかったなあ。
(2012年5月29日購入・読み始め、2012年6月9日読了)
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恩田陸の自伝的小説。
小説だけど著者自身を反映させてるのが読んでてわかって楽しい。けど,やっぱりキャラクターはキャラクターで,ちゃんと個性がある。
劇的ではないけれど確かに共有していた時間や思い出があること,それを感じさせるような作品の雰囲気が好み。さらっと読めるし。ただなんとも言えない感じが苦手な人は苦手かも。
単行本未収録の予告編と,著者とその大学時代の先輩との対談も収録。
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わたし、これ大好きだ!!
恩田陸って、ホラーとかファンタジーとかミステリとかのイメージが強くてずっと読まず嫌いだったんだけど、最近少しずつ読みはじめて、いろんなタイプの作品があるんだなと思って、そしてこれ。こういうタイプのをわたしはもっと読みたい!!
確かに事件とかは起きなくて、恩田さんの自伝的エッセイみたい感じなんだけど、それでいてちゃんと小説になってる感じがする。
たとえエッセイだと思って読んでも、わたしは語り口が好きだった。
ふたつめのジャズバンドの話は、読んでてすごくわくわくしたし。
そしてどの話も、ただの青春万歳みたいじゃないところがよかった。大人になってふり返る、冷静で、せつない感じが。
恩田さんと同じ年なので、時代の雰囲気とかがわかって懐かしさを覚えるっていうのもあると思うけれども。
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高校時代の友人三人が、一つの思い出をそれぞれの場面で思い出すというお話。
作者の人格を落とし込んだ三人のキャラクターが愛らしく、ついつい引き込まれてしまった。
章の移り変わりに際して書き手の視点が変わるのも、飽きさせない工夫か。
結論という結論ははっきり出るような類いではないので、だからなに?ってなってしまう人には物足りないのかも。
しかし、この読了後の独特の清々しさはぜひ味わってほしい。